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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年4月26日金曜日

新着論文(Science#6131)

Science
VOL 340, ISSUE 6131, PAGES 397-516 (26 APRIL 2013)

EDITORIAL
Young Researchers in Japan
日本の若手研究者
Naoki Nagata and Shinya Yamanaka

以下は引用文
...there is a need to establish a variety of career paths for graduate students and
other young researchers that enable them to feel secure enough to concentrate on their studies and training, whether they remain in Japan or benefit from being in an international arena.
日本に残ろうが国際的な舞台で研鑽しようが、研究や訓練に安心して集中できるように、大学院生や若手研究者に対する種々のキャリアパスを構築する必要がある。

One issue is Japan’s vast underutilization of female talent.
日本の1つ目の問題は、女性の才能を生かしきれていないことである。

The second major problem is a lack of independence for beginning researchers that hinders creativity.
2つ目の大きな問題は初心者の研究者が独立できないことであり、それが独創性を妨げている。(始めから終身雇用制度が必要)

Because a vast number of researchers are expected to retire over the next few years, Japan has a unique opportunity to restructure its academic environment.
今後数年間で大量の研究者が引退すると予測されるため、日本は学術環境を再構築する好機を得る。

The most important thing for building a solid foundation for the development of Japanese science is to support the success of all of our most talented researchers—whether upcoming or established, female or male, Japanese-born or not.
日本の科学を発展させるための強固な礎を築く上で最も重要なのは、新進気鋭の人/既に認められた人、男性/女性、日本人/外国人を問わず、才能ある科学者の成功をサポートすることである。

Editors' Choice
Lost N Found
失われた窒素が見つかった
Environ. Sci. Technol. 10.1021/es304842r (2013)
人為起源の反応性が大きい窒素の環境汚染が湖沼や海洋沿岸部における富栄養化などを招いている。微生物によってそうした窒素が脱窒あるいは嫌気的アンモニア酸化されて消費されるが、どちらの反応が卓越するかはよく分かっていない。室内実験から、有機物量よりもむしろ反応性の高い窒素の量が2つの寄与率に影響していることが示された。どうやら入ってくる反応性の高い窒素は速やかに微生物によって生態系から大気へと放出されているらしい。

News of the Week
Longmenshan Fault Ruptures Again
龍門山断層が再び滑る
中国・四川省において4/20にM6.6の地震が発生した。原因となったのは四川大地震の際にも滑った龍門山断層と考えられている。5年前は北部が、今回は南部が破壊されたようである。

Ocean Fertilization Experiment Still Making Waves
海を肥沃化させる実験がまだ波乱を呼んでいる
カナダのHaida Gwaii諸島西部にて行われた鉄散布実験の合法性を巡る議論が未だ燃え広がっている。

How Low Can They Go?
どこまで低くなれるのだろうか?
アメリカのHuron湖とMichigan湖の水位が1860年からの観測以来、最低となった。原因は1998年以降の異常な水温上昇と乾燥化と考えられている。漁業や大型船舶の運航への影響が出ている。

News & Analysis
Deep Dig Shows Maya Architecture Arose Independently of Olmec's
深い掘削からマヤ文明の建築技術はオルメカ文明のものとは独立に発展したことが示された
Heather Pringle
都市部の儀式用の空間の配置の仕方は、マヤ文明がそれをオルメカ文明から引き継いだのではなく、独立に洗練させたことを示している。

Dark-Matter Mystery Nears Its Moment of Truth
ダークマターの謎が真実が明らかになる瞬間に近づく
Adrian Cho
地下深くに存在する超高感度の粒子検出機を用いて研究を行っている物理学者が、ダークマター粒子と思しき3つの変動を捉えた。

News Focus
Public Enemy Number One
公共の敵ナンバーワン
Richard Stone
北朝鮮はアフリカのサハラ周辺諸国以上に結核の感染率が高く、多剤耐性という問題を抱えている。

When Early Hominins Got a Grip
初期のヒト族がものを握ったとき
Ann Gibbons
140万年前の手の骨には現生人類に似た特徴が見られるため、いつヒトが道具を作り始めたかを物語っている。

Following the Males' Trail, 1.5 Million Years Later
150万年後、男の足跡を追う
Michael Balter
150万年前、ケニアを歩いていた6人のヒトの足跡が発見された。おそらく男性の集団が狩りか見回りをしていたものと思われ、チンパンジーにも見られる組織行動の一例と思われる。

Ardi's a Hominin—But How Did She Move?
Ardiはヒトである—しかし彼女はどうやって移動したのだろう?
Ann Gibbons
最も古く、完全な形で骨格が残されている女性のArdiは、これまでヒト族の祖先と考えられていたが、ヒトであったという新たな認識が得られた。おそらく直立歩行をしており、歯や頭蓋骨もヒトのそれに類似している。

Letters
Japan's Lagging Gender Equality
日本の性の平等の遅れ
Miwako Kato Homma, Reiko Motohashi, and Hisako Ohtsubo

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Research
Perspectives
Animal Conformists
動物の順応
Frans B. M. de Waal
野外調査から、クジラもvervet monkeyも共に社会を通して食べ方を学んでいることが示された。

Irreversible Does Not Mean Unavoidable
不可逆性は不可避性を意味しない
H. Damon Matthews and Susan Solomon
 「全球気温の上昇はもはや避けられない」「これまでに出されたCO2が原因で起きている温暖化は1,000年は打ち消せない」といった誤解があるが、過去の変化が打ち消せないことは、将来のさらなる温暖化が避けられないということにはならない。
 炭素循環・気候の慣性(inertia)を考える必要がある。海によるCO2の吸収には時間がかかるため、現在CO2の排出を停止すれば、次第に大気中のCO2濃度は低下するはずである。例えば現在CO2の排出が急激にゼロになったとしても、気温は数世紀はおおよそ現在のレベルに維持されるだろうと思われるが、少なくとも上昇することは考えにくい。CO2の排出量が低下した場合、最悪のシナリオに比べて温暖化が抑えられることになり、温暖化がなくなるわけではない。つまりこれまでの排出を打ち消すことは難しいが、これからの排出とそれに伴うさらなる温暖化はコントールすることができる。
 将来の温暖化は全体を通して排出されたCO2の総量によるが、現在は先進国が途上国に比べて多くのCO2を放出している。しかしあと数十年でその関係は逆転すると考えられている。うまく低炭素社会が先進国・途上国で実現すれば破滅的な地球温暖化は防げるが、うまくいかないか、或いは対応が遅れた場合、地球はよりいっそう温暖化する。
 排出削減だけで産業革命以前のレベルまで気温を低下させることは不可能だが、将来の温暖化の程度は現在の排出によって決まるのであって、もはや人間が手の届かないところにあるというわけではない。
※コメント
色々と考えさせられる記事です。炭素循環の理解一つとっても人間の理解は十分でないことをきちんと理解していなければならないと思います。現行の気候モデルに組み込まれていない・組み込むことのできない素過程は多く存在します。

Melting Earth's Core
融けている地球の核
Yingwei Fei
超高温・高圧で鉄を融かす実験によって、地球の核の温度をより正しく理解することができる。

Research Articles
A Massive Pulsar in a Compact Relativistic Binary
John Antoniadis

Reports
Observations of Ejecta Clouds Produced by Impacts onto Saturn’s Rings
土星の輪への衝突によって放出されるイジェクタ雲の観測
Matthew S. Tiscareno et al.
カッシーニによる観測から土星の輪への隕石衝突の証拠が得られた。

Melting of Iron at Earth’s Inner Core Boundary Based on Fast X-ray Diffraction
早いX線回折に基づいた地球の内核境界における鉄の溶融
S. Anzellini, A. Dewaele, M. Mezouar, P. Loubeyre, and G. Morard
高温高圧実験から、地球の核の鉄の溶融が模擬実験された。

Early Ceremonial Constructions at Ceibal, Guatemala, and the Origins of Lowland Maya Civilization
グアテマラ・Ceibalにおける初期の儀式用の建造物と低地マヤ文明の起源
Takeshi Inomata, Daniela Triadan, Kazuo Aoyama, Victor Castillo, and Hitoshi Yonenobu
マヤ文明の古代都市であるグアテマラのCeibalにおける発掘から、広場やピラミッドの初期の証拠が得られた。

Potent Social Learning and Conformity Shape a Wild Primate’s Foraging Decisions
潜在的な社会学習と順応が野生の霊長類の餌の決定に影響する
Erica van de Waal, Christèle Borgeaud, and Andrew Whiten
野外実験から、他から移動してきたvervet monkeyは餌探しにおいてはその地域のルールに従うことが示された。

Network-Based Diffusion Analysis Reveals Cultural Transmission of Lobtail Feeding in Humpback Whales
ネットワークに基づいた伝播分析がザトウクジラのLobtail餌取りの文化的な伝播を明らかに
Jenny Allen, Mason Weinrich, Will Hoppitt, and Luke Rendell
クジラは周囲の仲間から尾びれを使って獲物を捕る方法を学んでいるらしい。

Population Growth in a Wild Bird Is Buffered Against Phenological Mismatch
生物季節学的な不均衡に対して野生の鳥の個体数の増加が緩和される
Thomas E. Reed, Vidar Grøtan, Stephanie Jenouvrier, Bernt-Erik Sæther, and Marcel E. Visser
広範囲の環境の変化は野生動物の自然淘汰のパターンに影響する。40年間の観測記録から、気候変化による生物季節学的な変化が野生の鳥の個体数を減少させるかどうかを調べた。春がより暖かいと、交尾時期と食料が最も得られる時期とが食い違い、卵を産む時期が早まることが示された。しかし不均衡が個体数に与える影響は見られず、他の生物との競合が和らいだことが原因と考えられる。