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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog

2012年8月10日金曜日

新着論文(Science#6095特集)

Science
VOL 337, ISSUE 6095, PAGES 613-768 (10 August 2012)

〜Special issue〜
Working with Waste
ゴミを手がける

INTRODUCTION
More Treasure Than Trash
ゴミ以上の宝ものへ
Nick Wigginton, Jake Yeston, and David Malakoff
現在の社会からは日々大量のゴミが放出されるが、ゴミは使いようによっては重要な資源になり得る。例えば、穀物の食べ残しや芝刈りのカスなどは日用化学品の原料にもなるし、プラスチックや金属は何度も再利用できる。さらに二酸化炭素でさえうまく捕獲し、利用する方法が模索されている。さらに排水もエネルギー源になり、汚水処理の効率も上がりつつある。ゴミを最小限に抑えるために必要なのは単に科学だけでなく、心理学・政治・経済が重要になってくる。

News
Infographic: World of Waste
図解:ゴミの世界
各国のゴミの排出状況を簡単に図解。

Garbology 101: Getting a Grip on Waste
ゴミ学101:ゴミを把握する
Jeffrey Mervis
ほとんどの人は無視する方を選択するが、ゴミを管理することは緊急かつ議論を要する問題である。

Modern-Day Waste Pickers
現在のゴミを拾い上げる人たち
Jeffrey Mervis
社会がゴミを出す限り、人々はゴミを選別し続けて来た。しかし、ほとんどの人にとってはそれはガラクタに過ぎない。

Finding a New Way To Go
進むべき新しい道を探す
Gretchen Vogel
水洗トイレは変形力のある発明であったが、専門家はそれは過去のものであり、今は人の排出するものからエネルギーや栄養塩を回収する革新的な方法が必要とされていると語る。

Water Reclamation Going Green
水の回復に青信号が出ている
Elizabeth Pennisi
排水処理施設は資源回収施設として変革を遂げつつある。エネルギーを節約し、時には生み出し、処理の過程で汚染を少なくしている。

A Better Way to Denitrify Wastewater
排水から栄養塩を除去するよりよい方法
Elizabeth Pennisi
嫌気的アンモニア酸化細菌(annamox bacteria)は酸素がなくてもアンモニアを窒素ガスに変えることができ、排水からアンモニアを除去する方法を格段に改善することができると考えられている。

(Save) Pave the World
世界を整える(救う)
Robert F. Service
二酸化炭素は産業界からの究極の廃棄物である。熱帯のサンゴはハイウェイから出される二酸化炭素を捕えるうまいやり方になり得るか?
※まだ冒頭しか読んでいませんが、サンゴの石灰化に着目して二酸化炭素を固定して作った石灰質コンクリートを舗装道路に使うことのようです。

Getting Minds Out of the Sewer
排水から頭を離す
Greg Miller
人間心理学はいかにして排水リサイクルに関する懸命な方法を見つけ出すか。

Reviews
Taking the “Waste” Out of “Wastewater” for Human Water Security and Ecosystem Sustainability
Stanley B. Grant et al.
排水の再利用と排水生産を最小に抑える試みについてのレビュー。この補完的なオプションは淡水を最大限に活用し、先進国・発展途上国の常に変わる水需要に応え、環境への恩恵をもたらす。

Conversion of Wastes into Bioelectricity and Chemicals by Using Microbial Electrochemical Technologies
Bruce E. Logan and Korneel Rabaey
細胞外で発電できる微生物にとってはバイオマスゴミは安く、そして量も豊富にある電気の資源である。微生物の発電を利用した発電・化学合成技術は将来の持続可能なエネルギーを支える一部となる可能性を秘めている。バイオ燃料・水素・メタン・他の価値の高い有機/無機物質を作ることのできる’エクソ電子発生微生物(exoelectrogenic microorganisms)’の使用を支える重要な発展についてレビューする。既に応用段階にある技術もあるが、今後更なる効率性・拡張性・システムの寿命・信頼性に関する研究が必要である。

Challenges in Metal Recycling
Barbara K. Reck and T. E. Graedel
原理上、金属は永久にリサイクル可能であるが、実用的には社会行動、製品のデザイン、リサイクル技術、分離の熱力学などの制限がある関係で不十分か、あるいは全く存在しないことが多い。リサイクル率を高めるには、「ゴミの回収効率を上げること」、「リサイクルに適したデザインに改良すること」、「現在のリサイクル技術をより配備すること」などの行動が最も重要である。現在の物質消費の形態はループが閉じておらず、完全に閉じたループの実現は不可能ではないものの、テクノロジー以外の様々な種類の制限がある。

Valorization of Biomass: Deriving More Value from Waste
Christopher O. Tuck et al.
現在、炭化水素化合物のほとんどは石油から生産されている。石油の価格の上昇を受けて、バイオマスから化学物質・燃料・触媒などを作る道がないかと注目が集まっている。それを受けて、多くの研究は化学物質を作るために生産される様々な作物のメリット・デメリットを評価している。現在余っているバイオマス(農業や食料生産過程において出てくる副産物)を利用する方法についてレビューする。

Perspectives
Recycling of the #5 Polymer
#5ポリマーを再利用する
Marino Xanthos
ポリプロピレンは食品包装や自動車のバッテリーの外装など、非常に広く使われているプラスチック素材である。ポリプロピレンのリサイクル率について簡単にレビューする。回収・仕分けの効率、化学合成、リサイクルされた商品の市場力学などの話題を含む。

The Challenges of Reusing Mining and Mineral-Processing Wastes
鉱業・鉱物生産過程において出てくる廃棄物を再利用するという挑戦
Zhengfu Bian et al.
鉱業・鉱物生産過程において出てくる廃棄物は世界でも最大の慢性的に残存する廃棄物の一つである。従って、それらの再利用は将来の持続可能な発展の計画に含まれるべきである。しかしながら、環境に与える影響は様々で、完全に評価しなければならないものである。素となる母岩の化学組成と地球工学的特性がその石をどう使うのが最も適しているか、どう再利用するのが経済的に最も見込みがあるかを決めている。もし適切に評価がなされれば、鉱業廃棄物は「鉱物を再度抽出すること」、「発電所のさらなる原料にすること」、「建築材にすること」、「鉱業そのものによって変えられた陸の表面/地下構造の修繕に使うこと」などに再利用可能である。