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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年8月25日土曜日

新着論文(Science#6097)

Science
VOL 337, ISSUE 6097, PAGES 877-1008 (24 August 2012)

Editors' Choice
Allergenic Terpenoids
アレルギー性のテルペノイド
北アメリカの固有種であるブタクサが世界中の温帯域へと拡大している。この植物は強いアレルギー性があり、花粉症やひどい気管支炎を招く可能性がある。ヨーロッパにおけるブタクサのアレルギー物質の調査から、アレルゲンの候補となる化学物質が特定された。花粉などにも含まれるテルペノイドが主な原因物質と考えられる。

News of the Week
InSight to Probe Martian Innards
火星内部を調べるためのInSight
2016年にNASAは火星の地殻・マントル・コアを調査し、火星がいかにしてマグマ玉から進化したのかを調べるミッション(InSight)を実行する。地上探査機はPhoenix着陸船を用いて火星へと輸送される。努力を最低限に抑えるため、小規模の地震や隕石衝突によって起きる振動を探知し、火星内部を探る計画。温度計は数m掘削して地下に据えられ、火星の熱史を明らかにする。

BRCA Genes Ruled Patentable
BRCA遺伝子は特許可能だと決定された
乳がん・卵巣がんに関するBRCA遺伝子の特許がアメリカの最高裁判所において認可された。アメリカでは2度目の遺伝子工学における特許認可となる。

Court Halts Construction Of Amazonian Dam
裁判所はアマゾンのダムの建設を中断させた
Xingu川流域の土着の先住民との協議が適切になされていないとして、Belo Monteダムの建設の中止をブラジルの連邦裁判所が決定した。このダム建設によって数万人の先住民が居住地を追われ、数百km2の熱帯雨林が水没する。ブラジル国会がダム建設を認めたのは2005年で、2011年から建設が始まっていた。建設を請け負っているNorte Energia S.A.は多くの労働者が職を失い、地方政府は2,200万ドルもの税を我慢することになり、地方の開発もなくなるだろう、という声明を出している。

Zoos Help Germs Jump Species Barrier
動物園が病原菌が種の壁を越えたことを助けた
国際研究チームは2010年6月にドイツの動物園で死亡した20歳のシロクマの死因に対して「シマウマのウイルス」が原因とする驚くべき結論を出した。シロクマの脳の解剖から、EHV1とEHV2という2つの死因の候補となる病原菌(シマウマに特有のヘルペスウイルス)が見つかった。シロクマとシマウマの檻は隔離されていたため、げっ歯類が菌を運んだ可能性が考えられている。動物園における動物の死はその後深く調査されることは少ないため、こうした感染は過小評価されている可能性があるとAlex Greenwoodは指摘する。“This case illustrates that when you are bringing animals from different continents together in a zoo, you are also giving pathogens the opportunity to recombine and jump to another host(この事案は動物を違う大陸から運んできて同じ動物園で一緒に飼育すると、病原菌に対して遺伝子変異の機会とホスト間を移り変わる機会とを与えることになることを明瞭に示している。)”

No Star Left Behind
後に残される星はない
AD1006年に観察されたオオカミ座の超新星爆発は有史以来最大のものであったが、爆発後には期待に反して星は残らなかった可能性がある。この超新星爆発はタイプ1aという最も明るい爆発に属し、小型で高密度の白色矮星の爆発であった。こうした種類の超新星爆発は隣接する星の物質が白色矮星へと降着し、その結果暴走核反応が起き、小型の星を吹き飛ばすというメカニズムで考えられていたが、爆発を生き抜いたと考えられるもう一方の星は見つからないという研究結果が報告された。

Rare Bird Learns to Fly Away Home
珍しい鳥は故郷に飛んで帰ることができる
数世紀前に野生では絶滅し、人間の手で保護されているホオアカトキ(northern bald ibisl; Geronticus eremita)は人間の手を借りずに、本来の故郷へと渡ることができることが分かった。超小型の装置を用いて追跡していたところ分かったらしい。

News & Analysis
Panel Says NSF Should Shutter Six U.S. Instruments
パネルはNSFはアメリカ国内の6つの機関を閉鎖すべきだと言っている
Yudhijit Bhattacharjee
NSFのお粗末な予算の見通しを受けて、科学者のパネルは天体望遠鏡の閉鎖の可能性に備えるよう、科学者達に推奨している。

Dinosaur Kingpin Opens Fossil Bonanza to Science
恐竜のボスが化石の王国を科学へと開く
Richard Stone
中国人のZheng Xiaotingは世界で最も重要な化石コレクションを自らの手で作り出した人物である。中国の田舎のこれらの宝物が、古生物学者を至る所に惹き付け始めている。

News Focus
The Great Guppy Experiment
偉大なグッピーの実験
Elizabeth Pennisi
小さな魚が生態系と進化の力がどのように我々の住む世界を形作っているかを見せている。

Eco-Evo Effects Up and Down the Food Chain
生態系-進化が食物連鎖の上流・下流に影響する
Elizabeth Pennisi
北米東部の湖に住む魚(alewife)がどのように淡水の生態系を形作り、また形作られているのかを研究者が調査している。

Policy Forum
Water Security: Research Challenges and Opportunities
水の安全:研究目標と機会
Karen Bakker
水の安全性を分析する新たな戦略が、研究者-政策決定者-医者の協調を改善し、新しいシナジーを生み出す可能性を秘めている。

Perspectives
Probing Black Hole Gravity
ブラックホールの重力を証明する
Jonathan C. McKinney
集積しつつあるブラックホールから放出されるX線の振動は、我々の宇宙を超えてアインシュタインの一般相対性理論を証明するヒントを与えてくれるかもしれない。

A Long View on Climate Sensitivity
気候感度に対する長期的な視点
Luke Skinner
古気候記録は気候変動のある側面は気候感度という一つの値だけでは解決することが難しいことを示唆している。

Reviews
Luminous Supernovae
Avishay Gal-Yam
超新星爆発は古代から観察され続けてきたが、非常に明るい超新星爆発は最近になってから発見された。証拠の集積から、こうした明るい超新星爆発は「放射性物質によって駆動されるSLSN-R」「水素に富んだSLSN-II」「水素に欠乏したSLSN-I」という分類に分けられることが分かってきた。SLSN-ⅠとSLSN-IIはより一般的だが、SLSN-Rのほうがより理解されている。現在の研究では極端な明るさの物理的な起源が焦点となっている。

Gamma-Ray Bursts
Neil Gehrels and Péter Mészáros
ガンマ線バーストとは宇宙からやってくる明るいガンマ線の閃光である。およそ1日ごとに起き、10秒程度持続する。発見から30年あまりが経過しており、宇宙空間と地上からの観測がなされ革新的な進展があるものの、謎に満ちたままである。2004年のSwift、2008年のFermi人工衛星の打ち上げは新しいデータを数多くもたらした。このレビュー論文では、こうした近年の観測結果と数値モデルとの相互作用を調査する(一瞬の煌めきとその後の余熱)。