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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年8月15日水曜日

新着論文(Science#6095)

Science
VOL 337, ISSUE 6095, PAGES 613-768 (10 August 2012)

EDITORIAL
An End to Waste?
廃棄の終わり?
Janet G. Hering
現在工業国においてなされているゴミの扱いというのは持続不可能なものである。しかしながら我々は行いを変えようとはしていない。資源になる可能性のあるゴミをうまく利用する技術を発展させる必要がある。またゴミを重要な社会問題として取り上げる必要もある。社会がゴミの重要性を認識することが消費・生産の双方にとって重要である。

Editors' Choice
Redox Dragonflies
還元的なトンボ
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109, 10.1073/ pnas.1207114109 (2012).
生物は種や性別を主張したり、カモフラージュをするために様々な色を用いる。例えば、昆虫・鳥・哺乳類の中には色で性的な成熟を表現するものもいる。Crocothemis、Sympetrumという属に属するトンボは性的な成熟の度合いで体表の色を変えることが知られており、それは表皮の酸化還元状態によって決まっているらしい。

Silk Replaces Refrigeration
絹が冷蔵に取って代わる
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109, 10.1073/ pnas.1206210109 (2012).
ワクチンや抗生物質の効果を最大限に発揮するにはそれを低温状態で保管することが必要不可欠であるが、特に発展途上国においてワクチンを冷蔵保存することはコストがかかり負担となっている。絹のフィブロイン(fibroin)と呼ばれる構成成分はこうした物質を保護するのに非常に有用らしい。温度などによる劣化を防ぐ作用がある。

Understanding Past CO2
過去のCO2を理解する
Earth Planet. Sci. Lett. 341–344, 243 (2012).
新生代を通して地球の寒冷化とCO2濃度の減少とは一致して起きてきたが、突発的なCO2濃度の上昇イベントは現在の人為起源のCO2排出が気候に与える影響を評価するのに助けとなる可能性がある。15Maの中新世(Miocene)には地表面気温は3℃程度高く、海水準も上昇していたと考えられているが、海洋堆積物中の浮遊性有孔虫のホウ素同位体分析から大気中の二酸化炭素濃度は400ppm程度であったと推測されている。このことから、南極の氷床は従来考えられていたよりも二酸化炭素による温室効果に対して感度が高い(変動しやすい)可能性が示された。
※コメント
この研究は自分の研究とも非常に関係していますが、過去の大気中二酸化炭素濃度を見積もるのはそう簡単なことではありません。過去の海水のアルカリ度・水温の推定にも大きな誤差が含まれるためです。また海水中のホウ素同位体も変動していたと考えられています。まだまだ研究が必要な分野です。

Cover Stories: Seeing Waste in a New Light
表紙の物語:ゴミを新しい光の下で見る
芸術家は再利用可能な物質の美しさを再認識し、写真を通してそれらに生命を与える。

Perspectives
Ice Sheets in Transition
変遷しつつある氷床
Peter U. Clark
海洋底堆積物から復元された温度は過去150万年間、全球の氷床量が変動し続けてきたことを示している。

Low-Temperature Oxidation of Methane
低温でのメタンの酸化
Robert J. Farrauto
メタン酸化に有望な触媒について。

Research Article
Evolution of Ocean Temperature and Ice Volume Through the Mid-Pleistocene Climate Transition
H. Elderfield, P. Ferretti, M. Greaves, S. Crowhurst, I. N. McCave, D. Hodell, and A. M. Piotrowski
地球の気候は1.25-0.7Maの間に劇的な変化を経験した(MPT; mid-Pleistocene transition)。それまで卓越していた41ka周期が100ka周期へと変動した。それは海洋底堆積物中の底性有孔虫の殻のd18Oに記録されているが、d18Oは深層水の温度にも影響を受けてしまう。温度の変化と氷床量の変動に伴う海水のd18Oの変化を分けて評価したところ、MPTは南極氷床の0.9Maにおける大規模な崩壊がきっかけとなって起きていた可能性が示唆される。

Reports
Exceptional Activity for Methane Combustion over Modular Pd@CeO2 Subunits on Functionalized Al2O3
M. Cargnello, J. J. Delgado Jaén, J. C. Hernández Garrido, K. Bakhmutsky, T. Montini, J. J. Calvino Gámez, R. J. Gorte, and P. Fornasiero
メタンは二酸化炭素よりも強力な温室効果ガスであるが、特定の触媒の下では完全に燃焼させることができる。

The Provenances of Asteroids, and Their Contributions to the Volatile Inventories of the Terrestrial Planets
C. M. O’D. Alexander, R. Bowden, M. L. Fogel, K. T. Howard, C. D. K. Herd, and L. R. Nittler
地球上に存在する水素・炭素・窒素の起源を明らかにすることは惑星形成時の水と生命の起源を理解する上で重要である。炭酸塩質のコンドライト隕石中の水分のD/H比は土星の衛星:エンセラダスを起源とする隕石のD/H比とは全く異なっており、太陽系の中でも異なる領域において形成されたことを示唆している。またClコンドライトの水素・窒素同位体はそれらが地球の揮発性物質を起源としていることを示唆している。

Earthquake in a Maze: Compressional Rupture Branching During the 2012 Mw 8.6 Sumatra Earthquake
L. Meng, J.-P. Ampuero, J. Stock, Z. Duputel, Y. Luo, and V. C. Tsai
strike-slip型の地震としては最大のスマトラ沖地震はプレート境界内部で起こった地震のメカニズムを明らかにする上で助けとなるかもしれない。