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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年8月3日金曜日

新着論文(Science#6094)

Science
VOL 337, ISSUE 6094, PAGES 497-612 (3 August 2012)

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Special Issue
Black Holes
'ブラックホール特集'

INTRODUCTION
Inescapable Pull
Maria Cruz

Perspectives
Classical Black Holes: The Nonlinear Dynamics of Curved Spacetime
Kip S. Thorne

Quantum Mechanics of Black Holes
Edward Witten

Reviews
Stellar-Mass Black Holes and Ultraluminous X-ray Sources
Rob Fender and Tomaso Belloni

The Formation and Evolution of Massive Black Holes
M. Volonteri

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News of the Week
Fracking Report Under Scrutiny
Frackingの報告書が精査されている
fracturing(シェールガス採掘の際に水を地中に注入すること)のリスクと恩恵についての分析がなされている。報告書では地下水の汚染はないとしている。アメリカ地質調査所の前の所長で、現在はテキサス大のエネルギー研究所の副所長を務めているCharles “Chip” Groatはfrackingをする企業の相談役という立場もあるため、議論には参加していない。またテキサス大の副学長であるSteven Leslieは、独立した機関にレビューをしていただきたいという声明を出した。

Poor Review for Biofuels
バイオ燃料に対する貧弱なレビュー
ドイツの学術会議は作物をバイオ燃料とすることに頑に反対している。7/26に公表された20人の専門家による報告書では、バイオ燃料は持続可能なエネルギー資源への移行の中ではわずかな寄与しかしないと結論づけた。バイオ燃料は多くの土地を必要とし、より多くの温室効果ガスを排出するため、他の持続可能エネルギー(太陽光発電、太陽熱、風力など)に比べて環境への負荷が大きいとしている。

First Light for HESS II
HESSⅡへの最初の光
ナミビアに2004年に建設されたHESSⅠ望遠鏡の後継機であるHESSⅡ望遠鏡(鏡はテニスコート2面分の大きさがあり、4倍の解像度)が先週初めて宇宙空間から地球にやってくる高エネルギーの光子を捉えた。厳密には宇宙そのものを見ているのではなく、地球大気と高エネルギーのガンマ線が大気の上層で衝突した際に出てくるCherenkov放射というものを観測しているらしい。宇宙物理学者はこうした高エネルギーのガンマ線はブラックホールや超新星爆発、パルサーなどから放出されていると考えており、この望遠鏡がその理解に貢献してくれると期待されている。

Raindrops Keep Falling on My ...
雨は私の…の上に落ち続ける
中国に生えるランの一種であるAcampe rigidaの繁殖能力の高さが疑問とされていたが、この植物は昆虫に受粉を頼るのではなく、自分自身で受粉を行う能力を身につけているらしい。4年間に渡る野外調査と飼育実験から、この植物が雨を利用して精子の入った包のうをめしべに運んでいることが分かった。他の植物も同様に雨を利用して受粉をするものがあると考えられるが、このランが初めてそうした行動を証明した。

Earth Keeps Sucking Up Greenhouse Gases
地球は温室効果ガスを吸い続けている
化石燃料の燃焼によって排出される二酸化炭素のうち、およそ半分は海や植物、土壌によって吸収されている。こうした吸収がなければ現在の温室効果はより加速するだろう。温暖化は植物の炭素固定を阻害し、研究者の中にはこうした炭素吸収が将来遅くなるのではないかと危惧するものもいる。しかしながら、今週Natureにて発表された研究ではこの炭素吸収はうまく機能していることを報告している。人間活動によって放出された二酸化炭素のうち55%は吸収されており、人間の排出のペースに追いついている吸収量は1960年に比べて2倍に増えた。しかし将来この吸収がどうなるかは分からない

By the numbers
数字から
15.4% アメリカにおいてHIVに感染した男性とセックスをする男性の割合
53カ国 2020年までに低収入から中程度の収入になると予想されている国の数
時速104km チーターが走る速度、アヒルが飛ぶ速度

News & Analysis
NASA's Spacefaring Science Chief Sets a New Course for Mars
NASAの宇宙旅行科学の主任が火星への新たな航路を作る
Yudhijit Bhattacharjee
8/5に予定されている火星探査機「キュリオシティー」の火星への着陸に先立って行われた、NASAの科学主任であるJohn Grunsfeldへのインタビュー。

Ice Age Tools Hint at 40,000 Years of Bushman Culture
氷河期の道具がブッシュマン文化の4万年間の歴史をほのめかす
Michael Balter
南アフリカで考古学者が44,000年前の人工物を発見した。狩猟採集民族によって使用されたものに似た骨の道具や毒矢などが含まれる。

Perspectives
How Did the Cuckoo Get Its Polymorphic Plumage?
どのようにしてカッコーは多形の羽毛を獲得したのだろう?
Johanna Mappes and Leena Lindström
ヨシキリ(小鳥)は小型のタカを真似ることでカッコーの脅威から身を守るが、別の色をしたカッコーの脅威にはさらされ続ける。

RETROSPECTIVE: F. Herbert Bormann (1922–2012)
懐古:F. Herbert Bormann
Lars O. Hedin
生態学者が大きなスケールで河川流域を集中的に研究していたことが森林への人間活動の脅威を知る際に重要な役割を負っていた。

Reports
Kepler-36: A Pair of Planets with Neighboring Orbits and Dissimilar Densities
Joshua A. Carter, Eric Agol, William J. Chaplin, Sarbani Basu, Timothy R. Bedding, Lars A. Buchhave, Jørgen Christensen-Dalsgaard, Katherine M. Deck, Yvonne Elsworth, Daniel C. Fabrycky, Eric B. Ford, Jonathan J. Fortney, Steven J. Hale, Rasmus Handberg, Saskia Hekker, Matthew J. Holman, Daniel Huber, Christopher Karoff, Steven D. Kawaler, Hans Kjeldsen, Jack J. Lissauer, Eric D. Lopez, Mikkel N. Lund, Mia Lundkvist, Travis S. Metcalfe, Andrea Miglio, Leslie A. Rogers, Dennis Stello, William J. Borucki, Steve Bryson, Jessie L. Christiansen, William D. Cochran, John C. Geary, Ronald L. Gilliland, Michael R. Haas, Jennifer Hall, Andrew W. Howard, Jon M. Jenkins, Todd Klaus, David G. Koch, David W. Latham, Phillip J. MacQueen, Dimitar Sasselov, Jason H. Steffen, Joseph D. Twicken, and Joshua N. Winn
太陽系においては惑星の組成は太陽からの距離に依存して変化する。例えば、内側には岩石状の惑星(金星、地球、火星など)、外側には低密度のガス状の惑星(木星、土星など)が存在する。しかしこのパターンは宇宙全体で普遍的という訳ではないようで、惑星は形成後もその軌道を大きく変化させる可能性がある。ケプラー宇宙望遠鏡が、非常に密接した軌道を周回しているスーパー地球と海王星に似た系外惑星を発見した。軌道はわずかに10%しか違っていないが、密度差は8倍もの違いがある。太陽系の惑星と比較しても20倍近接して周回しており、密度差も大きい。

A Reversible and Higher-Rate Li-O2 Battery
Zhangquan Peng, Stefan A. Freunberger, Yuhui Chen, and Peter G. Bruce
リチウムイオン電池の能力を遥かに凌ぐ「リチウム-空気」電池は理論的には実現可能で、非常に大きな関心が寄せられていた。課題は陽極のリチウム酸化物を効率良く酸化・還元して繰り返し再生可能にすることであったが、電解液にジメチルスルホン酸を使用し、陽極に多孔性の金を使用することで解決した。100回の繰り返し充電でエネルギーロスはわずか5%に抑えることができた。また陽極でのリチウムの酸化速度は、従来の炭素を用いた陽極の酸化速度の10倍であることも分かった。

Aerosols from Overseas Rival Domestic Emissions over North America
Hongbin Yu, Lorraine A. Remer, Mian Chin, Huisheng Bian, Qian Tan, Tianle Yuan, and Yan Zhang
多くのエアロゾルの大気中の滞留時間は大陸間の横断を可能にするほど長い。つまり遠隔地の大気汚染や気候変動に寄与する可能性があるということを意味する。北米で観測されるエアロゾルの約半数は海を越えてもたらされたものであり、国内でのエアロゾル排出のみを削減してもその悪影響を減らすことはできない。主にアジアからもたらされるダストが主要素で、これらは燃焼によって生じたものではなく、乾燥地から舞い上がったものであるらしい。急速に発展するアジア地域で工業によって発生するエアロゾルを削減したとしても、気候状態の変化や砂漠化の影響でダストの排出量は増加してゆくかもしれない。

Aerial Photographs Reveal Late–20th-Century Dynamic Ice Loss in Northwestern Greenland
Kurt H. Kjær, Shfaqat A. Khan, Niels J. Korsgaard, John Wahr, Jonathan L. Bamber, Ruud Hurkmans, Michiel van den Broeke, Lars H. Timm, Kristian K. Kjeldsen, Anders A. Bjørk, Nicolaj K. Larsen, Lars Tyge Jørgensen, Anders Færch-Jensen, and Eske Willerslev
地球温暖化がグリーンランドの氷床を融解させ、海水準を上昇させると危惧されている。特に南西部の融解は顕著である。過去の空中写真を用いて1980年代半ば以降の氷床縁辺部の厚みを復元。1985-1993年、2005-2010年という2つの時期に特に多くの融解が北西部で起きていたらしい。表面での質量の変化というよりは、ダイナミックな氷床流出のイベントが原因と考えられる。こうした氷床の振る舞いが、徐々に上昇する気温に対してグリーンランド氷床がどう応答するかの予測を難しくしている