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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年8月16日金曜日

新着論文(Science#6147)

Science
VOL 341, ISSUE 6147, PAGES 689-812 (16 AUGUST 2013)

EDITORIAL:
The Road to Pollinator Health
花粉媒介者の健康への道
Catherine Woteki

Editors' Choice
Superorbital Variability
超軌道の変動
Astrophys. J. 773, L35 (2013).
多くの恒星が連星であるが、それらは時として不思議な連星系をなす。LS I +61o303は太陽の10倍質量の巨大恒星とその赤道面を周回する小さな恒星とで構成されている。Fermi宇宙望遠鏡の観測から、ガンマ線の放出に周期性のある変動が確認された。周回軌道や質量放出を反映しているらしい。

News of the Week
Return of the Wolf
オオカミが帰ってきた
オランダの側道で見つかった、車に轢かれた生物の死骸のDNA分析から、それが140年前に国内から姿を消したオオカミであることが明らかに。どうやら最近西へと移動しているらしい。カルパティア山脈かバルカン地方から彷徨ってきたと推定されている。

U.S. Blocks Import Of Beluga Whales
アメリカがベルーガの輸入をブロックする
海洋哺乳類保護の法律に違反するとして、National Marine Fisheries Service (NMFS)は18頭のオホーツク海産のベルーガ(Delphinapterus leucas)の輸入の申請を却下した。
>より詳細な記事(Science Insider)
U.S. Blocks Import Permit for Russian Beluga Whales
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
批判が高まる水族館ビジネスの現状

Government Takes Role In Fukushima Cleanup
政府がフクシマの除染を担う
これまで東京電力に一任されていた福島第一原発の管理に日本政府が介入する。東京電力は最近になって汚染水(Cs・Sr・3H)が太平洋へと流出している事実を認めた。もう1年近くも前にKen Buesselerらは底性生物に見られる異様に高い放射線レベルの原因が汚染水の流出が完全に防がれていない可能性を提示していた。毎日300トンの放射性物質が海へと流出しているが、環境への影響は小さいと考えられている。ただし、Srは骨に蓄積するので、漁業への影響が懸念されるという指摘も。
>関連した記事(Science#6106 "Perspectives")
Fishing for Answers off Fukushima
福島沖の答えのための漁業
Ken O. Buesseler
福島沖の魚の放射性物質のレベルは変動が大きく、また事故後上昇したままである。それは放射の原因となる物質の流入が継続していることを示している。
>関連した記事(BBC NEWS)
Fukushima fish still contaminated from nuclear accident
>関連した記事(Scienctific American)
Radioactive Fish Near Fukushima Suggest Ongoing Contamination
>関連した記事(ウッズホール海洋研究所のプレスリリース)
Fishing for Answers off Fukushima

Neandertals Made Bone Tools, Too
ネアンデルタール人もまた骨の道具をつくっていた
フランス南西部の遺跡で発掘された骨でできた道具はネアンデルタール人が使っていたものであったことが判明した。ホモサピエンスから学んだわけではなく、独立に発明したようである。ネアンデルタール人の能力は過小評価されている可能性が指摘されているが、こうした技術と知能とを簡単に結びつけるべきではないという警告も。
>より詳細な記事(Science NOW)
Neandertals Were No Copycats

News Focus
The Women of the Cosmos Club
天文クラブの女性
Jeffrey Mervis
天文クラブへは1988年まで女性の会員は認められていなかったが、1990年代以降は毎月行われる夕食会に女性も参加できるように。

SOLAR SYSTEM EXPLORATION: Pluto, the Last Planetary First
太陽系の探査:冥王星、最後の惑星を最初に
Richard A. Kerr
NASAの探査機(New Horizons)は冥王星の真の姿を浮き彫りにするだろう。2015年7月に到達する予定。

ASTRONOMY: The Crab That Roared
天文学:うなるカニ
Yudhijit Bhattacharje
かに星雲はおおよそ1,000年前の超新星爆発の残骸であるが、ガンマ線の放射で有名である。初めてそれが観測されたとき、科学者たちは機器類の不具合ではないかと疑った。

Policy Forum
GLOBAL FOOD SUPPLY: Reevaluate Pesticides for Food Security and Safety
世界的な食糧供給:食品の安全と安心のために殺虫剤を見直せ
Philippe J. P. Verger and Alan R. Boobis
発展途上国におけるノーブランドの(ジェネリック)殺虫剤が評価を妨げている。

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Research
Perspectives
Gauging Greenland's Subglacial Water
グリーンランドの氷底水を測る
Martin Lüthi
Meierbachtol et al.の解説記事。
グリーンランド氷床の底を流れる水は内陸と縁辺部ではレジームが異なっている。

Earthquake Risk in Turkey
トルコにおける地震のリスク
Mustafa Erdik
最近の努力が高い地震のリスクがある地域において地震への備えを強化することを助けている。

Reports
Incision into the Eastern Andean Plateau During Pliocene Cooling
鮮新世の寒冷化の際のアンデス高地東部の切り込み
Richard O. Lease and Todd A. Ehlers
渓谷の形成はテクトニクス的な過程だけでなく、気候の変化によっても生じる。アンデス高地の東縁には1250kmにわたる深さ1.5-2.5kmの渓谷がある。(U-Th)/He法を用いた年代決定から、鮮新世における激しい下刻が全球の寒冷化と関連していることを示す。海水温の変化と輸送される水蒸気量が増加したことが下刻をコントロールしていたと思われる。

Basal Drainage System Response to Increasing Surface Melt on the Greenland Ice Sheet
グリーンランド氷床の増え続ける表面融解に対する底部の排水システム
T. Meierbachtol, J. Harper, and N. Humphrey
グリーンランド氷床の表面の融水が底部に達すると氷床底の動きにまで影響する。結果的に氷河の動くスピードは氷(水循環に支配される)と底面の基盤岩の結合度に依存する。氷床の23地点の掘削から、底面を流れる排水システムの姿が浮き彫りに。水を効果的に排出できる配管が内陸まで伸びるには適さない圧力条件であることが示された。近年増加している氷床からの融水の排水を妨げていると思われる。

Earliest Evolution of Multituberculate Mammals Revealed by a New Jurassic Fossil
新たなジュラ紀の化石から明らかになる多丘歯目哺乳類の最初期の進化
Chong-Xi Yuan, Qiang Ji, Qing-Jin Meng, Alan R. Tabrum, and Zhe-Xi Luo
化石記録から、げっ歯類に似ていた多丘歯目の多様な餌取りや歩行運動の適応の起源が明らかに。

Recurrent Insect Outbreaks Caused by Temperature-Driven Changes in System Stability
温度によって駆動される系の安定性の変化によって引き起こされる繰り返す昆虫の大発生
William A. Nelson, Ottar N. Bjørnstad, and Takehiko Yamanaka
温度の季節変化がチャノコカクモンハマキ(tea tortrix moth)の個体数サイクルを不安定化させ、大発生へと繋がることが示された。