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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年8月8日木曜日

新着論文(Nature#7461)

Nature
Volume 500 Number 7461 pp121-248 (8 August 2013)

RESEARCH HIGHLIGHTS
Heavy-metal stars make lead clouds
重金属の星が鉛の雲を作る
Mon. Not. R. Astron. Soc. http://dx.doi.org/10.1093/ mnras/stt1091 (2013)
2つのヘリウムに富んだ準矮星(それぞれ地球から250、300パーセク)が従来考えられていたよりも鉛を多く含んでおり、それが星の進化の中間ステージに相当するものであることが分かった。通常の準矮星よりも100倍ほど多くの鉛を有している。

Travelling zebras forecast the weather
シマウマの移動が天気を予報する
J. Geophys. Res. Biogeo. http://dx.doi. org/10.1002/jgrg.20096 (2013)
ボツワナにおけるシマウマの移動を首輪と人工衛星を用いて追跡した研究から、彼らが食料や水が手に入ると期待できるわずかな証拠を辿って移動の方向を決めていることが分かった。例えば、雨期が遅れると出発を遅らせるなどしていた。こうした能力はシマウマが気候変化に適応することの助けになる可能性がある。
>話題の論文
In search of greener pastures: using satellite images to predict the effects of environmental change on zebra migration
Hattie L.A. Bartlam-Brooks, Pieter S.A. Beck, Gil Bohrer, Stephen Harris

Mammals and monogamy
ほ乳類と一夫一婦制
Proc. Natl Acad. Sci. USA http://dx.doi.org/10.1073/ pnas.1307903110 (2013); Science 341, 526–530 (2013)
Opiea et al.は230種のほ乳類に対するシミュレーションから、一夫一婦制はオスが子孫をライバルに殺されることを防ぐためにメスを守ることに起因することを示した。
一方、Lukas & Clutton-Brockは2,000種にわたる生物に対する似た手法を用いて、一夫一婦制はメスが単独で生きている場合や地理的に広く分布している際に生じることが示された。オスが2匹以上のメスを独占できない地理的な要因が働いていると思われる。
>話題の論文(PNAS)
Male infanticide leads to social monogamy in primates
Christopher Opiea, Quentin D. Atkinson, Robin I. M. Dunbar, and Susanne Shultz

>話題の論文(Science)
The Evolution of Social Monogamy in Mammals
ほ乳類における社会的一夫一婦制の進化
D. Lukas and T. H. Clutton-Brock
ほ乳類における一夫一婦制はオスが複数のメスに遭遇できない場合において進化した。

>関連した記事(Science#6145 "Perspective")
EVOLUTION: Why Male Mammals Are Monogamous
進化:なぜオスのほ乳類は一夫一婦制なのか
Peter M. Kappeler
メスが生態学的な理由で広く分布している際にとられるオスの交尾戦略が、ほ乳類社会において一夫一婦制が進化したことの原因と思われる。

Ships acidify oceans
船が海を酸性化させる
Geophys. Res. Lett. 40, 2731–2736 (2013)
交易船が多く航行する海域はより大きく酸性化し、それが大気中のCO2濃度による海洋酸性化と同程度の大きさである可能性が指摘されている。緯度経度1°ごとにシミュレーションを行ったところ、船からの硫黄・窒素酸化物の排出によって、北半球の一部の海域で毎年夏に0.002という大きさで酸性化が進行していることが示された。"洗浄(scrubbing)"装置がかえって海洋酸性化を助長しているらしい。全球的な海洋酸性化への寄与は小さいものの、漁業的に重要な海域や生物多様性が大きい海域においては対策を講じる必要があるかもしれない。
>話題の論文
Shipping contributes to ocean acidification
Ida-Maja Hassellöv, David R. Turner, Axel Lauer, James J. Corbett
船が通ることによる、SOxやNOxを起源とするローカルな海洋酸性化を評価したところ、航行が激しい海域においては、CO2によって引き起こされるのと同じ規模のものが生じる可能性が示唆される。

SEVEN DAYS
※今回は省略

NEWS IN FOCUS
Spin rate of black holes pinned down
ブラックホールの回転率が突き止められた
Eugenie Samuel Reich
計算によって銀河の進化を証明する手段が与えられる。

FEATURES
Climate science: A line in the sands
気候科学:砂の中の道
Jeff Tollefson
カナダのタール・サンドから引かれる重要なパイプライン(XL pipeline)に関する議論を巡って科学コミュニティーが2分されている。

COMMENT
Energy policy: A low-carbon road map for China
エネルギー政策:中国のための低炭素ロードマップ
「リサイクル・再生可能エネルギー・国内エネルギー市場の再活性化によって、中国は低炭素技術において世界を牽引するだろう」と、Zhu Liuほかは語る。

CORRESPONDENCE
Sustainability: Three reasons for eco-label failure
持続可能性:エコラベルの失敗の3つの理由
Ralf Buckley

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Solar system: Saturn's tides control Enceladus' plume
太陽系:土星の潮汐がエンセラダスのプリュームをコントロールする
John Spencer
Hedman et al.の解説記事。
カッシーニが得たデータから、土星の衛星であるエンセラダスの南極における氷粒子のプリュームが、衛星がもっとも離れたときが、最も近づいた時に比べて4倍も明るく輝いていることが明らかに。
>関連した記事(Natureダイジェスト)
制御されたエンセラダスのプリューム

Evolutionary biology: The handiwork of tinkering
進化生物学:上手な細工
Paul Flicek

Climate science: Solution proposed for ice-age mystery
気候科学:氷河期の謎に対して提案された解決策
Shawn J. Marshall
Abe-Ouchi et al.の解説記事。
1万年前に太陽放射が最大の際に氷床は後退したが、この太陽放射の最大は前の間氷期のものよりは短かった。モデル研究から、なぜ1万年前には氷床が通常と異なり融解に対して脆弱であったのかに対する答えが提示されている。
>関連した記事(Natureダイジェスト)
10万年周期の氷河作用を支える駆動力

Palaeontology: Jurassic fossils and mammalian antiquity
古生物学:ジュラ紀の化石とほ乳類の遺物
Richard L. Cifelli & Brian M. Davis
Zhou et al.とZheng et al.の解説記事。
2つのジュラ紀の化石がほ乳類の進化系統樹に対する相反する復元結果をもたらしている。ほ乳類の進化と初期の多様化に関する異なる示唆に関して。
>関連した記事(Natureダイジェスト)
混迷が深まる初期哺乳類進化の研究

ARTICLES
A Jurassic mammaliaform and the earliest mammalian evolutionary adaptations
ジュラ紀のほ乳形類とほ乳類の最も初期の進化的適応
Chang-Fu Zhou, Shaoyuan Wu, Thomas Martin & Zhe-Xi Luo

LETTERS
An observed correlation between plume activity and tidal stresses on Enceladus
エンセラダスのプリューム活動と潮汐ストレスの間の観測された相関
M. M. Hedman, C. M. Gosmeyer, P. D. Nicholson, C. Sotin, R. H. Brown, R. N. Clark, K. H. Baines, B. J. Buratti & M. R. Showalter
土星の衛星の1つ、エンセラダスは楕円軌道を周回しているが、南極の氷のプリュームが、最も土星に近いときに比べて、最も遠いときに数倍明るく輝いていることが明らかに。より多くの物質がエンセラダスの表面から宇宙空間に散逸している可能性がある。潮汐力がプリューム活動の制御に重要な役割を果たしているというモデルと一致している。

Insolation-driven 100,000-year glacial cycles and hysteresis of ice-sheet volume
日射量に駆動される10万年の氷河周期と氷床体積のヒステレシス
Ayako Abe-Ouchi, Fuyuki Saito, Kenji Kawamura, Maureen E. Raymo, Jun’ichi Okuno, Kunio Takahashi & Heinz Blatter
 過去数百万年間の氷期間氷期サイクルにおける北半球氷床の伸長・後退には10万年の変動周期とノコギリ型の変動が卓越しており、それはミランコビッチ仮説によって説明されている。しかし北半球夏の日射量だけでは10万年周期は説明できず、内部フィードバックが重要であると指摘されている。氷床の蓄積が重要であると思われるが、それを説明する物理メカニズムは不確かなままである。
 気候モデルと氷床モデルを用いて、「日射量」と「気候・氷床・リソスフェア-アセノスフェア間のフィードバック」とで10万年周期が説明できることを示す。氷床の平衡状態の夏の日射量に対する応答はヒステレシスを示し、氷河サイクルにおいてこのヒステレシスが重要な役割を負っていると考えられる。氷床が低緯度方向に拡大するにつれて後退に要する日射量は小さくなり、大規模な氷床が形成されることでターミネーション(数千年スケールの急激な氷床後退)へと繋がると考えられる。アイソスタシーによって土地が沈降しているため、消耗域の高度が低下することも氷床後退に重要であると考えられる。CO2の温室効果も関与しているが、最重要項目ではないと思われる。

Nitrogen losses in anoxic marine sediments driven by Thioploca–anammox bacterial consortia
チオプロカ属アナモックス・バクテリア連合体によって駆動される嫌気的な海洋堆積物中の窒素損失
M. G. Prokopenko, M. B. Hirst, L. De Brabandere, D. J. P. Lawrence, W. M. Berelson, J. Granger, B. X. Chang, S. Dawson, E. J. Crane III, L. Chong, B. Thamdrup, A. Townsend-Small & D. M. Sigman
>関連した記事(科学ニュースの森)
海底の共生関係‐栄養枯渇の原因

A new arboreal haramiyid shows the diversity of crown mammals in the Jurassic period
新たな樹上性ハラミヤ類の化石はジュラ紀のクラウン哺乳類の多様性を示す
Xiaoting Zheng, Shundong Bi, Xiaoli Wang & Jin Meng

A latent capacity for evolutionary innovation through exaptation in metabolic systems
代謝系で外適応によって進化上の新機軸が生じるための潜在能力
Aditya Barve & Andreas Wagner