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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年8月9日金曜日

新着論文(Science#6146)

Science
VOL 341, ISSUE 6146, PAGES 585-688 (9 AUGUST 2013)

EDITORIAL:
Preparing for Disasters
災害に備える
Marcia McNutt and Alan Leshner

News of the Week
Settling Sail for Science
科学のために出航する
Schmidt海洋研究所のFalkorが改修を終了し、サンフランシスコの港に入った。同研究所はGoogleのEric Schmidtとその妻が出資して創設されたもので、Falkorは32年前に建造された83mの全長を持つ船である。試験航海ののち、今年中には研究航海が始まる予定となっており、研究者は無料で使用することができる。
>関連した記事(Nature#7442 "Editorial")
Push the boat out
船を漕ぎ出す
アメリカでは研究機関が船を使って研究をできる期間は非常に限られており、予算削減の関係で縮小しつつある。そうした事情のもと、建造された非営利団体Schmidt Ocean Instituteの研究船Falkorは無料で(!)研究船を研究者に貸し出している(Googleの元社長Eric Schmidtが資金援助している。ただし乗船時や下船後の研究などの補助はなし)。ただしあくまでGoogleの船であるため、研究者の自由にならない部分も多く、研究計画の認可にもバイアスがかかる可能性があるなど、懸念も多い。
また、映画監督のJams Cameronも自ら開発した有人潜水艇DEEPSEA CHALLENGERをウッズホール海洋研究所に寄付することを今週宣言したらしい(!)。

News & Analysis
How to Make a Great Ice Age, Again and Again and Again
どのようにして大きな氷河期を何度も何度も何度も作るのか
Richard A. Kerr
新たなモデル・シミュレーションから、地球の氷床が拡大・縮小を繰り返す氷期-間氷期サイクルにおいて重要なのかが示された。大気海洋研究所・阿部彩子准教授らの研究成果。
>話題の論文
Insolation-driven 100,000-year glacial cycles and hysteresis of ice-sheet volume
日射量に駆動される10万年の氷河周期と氷床体積のヒステレシス
Ayako Abe-Ouchi, Fuyuki Saito, Kenji Kawamura, Maureen E. Raymo, Jun’ichi Okuno, Kunio Takahashi & Heinz Blatter
 過去数百万年間の氷期間氷期サイクルにおける北半球氷床の伸長・後退には10万年の変動周期とノコギリ型の変動が卓越しており、それはミランコビッチ仮説によって説明されている。しかし北半球夏の日射量だけでは10万年周期は説明できず、内部フィードバックが重要であると指摘されている。氷床の蓄積が重要であると思われるが、それを説明する物理メカニズムは不確かなままである。
 気候モデルと氷床モデルを用いて、「日射量」と「気候・氷床・リソスフェア-アセノスフェア間のフィードバック」とで10万年周期が説明できることを示す。氷床の平衡状態の夏の日射量に対する応答はヒステレシスを示し、氷河サイクルにおいてこのヒステレシスが重要な役割を負っていると考えられる。氷床が低緯度方向に拡大するにつれて後退に要する日射量は小さくなり、大規模な氷床が形成されることでターミネーション(数千年スケールの急激な氷床後退)へと繋がると考えられる。アイソスタシーによって土地が沈降しているため、消耗域の高度が低下することも氷床後退に重要であると考えられる。CO2の温室効果も関与しているが、最重要項目ではないと思われる。
>関連した記事(Science#)
Climate science: Solution proposed for ice-age mystery
気候科学:氷河期の謎に対して提案された解決策
Shawn J. Marshall
1万年前に太陽放射が最大の際に氷床は後退したが、この太陽放射の最大は前の間氷期のものよりは短かった。モデル研究から、なぜ1万年前には氷床が通常と異なり融解に対して脆弱であったのかに対する答えが提示されている。
>関連した記事(Natureダイジェスト)
10万年周期の氷河作用を支える駆動力

Lab Burger Adds Sizzle to Bid for Research Funds
実験ハンバーガーが研究資金調達のためにジュージューと鳴る
Kai Kupferschmidt
実験室で作られた牛肉パテが、ロンドンで開かれたメディアのイベントにおいて世界で初めて調理され、試食された。

House Subpoena Revives Battle Over Air Pollution Studies
議会の召喚状が大気汚染研究をめぐる議論を再燃させる
Kelly Servick
議会の科学委員会が環境保全機関(Environmental Protection Agency; EPA)に対して大気汚染研究において重要なデータの開示を求めた。それが秘密性(subject confidentiality)に関する関心を呼んでいる。

News Focus
Computing a Better Fire Forecast
森林火災をよりよく予報するコンピューティング
Eli Kintisch
アメリカ西部がこれまでよりも大きな火災に見舞われていることを受け、科学者と消防士達は森林火災の広がりをよりよく予想するための新たな方法を模索している。

Policy Forum
Who Will Pay for Public Access to Research Data?
いったい誰が研究データへの公のアクセスに対する料金を支払うのか?
Francine Berman and Vint Cerf

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Research
Perspectives
Buildings as Weapons of Mass Destruction
大量破壊兵器としての建物
Roger Bilham and Vinod Gaur
信頼できる建物の建設を強制することで、南中央アジアにおける地震による死者を大幅に減らすことが可能になるだろう。

Reports
Imaging of the CO Snow Line in a Solar Nebula Analog
太陽系の星雲のアナログの中の一酸化炭素の雪線を画像化する
Chunhua Qi, Karin I. Öberg, David J. Wilner, Paola D’Alessio, Edwin Bergin, Sean M. Andrews, Geoffrey A. Blake, Michiel R. Hogerheijde, and Ewine F. van Dishoeck
恒星を形成しつつある若いガス円盤内部のミリ波観測から、一酸化炭素の雪線の場所が明らかに。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
若い恒星の周囲にスノーラインを発見

Active Atmosphere-Ecosystem Exchange of the Vast Majority of Detected Volatile Organic Compounds
検出された揮発性有機物の大部分の大気-生態系間の活発な交換
J.-H. Park, A. H. Goldstein, J. Timkovsky, S. Fares, R. Weber, J. Karlik, and R. Holzinger
植物から放出される多くの揮発性有機物は測定できておらず、対流圏の大気化学や気候変動における役割はほとんど分かっていない。質量分析とabsolute value eddy-covariance法から、186の沈着する有機物と、494の双方向的なフラックスを持った有機物とが特定された。揮発性有機物の大部分が大気-生態系の間で活発に交換していることが分かった。

Technical Comments
Technical Comment on “The Placental Mammal Ancestor and the Post–K-Pg Radiation of Placentals”
Mark S. Springer, Robert W. Meredith, Emma C. Teeling, and William J. Murphy

Response to Comment on “The Placental Mammal Ancestor and the Post–K-Pg Radiation of Placentals”
Maureen A. O'Leary et al.

>話題の論文
The Placental Mammal Ancestor and the Post–K-Pg Radiation of Placentals
胎盤を持つほ乳類の祖先とK/Pg境界後の発散
Maureen A. O'Leary et al.
Science (8 FEBRUARY 2013)
化石とDNAの系統発生学は、胎盤をもつほ乳類は新生代に多様化したことを支持しており、彼らの祖先の姿を復元している。