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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年8月23日金曜日

新着論文(Science#6148)

Science
VOL 341, ISSUE 6148, PAGES 813-928 (23 AUGUST 2013)

Editors' Choice
Megafloods from Tibet
チベットからの大洪水
Geology 41, 1003 (2013).
ヒマラヤ山脈とチベット高原の間にはYarlung-Tsangpo川が流れている。通常、大陸の隆起と河川による浸食によって山脈の高度はコントロールされているが、Tsangpo Gorge峡谷のU-Pb年代測定から、谷が大規模な洪水イベントによってできたものである可能性が示唆されている。そうしたイベントは稀であるものの、土地形成には重要であったらしい(1回の洪水が1,000-4,000年分の浸食に相当)。
>話題の論文
Erosion of the Tsangpo Gorge by megafloods, Eastern Himalaya
Karl A. Lang, Katharine W. Huntington, and David R. Montgomery

News of the Week
Tiger Mosquito Moves North in Europe
ヒトスジシマカがヨーロッパを北上する
オランダにおけるアジアヒトスジシマカデング熱チクングニア熱を運ぶ)の一連の大発生はヨーロッパへの熱帯病の伝播の始まりを告げることになるかもしれない。こうした蚊は中古のタイヤに付着した卵から孵化するケースが多いため、中古タイヤをよく乾燥した場所に保管するなどの措置がとられている。

Drought Forces Cutbacks On the Colorado River
干ばつがコロラド川の縮小を余儀なくさせる
コロラド川のGlen Canyonダムの放水量が来年までに9%カットされる。下流のLake Meadの貯水量にはそれほど影響がないため飲料・工業水にはそれほどの影響はないが、早ければ2015年には水不足に陥る可能性が懸念されている。
>より詳細な記事(Science Insider)
Warning Sign on the Colorado River

Opponents Vow to Block Amazon Drilling
反対者はアマゾンの掘削を食い止めることを誓う
エクアドルの大統領Rafael Correaはアマゾン熱帯雨林における石油掘削に着手することを公表したが、一方で国民投票によってそれを防ごうとする運動も見られる。Correaは2010年には掘削を我慢することを宣言していたものの、財政の不景気から今回の行動に踏み切った。
>より詳細な記事(Science Insider)
Ecuador Says It Will Launch Controversial Drilling in Amazon Park
>関連した記事(Nature#7463 "SEVEN DAYS")
Amazon drilling
アマゾンの掘削

The Science of a Falling Building
崩れる建物の科学
8/17にサンフランシスコの13階建ての建物Warren Hallの取り壊しの際、アメリカ地質調査所は半径2.5kmに600個の地震計を設置し、その地震波を解析して地下を走るHayward断層を調査した。断層の位置や弱い振動に対する応答を調べるのが目的であった。Hayward断層は2032年までに27%の確率で滑ると予測されている。

Out of Oil? Just Add Fungi
オイル切れ?ただ真菌を加えればいい
植物に共生する真菌類(endophytic fungi)はホストの植物が腐食する際に炭化水素を合成することができることが新たな実験から確かめられた。そうした真菌類の働きがシェールガスなどの生成を数千万年早めている可能性があるという。新たなバイオ燃料開発への道も模索されている。

News & Analysis
How NASA Tried to Save Its Prime Planet-Spotter
どのようにしてNASAが最初の惑星特定機を守ろうと苦心したか
Yudhijit Bhattacharjee
NASAのケプラー宇宙望遠鏡ミッションはこれまでに130もの系外惑星の存在を証明した。機械に不具合が生じてからは、天文学者は計画を継続させるためにあらゆる手を尽くした。
>関連した記事(Nature#7463 "SEVEN DAYS")
Kepler kaput
ケプラーのおしまい
NASAは故障したケプラー宇宙望遠鏡の復旧作業を中止することを公表した。方向を安定させるための車輪の故障が原因で、観測ができなくなっていた。本来は2012年までのミッションであったが、2016年まで延期されていた。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
修復不能のケプラー、成果はこれから

Half of All Papers Now Free in Some Form, Study Claims
すべての論文の半分は今や何らかの形で無料になっていると、ある研究は主張する
Jocelyn Kaiser
毎年発行されるすべての研究論文のうちの半分はオープン・アクセスになっていると新たな研究は主張している。出版界にとって大きな転換点となっている。
>関連した記事(Nature#7463 "NEWS IN FOCUS")
Half of 2011 papers now free to read
2011年の論文の半分は今は無料で読めるように
Richard Van Noorden

News Focus
The Save-the-World Foundation
世界を守る基金
Robert Irion
NASAがその職務を放棄したことを受けて、私的な基金が4億5,000万ドルを増額して地球を脅かす可能性のある小天体を探す宇宙ミッションを行おうとしている。

Letters
Archaeobotanical Archiving
考古植物学的な保管
Samad E. J. Golzari

Archaeobotanical Archiving—Response
「考古植物学的な保管」に対する返答
Mohsen Zeidi, Nicholas J. Conard, and Simone Riehl

Alleviating Poverty in India: Biodiversity's Role
インドにおける貧困を軽減する:生物多様性の役割
Robert Murray Lasley Jr., Anuj Jain, and Krushnamegh Kunte

Policy Forum
A Critical Crossroad for BLM's Wild Horse Program
BLMの野生の馬プログラムにとっての重要な分かれ道
Robert A. Garrott and Madan K. Oli
管理の方法が変わらなければ、野生の馬を保護するための費用は2030年には10億ドルになるだろう。

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Research
Perspectives
Megacity Megaquakes—Two Near Misses
巨大都市の巨大地震—2回のニアミス
Ross S. Stein and Shinji Toda
チリと日本で最近起きた巨大地震の後の地震のパターンから、地震災害は震源から遠く離れた地点でも急に起きる可能性があることが示唆される。

An Arsenic Forecast for China
中国に対するヒ素予報
Holly A. Michael
Rodríguez-Lado et al.の解説記事。
中国の水系におけるヒ素汚染マッピングによって、削減努力へと繋がるかもしれない。

Nucleation from Solution
溶液からの核形成
Allan S. Myerson and Bernhardt L. Trout
Wallace et al.の解説記事。
炭酸塩結晶の核形成のシミュレーションから2段階の核形成の証拠が示された。

Reports
Groundwater Arsenic Contamination Throughout China
中国全土にわたる地下水へのヒ素汚染
Luis Rodríguez-Lado, Guifan Sun, Michael Berg, Qiang Zhang, Hanbin Xue, Quanmei Zheng, and C. Annette Johnson
中国の地下水系のヒ素汚染の予測マップは、1億9,600万人の健康が脅かされていることを示している。

Mapping Tectonic Deformation in the Crust and Upper Mantle Beneath Europe and the North Atlantic Ocean
ヨーロッパと北大西洋の下の地殻と上部マントルのテクトニクス的な変形をマッピングする
Hejun Zhu and Jeroen Tromp
ヨーロッパの下の地殻とマントルの異方性は大陸形成の名残である。

Abundant Porewater Mn(III) Is a Major Component of the Sedimentary Redox System
豊富に存在する間隙水の3価マンガンは堆積物中の還元システムの重要な構成要素である
Andrew S. Madison, Bradley M. Tebo, Alfonso Mucci, Bjørn Sundby, and George W. Luther III
3価のマンガンは酸化剤・還元剤として堆積物中の物質循環を支配しているものの、間隙水における役割は見落とされている。カナダのケベック州のLaurentian海溝における半遠洋性の堆積物の表面近くの全マンガン・プールの90%近くは溶存態の3価マンガンが占めていることが明らかに。低酸素の堆積物から拡散する2価のマンガンの還元に由来し、MnO2の生物・非生物的な溶解の寄与は小さいと思われる。

Microscopic Evidence for Liquid-Liquid Separation in Supersaturated CaCO3 Solutions
過飽和のCaCO3溶液における液体-液体分離の非常に小さい証拠
Adam F. Wallace, Lester O. Hedges, Alejandro Fernandez-Martinez, Paolo Raiteri, Julian D. Gale, Glenn A. Waychunas, Stephen Whitelam, Jillian F. Banfield, and James J. De Yoreo
炭酸塩の結晶化の前の並び(preordering)は、液体-液体分離プロセスによるものであるかもしれない。