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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年8月7日水曜日

新着論文(Science#6145特集)

Science
VOL 341, ISSUE 6145, PAGES 425-584 (2 AUGUST 2013)

Special Issue "Natural Systems in Changing Climates"
特集 "変わりつつある気候における自然のシステム"

INTRODUCTION
Once and Future Climate Change
これまでと未来の気候変化
Caroline Ash, Elizabeth Culotta, Julia Fahrenkamp-Uppenbrink, David Malakoff, Jesse Smith, Andrew Sugden, and Sacha Vignieri
将来の気候変化が生態系にもたらす影響の既存の知識と、過去から学べることをレビュー。
[以下は引用文]
Anthropogenic climate change is now a part of our reality.
人為的な気候変化は今や我々の現実の一部だ。

News
HUMAN EVOLUTION: How a Fickle Climate Made Us Human
人類進化:いかにして移り気な気候が我々を人類せしめたのか
Ann Gibbons
研究者はアフリカにおける堆積物コアの採取を通して、いかにアフリカの降水と植生の劇的な変化がホモサピエンスを形作ったのかを知る手がかりを求めている。

Out of the Kenyan Mud, an Ancient Climate Record
ケニアの泥から、古代の気候記録
Elizabeth Pennisi
科学者は、環境変化と人類進化の繋がりの強い証拠を得るために、ケニアの新鮮な堆積物コアを集めている。

WETLANDS: Can Coastal Marshes Rise Above It All?
湿地:沿岸湿地は復活できるのだろうか?
Eli Kintisch
気候変化が海水準を上昇させており、湿地の研究者達はどの塩水沼地が水に沈み、そしてどれが危険を免れるのかを予測しようと努力している。

GEOGRAPHY: Worth a Thousand Words
地理:千の言葉に匹敵する
Elizabeth Pennisi
気候変化の影響を評価するのにモデルと実験では限界がある。現実を確認するために、研究者は歴史的な写真に目を向けている。

Advancing Seasons in China
中国における季節の前倒し
Elizabeth Pennisi

Tundra in Turmoil
混乱しているツンドラ
Elizabeth Pennisi

Tree Line Shifts
樹木限界のシフト
Elizabeth Pennisi

Humans Greening a Landscape
ヒトによる土地景観の緑化
Elizabeth Pennisi

Reviews
Changes in Ecologically Critical Terrestrial Climate Conditions
生態学的に重要な陸上の気候状態の変化
Noah S. Diffenbaugh and Christopher B. Field
陸では海洋に比べて温暖化が2倍速く進行するため、陸上生態系は過去100年間にかなりの温暖化を経験している。CMIPによるモデル結果を用いて、将来の気候変化が陸上生態系に与える影響をレビュー。21世紀に生じる温暖化とその後の慣性による温暖化は過去65Maの間に起きたものと同程度であるが、その速度は何桁も違う。温暖化の速度は大きく、生態系がそれに沿って生息地をシフトさせるには、年間数kmというかなり早い速度を要する。

Marine Ecosystem Responses to Cenozoic Global Change
新生代の全球的な変化に対する海洋生態系の応答
R. D. Norris, S. Kirtland Turner, P. M. Hull, and A. Ridgwell
将来の気候変化に対する海洋生態系への影響を予測することは難しいが、過去の大気中CO2濃度が高かった時代から学べることもある。いずれ新生代初期の温暖な世界に似た状態になると思われるが、過去との違いは高緯度域に氷床があるまま温暖化することにある。温暖化だけでなく、海洋酸性化・海水準上昇・生物生産のシフトなどが同時に生態系に10万年以上にわたって影響すると考えられる。

Climate Change and the Past, Present, and Future of Biotic Interactions
気候変化と過去・現在・未来の生物相互作用
Jessica L. Blois, Phoebe L. Zarnetske, Matthew C. Fitzpatrick, and Seth Finnegan
生物相互作用の方向・頻度・強度は気候変化に影響される。その複雑な応答を理解するためには、最終氷期以降例を見ない速度で進行する温暖化に対して生物がどのように応答するかを理解し、予測することにかかっている。様々な時間スケールにわたって気候変化が生物相互作用に与えた影響をレビュー。全く異なる時間・空間スケールで同様のパターンが見られることから、その下に眠る似たプロセスが寄与している可能性がある。

The Future of Species Under Climate Change: Resilience or Decline?
気候変化における生物種の未来:回復それとも減少?
Craig Moritz and Rosa Agudo
気候変化が生態系をすでに圧迫しており、それがさらに生物種に影響することについて疑いの余地はないが、それがどの程度・どの種に影響するかについては不確かなままである。化石記録はほとんどの種が過去の気候変化を生き抜いたことを示唆しているが、モデルによる将来予測では大規模な縮小や絶滅が予測されている。20世紀にも多くの生物種が生息限界と発現型を変化させてきたが、その応答は様々である。最近気候変化が原因で減退した生物の例を知ることで、よりよい保護管理へと繋がる可能性がある。

Climate Change Impacts on Global Food Security
全球の食料安全に対する気候変化の影響
Tim Wheeler and Joachim von Braun
気候変化は作物生産性に影響し、それはさらに食料の入手可能性にも重大な影響をもたらす。食料供給の短期的な変動によって、食料システム全体の安定性が脅かされている。しかしながら、地域的なスケールでの影響は不確かなままであり、現在飢えや栄養不足に悩む地域はさらに食料の安全が脅かされることになると思われる。適応と排出削減に対する多くの投資が必要とされている。

Climate Change and Infectious Diseases: From Evidence to a Predictive Framework
気候変化と感染病:証拠から予測枠組みまで
Sonia Altizer, Richard S. Ostfeld, Pieter T. J. Johnson, Susan Kutz, and C. Drew Harvell
科学者達は長く気候変化に対する感染症の応答を予測すしてきた。気候変化は既に自然・農業システムにおける感染症の頻度を増加させているが、その結果は気候変化の種別やホスト-病原菌システムの詳細に依存する。これまでの研究成果と感染症を予測するための枠組みをレビュー。

Ecological Consequences of Sea-Ice Decline
海氷後退による生態学的な結果
Eric Post, Uma S. Bhatt, Cecilia M. Bitz, Jedediah F. Brodie, Tara L. Fulton, Mark Hebblewhite, Jeffrey Kerby, Susan J. Kutz, Ian Stirling, and Donald A. Walker
北極海の海氷が2012年に記録的な減少を示したことを受け、海氷後退が生態系に与える影響を評価する最近の研究の発展をレビューした。海氷後退は海洋・陸上生態系の動力学の重要な駆動力となっており、生物生産・生物相互作用・個体密度・遺伝子の流れ・感染症や病気の伝染などに影響している。また海氷後退と同時に増加する人類による沿岸部の開発による影響もまた評価する必要がある。