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2012年9月30日日曜日

新着論文(BG)

Biogeosciences
16 May - 29 June 2012

A synthesis of carbon dioxide emissions from fossil-fuel combustion
R. J. Andres, T. A. Boden, F.-M. Bréon, P. Ciais, S. Davis, D. Erickson, J. S. Gregg, A. Jacobson, G. Marland, J. Miller, T. Oda, J. G. J. Olivier, M. R. Raupach, P. Rayner, and K. Treanton
化石燃料とセメント生産によって放出されるCO2の量について。
(1)何故関心が高まっているのか
(2)どのようにして計算されるのか
(3)どのように目録が作られているのか
(4)異なる空間・時間スケールでの全球的な・地域的な・国ごとの違い
(5)モデルではどのように輸送されるのか
(6)放出の異なる側面に伴う不確実性
などをまとめた。国家の中にはCO2排出削減に取り組むものや他の出来事の結果として排出が削減されてきたものも存在するものの、全球的なCO2排出量は増加し続けている。全球的なCO2排出量の見積もりに対する不確実性は10%以下であるが、個々の国家の不確実性は数%から50%以上に及ぶ。全体的な排出の特徴は分かってきたものの、まだ詳細に分かっていないことが多く残されている
※コメント
非常に興味深い内容だが、27ページとあまりに長いので読む気にならない…www

Marine bivalve shell geochemistry and ultrastructure from modern low pH environments: environmental effect versus experimental bias
S. Hahn, R. Rodolfo-Metalpa, E. Griesshaber, W. W. Schmahl, D. Buhl, J. M. Hall-Spencer, C. Baggini, K. T. Fehr, and A. Immenhauser
酸性化した海水に棲息する複数のイガイ(Mytilus galloprovincialis)の殻の酸素・炭素同位体と他の微量元素を測定し、古環境プロキシ(特に海洋酸性化)としての可能性を評価。さらに微細構造とも対比を行った。イタリアのCO2ベント(火山性のCO2が海底下で吹いているところ。周囲よりpHが低い)を活用してイガイを飼育し、成長後に殻の化学分析及び微細構造の観察を行った。野外での調査のため海水の「pH」だけでなく、「貝の代謝」「塩分」「水温」「食料」「個体密度」など様々な影響が含まれており、解釈が難しい

Does atmospheric CO2 seasonality play an important role in governing the air-sea flux of CO2?
P. R. Halloran
 大気中のCO2濃度の季節変動は主に陸域の生物圏のCO2交換によってもたらされており、海のCO2交換の寄与はわずかである。しかしながら海水のCO2交換は変化し続けている。陸源生物圏によるCO2の変動に影響するのは「人為起源CO2」「土地利用の変化」「地球軌道要素」などが考えられるが、将来のCO2の季節変化がどのように変化するかはこれまで調査されて来なかった。季節変化と炭素フィードバックを理解することは、それを修正する手段を考える上でも重要である。
 炭素循環を組み込んだ海洋循環モデルを用いて、海洋起源のCO2の季節変動を招く要因をオフライン実験を通して切り分けた。特に「海氷の張り出す範囲の季節性」「風速」「海水温」が中・高緯度において重要な因子であることが分かった。その中では生物ポンプとアルカリポンプが相反する方向に効いている。大気CO2に対する海水のCO2交換の寄与率はわずかで、海水の人為起源CO2のシンクとしての役割に与える影響はわずかと考えられる。

A global compilation of dissolved iron measurements: focus on distributions and processes in the Southern Ocean
A. Tagliabue, T. Mtshali, O. Aumont, A. R. Bowie, M. B. Klunder, A. N. Roychoudhury, and S. Swart
多くの海洋において植物プランクトンの成長を規定する微量元素として’鉄’は重要であるため、ここ数十年間の水柱の鉄の測定例は多く存在する。溶存鉄の13,000の測定結果をコンパイルし、特に鉄の炭素循環に与える影響が大きい南大洋に焦点を当てて解釈を行った。特に大西洋海盆と南極周辺で高い溶存鉄濃度が見られた。インド洋と亜南極周辺は表層と違い、深層の溶存鉄が多く、熱水活動の結果と解釈される。測定数が多いような海域でも溶存鉄の季節変動とそれを引き起こすメカニズムについては未だ謎に満ちている。単に生物による除去だけでなく、他のプロセスも関与していることが示唆される(外因性のインプット、物理的な輸送・混合、溶存鉄のリサイクル)。

Calcium carbonate production response to future ocean warming and acidification
A. J. Pinsonneault, H. D. Matthews, E. D. Galbraith, and A. Schmittner
 外洋に棲息する石灰化生物が将来の海洋酸性化にどのように応答するかは種ごとに異なり、予測には不確実性が大きい。同時に起きると考えられる温暖化が成長を促進することも予想されている。結果として、人為的なCO2排出が外洋の石灰化を促進するのか・抑制するのかについてはよく分かっていない。
 炭素循環を組み込んだEMICsを用いて将来の海洋の炭素循環をモデリング。不飽和度がアルカリ度に影響するようなケースでは炭酸塩埋没によって海水のアルカリ度が低下し、より海がCO2を吸収するように働く。結果としてAD3500年の地表面温度を0.4℃下げる効果がある。ただしモデルのバージョンが違うと異なる結果が得られ、不確実性の幅を低減するには石灰化生物の海洋酸性化と地球温暖化に対する応答をよりよく理解する必要がある。

Impact of rapid sea-ice reduction in the Arctic Ocean on the rate of ocean acidification
A. Yamamoto, M. Kawamiya, A. Ishida, Y. Yamanaka, and S. Watanabe
北極海においては海氷量の減少と人為的なCO2排出の両方が寄与して海洋酸性化が促進している。そのため北極海の海洋酸性化は特に海氷の減少速度に依存して将来も変化し続けると考えられる。IPCC AR4でも使用された気候モデルでも現在の北極海の海氷の減少速度は再現できていないが、海氷の減少速度が海洋酸性化に与える影響を評価するために、地球システムモデルの2つのバージョン(新・旧)を用いてモデリングを行った。新しい(古い)モデルは海氷の消失は2040年(2090年)に起きることを予想した。新しい(古い)モデルは大気中のCO2濃度が2046(2056)年に513(606)ppmに達し、北極海の海洋表層水がアラゴナイトに関して不飽和になることを予想した。海氷だけでなく、淡水流入量の増加もCO2吸収を促進する効果がある。また将来の海洋酸性化は海氷の減少速度に大きく依存することが分かった。現在の速さで海氷が消失すれば、海洋酸性化もかなり早く進行するかも?
※コメント
北極海の海氷減少が中緯度の異常気象に影響していることも近年分かってきましたが、温暖化+酸性化した海水が大西洋や太平洋へと移流することで気候・生態系への影響はどうなるでしょうね?北極海のシロクマやグリーンランドのカレイへの影響に限らず、様々な海域でその影響が出てきそうです。地球システムを考える上で高緯度の気候状態は筆舌に尽くし難いほど重要です。