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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
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2012年9月24日月曜日

新着論文(PO)

Paleoceanography
4 - 31 Aug 2012

The role of ocean cooling in setting glacial southern source bottom water salinity
Miller, M. D., J. F. Adkins, D. Menemenlis, and M. P. Schodlok
氷期には北を起源とする底層水と南を起源とする底層水の塩分濃度は現在と比べて逆転していた。さらに、Glacial Southern Source Bottom Water (GSSBW)はAAIWよりも塩分濃度が高かったことが知られている。棚氷の割れ目や海氷を組み込んだモデルから、ウェッデル海における結氷や海氷の融解プロセスを復元し、感度実験を行った。温度低下が塩分の違いの30%程度を説明できるらしい。LGMには沈み込みが起きていた場所が地理的に変化していた可能性がある。

High interglacial diatom paleoproductivity in the westernmost Indo-Pacific Warm Pool during the past 130,000 years
Romero, O. E., M. Mohtadi, P. Helmke, and D. Hebbeln
スマトラ島南部で採取された堆積物コアの珪藻の群集組成から過去130kaの古環境を復元。珪藻による生物生産は間氷期に高く、氷期に低く、海水準変動に伴う砕屑物や栄養塩の流入量の変動が原因として考えられる。MIS5には夏の日射量と湧昇(モンスーン性の風によって駆動される)が同期して変動していた?

On the relationship between Nd isotopic composition and ocean overturning circulation in idealized freshwater discharge events
Rempfer, J., T. F. Stocker, F. Joos, and J.-C. Dutay
気候モデルを用いて深層水循環と海水のεNdの変化を初めて再現。北大西洋よ南大洋に淡水の擾乱を与え、NADWとAAIWをそれぞれ変化させたところ、εNdのエンドメンバーの変動は比較的小さいことが分かった。またそれぞれの実験で太平洋と大西洋の深層水のεNdの変動は全く逆の挙動を示した。また沈降粒子の及ぼす影響も小さかった。εNdはAMOCの変動の復元に使えそう。

Millennial-scale glacial meltwater pulses and their effect on the spatiotemporal benthic δ18O variability
Friedrich, T., and A. Timmermann
AMOCの千年スケールの変動が全球の海水のδ18Oに与える影響がどのように伝播するかを地球システムモデルで調査。AMOCを大きく弱化させた場合、大西洋と太平洋の深層水のδ18Oのラグはそれほど大きく変化しなかった。一方AMOCを完全に止めた場合には特に太平洋の深層でδ18Oの変化の伝播が見られた。従って、全球の海洋循環が変化しているような時期は底性有孔虫のδ18Oの変動曲線は時間軸を与えるレファレンスとしては役に立たないことが分かった。地域的なラグの効果も考えると、底性有孔虫のδ18Oから海水準・温度・水循環の変化を復元する際には大きな不確実性が付随すると考えられる。

High-resolution reconstruction of southwest Atlantic sea-ice and its role in the carbon cycle during marine isotope stages 3 and 2
Collins, L. G., J. Pike, C. S. Allen, and D. A. Hodgson
氷期においては海氷の張り出しが南大洋における二酸化炭素のガス交換を支配していたと考えられている。しかし過去の海氷を復元できる高時間解像度の指標は限られている。大西洋南東部のScotia海から得られた堆積物コア中の珪藻から過去35-15kaの海氷を復元。LGMには現在よりも3º北側に海氷の北限がシフトしていた。また31-23.5kaに季節海氷は現在よりも12ºも北側にシフトしていた可能性がある。南大洋の海氷が特に蓋としての役割を通して海洋の鉛直方向の物理循環を大きく変化させた可能性があるが、アイスコアのCO2記録とはあまり整合的でないため、この海域は炭素循環においてはあまり重要な役割は果たしていなかったかも。

Decadal- to centennial-scale tropical Atlantic climate variability across a Dansgaard-Oeschger cycle
Hertzberg, J. E., D. E. Black, L. C. Peterson, R. C. Thunell, and G. H. Haug
低緯度における高時間解像度の堆積物コアによる古気候記録は限られている。カリアコ海盆の超高時間解像度(2〜3年)の堆積物中の有孔虫の群集組成解析からD/OサイクルのDO12における大西洋低緯度の応答を復元。DO12の後半においてはITCZが南下し、カリアコ海盆における湧昇は強化(一次生産も強化)していたと考えられる。海水準は上限に達し、再び氷期の寒冷な状態に戻る過程で湧昇は弱化していた(一次生産も弱化)。G. bulloides(特に湧昇水に敏感な浮遊性有孔虫)は千年から百年スケールで変動しており、特に温暖なDO12においてしか大西洋の数十年スケールの変動とは対応していないことが分かった。

Changes in the intermediate water mass formation rates in the global ocean for the Last Glacial Maximum, mid-Holocene and pre-industrial climates
Wainer, I., M. Goes, L. N. Murphy, and E. Brady
気候モデルを用いてLGM、完新世中期、産業革命前の古気候を復元。LGMには中層水の形成が強化され、特に太平洋の深層水が非常に淀んでいることが分かった。NADWの形成が弱まったことにより、AAIW、GNAIW、AABWの形成は強化していた。またLGMに南半球の偏西風は強化していた。その結果、風によるエクマン輸送が強化し、AAIWの形成が強化されたと考えられる。

Deglacial variability of Antarctic Intermediate Water penetration into the North Atlantic from authigenic neodymium isotope ratios
Xie, R. C., F. Marcantonio, and M. W. Schmidt
堆積物コアのεNdから過去25kaのAAIWの挙動を大西洋低緯度域において復元。YDとH1にはAAIWは大西洋北部までは到達していなかったと考えられる。これはアイスコアのδ18Oやカリアコ海盆のΔ14C、バミューダ海台のPa/Th、大西洋低緯度域の北部の栄養塩や安定同位体記録とも整合的である。