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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年9月14日金曜日

新着論文(EPSL, GPC, PALAEO3ほか)

EPSL, GPC, PALAEO3, Quaternary International, Journal of Experimental Marine Biology and Ecology
※論文アラートより

Marine and terrestrial environmental changes in NW Europe preceding carbon release at the Paleocene–Eocene transition
Sev Kender, Michael H. Stephenson, James B. Riding, Melanie J. Leng, Robert W.O’B Knox, Victoria L. Peck, Christopher P. Kendrick, Michael A. Ellis, Christopher H. Vane, Rachel Jamieson
Earth and Planetary Science Letters, Volumes 353–354, 1 November 2012, Pages 108-120 
北海周辺のPETMにおける環境変化はよく分かっていない。Kilda海盆はPETMのきっかけとなった炭素放出(海底火山が活発化し、それまで海底化に保存されていたメタンハイドレートを不安定化させ、大気に温室効果ガスをもたらし、δ13Cの負のエクスカージョンを起こしたとする説)が起きた地点の候補の一つであり、この地点の炭素放出を明らかにすることは重要である。PETMに1,000年ほど先立って海洋の塩分成層が強まり、陸源物質の堆積が増加するのは「マグマ貫入によるテクトニクス的な変化」か「陸域の水循環の変化」のどちらかと解釈される。またPETMの始まりには海洋の成層化(低塩分のcystの増加)が強化され、陸源物質も増加するが、海水準の増加と併せて考えると、PETMの温暖化によって北西ヨーロッパの降水量が増加し、河川流入が増加した結果と考えられる。またPETMを境に花粉や胞子の組成が激変しており、植生も大幅に変わったと考えられる。
Kender et al. (2012)を改変。
PETMにおけるd13C、塩分成層の強さ、陸域の浸食速度の変化。

Variation of the winter monsoon in South China Sea over the past 183 years: Evidence from oxygen isotopes in coral 
Shaohua Song, Zicheng Peng, Weijian Zhou, Weiguo Liu, Yi Liu, Tegu Chen
Global and Planetary Change, Available online 11 September 2012, Pages (Accepted Manuscript)
南シナ海のXisha島で得られたハマサンゴ(P. lutea)のδ18Oを用いて過去183年間の冬モンスーンの風速を経験的に復元。1961年から2000年までの40年間の風速データとサンゴδ18Oを用いて経験的な線形の関係式を作成している。風速は3つの段階に分けられるという。風速の低下はEl Ninoとの対応が良いという。
Song et al. (2012)を改変。ハマサンゴから復元された南シナ海の風速の変動。

Ocean acidification and warming decrease calcification in the crustose coralline alga Hydrolithon onkodes and increase susceptibility to grazing
Maggie D. Johnson, Robert C. Carpenter
Journal of Experimental Marine Biology and Ecology, Volumes 434–435, 1 December 2012, Pages 94-101 (Accepted Manuscript)
温暖化と海洋酸性化がサンゴ礁生態系に負の影響を与えることが予測されているが、カサブタ状の石灰藻(crustose coralline algae; CCA)に与える影響はよく分かっていない。CCAは海洋酸性化に対して脆弱な種の一つである。21日間にわたる酸性化実験で、石灰藻の重要種の一つHydrolithon onkodesが酸性化された海水下でどういった影響が出るのかや(重量変化など)、ウニ(Echinothrix diadema)の補食のされやすさがどう変化するかを調査。常温・低pCO2(高pH)に比べて、高温・高pCO2(低pH)の海水における実験の方がウニの補食が増加した。こうした海洋酸性化に対する生態的なカスケード構造の影響が評価されたのは初めてであるという。

Improving coral-base paleoclimate reconstructions by replicating 350 years of coral Sr/Ca variations 
Kristine DeLong, Terrence M. Quinn, Frederick W. Taylor, Chuan-Chou Shen, Ke Lin
Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, Available online 10 September 2012, Pages (Accepted Manuscript)
ニューカレドニアのAmédée島で得られた2本のハマサンゴ(P. lutea)のSr/Caを測定し、過去250年間の古水温を復元。年代は高精度の230Th測定も用いて更正している。最大成長軸方向に沿った2本の平行したサンプリングの再現性は非常に良く、Sr/Caで0.021mmol/molで、これは温度にして0.39℃相当である。間違ったサンプリングパスの採用は温度にして-2.45℃〜+2.30℃のバイアスを生む可能性がある。ハマサンゴ個体の縦と横のコアでは有意な差は見られなかった。

Resolving Varve and Radiocarbon Chronology Differences during the last 2,000 years in the Santa Barbara Basin Sedimentary Record, California
Ingrid L. Hendy, L. Dunn, A. Schimmelmann, D.K. Pak
Quaternary International, Available online 7 September 2012, Pages (Accepted Manuscript)
カリフォルニア・サンタバーバラ海盆(Santa Barbara Basin; SBB)から得られた年縞堆積物は古気候において重要な記録であるが、年縞のカウントと放射性炭素年代によって独立した年代モデルが作成されている。しかしながら、これらは過去2,000年間において年代モデルが食い違っている。「海洋リザーバー年代:641±119年が現在も昔も成り立つのか」、「年縞数えは正しい精度でなされているのか」に着目し、検証を行った。ローカルリザーバー(ΔR)は80-350年の間で変動しており、一定でないことを示唆している。また数え落としもAD150-AD1700にあることが分かり、いくつかの縞は必ずしも1年刻みでないことを物語っている。こうした状況は河川流入量の低下・冬期の嵐の頻度が低下したことで、シリカ鉱物に富んだ岩屑の供給量が低下したことで生じたと考えられる。
Hnedy et al. (2012)を改変。
サンタバーバラ海盆から得られた堆積物中の陸源炭素試料と浮遊性有孔虫のミックスの14C年代と、INTCAL, MARINE09曲線との対比。