GRL
Microbial control of diatom bloom dynamics in the open ocean
Philip W. Boyd, Robert Strzepek, Steve Chiswell, Hoe Chang, Jennifer M. DeBruyn, Michael Ellwood, Sean Keenan, Andrew L. King, Elisabeth W. Maas, Scott Nodder, Sylvia G. Sander, Philip Sutton, Benjamin S. Twining, Steven W. Wilhelm and David A. Hutchins
珪藻のブルーミングの始まりは海洋の状態によって決まっているが、その規模や持続期間については環境と生態的な要素が決めている。ニュージーランド沖の調査から鉄がブルーミングの制限要因になっていること、溶存鉄を他の生物(微生物や他の小さな植物プランクトン)と競合していることが分かった。珪藻のブルーミングは大量の炭素を深海に輸送するため、生物地球化学的な炭素循環の点でも非常に重要。
Linking the 8.2 ka event and its freshwater forcing in the Labrador Sea
Jeremy S. Hoffman, Anders E. Carlson, Kelsey Winsor, Gary P. Klinkhammer, Allegra N. LeGrande, John T. Andrews and Jeffrey C. Strasser
8.2kaイベントのきっかけとなった、アガシ湖の決壊由来の淡水の北大西洋への流入はラブラドル海においてはδ18Oの変化として確認されていなかった。Mg/Caから水温を復元したところ、3℃の温度低下が見られ、およそ1‰δ18Oを変化させていたことがシグナルを見えにくくさせていた原因と考えられる。
Sensitivity of the ocean's deep overturning circulation to easterly Antarctic winds
Andrew L. Stewart and Andrew F. Thompson
南極の大陸棚において吹く偏東風が子午面循環に与える影響を評価。特にAABWの形成(炭素や酸素を深層に運搬する)に重要。渦を解像できるモデルを用いて南大洋における子午面循環と中緯度の偏西風との関係を見てみたところ、局周辺の偏東風には敏感に応答するものの、中緯度の偏西風にはあまり敏感には反応しないことが分かった。過去と未来を復元・予想するには現在の知見を深めることが重要だと考えられる。
Evolution of the global wind wave climate in CMIP5 experiments
M. Dobrynin, J. Murawsky and S. Yang
風波は風によって駆動される波であり、気候変動によっても自然変動によっても変動している。地球システムモデルを用いて過去250年間の風速と波の高さの変動を復元。将来南大洋と北極海の波は高くなるが、一方で太平洋の波は低くなると考えられる。現在波の高さは全球的に自然変動の範疇にあるが、北極海と南大洋に関しては有為に自然の変動からは外れている。極端な風と波が南半球、インド洋、北極海でより支配的になると考えられる。また弱い・中程度の風が北大西洋。大西洋赤道域・太平洋において卓越すると考えられる。
Changes in orographic precipitation patterns caused by a shift from snow to rain
Tamlin M. Pavelsky, Stefan Sobolowski, Sarah B. Kapnick and Jason B. Barnes
温暖化によって山岳地帯の降雪は降雨へと徐々に変化すると考えられるが、雨は雪よりも重いため、早く地面に達し、また移流によって運ばれにくい。そのため気候変動によって降雨の分布も変化すると考えられる。カリフォルニアを対象にしたモデルシミュレーションで(1)雨と雪のフルスピードを同じにした実験と(2)すべての降雨現象は液体で起きるようにした実験によって将来の気候変動の与えうる影響を評価。どちらの実験でも雨の影がおよそ30-60%深くなり(降雨の増加と同義?)、特にSierra Nevadaの山脈の西で降水が強化されたという。
G3
An experimental evaluation of the use of C3 δ13C plant tissue as a proxy for the paleoatmospheric δ13CO2 signature of air
B. H. Lomax, C. A. Knight and J. A. Lake
大気中の二酸化炭素中の炭素同位体(δ13C)が植物の葉の細胞のδ13Cに保存されている可能性について。水をコントロールして異なるCO2濃度下でモデル植物を飼育。有為な関係は見られたが、計算によって予測した値とは大きな食い違いが見られた。代謝プロセス(特に気孔の開閉)がシグナルを大きく歪めていると考えられる。
Paleoceanography
Pleistocene equatorial Pacific dynamics inferred from the zonal asymmetry in sedimentary nitrogen isotopes
Patrick A. Rafter and Christopher D. Charles
赤道太平洋の東と西で得られた2本の堆積物コアのバルク堆積物δ15Nを用いて過去1.2Maの海洋表層の生物活動及び物理循環を復元。東赤道太平洋の栄養塩の湧昇(窒素利用効率)は地域的な季節日射量の変動に強く支配されていることが分かった。また10万年周期は顕著には見られない。将来の熱帯太平洋の生物活動は割と予想できるかも?