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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年4月1日日曜日

新着論文(Ngeo#April 2012)

Nature Geoscience
April 2012, Volume 5 No 4 pp229-300

Research Highlights
Dust and Rain
J. Clim. http://doi.org/hrb (2012)
60年間の気象観測データからAtlantic Multidecadal Oscillationの正のフェーズとサヘルの降水(ダストの減少)との間に相関が見られた。ダストの減少は大西洋をさらに暖めるという正のフィードバック効果がある。

Cretaceous circulation
Paleoceanography http://doi.org/hrc (2012)
白亜紀の魚の歯のεNdから白亜紀の北大西洋における深層水の形成を復元したところ、より北極側で8,000万年前から起こっていたことが分かった。

Emissions blend
Biogeosciences 9, 689–702 (2012)
フィンランドの松の放出する揮発性の有機物(エアロゾルの一種)を詳しく調べたところ、木ごとに異なる化学物質を放出していることが分かった。

News & Views
Climate science: Constraints on the high end
Isaac Held
深刻な温暖化の可能性を我々は真摯に受け止める必要がある。

Fossils from above
Alicia Newton
’暗い太陽のパラドクス’に関して。日射量が低かったにも拘らず温暖な気候を維持するには、温室効果ガスの濃度が高かっただけでなく窒素濃度が2倍ほど高いことが必要だったという’窒素仮説’がある。それを示すためには始生代の大気圧を求める必要がある。火山灰に刻まれた過去の雨の化石が過去の大気圧を探る手だてになるかもしれない。特に地面に達する際の水滴の終末速度は大気の密度(つまり大気圧)に関係するからである。

Letters
Broad range of 2050 warming from an observationally constrained large climate model ensemble
Daniel J. Rowlands, David J. Frame, Duncan Ackerley, Tolu Aina, Ben B. B. Booth, Carl Christensen, Matthew Collins, Nicholas Faull, Chris E. Forest, Benjamin S. Grandey, Edward Gryspeerdt, Eleanor J. Highwood, William J. Ingram, Sylvia Knight, Ana Lopez, Neil Massey, Frances McNamara, Nicolai Meinshausen, Claudio Piani, Suzanne M. Rosier, Benjamin M. Sanderson, Leonard A. Smith, Dáithí A. Stone, Milo Thurston, Kuniko Yamazaki, Y. Hiro Yamazaki & Myles R. Allen
数千もの気候モデルを用いて将来のアンサンブル予測をしたところ、温室効果ガス削減なしの中程度の排出シナリオの場合には2050年には1961-1990年比で1.4-3.0度平均気温が上昇することが分かった。

Trends and seasonal cycles in the isotopic composition of nitrous oxide since 1940
S. Park, P. Croteau, K. A. Boering, D. M. Etheridge, D. Ferretti, P. J. Fraser, K-R. Kim, P. B. Krummel, R. L. Langenfelds, T. D. van Ommen, L. P. Steele & C. M. Trudinger
二酸化窒素は長寿命の温室効果ガスであるだけでなく、オゾンを破壊する物質として注目されている。南極とタスマニアの万年雪(フィルン)から1940年以降の二酸化窒素の濃度とδ18O、δ15Nを測定したところ、明瞭な季節変動が見られ、成層圏からもたらされる二酸化窒素と海洋からもたらされる二酸化窒素を区別するのに有用である可能性が示された。長期の傾向は人類による窒素肥料の使用が原因と考えられる。
Park et al. (2012) Fig.1を改変。
二酸化窒素濃度(a)の増加傾向と二酸化窒素中の窒素同位体(δ15N)の減少傾向が明瞭に見られる。

Influence of the tropics and southern westerlies on glacial inter hemispheric asymmetry
Patrick De Deckker, Matthias Moros, Kerstin Perner & Eystein Jansen
氷期において千年スケールの気候変動が両極シーソーの形で現れていたが、南半球では特に偏西風帯の位置が緯度方向に変化したと考えられている。オーストラリア南部で得られた堆積物コアから33,000年前から10,000前までの水温を含む様々な環境指標を復元したところ、ハインリッヒイベント(北半球の寒冷化)に対応する温暖化のシグナルが捉えられた。偏西風帯が南下したことで暖流が熱帯の熱を極側に運んだ証拠と考えられる。
De Dekker et al. (2012) Fig. 1を改変。
偏西風帯と亜熱帯前線(STF)の位置が対応しており、極向きの熱輸送に重要。


Links between iron input and opal deposition in the Pleistocene equatorial Pacific Ocean
Richard W. Murray, Margaret Leinen & Christopher W. Knowlton
赤道太平洋の生物生産は鉄などの微量元素によって制限されており、栄養塩が多いにも関わらず生物生産が低い海域(HNLC)となっている。氷期においては塵(鉄を含む)の供給が増えたことで生物生産は強化したと考えられる。堆積物コアから過去100万年間の鉄の供給量と生物源オパール量、有機物輸送量を復元したところ、氷期-間氷期サイクルに対応して連動していることが分かった(特に鉄とオパール、つまり珪藻の生物生産)。’鉄仮説’を強く支持する結果に。
Murray et al. (2012) Fig. 3を改変。
氷期に鉄の供給量が増えるとオパールの生産が増え、間氷期に鉄の供給量が減るとオパールの生産が落ち込む。