今年はこれまでで一番、日本にいる時間が短かった年。
国内でも出張に明け暮れ(野外調査、実験、学会)、正味で研究室にいたのは半分くらいだろうか。。
実験内容も地学試料(貝殻・堆積物)〜水産試料(ヒラメ・貝・マグロ)と多岐にわたり、学生時代とまったく違うことをした一年間だった。
◎1月
IODP乗船前に実験ラッシュ。やっていたのはヒラメの筋肉試料の微量元素の分析。毎日ヒラメを乾燥させては酸に溶かす実験に明け暮れる。試薬を添加するたびに逐次質量の変化を記録する必要があったので、秤量が一番時間を取られた作業だったかな。
◎2月〜3月
IODP第361次航海に乗船。いろんな意味で人生観・研究者観に影響を受けた今年最大の出来事。あまりに多くのことが起こりすぎてここには書ききれない。
モーリシャスの街の汚れっぷりに衝撃を受け、IODPの研究航海のシステムの良い面/悪い面を垣間見、そして様々な国の素晴らしい友人ができ、自分の英会話能力の拙さに情けなくなり(何度か友人に当たってしまったことも)、今後数年間の研究計画の半分くらいが白紙になって打ちひしがれ、2ヶ月間の禁酒生活後(公式には)南アフリカのビールの安さに衝撃を受けて飲みすぎた。
◎4月
IODP航海中に出した名古屋大学・宇宙地球環境研究所の公募に通り、引っ越し。
帰国が4/2なのに、4/4には学会発表(Isoecol)、名古屋大の赴任日が4/18という何とも言えない感じ。下船したケープタウンで休暇、帰国後休暇を取ると言っていた海外の友人からは「日本人はクレイジーだ」と言われカルチャーショックを受ける。
とりあえず先に名古屋入りして大学の宿泊施設に寝泊まりしながら新たな環境に体を慣らす。
後半には早速東北の野外調査に参加。
◎5月
柏から名古屋に引っ越し。新居は生活のしやすい川名駅周辺。今思うととても良い選択だったと思う。教えてくれた名古屋大学出身の友人に感謝。
IODPの憂さを晴らすため、イタリア旅行(ミラノ〜ヴェネチア)。
学振PDの書類作成に研究助成(のちに受かるクリタ水・環境科学財団)の書類作成。
後半はさっそく古巣の柏に出張。地球惑星科学連合大会開催中の研究機関フットサル対抗戦にも古巣チームで参戦。
◎6月
またもや東北の調査に参加し(念願の二枚貝試料が得られた!)、高知コアセンターに出張。そこで得たKR05-15堆積物コアを今年いっぱい処理することに。
東北の調査で得た二枚貝の殻の放射性炭素年代測定の実験に名古屋大で取り組むも、加速器は止まったまま。。
後半は国際学会Goldschmidtのため横浜へ。
◎7月
ひたすら放射性炭素年代測定の実験。途中柏に出張し、6月に採れた二枚貝の削り。
暑い名古屋の夏は実験室内で回避。
伊勢志摩で初の日帰りスキューバ・ダイビング(ボート2本)。
名古屋在住の小〜中学校時代の同級生とプチ登山〜下呂温泉日帰り旅行。
◎8月
前半に宇宙地球環境研究所・年代測定研究部の地域貢献事業で水月湖へ。下見もし、水月湖の年縞堆積物について色々と詳しくなった。
残りはひたすら放射性炭素年代測定の実験と浮遊性有孔虫の拾い出し。
プライベートではお盆に三河湾の佐久島へ。アートの町を推す観光地であり、サービスの悪さ、人の多さ、暑さに辟易。
またまた柏に出張。クリタの助成金謹呈式に参加(周りがスーツの中、ポロシャツで浮く)。
宇宙地球環境研究所で一部の研究者・学生がやっているフットサルにも参加。
◎9月
放射性炭素年代測定の実験と浮遊性有孔虫の拾い出し。
日本海洋学会@鹿児島大学〜日本地球化学会年会@大阪市立大学にハシゴ。はじめて基調講演の機会をいただいた。
海洋学会ではフットサル交流会に参加。
後半はまた東北の野外調査(水温がもっとも高くなる重要な時期)。
◎10月
放射性炭素年代測定の実験と浮遊性有孔虫の拾い出し。
途中10日間、IODP第361次航海のサンプリング・パーティーのためテキサスA&M大学へ。
◎11月
柏に出張し、クロマグロを捌く。
2週間名古屋で過ごし、また東北の野外調査に参加。名古屋にいる間はひたすら浮遊性有孔虫の拾い出し。
ニューイヤースクール(地球科学若手の会)と地球環境史学会に参加。
◎12月
11月の野外調査の直後、学振PDの面接のため四ツ谷の本部ビルへ乗り込む。
その次の週は柏に出張し、クロマグロを捌く。
浮遊性有孔虫の拾い出し(KR05-15コア)はひと段落したけど、まもなくIODPの堆積物コアが到着するので、今年度の残りはひたすらこちらを捌く。
金沢大学に出張し(初の金沢!)、有孔虫の殻の洗浄法について、教えていただいた(来年度、いよいよ浮遊性有孔虫のホウ素同位体分析をスタート!)。
名古屋大学の加速器も動き始めたので、東北の二枚貝殻と海水の放射性炭素年代測定も少しずつ、データが出ることを期待(卒論・修論の時期が過ぎたら、かな?)。
出張中に学振PDの面接の結果が開示され、無事合格(三度目の正直!)
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これまでいた柏の大気海洋研究所は、学生・ポスドクも多く、昼にはフットサル・サッカーで教職員・学生くんずほぐれつ交流し、月に一回は必ず飲み会(研究所主催のふらっとアワー、私主催の七輪の会など)をしていた。
一方、今いる宇宙地球環境研究所では同じ部署の人ともあまり顔を合わせることがなく、交流会みたいなものも特にない(同世代のポスドクがいない)。
ギャップの大きさに寂しさを覚える日々を過ごしていたけど、新たな環境で学ぶことはとても多かった。今後の研究者人生を考える上で、重要な一年間を過ごすことができたと思う。
来年こそは論文用のデータをたくさん取る、飛躍の年にしたい。