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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年11月1日金曜日

新着論文(Science#6158)

Science
VOL 342, ISSUE 6158, PAGES 521-660 (1 NOVEMBER 2013)
Editors' Choice
Caribbean Coral
カリブ海のサンゴ
PLOS ONE 8, e75432 (2013).
サンゴ礁は面積は小さいものの、海洋生物の25%を養っているともいわれるほど多様な生態系を築いており、人間活動にとっても重要である。カリブ海のケイマン島における調査から、1999年から2004年にかけて熱ストレスによるサンゴの白化と病気とが原因でサンゴ被覆が40%低下したものの、その後7年間かけてサンゴ被覆・サンゴ幼生コロニー密度・礁構造のサイズなどが1999年以前の状態に回復したことが分かった。原因としては海洋保護区に指定されたために漁業が禁止されたこと、遠隔地であること、サンゴに敵対する海草類を食べる魚が増えたことが考えられている。

From Drowning to Dried Up
氾濫から干上がりへ
Environ. Microbiol. 10.1111/ 1462-2920.12267 (2013).
 メタンは重要な温室効果ガスであるが、人為起源の排出だけでなく、自然からも土壌や堆積物中で起きている。通常、湖などの堆積物中では酸素が少ない深度において嫌気的微生物によって生成されている。
 酸素が嫌気的メタン生成に与える影響を評価するために、アマゾン熱帯雨林において季節的に氾濫したり乾燥したりする三日月湖(oxbow lake)において調査が行われた。水が澄んでいる時にはバクテリアやアーキアの多様性は減少していたものの、メタンの発生量は増加していた。気候変化によって水循環が変化した場合、こうしたメタンの生成・消費バランスもまた擾乱を受けると考えられる。

News of the Week
Most Earth-Like Exoplanet Yet
これまででもっとも地球に似た系外惑星
これまでにケプラー宇宙望遠鏡が発見してきた系外惑星は、地球とはほど遠い巨大ガス惑星などがほとんどであったが、最近発見されたKepler-78bはこれまでで最もサイズと組成が地球に類似している。地上望遠鏡からさらにKepler-78bについて観測を行ったところ、惑星の質量は80%、半径は20%地球よりも大きいことが示された。密度は地球とほぼ同じであり、岩石と鉄から成っていると想像される。ただし、軌道があまりに恒星に近いため、地球の’双子’というよりは、熱い’いとこ’といったところかもしれない。
>関連した記事(Nature Advanced Online Pulication "NEWS & VIEWS")
Extrasolar planets: An infernal Earth
系外惑星:地獄の地球
Drake Deming
太陽に似た星の半径のわずか2倍のところを周回する地球と同程度のサイズの系外惑星Kepler-78bは地獄の環境である。しかし、その存在が観測されたことは、生命存在可能な惑星の発見と特定への前触れとなるかもしれない。
>話題の論文(Nature Advanced Online Pulication)
A rocky composition for an Earth-sized exoplanet
地球サイズの系外惑星の岩石的な組成
Andrew W. Howard et al.
>話題の論文(Nature Advanced Online Pulication)
An Earth-sized planet with an Earth-like density
地球様の密度を持った地球サイズの惑星
Francesco Pepe et al.

News & Analysis
RNA Helps Resurrect Ancient DNA
RNAが古代のDNAを復活させるのを手伝う
Jocelyn Kaiser
比較的安価な方法で、汚染されたDNA試料から遺伝情報を読み取る技術が開発され、古代の人類や動物の遺伝学研究において研究者の助けとなっている。

Industry Lobbying Derails Trawling Ban in Europe
産業ロビー活動がヨーロッパにおけるトローリングの禁止の詳細を明かす
Tania Rabesandratana
「深海漁法の2つの方法は生態系にかなりのダメージを与えている」と多くの科学者は言う。

News Focus
Dark Matter's Dark Horse
ダークマターのダークホース
Adrian Cho

Letters
Emerging Arsenic Threat in Canada
カナダにおいて現れつつあるヒ素の脅威
Victor D. Martinez, Emily A. Vucic, Stephen Lam, and Wan L. Lam

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Research
Perspectives
Dust Unto Dust
なんじはちりなればちりに帰るべきなり
Mary C. Scholes and Robert J. Scholes
Fierer et al.の解説記事。
現代の農業は土壌生物の多様性を減少させている。従って、長期的には土壌の豊かさを減少させていることになる。

Reports
Evolution of the Magnetic Field Structure of the Crab Pulsar
かにパルサーの磁場構造の進化
Andrew Lyne, Francis Graham-Smith, Patrick Weltevrede, Christine Jordan, Ben Stappers, Cees Bassa, and Michael Kramer
長期観測から、若い中性子星の放射パターンの系統的進化が明らかに。

Pacific Ocean Heat Content During the Past 10,000 Years
過去1万年間の太平洋の熱容量
Yair Rosenthal, Braddock K. Linsley, and Delia W. Oppo
過去数十年間に海洋の熱容量が増加しているという観測事実は温暖化の重要な指標となっている。赤道西太平洋から得られた堆積物コア中の底性有孔虫Mg/Ca温度計を用いて温度・塩分復元を行ったところ、太平洋における過去1万年間(完新世)における北太平洋と南極の中層水(それぞれNPIWとAAIW)の温度は、完新世の再温暖期においては過去数100年間よりもそれぞれ2.1 ± 0.4 ℃、1.5 ± 0.4 ℃高かったことが示された。近年の中層水の温暖化は表層水のそれと比較するとそれほど大きくないが、熱容量には小さくない変化が生じつつある。

Reconstructing the Microbial Diversity and Function of Pre-Agricultural Tallgrass Prairie Soils in the United States
アメリカの農業前のTallgrassプレーリーの土壌の微生物多様性と機能を復元する
Noah Fierer, Joshua Ladau, Jose C. Clemente, Jonathan W. Leff, Sarah M. Owens, Katherine S. Pollard, Rob Knight, Jack A. Gilbert, and Rebecca L. McCulley
プレーリー平原の土壌の微生物種の分析から、ほぼ絶滅しつつある生物の生態系機能に関する知見が得られた。