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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年11月15日金曜日

新着論文(Science#6160)

Science
VOL 342, ISSUE 6160, PAGES 765-900 (15 NOVEMBER 2013)
Editors' Choice
Jet Transport
ジェット輸送
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 110, 10.1073/pnas.1222239110 (2013).
フロリダに位置するエヴァグレーズ湿地帯の維持にサハラ砂漠からもたらされるダストが大きな役割を持っていた可能性が、湿地の堆積物コアから明らかに。4.6kaの古環境復元によると、熱帯低気圧の頻度とも関連して、ダストの供給量が過去に大きく変動し、湿地帯の植生、水位、栄養塩供給量などに影響していたらしい。
>話題の論文
Holocene dynamics of the Florida Everglades with respect to climate, dustfall, and tropical storms
Paul H. Glaser, Barbara C. S. Hansen, Joe J. Donovan, Thomas J. Givnish, Craig A. Stricker, and John C. Volin

Mercury Biomagnification
水銀の生物増幅
Environ. Sci. Technol. 10.1021/es403103t (2013).
 水生態系では水銀はメチル水銀へと形を変え、上位捕食者の身体に水中の濃度の100万倍という規模で濃集することが知られている。この生物による増幅効果によって魚や魚を食べる捕食者の毒性が強まることとなる。しかしながら、増幅効果は生態系ごとに様々で何がそれをコントロールしているかはよく分かっていない。
 これまでに世界の69地点の海と淡水の生態系で行われた研究をまとめたところ、増幅効果と緯度との間に正の相関が見られ、冷たく、生物生産性が低いところほど大きいことが分かった。詳しいメカニズムは依然として不明だが、「温度」がかなり影響していると思われる。

Our Rain
私たちの雨
Geophys. Res. Lett. 40, 5252 (2013).
気候の温暖化とともに強い雨も増加することが予想されている。大気中の水蒸気量は温度が高いほど多くなるためである。CMIP5の気候予測シミュレーションの結果から、1951年から2005年にかけて、北半球の陸において1日、5日間の降水量の平均がそれぞれ5.2%、5.9%増加したことが示された。20年に一度の大雨が15年に一度の大雨へと変化しているらしい。さらにこうした変化は自然変動では説明できず、人為起源の影響であることも示された。
>話題の論文
Attributing intensification of precipitation extremes to human influence
Xuebin Zhang, Hui Wan, Francis W. Zwiers, Gabriele C. Hegerl, Seung-Ki Min

News of the Week
※今回は省略

News & Analysis
Old Dogs Teach a New Lesson About Canine Origins
古い犬がイヌ科の起源に関する新たな教訓を教えてくれる
Elizabeth Pennisi
18種の古代のイヌのミトコンドリアDNAの解読結果を現存する犬・オオカミ・コヨーテと比較したところ、ヨーロッパで初めて、今はいないグレーウルフ(gray wolf)から飼われ始めたことが示された。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
イヌ家畜化の起源はヨーロッパか

News Focus
The Man Who Bottled Evolution
進化を瓶につめる男
Elizabeth Pennisi
Richard Lenskiによるバクテリアの進化の25年間にわたる研究によって、「どのようにして変異と選別とが生物を形作るか」に関する興味は尽きることがないことが示されている。

Turning Up the Light
光をつける
Robert F. Service
ペロブスカイトを利用した太陽電池は従来型のシリコンを用いたものを追い越す勢いで発展してきている。しかし、実験室内では上手くいっているが、果たして商用になるだろうか?

Policy Forum
Protected Areas and Effective Biodiversity Conservation
保護区と効果的な生物多様性の保護
Soizic Le Saout, Michael Hoffmann, Yichuan Shi, Adrian Hughes, Cyril Bernard, Thomas M. Brooks, Bastian Bertzky, Stuart H. M. Butchart, Simon N. Stuart, Tim Badman, and Ana S. L. Rodrigues
生物種を絶滅から防ぐための保護区を増やすことは、それを管理する戦略を必要としている。

What Does Zero Deforestation Mean?
森林破壊ゼロは何を意味する?
Sandra Brown and Daniel Zarin
曖昧な定義は森林保全と説明責任に対してリスクを与える。

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Research
Perspectives
Out of the African Humid Period
アフリカの湿潤期から抜けて
Edouard Bard
Tierney & deMenocalの解説記事。
東アフリカで採取された海洋堆積物コアのデータは、いかにしてアフリカが完新世初期の湿潤な気候から現在のような乾燥した気候へと変遷したかを物語っている。

Understanding Lakes Near and Far
近くと遠くの湖を理解する
Stephanie E. Hampton
人工衛星による観測とセンサーを用いた現地調査とが、気候変化と汚染が個々の湖に長期的に与える影響の評価を相互補完する。

Review
The Consequence of Tree Pests and Diseases for Ecosystem Services
木の疫病と病気が生態系サービスに与える影響
I. L. Boyd, P. H. Freer-Smith, C. A. Gilligan, and H. C. J. Godfray

Reports
Abrupt Shifts in Horn of Africa Hydroclimate Since the Last Glacial Maximum
最終氷期以降のアフリカの角の水気候の急激なシフト
Jessica E. Tierney and Peter B. deMenocal
 アフリカにおける完新世初期の湿潤期の急激な登場と衰退は古気候、人類史の上でも興味深い対象であり、さらに将来の急激な気候変化に対する知見を与えてくれる。
 アデン湾から採取された堆積物コアの植物の葉の脂肪酸の水素同位体(δDwax)を用いて、過去20kaのアフリカ北東部の水気候を復元。周辺地域とほぼ同時期に(数百年以内に)、アフリカの湿潤期(11 - 5ka)が急激に始まり、そして衰退したと考えられる。

High-Resolution Global Maps of 21st-Century Forest Cover Change
21世紀の森林被覆の変化の高解像度の全球マップ
M. C. Hansen, P. V. Potapov, R. Moore, M. Hancher, S. A. Turubanova, A. Tyukavina, D. Thau, S. V. Stehman, S. J. Goetz, T. R. Loveland, A. Kommareddy, A. Egorov, L. Chini, C. O. Justice, and J. R. G. Townshend
ランドサット地球観測衛星の記録から、2000年から2012年にかけての30m間隔という非常に高解像度の森林被覆の変化を見積もった。熱帯域のみ、年間2101km2という割合で減少傾向にあることが示された。ブラジルの熱帯雨林の消失はマレーシア・パラグアイ・ボリビア・ザンビア・アンゴラなどの地域の増加によって補われていた。亜熱帯域の森林は人間による林業の結果、大きく変動していた。高緯度域の森林の消失は森林火災と林業によるものと思われ、熱帯域についで早く消失している。

Complete Mitochondrial Genomes of Ancient Canids Suggest a European Origin of Domestic Dogs
古代のイヌ科の完全なミトコンドリア・ゲノムが家犬のヨーロッパ起源を示唆
O. Thalmann et al.
ミトコンドリアDNAの分析から、犬の飼育の歴史は複雑であり、おそらくヨーロッパ起源である可能性が示唆された。