Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年11月24日日曜日

新着論文(Nature#7476)

Nature
Volume 503 Number 7476 pp311-432 (21 November 2013)

EDITORIALS
Climate negotiations soldier on

気候交渉が困難に持ちこたえる
ワルシャワにおいて行われている国連の気候変化に関する会議の中で、各国は排出削減に対して様々な態度を示している。日本は削減の約束を取り下げ、オーストラリアは自国の炭素税を無効にしようとしている。
[以下は抜粋]
Japan’s announcement was not entirely surprising, given the shutdown of its nuclear industry following the 2011 tsunami and the resulting nuclear disaster at Fukushima. At times it has been a struggle to keep the lights on. Regardless of the course that Japan ultimately takes with regard to nuclear power, however, the country cannot simply abdicate from its climate responsibilities. Whereas Japan had previously committed to reduce emissions to 25% below 1990 levels by 2020, its new commitment would allow emissions to rise by 3.1%. An analysis by an international team of scientists that produces the Climate Action Tracker suggests that Japan could still reduce emissions by at least 17% below 1990 levels if it simply replaced all the missing nuclear power with its current blend of fossil fuels. By this measure, Fukushima is more an excuse than a justification.

Collective action is needed, both to reduce global emissions and to reassure individual countries that their pain will not be in vain.

It should go without saying that an expansion of coal-fired power, regardless of efficiency, will not protect the climate unless coupled with —currently unavailable — technologies that enable carbon to be economically captured and buried.

Each of these cases reflects the serious challenges ahead, but there is also reason for hope. Carbon emissions fell in the United States and Europe again last year, and the rate of growth in China dropped sharply as well. Globally, carbon emissions increased by just 1.1% in 2012 compared with an average annual growth of nearly 3% over the past decade.

The temptation to abandon the effort and drift back into business-as-usual will always be there.

>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
石炭依存と環境保護に揺れるポーランド

The new zoo
新たな動物園
異議は続いているものの、新たな生物名の国際的な表記法が歓迎されようとしている。

Space spectacular
宇宙の壮大さ
Nature誌はめったに映画のレビューをしないが、それにしてもGravity(ゼロ・グラビティー)は本当に素晴らしい。

WORLD VIEW
Thrill of space exploration is a universal constant
宇宙探査のスリルはユニバーサルな定数だ
映画Gravity(ゼロ・グラビティー)の中でSandra Bullockは普通の女性を演じているが、Colin Macilwainに「いかに科学と発見が依然として知的好奇心に満ちたものであるか」を思い出させる。
※Colin Macilwainは国際科学政策に関するコラムをNature誌に定期的に掲載している。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Nutrient threat of seafood farms
魚介類牧場の栄養塩の脅威
Environ. Res. Lett. 8, 044026 (2013)
国連の世界の栽培漁業に関するデータの解析から、窒素やリンといった栄養塩類が沿岸部の栽培漁業から流出する量が見積もられた。ほとんどの栄養塩類は河川から流入しているが、近年栽培漁業からの栄養塩流出が増えているという。

Teeth nibble away at invasion theory
歯が侵入理論を少しずつ齧る
J. Arch. Sci. http://doi.org/p4j (2013)
5世紀のヨーロッパにおいてはアングロサクソン族が土着の人々を排したと考えられてきたが、古代人の歯の同位体分析によって彼らが何を食べていたかを明らかにした研究が、その侵入理論を脅かしている。その研究によれば、アングロサクソン族は次第に土地に馴染んでいったことが示唆される。

Fish babies bigger in toxic waters
魚の子供は毒された水の中では大きくなる
Ecol. Lett. http://doi.org/p5h (2013)
グッピーなどを含む9種の魚を対象にした実験から、硫黄の湧き水が魚の受精率には直接的には影響していないが、その代わりにより大きく、より少ない子孫を生むことに繋がっていることが示された。身体が大きいほど毒を体外に排出しやすいことが原因と考えられる。

SEVEN DAYS
Fukushima fuel
フクシマの燃料
東京電力は福島第一原発の燃料棒の取り出しを開始した。施設は地震では直接的にはダメージを受けなかったものの、落下物によって燃料棒を施設内に恒久的に保管することが不可能になったためである。

MAVEN launch
MAVENの打ち上げ
NASAの火星軌道周回衛星MAVENが11/18にケープ・カナベルから打ち上げられた。
>関連した記事(Nature#7475 “NEWS IN FOCUS”)
Mars mission set for launch
火星のミッションが打ち上げ準備に
Alexandra Witze
NASAのMAVEN探査機は火星にはもうほとんどない大気の謎を解き明かすことを目的としている。
>関連した記事(Science#6159 "News & Analysis")
Orbiting MAVEN Mission Set to Trace a Planet's History in Thin Martian Air
薄い火星の大気で惑星の過去を辿るためのMAVEN軌道ミッションが始まる
Yudhijit Bhattacharjee
今月末、NASAが火星に送ろうとしている探査機(MAVEN)は火星の大気を観測することにより、注意深く火星の数十億年間の歴史を紐解くことを目標としている。

Japan emissions
日本の排出
日本は温室効果ガスの排出に関する約束事を引き下げることを11/15に公表した。2020年までに1990年比で25%の削減を目標としていたが、新たな約束では2005年比で3.8%減としており、1990年の排出量よりも3.1%高い値となっている。
>関連した記事(Nature#7475 “Nature NEWS”)
Warsaw talks to thrash out UN climate roadmap
ワルシャワでの会合は国連の気候ロードマップを徹底的に議論する
Jeff Tollefson
排出削減のコストが2015年のパリ条約への道の引火点となるだろう。

Biofuel rules
バイオ燃料のルール
アメリカ合衆国環境保護庁は、現在の基準を満たすには技術的困難があるとして、バイオ燃料の使用に対する需要を減らすことを提案した。アメリカの公共輸送に占めるバイオ燃料の比率を2014年に9.2%にするという目標となった(2013年に9.74%と見込んでいた)。

Acidic waters
酸性的な水
’the Ocean in a High-CO2 World’によるシンポジウムの報告書によると、海洋は前例のない速度で酸性化しており、それは人間にも悲惨な結果を与えると考えられている。将来多くの生物種が海に棲みにくくなると警告している。さらに海洋はCO2吸収能を次第に失い、気候変化を緩和する能力を失っていく。さらに、沿岸部の貝類の収穫量は減少し、サンゴ礁は失われるだろうと付け加えている。
>より詳細な記事(Nature News Blog)
Ocean acidification could trigger economic devastation
海洋酸性化が経済破綻の引き金となるかもしれない
Daniel Cressey

Heat tracking
熱の追跡
世界気象機関が11/13に公表した報告書によると、1850年以来行われている全球の気候記録の中で、今年は7番目に暖かかった年になる道筋を辿っているらしい。
>より詳細な記事(Nature News Blog)
WMO: 2013 among the ten warmest years on record
Quirin Schiermeier
世界気象機関の報告書によると、今年の1〜9月の平均地表気温は、1961-1990年のそれよりも0.48℃高かった。このまま変な気温とならなければ、2013年の年平均地表気温は2001-2010年平均と同程度になる見込みであり、観測史上最も暑い10年間となる。またCO2換算した温室効果ガスの量、海水準上昇速度はともに観測史上もっとも高い値となっている。
[以下は抜粋]
Despite the slow-down in the rise of the average global temperature in recent years, nothing suggests that global warming might not continue, the WMO warns. The atmospheric concentration of heat-trapping greenhouse gases, which in 2012 reached a record high carbon dioxide equivalent of 476 parts per million, is expected to reach a new record high in 2013 and will likely climb further in the forthcoming years, says the report.

The global sea level, which currently rises by around 3 millimetres per year, has also reached a new record high.

>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
温室効果ガス、2012年は過去最高値

NEWS IN FOCUS
Budget crunch hits Keeling’s curves
予算の危機がキーリング曲線にぶち当たる
Jeff Tollefson
研究者らは、予算削減の状況下で、これまでで最も長い大気中の二酸化炭素濃度の観測と比較的最近始まった酸素濃度の観測を継続しようと苦心している。
[以下は抜粋]
The complement to the Keeling curve is Ralph Keeling’s atmospheric-oxygen record, which NOAA does not replicate. Keeling has documented a decrease in oxygen levels that is due to fossil-fuel combustion, which uses up oxygen and releases CO2. By accounting for both CO2 and oxygen levels in the atmosphere, scientists have calculated that oceans and plants each absorb roughly one-quarter of humanity’s CO2 emissions, leaving half to build up in the atmosphere.

Fences divide lion conservationists
フェンスがライオンの保全者を二分する
Traci Watson
囲い込みは保護になるという人もいれば、脅威になると主張する人もいる。

Haiyan prompts risk research
ハイエンがリスク研究を誘発する
Sarah Zhang
ハイエン(Hyan; 台風30号)による甚大な被害に対して、地質学者・技術者・社会学者は町の再建が始まる前に、現地入りする準備ができている。

Astronomers call for X-ray polarimeter
天文学者はX線旋光計を必要としている
Eugenie Samuel Reich
パルサーやブラックホールから放出される光の方向を観測するためのNASAの観測計画が始まる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
RESEARCH
NEWS & VIEWS
Extrasolar planets: An infernal Earth
太陽系外惑星:地獄の地球
Drake Deming
Pepe et al.とHoward et al.の解説記事。
太陽に似た星の半径のわずか2倍のところを周回する地球と同程度のサイズの系外惑星Kepler-78bは地獄の環境である。しかし、その存在が観測されたことは、生命存在可能な惑星の発見と特定への前触れとなるかもしれない。
>関連した記事(Science# “News of the Week”)
Most Earth-Like Exoplanet Yet
これまででもっとも地球に似た系外惑星
これまでにケプラー宇宙望遠鏡が発見してきた系外惑星は、地球とはほど遠い巨大ガス惑星などがほとんどであったが、最近発見されたKepler-78bはこれまでで最もサイズと組成が地球に類似している。地上望遠鏡からさらにKepler-78bについて観測を行ったところ、惑星の質量は80%、半径は20%地球よりも大きいことが示された。密度は地球とほぼ同じであり、岩石と鉄から成っていると想像される。ただし、軌道があまりに恒星に近いため、地球の’双子’というよりは、熱い’いとこ’といったところかもしれない。
>Natureハイライト
地球に似ているが、暑過ぎる

Biogeochemistry: Conduits of the carbon cycle
生物地球化学:炭素循環の導線
Bernhard Wehrli
Raymond et al.の解説記事。
全球の河川のCO2排出に関する統括的な解析から、排出量が従来考えられていたよりもかなり大きいことが明らかに。

Climate science: The challenge of hot drought
気候科学:暑い干ばつの課題
Jonathan T. Overpeck
過去1,000年間の北米大陸における干ばつの変動は、広い範囲の干ばつが数年間継続することは稀であることを示している。そうした気候状態に対処する能力について考える必要性に迫られている。
>話題の論文
Pan-continental droughts in North America over the last millennium
Benjamin I. Cook, Jason E. Smerdon, Richard Seager, Edward R. Cook

ARTICLES
Global carbon dioxide emissions from inland waters
陸水からの全球の二酸化炭素排出
Peter A. Raymond, Jens Hartmann, Ronny Lauerwald, Sebastian Sobek, Cory McDonald, Mark Hoover, David Butman, Robert Striegl, Emilio Mayorga, Christoph Humborg, Pirkko Kortelainen, Hans Dürr, Michel Meybeck, Philippe Ciais & Peter Guth
 全球の炭素循環のうち、地表水から大気へのCO2の輸送は重要な役割を担っている。しかし、水の表面積とガス輸送速度の見積もりの推定に枠組みが存在しないこと、データベースの不足などが原因で、推定はこれまで難しかった。
 小川や河川からのCO2の排出量が年間1.8PgC、湖などの滞留している水からの排出量が年間0.32PgCと推定される。合計年間2.1PgCという数値はこれまでの推定値よりもはるかに高い。排出にはホットスポットが存在し、地表面積のわずか20%で70%の排出が生じている。地域ごとの排出のメカニズムについては分からないことが依然多く、今後の研究が待たれる。
>Natureハイライト
陸水からの二酸化炭素輸送

LETTERS
An Earth-sized planet with an Earth-like density
地球様の密度を持った地球サイズの惑星
Francesco Pepe et al.

A rocky composition for an Earth-sized exoplanet
地球サイズの系外惑星の岩石的な組成
Andrew W. Howard et al.