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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年11月15日木曜日

新着論文(Nature#7424)

Nature
Volume 491 Number 7424 pp301-488 (15 November 2012)

EDITORIALS
America’s carbon compromise
アメリカの炭素の妥協
税金が上がり予算が削減されることでアメリカ経済は不景気に突入する恐れがあるため、議会は解決策の一つとして炭素税の導入を真剣に考えるべきだ。

A shaky restart
震える再出発
日本は一般市民に原子力エネルギーの安全性を納得させるつもりなら、未だにフクシマから学ぶべきことが多くある。新たに発足された原子力保安委員会のメンバーに産業界と密接に繋がった人物がいること、大飯原発の地下を走る断層の問題などが今なお議論を呼んでおり、再出発に向けていいスタートを切ったとはいえない状況にある。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Thinning ice more fragile and mobile
氷が薄くなることでより壊れやすく、動きやすくなる
Geophys. Res. Lett. http://dx.doi.org/10.1029/2012GL053545 (2012)
北極海の氷は1979-2006年に比べて2007-2011年には3分の1の大きさに縮小したが、それには氷の厚さが大きく寄与しているらしい。モデルシミュレーションから、海氷が薄くなることでより壊れやすくなり、風による応力で流出速度が増している可能性が示された。氷が薄くなり、海氷が脆くなるほど海氷の縁辺部の予測をすることが難しくなるという。

Thick-skinned but sensitive
厚い皮だが、敏感
J. Exp. Biol. 215, 4217–4230 (2012)
クロコダイルやアリゲーターは口の周囲に点在する小さな感覚器官で敏感に衝撃を感じ取っているらしい。電気や塩分にはあまり反応しないが、圧力に対しては霊長類の指先の感覚器官よりも敏感に反応する。口の周りの獲物などを感知するために主に機能しているらしい。

Wrens learn as embryos in the egg
ミソサザイは卵の中の胎児の時に学習する
Curr. Biol. http://dx.doi. org/10.1016/j.cub.2012.09.025 (2012)
ミソサザイのヒナは巣ごとに異なる鳴き声を発することで母親から餌をもらう。その鳴き声は卵が孵る前に母親が発する音によって記憶されたもので、カッコウのヒナなどに間違って餌を与えることを防いでいるらしい。異なる巣の卵を入れ替えると、卵の中のヒナは育ての親の鳴き声を記憶して孵化し、生みの親ではなく育ての親の鳴き声を発することが分かった。

More co-orbiters for Neptune
海王星とともに周回する天体
Astron. Astrophys. 547, L2 (2012)
天文学者は海王星と類似した軌道を周回する小天体はないと考えていたが、50,000年前という比較的最近に海王星と似た周回軌道に取り込まれた小天体が4つ存在することが明らかになった。そのうちの一つはおそらく2,000年後には離れていってしまうと考えられる。

SEVEN DAYS
Stem-cell faker
幹細胞の嘘つき

Snow survey starts
雪の調査が始まる
Solid Precipitation Intercomparison Experiment計画が今週スタートし、世界の15カ所で雪の厚さや降雪量を2年間にわたって高精度に観測する。

Fukushima clean-up
フクシマの除染
東京電力がフクシマ周辺を除染するのにかかる費用は10兆円ほどであるという試算が出た。

Fat tax abandoned
脂肪税が棄却
デンマーク政府は国民を健康にするために高脂肪の食品や糖分の多い食品に税金をかけることを計画していたが、棄却された。カリフォルニア大のRobert Lustigによれば高脂肪食品の摂取は肥満やその他の病気のほんの一要因に過ぎないという。政府は国民を健康にするための他の手段を模索している。
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Palaeontologist dies
古生物学者が逝去
ハーバード大のカリスマ古生物学者Farish Jenkinsが72歳でがんで亡くなった。彼は初めて魚が陸上に進出した証拠と考えられる、「4つ足の魚に似た生物(Tiktaalik roseae)」をカナダの地層から発見したことで2006年4月6日に発行されたNatureの表紙を飾った(その時の掲載記事)。
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FOSSIL-FUEL SUBSIDIES DWARF RENEWABLES AID
化石燃料の補助金が再生可能エネルギーへの補助金を小さく見せる
再生可能エネルギー(太陽光・風力など)の価格を低くするための補助金は2011年には前年に比べて24%引き上げられたが、それでも化石燃料(石油・石炭・天然ガス)に対する補助金の6分の1でしかない。補助金の価格は原油価格の高騰に伴い上昇しつつあるという。
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NEWS IN FOCUS
Snow survey hopes for avalanche of data
データの雪崩を期待した雪の調査
Jane Qiu
WMOが中心となってSolid Precipitation Intercomparison Experiment (SPICE)と呼ばれる2年間の計画がスタートし、世界中の様々な高山地域(15地域)で雪の深さや降雪量などが詳細に測定される。降雪をより精度よく測定することで気候モデル、永久凍土の安定性の予測、生態系の変化、水資源量推定などの精度が改善されることが期待される。単位面積の筒に入った雪で降雪を見積もるよな従来型の自動観測機器は取り込み口に付着した雪によって、実際の雪の量を低く見積もる問題がある。また温暖化した世界では降雪量も増加することが予想され、降雪量は氷河の流出速度にも影響するため、氷河融解の問題にも関係が深い。SPICEによって得られた高精度のデータは衛星観測との擦り合わせに利用される予定だという。

COMMENT
Bring more rigour to GM research
遺伝子組み換え研究により厳密さを
「最近の遺伝子組み換え食品に対する大騒動は非常にセンシティブな研究に対して高品質の研究を行うことの必要性を浮き彫りにした」とFrançois Houllierは言う。

CORRESPONDENCE
Clean stoves already in use in rural India
インドの地方では既にクリーンなストーブが使われている
Sudhir Kumar
インドの地方では調理などに木材を燃料とするストーブが用いられているが、’chulha’と呼ばれる持ち運び可能な鉄製のストーブはエネルギー効率も良く、煙も出ない。価格は28-56ドルほどで、熱効率が良く、年間300kgもの木材を節約することができる。ヒマラヤ東部のArunachal Pradeshではこうしたストーブが既に使用されている。

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Birds of a feather
羽の生えた鳥
Robert E. Ricklefs & Mark Pagel
Natureの日本語訳

Historical drought trends revisited
歴史的な干ばつの傾向が見直された
Sonia I. Seneviratne
ここ60年の干ばつの発生頻度を見直したところ、干ばつによって影響を受けている地域が拡大しているという証拠はほとんどなく、従来の推定と食い違う結果が得られた。

Personality in the wild
野生の中の個性
Alison M. Bell
Natureの日本語訳

ARTICLES
特になし

LETTERS
A primordial origin for misalignments between stellar spin axes and planetary orbits
星の自転軸と惑星軌道のずれに対する始原的な原因
Konstantin Batygin
Natureの日本語訳

Little change in global drought over the past 60 years
過去60年間の全球的な干ばつの小さな変化
Justin Sheffield, Eric F. Wood & Michael L. Roderick
 気候変動の結果として世界的に干ばつの頻度が上昇すると予測されている。中でもPalmer Drought Severity Index (PDSI)と呼ばれる指数によると1970年代以降の湿度の減少が報告されているが、この指数は簡単で扱いやすい反面、バイアスがかかっているとも考えられる。
 より現実的な計算から、PDSIに基づいた干ばつの発生頻度の推定は過大評価されている可能性を示す。それによると、過去60年間ではほとんど頻度は変化していないことが分かった。

Slowdown of the Walker circulation driven by tropical Indo-Pacific warming
赤道インド洋-太平洋の温暖化によって駆動されるウォーカー循環の減速
Hiroki Tokinaga, Shang-Ping Xie, Clara Deser, Yu Kosaka & Yuko M. Okumura
世界的に海洋表層水温は上昇しつつあるが、温度上昇には地域的な多様性もあり、それが地域的な降水パターンに影響を与えると考えられる。観測によると21世紀を通してウォーカー循環は減速することが予測されている。大気循環モデルを用いた解析から、1950-2009年にかけてのウォーカー循環の弱化が主に海水温の上昇によって引き起こされていることが分かった。この弱化の原因が人為起源か自然起源かは分からないが、少なくとも大気よりはむしろ海水温の変動によって駆動されている。

The global diversity of birds in space and time
鳥類の全球レベルでの空間的および時間的な多様性
W. Jetz, G. H. Thomas, J. B. Joy, K. Hartmann & A. O. Mooers
Natureの日本語訳

A bimodular mechanism of calcium control in eukaryotes
真核生物のカルシウム制御のバイモジュラー機構
Henning Tidow, Lisbeth R. Poulsen, Antonina Andreeva, Michael Knudsen, Kim L. Hein, Carsten Wiuf, Michael G. Palmgren & Poul Nissen
Natureの日本語訳