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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年11月21日水曜日

新着論文(GRL, JGR)

JGR-Oceans
Changing controls on oceanic radiocarbon: New insights on shallow-to-deep ocean exchange and anthropogenic CO2 uptake
H. D. Graven, N. Gruber, R. Key, S. Khatiwala and X. Giraud
doi:10.1029/2012JC008074
大気核実験由来の放射性炭素は海洋の重要なトレーサーの一つである。海水中の14Cの分布は浅い海から深海への炭素の輸送によって支配されている。さらに近年は14Cに欠乏した化石燃料燃焼由来のCO2による希釈効果もある。これまでの観測記録(WOCE、CLIVAR)から、1990-2007年の間に海洋によって吸収されたCO2の量を2つのモデル(ECCO、CCSM)を用いて計算したところ、モデルによる差が大きく、それぞれ2.3PgC、1.7PgCとなった。

On the formation, ventilation, and erosion of mode waters in the North Atlantic and Southern Oceans
D. S. Trossman, L. Thompson, S. Mecking and M. J. Warner
doi:10.1029/2012JC008090
CFC-11の観測記録をもとに、モデルを用いて北大西洋の中層水と南大洋の中層水(SAMW)の形成プロセスを定量化。SAMWの浸食(erosion)は乱流混合が支配的らしい。

Small change, big difference: Sea surface temperature distributions for tropical coral reef ecosystems, 1950–2011
J. M. Lough
doi:10.1029/2012JC008199
1950-2011年にかけての熱帯域のSSTの上昇は0.4℃であり、特に1950-1980年と1981-2011年に起きている。サンゴ礁の生態系は年平均SSTが他と比べて高く、変動も小さいような海域において成り立っている。SSTのわずかな変動がサンゴ礁に生息する生物に対して重大な影響を与える可能性が指摘されている。他にも人為的な影響や海洋酸性化がサンゴ礁に影響するということで関心を集めている。

A global analysis of ENSO synchrony: The oceans' biological response to physical forcing
Monique Messié and Francisco P. Chavez
doi:10.1029/2012JC007938
1993-2010年にかけての全球的な海洋の観測記録(水温、海面高度、クロロフィル量など)をEOFで解析すると、第1モードとしてENSOが現れる。1997/98年の強いエルニーニョの時には栄養塩躍層と湧昇の変化から、全海洋の一次生産量がおよそ0.6-0.9PgC低下したと推定される。また赤道太平洋中央部におけるENSOの際の海流に関しては、水平輸送がクロロフィル量を支配していることも分かった。

Interocean exchanges and the spreading of Antarctic Intermediate Water south of Africa
Emanuela Rusciano, Sabrina Speich and Michel Ollitrault
doi:10.1029/2012JC008266
南大洋の南東大西洋セクターにおけるアルゴの観測データをもとにAAIWの特性を調査。他の海域のAAIWとも比較。


GRL
Global CO2 storage potential of self-sealing marine sedimentary strata
Jordan K. Eccles and Lincoln Pratson
doi:10.1029/2012GL053758
大気中の二酸化炭素濃度を減らす地球工学の一つに’海底にCO2を注入し、圧力とハイドレート形成によってCO2を安定に固定する’技術がある。そうした候補になり得る海底の地層をマッピング。透過性の大きい砂の層が適しているという。1,260-28,500GtCを40-1,000年間保存するのに十分な量があるという。しかし候補地は排出国の経済水域の中でも不均質に分布している。特にアメリカとインドは経済水域から500km以内での排出はそれぞれ16%, 62%でしかなく、また中国とEUはそれぞれ6%しかない(国土のほとんどが内陸のため)。

Recent large increases in freshwater fluxes from Greenland into the North Atlantic
Jonathan Bamber, Michiel van den Broeke, Janneke Ettema, Jan Lenaerts and Eric Rignot
doi:10.1029/2012GL052552
グリーンランド氷床から放出される淡水のフラックスの推定はあまりよくなされていない。1958-2010年における淡水フラックスはある程度増加している。一方、Irminger海盆に対するフラックスはここ20年間で50%も増加していることが分かった。

How warming and steric sea level rise relate to cumulative carbon emissions
Richard G. Williams, Philip Goodwin, Andy Ridgwell and Philip L. Woodworth
doi:10.1029/2012GL052771
温暖化とそれに伴う熱膨張によって海水準が上昇すると考えられている。またそれは温室効果ガス排出による気候感度(何度温度が上昇するか)に強く依存し、また排出が抑えられてもその後数世紀にわたって影響を及ぼし続けると考えられる。地球システムモデルを用いた解析によると、熱膨張に伴う海水準上昇は5,000PgCの累積CO2排出によって、0.7-5.0mと試算される。