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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年11月4日日曜日

新着論文(Science#6107)

Science
VOL 338, ISSUE 6107, PAGES 569-712 (2 NOVEMBER 2012)

Editors' Choice
特になし

News of the Week
Sand Grains Make Dunes Sing
砂粒が砂丘を歌わせる
砂漠に風が吹くと風が砂に当たって音を出すが、あるものは一つの音を奏で、あるものは支離滅裂な音楽を奏でることが知られている。しかしそれがなぜ違う音階になるかはこれまで分かっていなかった。モロッコで採取された砂(105Hz)とオマーンで採取された砂(90-105Hz)を用いて音を再現したところ、傾斜を砂が滑り落ちる際に音が出ることが分かり、オマーンの砂粒のサイズを揃えると一つの音になることが分かった。

Cool as a Ball of Dung
糞のボールのおかげで涼しい
アフリカのサバンナの日中の地表の温度は60℃を超すが、フンコロガシは糞の上に一次的に留まることで身体を冷やしているらしい。蒸発熱によって、地表から数センチ離れるだけで30℃も気温は下がるという。地表温度が高いほどフンコロガシは糞の上で休む傾向があり、前足をシリコンの靴で覆うと彼らは熱に耐えて休みにくくなるという結果が得られた。

News & Analysis
Convictions Leave Italy's Civil Protection in Chaos
有罪判決がイタリアの市民保護を混沌とさせる
Edwin Cartlidge
2009年のラクイアの大地震に先立って6人の科学者が安全宣言を出したことで罪に問われている問題で、イタリアの政府には自然災害に関するアドバイスを行う専門家がいないという問題が。

Flying Dinos and Baby Birds Offer New Clues About How Avians Took Wing
空を飛ぶ恐竜と鳥の子供がいかにして飛行生物が翼を得たのかに関する新しいヒントを与える
Michael Balter
先週の古脊椎動物学会にて、研究者は羽の生えた恐竜と鳥の子供の研究から飛行の起源について考えを巡らせた。

News Focus
Putting Rockfish Back Where They Belong
根魚を元いた所に戻す
Ingfei Chen
深場に住む魚を釣り上げると浮き袋などが膨張して目玉が飛び出たり、口から浮き袋が飛び出ることがある。そうした魚を再度海に返すことのできる装置が開発され、過度な漁獲の緩和やレクレーションとしての釣りの規制緩和へとつながる可能性がある。

Letters
Antarctic Treaty System Ready for a Challenge
南極条約システムの挑戦
Marcus Haward, Julia Jabour, and A. J. Press

China's Wastewater Treatment Goals
中国の汚水浄化の目標
Zhiwei Wang

Denuclearization's Indirect Consequences
脱原発の間接的な結果
Shun Deng Fam, Ding Li Yong, Daniel Ng, and Gordon Xiong
 福島第一原発の事故を受けて世界各国で脱原発の動きが見られる。例えばドイツは2022年までに現存する17機の原発から撤退することを宣言している。スイス政府は2034年までにすべての原発を廃止にすることを採決した。またフランス政府は原子力発電の全体に占める割合を下げることを明言した。
 より綺麗で原子力のない社会の魅力はあるが、一方で急に原発から撤退することはより多くの化石燃料を燃焼させることを意味し、温室効果ガス排出の増加と、気候変動問題をより悪化させる可能性があることについて警告する。原子力の抱える問題は新たな技術によって解決するだろうが、短期・中期的に原子力が気候変動緩和に対して負っている役割の重要性を考えると、あまりに早く原発から撤退するのは止めた方が賢明である。

Perspectives
How Cichlids Diversify
どのようにしてシクリッド科は多様化したのか
M. Emília Santos and Walter Salzburger
東アフリカでシクリッド科(カワスズメ科)が極端に多様化していることは、どのように多様化したのか・何故多様なのかを解明する助けとなる。

Getting Moore from Solar Cells
David J. Norris and Eray S. Aydil
太陽光発電の性能を向上するにはそれに代わる「装置のデザイン」や「構成する素材」の開発が必要になるだろう。

Review
Marine Microbes See a Sea of Gradients
海の微生物は差異のある海を見る
Roman Stocker
海の中にはありとあらゆる微生物が棲息し、それらが相互作用して成り立っている。まさに海洋学のフロンティアともいうべき分野であるが、微生物の振る舞いの理解には新たな枠組みが必要である。

Reports
The Absolute Chronology and Thermal Processing of Solids in the Solar Protoplanetary Disk
原始太陽系円盤の固体における絶対年代と熱的なプロセス
James N. Connelly, Martin Bizzarro, Alexander N. Krot, Åke Nordlund, Daniel Wielandt, and Marina A. Ivanova
CAIsとコンドリュールを形成した加熱イベントは原始太陽系円盤を形成するための根本的なプロセスであったと考えられているが、その形成史はよく分かっていない。Pb-Pb年代測定からCAIsとコンドリュールの形成は同時期で、300万年間継続していたことが示唆される。

Trade-Offs of Chemotactic Foraging in Turbulent Water
かき乱された水の中で走化的に探し回ることのトレードオフ
John R. Taylor and Roman Stocker
バクテリアは海洋の溶存有機炭素循環において重要な役割を負っている。有機炭素争奪においては動けるバクテリアが動けないバクテリアに比べ優勢である。実際には乱流の環境下で競争が起きるが、遊泳にもエネルギーを消費するため、遊泳速度は遊泳エネルギーとエネルギー摂取のせめぎ合いの中で最適な速度へと収束する。

Technical Comments
Comment on “Multiyear Prediction of Monthly Mean Atlantic Meridional Overturning Circulation at 26.5°N”
Gabriel A. Vecchi, Rym Msadek, Thomas L. Delworth, Keith W. Dixon, Eric Guilyardi, Ed Hawkins, Alicia R. Karspeck, Juliette Mignot, Jon Robson, Anthony Rosati, and Rong Zhang
Matei et al. (2012, Science)はAMOCを数年先まで予測できる技術を報告しているが、その予測は「気候学的な年変動に基づいた単純な予測」に勝らないため、これらの主張は正当化されない。従って、’高い信頼度で’AMOCが2012年まで安定だという予測は正当化されない。

Response to Comment on “Multiyear Prediction of Monthly Mean Atlantic Meridional Overturning Circulation at 26.5°N”
Daniela Matei, Johanna Baehr, Johann H. Jungclaus, Helmuth Haak, Wolfgang A. Müller, and Jochem Marotzke
Vecchi et al. は我々のAMOCの数年先の予測は彼らの気候学的な年変動に基づいた予測に及ばないと指摘している。(我々の元々の論文にも書かれている)再現の手段を用いて、我々の予測が彼らの予測を上回ることを示す。