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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog

2014年1月10日金曜日

新着論文(Science#6167)

Science
VOL 343, ISSUE 6167, PAGES 109-220 (10 JANUARY 2014)

Editors' Choice
Tremor Sweet Spots
微動のスイート・スポット
J. Geophys. Res. 118, 10.1002/2013JB010273 (2013).
アラスカにおける2006-2012年にかけての震動(Seismic tremor)の観測結果について。

News of the Week
Stranded Antarctic Team Rescued
立ち往生していた南極チームが救出される
南極の氷に閉ざされ10日間立ち往生していた51人の科学者・学生・ジャーナリスト・観光客らは無事救出された。

New Sanctuary to Fence In Native Species
固有種を保護するための新たな避難所
オーストラリアの野生動物保護機関はキツネや野良猫から絶滅の危機に瀕している動物を保護する目的で43kmに及ぶ柵を西オーストラリアに設置した。

2013 Temperature Sets All-Time High
2013年の温度は最高記録に
2013年はオーストラリアを記録的な暑さと森林火災が襲ったが、1910年以来の観測史上もっとも気温が高い年であった(平均値からは1.20℃高かった)ことが気象機関(Bureau of Meteorology)から報告された。気候学者David Karolyによると、「自然変動では到底説明できず、これが人為起源の温室効果によるものであることは疑いの余地がない」という。また2013年はエルニーニョによる温暖化の影響もない年であった。

News & Analysis
Rare Celestial Trio to Put Einstein's Theory to the Test
珍しい天体トリオがアインシュタイン理論のテストを促す
Adrian Cho
他の2つの星とともに周回するパルサーが発見され、アインシュタインの重力理論に関するテストの良い対象が得られた。

U.S. Regulators Unveil New Ocean Noise Rules for Marine Mammals
アメリカの規制者が海生ほ乳類のための新たな海の騒音ルールを公開する
Erik Stokstad

News Focus
Mariners of the Lost Sea
失われた海の水夫
Jane Qiu
アフリカ大陸とユーラシア大陸を2分していたパラテチス海(Paratethys Sea)における海水準の上下動が、「何故中央アジアの生い茂った森林がその後ステップや砂漠地帯となったのか」の説明を与えてくれるかもしれない。

Time Capsule in the Desert
砂漠の中のタイムカプセル
Jane Qiu
中国西部のツァイダム盆地(Qaidam Basin)の地下深くには、(いまは砂漠と化しているが)超巨大な淡水湖と生い茂った森林の名残が残されている。

Policy Forum
Coping with Uncertainty in Space Science Planning
宇宙科学計画の不確実性をどうにかする
Charles Kennel and Alan Dressler

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Research
Perspectives
A Pardon for the Dingo
ディンゴに対する謝罪
Richard G. Roberts
Ripple et al.の解説記事。
オーストラリア大陸にかつて棲息していたフクロオオカミデビルが絶滅した理由は、アボリジニーが大陸に持ち込んだ犬が野生化したディンゴが原因というよりは、人類の人口増加と気候変化で説明できる。

Bacterial Vesicles in the Ocean
海の中のバクテリアの小包
David Scanlan
Biller et al.の解説記事。
植物プランクトンが放出する小包が海洋の炭素循環・ウイルスの防御・遺伝子輸送において重要な役割を負っている可能性がある。

Glimpsing Eruptions on Europa
エウロパにおける噴火を垣間みる
John R. Spencer
Roth et al.の解説記事。
ハッブル宇宙望遠鏡が木星の衛星エウロパの水蒸気の噴火と思われる現象を捉えた。
>AstroArts
エウロパ表面に見つかった水蒸気と粘土鉱物

Nelson R. Mandela (1918–2013)
ネルソン・マンデラ
Salim S. Abdool Karim
人種間の平等・人類の権利・科学教育・AIDS治療の権利などを訴えた、偉大な世界的指導者。

Review
Status and Ecological Effects of the World’s Largest Carnivores
世界最大の肉食動物の現状と生態学的な影響
William J. Ripple, James A. Estes, Robert L. Beschta, Christopher C. Wilmers, Euan G. Ritchie, Mark Hebblewhite, Joel Berger, Bodil Elmhagen, Mike Letnic, Michael P. Nelson, Oswald J. Schmitz, Douglas W. Smith, Arian D. Wallach, and Aaron J. Wirsing
世界各地で大型の肉食動物(ライオン・ラッコ・オオカミ・ヒョウ・ピューマ・ヤマネコなど)の個体数と生息地が激減している。現存する31種について現状と生態学的な機能とをレビュー。生態学上の階層構造にかなりの影響を及ぼしていることが改めて確認された。

Reports
Transient Water Vapor at Europa’s South Pole
エウロパの南極における一時的な水蒸気
Lorenz Roth, Joachim Saur, Kurt D. Retherford, Darrell F. Strobel, Paul D. Feldman, Melissa A. McGrath, and Francis Nimmo
ハッブル宇宙望遠鏡の木星の衛星エウロパの撮像から、一時的な(7時間)、200kmの高さの噴出現象の存在が明らかに。紫外領域の吸収波長から水蒸気の噴き出しと思われる。

Strong Sensitivity of Pine Island Ice-Shelf Melting to Climatic Variability
気候変動に対するPine Island棚氷の融解の強い感度
Pierre Dutrieux, Jan De Rydt, Adrian Jenkins, Paul R. Holland, Ho Kyung Ha, Sang Hoon Lee, Eric J. Steig, Qinghua Ding, E. Povl Abrahamsen, and Michael Schröder
Pine Island棚氷は近年急速に薄くなっており、その流出速度も加速度的に増加している。観測とモデルシミュレーションから、棚氷の融解に関係していると思われる海水の温度が深度1000mまでで大きく変動していることが示された。2012年には強いラニーニャの影響で大気循環が変化し、融解速度は大きく低下していた。南極の棚氷の気候に対する応答は、大気循環・棚氷の局地的な要因・海底地形などが根本的にコントロールしていると考えられる。

Bacterial Vesicles in Marine Ecosystems
海洋生態系におけるバクテリア小包
Steven J. Biller, Florence Schubotz, Sara E. Roggensack, Anne W. Thompson, Roger E. Summons, and Sallie W. Chisholm
海に豊富に棲息するシアノバクテリア(Prochlorococcus)は海洋炭素循環にも寄与するほどの小包膜(membrane vesicles)を海水に放出している。