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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
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2014年1月3日金曜日

新着論文(Science#6166)

Science
VOL 343, ISSUE 6166, PAGES 1-108 (3 JANUARY 2014)

Editors' Choice
A Question of Balance
バランスの疑問
Nat. Clim. Change 10.1038/ NCLIMATE2058 (2013).
 北極圏の大地には大気中のCO2の2倍に相当する量の炭素が眠っている。それが気候の温暖化とともに大気中にメタンやCO2として放出されると、さらなる温暖化に繋がると思われるが、そうした知識は比較的温暖な地域に限られており、北極圏全体がどのように今後振る舞うかは不確かなままである。
 北極圏ツンドラでなされた研究から、温度上昇・降水量の増加・永久凍土の分解などが複雑に組み合わさったグリーンランド北西部では、温度上昇は55%の炭素吸収の増加に繋がるが、それに降水量の増加が加わると桁違いに炭素吸収が増強されることが示された。従って、温暖化した世界でも、(中には放出源になる地域もあるだろうが)北極圏の永久凍土地域は炭素の吸収源として振る舞う可能性を示唆している。
>話題の論文
High Arctic wetting reduces permafrost carbon feedbacks to climate warming
北極圏高緯度の湿潤化が気候の温暖化に対する永久凍土の炭素フィードバックを低下させる
M. Lupascu, J. M. Welker, U. Seibt, K. Maseyk, X. Xu & C. I. Czimczik
グリーンランド北西部で行われた長期的な気候操作実験から、北極圏高緯度の半砂漠地帯の炭素の吸収能力は、温暖化と湿潤化が組み合わさると増加することが示された。将来地球が温暖化してもこれらの地域は依然として大きな炭素の吸収源として振る舞う可能性が示唆される。

A Look Ahead for 2014
Costs of BP Oil Spill Revealed
BPの石油流出事故のコストが明らかに
2010年にメキシコ湾で起きたDeepwater Horizon石油流出事故に対して、今後の生態系保全・モニタリングのために支払われる金額は150億ドルを超えると思われる。さらに自然資源にどれほどのダメージを与えたかについても評価がなされている最中で、それに対しても数十億ドルの賠償責任が負わされると思われる。

New Hunt for Submerged Relics
海底に沈んだ遺物の新たな探求
中国は海底考古学遺跡を調査するための調査船を建造した。総工費約1億ドルで、総重量は500トン。主に南シナ海の海底を調査するためとしているが、近隣諸国からは中国の支配領域を拡大する狙いがあると批判も出ている。中国当局はあくまで歴史的遺産を発掘するためだけの船だと主張している。

Rosetta Springs to Action
ロゼッタが行動を開始
ヨーロッパ宇宙局が2004年に打ち上げたロゼッタはチュリュモフ・ゲラシメンコ隕石(Churyumov–Gerasimenko)に向けて太陽系を飛行している。8月から観測がスタートし、2015年中頃にはPhilaeと名付けられた地上探査機を送り込む予定。隕石は太陽系形成初期の記録を残していると思われ、水や生命のもととなった物質などの探査が行われる。

Indian Orbiter on Steady Course
インドの軌道周回衛星が安定軌道に入った
昨年11/5に打ち上げられたインド初の火星探査衛星Mangalyaanが安定な軌道に入った。火星で6ヶ月間にわたって地表や大気を観測する予定となっている。初めてメタン(炭素生命の痕跡になると考えられている)検出器が搭載されている。

Groundbreaking on the Ice
氷の上での着工
中国と韓国が南極に新たな基地を建設しようとしている。東南極に建設される中国のTaishan基地は、Grove山やAmery棚氷の地質学・氷河雪氷学などの研究のために他国の研究者も利用したいと望んでいる。本棟は来月にも完成し、2年内に運用が開始すると見込まれている。さらに中国は西南極のロス海沿岸部でも基地を建設する計画を立てている。一方の韓国はTerra Nova湾にJang Bogo基地を建設し、2月から同地域の気候変化のモニタリングを行うこととなっている。

News & Analysis
Google Scholar Wins Raves—But Can It Be Trusted?
Google Scholarが評判を勝ち取る—しかしそれは信頼できるのだろうか?
John Bohannon
無料の学術論文検索サービスGoogle Scholarは科学者の信頼を獲得したが、その被引用数は悪用される可能性がある。

EPA Science Report Signals Start of Wetlands Battle
アメリカ合衆国環境保護庁の科学報告書が湿地の闘いの始まりを警告する
Erik Stokstad
環境保護論者と産業団体とが湿地帯の保護に関する草案をめぐって闘いを繰り広げようとしている。

News Focus
Life and Death at Stonehenge
ストーンヘンジにおける生と死
Michael Balter
巨大モニュメント・ストーンヘンジの儀式的な用途と意味について新たな知見が得られた。

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Research
Perspectives
An Exceptionally Bright Gamma-Ray Burst
例外的に明るいガンマ線バースト
Johan P. U. Fynbo
ガンマ線バースト近傍の詳細な観測によって、巨大な星の死に関する理解が深まるだろう。

On Tropical Forests and Their Pests
熱帯雨林とその害虫に関して
Phyllis D. Coley and Thomas A. Kursar
害虫との相互作用が、何故熱帯雨林では植物の種の多様性が大きいのかを説明する助けとなるかもしれない。

Research Articles
Fermi-LAT Observations of the Gamma-Ray Burst GRB 130427A
ガンマ線バーストGRB 130427AのFermi-LAT観測
M. Ackermann et al.
非常に明るい星の爆発の名残であるガンマ線バーストGRB 130427Aに対する複数波長帯の観測により、その物理の詳細が明らかに。

Reports
GRB 130427A: A Nearby Ordinary Monster
GRB 130427A: 近傍の平均的な化け物
A. Maselli et al.
上と同じ。

The First Pulse of the Extremely Bright GRB 130427A: A Test Lab for Synchrotron Shocks
極端に明るいGRB 130427Aの最初のパルス:シンクロトロン・ショックの試験場
R. Preece et al.
上と同じ。