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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2014年1月16日木曜日

新着論文(Nature#7483)

Nature
Volume 505 Number 7483 pp261-448 (16 January 2014)

About the cover
鳥類のV字編隊飛行
>Natureハイライト
Cover Story: 飛行計画:編隊飛行する鳥では、翼の羽ばたきの位相を正確に調節することが空気力学的利益を最大にする

EDITORIALS
Cool heads needed
頭を冷やすことが必要
世界を大寒波が襲っているが、気象と気候の違いはあまりに簡単に忘れがちである。
[以下は抜粋]
On some level, most people understand the difference between climate and weather. Climate is the context: the accumulation of temperatures and precipitation trends that vary depending on location and season. Weather is what we experience, and extremes are part of the package. 
ある程度、大半の人は気候と気象の違いを理解している。気候は文脈であり、場所や季節によって異なる気温や降水の傾向の蓄積である。気象は我々が日々経験するものであり、異常気象はその中の一部である。

Despite such assessments, however, people continually confound weather and climate in the heat — or cold — of the moment. Confusion seems unavoidable.
しかしながら、そうした客観的評価にも関わらず、人はつかの間の暑さや寒さの中で気象と気候の違いを繰り返し混同している。混乱はある意味避けがたいものかもしれない。

At first blush, the global-warming ‘hiatus’ runs counter to the warming projected by climate models…Ultimately, the hiatus has provided an opportunity to better understand both the climate system and climate models. One lesson is that the climate, like day-to-day weather, has its ups and downs. Another is that the average global temperature — although a useful indicator — is not the only measure of how the climate changes.
一見、地球温暖化の’ハイエタス(一時中断)’は気候モデルが予測する温暖化に相反するように思われる。(中略)究極的には、ハイエタスはよりよく気候システムと気候モデルを理解する機会を与えてくれる。一つの教訓は気候は日々の気象と同じく、上り下がりするということ。もう一つの教訓は平均的な地球の温度だけが(とても便利な指標だけれど)気候変化の計り方の唯一の手段ではないということである。

V is for vortex
Vは渦のため
とある絶滅危惧種の鳥が、何故渡り鳥がVの形をしたお馴染みの隊列で渡りをするのかを学ぶ助けとなる。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Starfish eyes see the light
ヒトデの目は光を見ている
Proc. R. Soc. B 281, 20133011 (2014)
>ナショナルジオグラフィック ニュース
ヒトデの目は見えていた!

Trilobites ventured beyond the ocean
三葉虫は海を超えて冒険した
Geology http://doi.org/qnq (2013)
5億4千万年前のカンブリア爆発のころの干潟の堆積物から、当時三葉虫が水面から出て干潟を這いずり回っていた可能性を示唆する証拠が得られた。この発見は陸上生物が淡水ではなく、海水に棲む生物から進化したという説を裏付けている。

Past warmth drives glacial melting
過去の温かさが氷河の融解を招く
Cryosphere 8, 59–71 (2014)
これからの温暖化の程度に関わらず、今後数十年間は世界の氷河の融解は続くことが氷河モデルから示唆された。つまり20世紀に起きた気候変化が遅れを持って氷河に影響するということである。筆者らは、氷河の厚さが薄くなったり、後退したりすることによって、将来の温暖化に対しては鈍感になる可能性があると示唆している。

Marine bacteria shed tiny sacs
海洋バクテリアは小さな嚢を落とす
Science 343, 183–186 (2014)
海洋で最も豊富にいる光合成バクテリアは海の中で毎日自らの身体の一部を海へと落としており、その量は塵も積もって全球の炭素循環に影響するほどになっていることがProchlorococcusの室内飼育実験と大西洋における野外採取から示唆された。1日あたり104トン以上と推定されている。
>関連した記事(Science#6167 “Perspectives”)
Bacterial Vesicles in the Ocean
海の中のバクテリアの小包
David Scanlan
Biller et al.の解説記事。
植物プランクトンが放出する小包が海洋の炭素循環・ウイルスの防御・遺伝子輸送において重要な役割を負っている可能性がある。
>話題の論文
Bacterial Vesicles in Marine Ecosystems
海洋生態系におけるバクテリア小包
Steven J. Biller, Florence Schubotz, Sara E. Roggensack, Anne W. Thompson, Roger E. Summons, and Sallie W. Chisholm
海に豊富に棲息するシアノバクテリア(Prochlorococcus)は海洋炭素循環にも寄与するほどの小包膜(membrane vesicles)を海水に放出している。

Sea-level swings get more extreme
海水準のスイングがより極端に
Geophys. Res. Lett. http://doi. org/qtd (2014)
おそらく夏がより暑く、冬がより寒くなっている(季節差が大きくなっている)ことが原因で、メキシコ湾沿岸部における海水準の季節的な上下動が1990年代以降大きくなっていることが1900年以降の海水準の観測から示された。
>話題の論文
Rapid changes in the seasonal sea level cycle along the US Gulf coast from the late 20th century
Thomas Wahl, Francisco M. Calafat, Mark E. Luther

Landslide triggered earthquakes
地滑りが地震を誘発する
GSA Today 24, 4–9 (2014)
大地震が地滑りを誘発することは頻繁に起きているが、2013年4月にアメリカの銅鉱山で生じた地滑りの後には、逆に小規模の地震(M2.5)が誘発されていたことが明らかに。

SEVEN DAYS
※今回は省略

NEWS IN FOCUS
Comet craft ready to wake
隕石の宇宙船が起きようとしている
>関連した記事(Science#6166 “A Look Ahead for 2014”)
Rosetta Springs to Action
ロゼッタが行動を開始
Elizabeth Gibney
ヨーロッパ宇宙局が2004年に打ち上げたロゼッタはチュリュモフ・ゲラシメンコ隕石(Churyumov–Gerasimenko)に向けて太陽系を飛行している。8月から観測がスタートし、2015年中頃にはPhilaeと名付けられた地上探査機を送り込む予定。隕石は太陽系形成初期の記録を残していると思われ、水や生命のもととなった物質などの探査が行われる。

Researchers question rescued polar expedition
救出された極域の航海に対して研究者らが疑問を抱いている
Alexandra Witze
先日南極で救出劇を招いた研究航海に対して、オーストラリアの南極部門は承認していないと言っている。

Kepler clue to supernova puzzle
超新星爆発のパズルにケプラー宇宙望遠鏡がヒントを与える
Ron Cowen

FEATURES
Climate change: The case of the missing heat
気候変化:失われた熱の事件
Jeff Tollefson
謎めいた’地球温暖化のハイエタス’が16年目に突入し、科学者らは説明を求めて証拠をまとめている。

Astrophysics: The heart of darkness
天体物理学:暗さの中心
すべての巨大銀河の中心に存在する超巨大ブラックホールは謎に満ちている。しかし、天文学者らはついにその姿を明らかにしようとしている。

COMMENT
Development: Time to leave GDP behind
発展:GDPを忘れる時が来た
「国内総生産(GDP)は国家の成功を計る間違った手段であり、それぞれの国家は新たな判断基準を受け入れるべく行動すべきである。」とRobert Costanzaらは主張する。

CORRESPONDENCE
Polar rescue: science was not well served
極域の救出:科学はあまり役に立っていなかった
Nick Gales

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Earth science: River incision revisited
地球科学:河川下刻を再考する
Roman A. DiBiase
Finnegan et al.の解説記事。
河川による基盤岩浸食のデータをまとめた研究から、結果が観測の時間スケールに依存しており、段丘などの下刻地形が気候とテクトニクスの変化を忠実に記録しているかどうかに疑問が投げかけられている。

Bird flight: Fly with a little flap from your friends
鳥の飛行:仲間の羽ばたきに助けられながら飛ぶ
Florian T. Muijres & Michael H. Dickinson
Portugal et al.の解説記事。
V字の隊列を作って飛ぶホオアカトキ(bald ibises)の飛行の空中での観察から、この鳥は仲間との相対的な位置調節と羽ばたき動作の同調によって、エネルギーを節約しているという仮説に一致する飛行の仕方をしていることが明らかになった。

Astrophysics: Black hole found orbiting a fast rotator
天体物理学:高速回転する星を周回するブラックホール
M. Virginia McSwain
Casares et al.の解説記事。

LETTERS
A Be-type star with a black-hole companion
ブラックホール伴星を持つBe型星
J. Casares, I. Negueruela, M. Ribó, I. Ribas, J. M. Paredes, A. Herrero & S. Simón-Díaz
>Natureハイライト
Be型星に見つかったブラックホール伴星

A signature of transience in bedrock river incision rates over timescales of 104–107 years
104–107 年の時間スケールでの基盤岩に対する河川の下刻速度の移ろいやすい特徴
Noah J. Finnegan, Rina Schumer & Seth Finnegan
これまで河川が基盤岩を下刻する速度は岩盤の隆起や浸食に対する気候フォーシングの強度を反映していると考えられてきた。しかしながら、14地点の155個の測定結果からは、下刻速度は測定間隔(measurement interval)に依存していることが示されている。
>Natureハイライト
河川下刻についての事実と仮定

Amazon River carbon dioxide outgassing fuelled by wetlands
湿地によって促進されるアマゾン川の二酸化炭素排出
Gwenaël Abril, Jean-Michel Martinez, L. Felipe Artigas, Patricia Moreira-Turcq, Marc F. Benedetti, Luciana Vidal, Tarik Meziane, Jung-Hyun Kim, Marcelo C. Bernardes, Nicolas Savoye, Jonathan Deborde, Edivaldo Lima Souza, Patrick Albéric, Marcelo F. Landim de Souza & Fabio Roland
 河川から放出される二酸化炭素の量は従来考えられてきたよりも多く、陸域の生態系が固定する炭素量に匹敵する可能性が示唆されている。世界の浸水地の4分の3は一時的な湿地からなるが、そのCO2排出全体に占める寄与はよく分かっていない。
 アマゾン川における観測から、中部の氾濫原では、湿地が大量のCO2を河川水へ’供給’し、その炭素が大気へと移るまでに数10-100km輸送される可能性があることが示唆。この結果は陸水からのCO2放出のかなりの部分を一時的な氾濫源が担っている可能性を示しており、全球の炭素収支を考える上で、一時的な浸水域や植生のある浸水域をより考慮すべきことを示している。
>Natureハイライト
アマゾン湿地帯は気体二酸化炭素の放出源である

Upwash exploitation and downwash avoidance by flap phasing in ibis formation flight
トキの編隊飛行における、羽ばたきの同調による上昇気流の利用と下降気流の回避
Steven J. Portugal, Tatjana Y. Hubel, Johannes Fritz, Stefanie Heese, Daniela Trobe, Bernhard Voelkl, Stephen Hailes, Alan M. Wilson & James R. Usherwood