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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2014年1月2日木曜日

新着論文(Nature#7481)

Nature
Volume 505 Number 7481 pp7-126 (2 January 2014)

About the cover
SEA CHANGE
海の変化
深海サンゴの一種、ゴールドサンゴ(gold coral; Kulamanamana haumeaae)の寿命は数千年にも及び、それらの骨格には過去の海洋表層の一次生産の記録が残されている(マリンスノーとして深海に沈み、それらが深海サンゴの餌になっているため)。近年、北太平洋の亜熱帯循環においては栄養塩濃度が低下しているにもかかわらず、一次生産は増加しており、その原因として窒素固定をするプランクトンコミュニティーの組成が変化したことが挙げられている。Sherwoodほかは深海サンゴ骨格のδ15N記録から、150年前にそうした変化が既に起きていたことを示した。
>Nature ハイライト
海の変容:ハワイの黄金サンゴは小氷期以降の北太平洋での窒素急増を記録している

SEVEN DAYS
Star surveyor
星の調査員
ヨーロッパ宇宙局の星の位置や距離をこれまでにない精度で観測する計画Gaiaが12/19にフランス領ギアナからロケットを打ち上げた。
>より詳細な記事(Nature news blog)
Star-mapping mission lifts off
Elizabeth Gibney

NEWS IN FOCUS
Triple-threat method sparks hope for fusion
「3つの脅威」法が核融合に対する期待を高める
W Wayt Gibbs
核融合成功の秘訣は、「レーザー」「磁場」「締め付け」である。

Water risk as world warms
世界が温暖化することによる水のリスク
Quirin Schiermeier
総括的な国際リスク評価が初めてなされ、水の不足が世界最大の関心事であることが示された。

What to expect in 2014
2014年に何を期待すべきか
Richard Van Noorden
SPACE PROBES
宇宙探査機
 ヨーロッパ宇宙局の探査機Rosttaは11月に隕石Churyumov–Gerasimenkoに世界で初めて着陸する予定。
 火星には9月にインド初の火星周回衛星とNASAのMAVENが到達する予定。
 またNASAの火星探査機キュリオシティーはその最終目的地である標高5.5kmのAeolis山に到着し、そこでかつての水の痕跡を探す。
 さらに地球の大気中CO2濃度を観測する人工衛星(OCO)も打ち上げが期待されている。
>関連した記事(Science#6159 "News & Analysis")
Orbiting MAVEN Mission Set to Trace a Planet's History in Thin Martian Air
薄い火星の大気で惑星の過去を辿るためのMAVEN軌道ミッションが始まる
Yudhijit Bhattacharjee
今月末、NASAが火星に送ろうとしている探査機(MAVEN)は火星の大気を観測することにより、注意深く火星の数十億年間の歴史を紐解くことを目標としている。
>関連した記事(Science#6152 "News & Analysis")
India Aims a Probe at Mars—And at Earthly Prestige
インドは火星に探査機を送ろうとしている−地球の威信をかけて
Pallava Bagla
インドは来月、火星の大気中のメタン(生命存在の兆候となる)を探るための探査衛星を打ち上げる予定となっている。

RENEWABLE REVOLUTION
再生可能エネルギーの革命
半導体であるペロブスカイトは光エネルギーを電気に変換することが可能で、発電効率は15%を超え、安く作れる、大きな期待が寄せられる太陽電池である。今年は20%を超え、さらに鉛を使用しないものも創り出されるかも?

A BETTER CLIMATE
より良い気候
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の作業部会2と3の報告書が11月までに出そろう。それらは気候変化のコスト、適応・緩和戦略を報告するものである。
 カナダのサスカチュワンにあるBoundary Dam石炭火力発電所では巨大な炭素捕獲貯留計画が世界で初めて4月から始動する予定となっている。
>関連した記事(GLOBAL CCS INSTITUTE)
カナダ総領事Jamshed Merchant氏:カナダでの経験は「CO2回収」の有効性を示している

MAKING WAVES
波を作る
宇宙背景放射に関するデータの公表。

COMMENT
Resources: Track flows to manage technology-metal supply
資源:産業金属の供給を管理するために流通を追跡する
「リサイクルではデジタル・グリーン産業で使われる貴金属類の需要を満たすことはできない」とAndrew Bloodworthは言う。より全体的なアプローチが必要とされている。

CORRESPONDENCE
Floods: Storm-surge impact depends on setting
洪水:高潮の影響はセッティングによる
Thomas Spencer, Susan M. Brooks & Iris Möller
2012年12月5-6日にかけて生じた北海の高潮は60年前の1953年の高潮(2,000人の死者を出した)よりも大きかった。しかし、予報や堤防、早期警報システムの向上もあり、被害はそれほど大きくはなかった。高潮の大きさは地域により様々で、それには地形や潮汐などが複雑に関与している。海水準上昇の危機にさらされる地域の避難計画や早期警報システムにイギリスの例から学んだ教訓が生かされるべきである。
>関連した論文(Nature#7478 SPECIALS:COASTAL REGIONS "REVIEWS")
Coastal flooding by tropical cyclones and sea-level rise
熱帯低気圧と海水準上昇による沿岸部の氾濫
Jonathan D. Woodruff, Jennifer L. Irish & Suzana J. Camargo
気候変化が台風の上陸にどのような影響を与えるかはよく分かっていない。しかしそれとは関係なしに、加速する海水準上昇は熱帯低気圧による沿岸部の氾濫を増加させると思われる。沿岸部の社会は急速な変化と共存しなければならない。人類による地盤沈下の軽減などを通して、適応戦略を取る必要がある。

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Extrasolar planets: Cloudy with a chance of dustballs
系外惑星:曇り時々ダストボール
Julianne Moses
Knutson et al.とKreidberg et al.の解説記事。
中程度の大きさの2つの太陽系外惑星について、親星の前面を通過する際に観測された透過スペクトルは平らで特徴のないものだった。これらの惑星の大気の性質に関する知見が得られた。
>Nature ハイライト
2つの惑星の物語
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
系外惑星GJ 1214bの厚い雲

Archaic humans: Four makes a party
旧人類:4種類に増えてさらに賑やか
Ewan Birney & Jonathan K. Pritchard
Prüfer et al.の解説記事。
旧人類と現生人類のゲノム比較に、初めてのネアンデルタール人の質の高いゲノム塩基配列が加えられたことで、遺伝子流動・集団構造や適応についての手がかりが得られた。またこれまで知られていなかった旧人類集団の存在が示唆。

Climate science: Clouds of uncertainty
気候科学:不確実さの雲
Hideo Shiogama & Tomoo Ogura
Sherwood et al.の解説記事。
気候モデルを用いた大気の対流混合と低層雲の評価から、二酸化炭素濃度の上昇に応答して、地球の気候がこれまで考えられていたよりも温暖となる可能性が示唆された。
[以下は抜粋]
...despite technical advances and the considerable efforts of climate scientists, the range of climate sensitivities estimated by the Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) using computer models has not narrowed since 1990, and remains at roughly 1.5–4.5 °C.

The researchers came up with three crucial findings. First, they observed that differences in mixing strength explained about half of the spread of climate sensitivities estimated by the models. Second, they found that changes in mixing strength depend on the mixing strength in simulations of the current climate, which was used as the initial value in the experiments. And third, they conclude that estimates of current mixing strength based on observations imply a climate sensitivity of more than 3 °C, which is in the upper half of the IPCC’s range of estimates.

>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
海上の雲が減ると温暖化が進む?

ARTICLES
Spread in model climate sensitivity traced to atmospheric convective mixing
大気の対流混合に起因するモデル間でばらつく気候感度
Steven C. Sherwood, Sandrine Bony & Jean-Louis Dufresne
 大気中のCO2濃度上昇に対して地球がどれほど温暖化するか(気候感度)の推定の不確実性は大きい。過去数十年間にわたって研究がなされてきたものの、その見積もりには依然として約1.5~5°Cのばらつきがあり、将来の気候の正確な予測を妨げている。
 モデル間で予測結果が食い違うことの原因の半分は、熱帯域の対流圏における下層と中層の対流混合の強さにあることが示された。その結果、予測される気候感度は3〜5℃の間にあると制約される。この気候感度は、現在受け入れられている下限値の1.5°Cよりかなり高いため、将来の温暖化が比較的厳しくなることを意味している。
>Nature ハイライト
気候モデルの不確実性を引き起こす大気混合

The complete genome sequence of a Neanderthal from the Altai Mountains
アルタイ山脈から発掘されたネアンデルタール人の完全なゲノム塩基配列
Kay Prüfer et al.
シベリアから発掘された女性のネアンデルタール人の完全なゲノム解読がなされた。彼女の両親は異母あるいは異父の兄弟姉妹レベルの血縁関係にあり、近親者同士の交配が一般的であったことが明らかに。またネアンデルタール人、デニソワ人および初期現生人類の間で遺伝子流動が何度か起こったことが明らかに。さらに未知の旧人類集団からデニソワ人への遺伝子流動が起こっていた可能性も示された。

LETTERS
Strong neutrino cooling by cycles of electron capture and β- decay in neutron star crusts
中性子星の地殻における電子捕獲とβ-崩壊のサイクルによる強いニュートリノ冷却
H. Schatz et al.

A featureless transmission spectrum for the Neptune-mass exoplanet GJ 436b
海王星質量の系外惑星GJ 436bの特徴のない透過スペクトル
Heather A. Knutson, Björn Benneke, Drake Deming & Derek Homeier

Clouds in the atmosphere of the super-Earth exoplanet GJ 1214b
スーパーアース系外惑星GJ 1214bの大気中にある雲
Laura Kreidberg et al.

Increasing subtropical North Pacific Ocean nitrogen fixation since the Little Ice Age
小氷期以降増加する亜熱帯北太平洋の窒素固定
Owen A. Sherwood, Thomas P. Guilderson, Fabian C. Batista, John T. Schiff & Matthew D. McCarthy
 海洋表層水への栄養塩供給量は減少傾向にあるものの、亜熱帯北太平洋の一次生産は増加しているという、謎めいたことが起きている。それに伴うプランクトンコミュニティーの変化が気候そのものの変動が原因か、地球温暖化が原因かはよく分かっていない。
 ハワイ周辺の400mの海底から得られた深海サンゴ骨格中のアミノ酸のδ15N分析(窒素の供給源を反映する)から、過去4,000年間の一次生産を復元。近年というよりは小氷期(AD1850年)以降のより長い傾向で、150年間に2‰減少していた。この大きさは更新世-完新世境界における変化と同程度だが、その変化率は桁違いで早い。質量収支計算から、窒素固定が17-27%増加していることが示唆。

Upper Palaeolithic Siberian genome reveals dual ancestry of Native Americans
旧石器時代後葉のシベリア人のゲノムがアメリカ先住民の2つの祖先を明らかにする
Maanasa Raghavan et al.
シベリアの南部から得られた24-17kaのネアンデルタール人のゲノム解読から、当時の人々の遺伝子が西ヨーロッパ人やアメリカ先住民とは似ているが、東アジア人とは似ていないことが示された。アメリカ先住民の起源に関する新知見が得られた。
>Nature ハイライト
ネアンデルタール人女性のゲノム塩基配列
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
米先住民の遺伝子、一部は欧州から