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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog

2013年12月22日日曜日

新着論文(Science#6165)

Science
VOL 342, ISSUE 6165, PAGES 1405-1544 (20 DECEMBER 2013)

Breakthrough of the Year
Cosmic Particle Accelerators Identified
銀河線の加速器が特定された
NASAのγ線望遠鏡がスーパーノバからの高エネルギー粒子を検出。

Newcomer Juices Up the Race to Harness Sunlight
新入りが太陽光を動力化することのレースをさらに熱くする
4年前は太陽電池の発電効率は3.8%程度であったが、新たに開発された、簡単に作れるペロブスカイト結晶は15%もの発電効率を有することが分かった。現在利用されているシリコンの半導体を利用した太陽光パネルは作るのも手間で高価である。従来のものとのハイブリッドも開発途中で、室内実験からは最大で30%の発電効率が報告されている。

Siberian Meteor Blast Delivers a Warning Shot
シベリアの隕石爆風が警告弾を届ける
2月のチェリャビンスクの隕石衝突イベントは地球に接近する小天体の再評価の必要性を世間に知らしめる結果となった。爆発はおおよそTNT500kt相当で、長崎型原爆の23倍のエネルギーを発した。

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Editors' Choice
Sharks Love Their Country
サメは自らの故郷を愛する
Mol. Ecol. 10.1111/mec.12583 (2013).
レモンザメ(lemon shark; Negaprion brevirostris)を対象にした19年間にわたる調査から、6匹の追跡されたサメが例外なく繁殖のために生まれた地に戻っていることが分かった。
>関連した記事(Nature#7478 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Sharks never forget home
サメは故郷を決して忘れない
1995年から2012年にかけてバハマで行われたレモンザメ(lemon sharks; Negaprion brevirostris)のDNAの分析から、1993-1998年の間に生まれたメスのサメが出産のために生まれた地へ戻っていたことが分かった。サメでそうした里帰りの例が示されたのは初だという。ある特定の出産地があるらしく、そうした地域は漁業禁止区域に設定するなど、保全に向けた努力が必要となる。

Bright Young Thing
Astrophys. J. 779, 171 (2013).
中性子星を含む連星系Circinus X-1は宇宙でもっとも強いX線を発している。観測から、中性子星が超新星残骸に覆われていること、わずか4,600年以内にできたものであることが分かった。

News of the Week
Port Plans Cast Shadow On Iconic Reef
港の計画がアイコン的なサンゴ礁に影を落とす
グレートバリアリーフに世界最大の石炭の輸送港が建設されようとしている。建設が実現すれば、300万立方メートルの土砂が世界遺産でもあるサンゴ礁のどこかに捨てられることになる。

China Scores Lunar Touchdown
中国が月への着陸に成功
打ち上げから12日後、中国のChang’e-3が月への軟着陸に成功した。降り立った探査機Yutuはこれから3ヶ月間、月の表面や地殻の組成を調べる。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
中国月面着陸までの37年の空白

A Makeover for Big Screen Dinos
大スクリーンのディノサウルスのイメチェン
映画「Walking with Dinosaurs」に登場するディノサウルスの姿形は科学者の監修に基づいており、すべての最新科学が反映されているわけではないが、最近の科学もうまく取り込まれている。

News & Analysis
Mega-Eruptions Drove the Mother of Mass Extinctions
超巨大噴火が大量絶滅のきっかけを作った
Richard A. Kerr
ペルム紀・三畳紀境界(P/T境界)の地球史上最大の大量絶滅イベントの原因はシベリアの地で200万年間にわたって続いた大規模な火山活動である可能性の強い裏付けが得られた。最初の噴火は2億5228万年前と推定され、大量絶滅は2億5194万年前〜2億5188万年前の間に起きたとされている。火山から放出されたCO2によって地表面気温が8-10℃上昇したと推測されている。また「酸性雨」や「石炭が燃える際に発生した有毒物質(シベリア玄武岩は石炭層を貫いている)」もまた絶滅に一役買った可能性がある。
>関連した記事(Nature#7478 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Clues to extinction in lava gases
溶岩のガスの中に見つかった絶滅のヒント
Geology http://doi.org/p7s (2013)
2億5300万年前のペルム紀末の絶滅イベントはシベリアにおける巨大な火山噴火を伴っていたことが知られている。しかしその因果関係についてはまだはっきりと分かっていない。シベリアの溶岩の中のガスの分析結果とモデルシミュレーションを組み合わせることで、CO2やSO2といった酸性ガスが強烈な酸性雨を降らせ、さらにクロロメタンがオゾン層を破壊したことが絶滅に寄与した可能性が示唆。

Money Woes Cloud Future of Workhorse U.S. Telescopes
資金難がアメリカの望遠鏡施設の未来を翳らせる
Yudhijit Bhattacharjee
アメリカ科学財団の予算削減の関係で、5つの光学・電波望遠鏡施設が今後3年内に閉鎖される可能性がある。

Letters
Sea-Level Rise by 2100
2100年までの海水準上昇
John A. Church, Peter U. Clark, Anny Cazenave, Jonathan M. Gregory, Svetlana Jevrejeva, Anders Levermann, Mark A. Merrifield, Glenn A. Milne, R. Steven Nerem, Patrick D. Nunn, Antony J. Payne, W. Tad Pfeffer, Detlef Stammer, and Alakkat S. Unnikrishnan
R. A. KerrはIPCC AR5(気候変動に関する政府間パネル第5次報告書)の要約において、将来の海水準上昇予測に対して「2100年までに40-60cmの上昇で、最悪の場合1mと予測される。今回得られた予測値は前回のAR4よりは大きくなったが、1〜2mという数字からははるかに小さい」という風に表現しているが、AR5の海水準上昇に関する章の編集を担当したものとして、この価を評価する上でのいくつかの注意点を述べる。
まず2100年頃の海水準上昇速度は年間8-16mmと予測され、この値は20世紀の上昇速度の平均値の10倍もの大きさを持っている。
予想される値は西南極氷床の急激な崩壊によっては上乗せされる可能性がある。しかしながら現在の知識ではまだ氷床の安定性やその海水準上昇への寄与はっきりと分かっていないため、AR5では含められていない。
[以下は抜粋]
For policy and planning purposes, it may be necessary to adopt particular numbers as an upper limit, but according to our assessment, the current state of scientific knowledge cannot give a precise guide.
>話題の記事(Science#6154 "News & Analysis")
The IPCC Gains Confidence in Key Forecast
IPCCがカギとなる予測に対する確信を得る
Richard A. Kerr

Credit for Impact Theory
衝突理論に対する信頼性
H. Jay Melosh, David J. Stevenson, and Robin Canup
月の形成理論を作った人々に関して。

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Research
Research Articles
Constraining Exoplanet Mass from Transmission Spectroscopy
電子透過分光によって系外惑星の質量を制約する
Julien de Wit and Sara Seager
系外惑星の質量は、大気の特性から求めることが可能かもしれない。