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2013年12月9日月曜日

卒論・修論発表に向けてのアドバイス

修士論文や卒業論文の発表会に向けたアドバイス

久々に読み返してみて、再度触発されたので筆を取る次第です。

この方(京大の教員)のブログは比較的すべて読ませてもらっていますが、割と共感できる部分が多いので、よくTwitterなどでシェアさせてもらっています。

僕自身、プレゼンのコツなどと謳った記事を書いたりもしていますが、やはりまだまだ未熟者、先輩方には到底及びません。

ちょうど卒論・修論の発表前の追い込み時期ということもあり、最近思うことを書き記しておきます。

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・あまり多くを(マシンガンのように早く)語っても聴衆の興味は離れて行く

・「10話して5しか理解してもらえないよりは、6話して5理解してもらう」という気持ちで臨む

・1分も見せないスライドなどないほうがマシ!

僕自身は口べたでありますが、プレゼンに関しては割と高評価をいただいていると思います。

「面白い研究をしていますね」とお褒めの言葉をいただくことも多々あります。

それは何故か?これまでに教わった・学んだプレゼンのコツを掴んでいることが一因かもしれません。
(僕自身がやっている研究を誰よりも楽しんで話しているのも一因かもしれませんが)

自分の研究の面白さを他人にも共感してもらえることこそが、研究者冥利に尽きると思います。
逆にその面白さすら伝えられぬまま時間をいたずらに浪費することこそお互いの損というものです。

色々と細かい指摘はありますが、何としても念頭に置いておきたいのは、

プレゼンの対象


与えられた時間

の2つでしょうか。

「自分の研究がいかに素晴らしいか」、「解析手法がいかに誰よりも優れているか」

そんなものは正直自分自身の心に秘めておけば良いことであって、わざわざ高らかに語る必要はなく、それ以上に必要なのは、

「何故この研究をやっているのか」

「この研究が成功することで誰に利益があるのか」

「何が科学的に面白いのか」

「一体何がこの研究の新しいところで、今後どのように発展するのか」

を伝えることだと思います。

最低限、それがしっかりと説明できないと、その研究の意義はそれに明るくない人にとっては正直どうでもいいことです。

’自分自身が一番研究のことを分かっていること’は至極当たり前のことです。
基本的には自分以上に分かっている人など重鎮の教授を除いてはほとんどいないと考えていいでしょう。

そういった聴衆を前に、限られた時間の中で何を伝えるか。

僕ならやはり「何をしたか・何が優れているのか」よりも「何が面白いのか」を前面に押し出して発表をします。

もちろんどれほど語れるかは時間によります。

「伝えたいこと」と「最低限、説明しなければいけないこと」の配分には常に気を使う必要があります。

そういった状況のもと、聴衆に合わせて

「どれはしっかり説明する必要があって」、「どれは説明にわざわざ時間を割くほどのことではないのか」を見極めることが重要かと思います。
(というか、客観的に考えることさえできれば、すぐ分かりますよね)

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例えば、僕が所属するAORI海洋底科学部門の川幡・横山研のセミナーの場で、多くの人が精通している「炭酸塩を使った古気候学」のイントロをだらだらやることには何の意味もありません。

基礎知識に富んだ人がいる発表の場では、それよりも一歩踏み込んだ内容の説明に時間を割くべきです。

冗長で、発表時間がやたら長い発表など、わざわざ時間を割いて集まってくれている聴衆に対しても失礼ですし、僕なら即座にPCを開いてそれよりも面白い研究について勉強します。

先日の学会のプレゼン資料をそのままそっくり使い回すことなど以ての外です。

多くのプレゼンの場では質疑応答の時間が用意されていますが、その際に質問が多く来ないのには正負2つのパターンがあると言っていいと思います。

「非の打ち所がない研究なのか」

或いは

「発表が下手で何を指摘すれば良いのかすら分からないのか」
「多くを話しすぎたか、説明が稚拙で、プレゼンの途中で聴衆の興味が薄れてしまったか」

多くの場合、後者のパターンであることに注意する必要があります。

もちろん、ある程度質疑の内容を想定し、スライドや返答を用意する必要があります。

活発な議論の場からこそ、思いもしない、重要な意見も出るはずです。

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すべての研究が上手くいくとは限りません。

内輪の研究発表の場で「特に発表する内容もなく、いま行き詰まっています」という発表をする学生も多く見受けますが、それは分かっている人に相談すればいいことであって、多くの聴衆を前に発表することではありません。
(それしか発表することがない場合もありますが。僕もそういう時期を経験しました)

あと1ヶ月かそこらで一世一代の発表の場を迎える後輩諸君に対して伝えたいメッセージは、’必ずしも研究の達成度だけに拘らず、研究の面白さを伝えることに腐心して欲しい’ということでしょうか。

研究に終わりなどそう来るものではありません。多くの場合、不完全なまま、伝えられることだけを絞り出して伝えるのが研究の本質です。

逆にそれで完結してしまえば次の研究には繋がりませんし、科学はそんなに生易しい、単純なものでもありません。

僕自身、色々な人の文章やスライドを推敲しながら、いかにすれば研究の意義をうまく伝えられるかを考えながら生活しています。

師走とは良く言ったもので、いろいろなことに思いを馳せなければならない季節ですね。