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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年12月6日金曜日

新着論文(Science#6163)

Science
VOL 342, ISSUE 6163, PAGES 1133-1280 (6 DECEMBER 2013)

Editors' Choice
King Solomon’s Silver
ソロモン王の銀
Internet Archaeol. 35, 10.11141/ia.35.6 (2013).
現在のイスラエルに位置するYarkon川とAkko (Acre)の間で発掘された硬貨制が始まる以前の銀製品の年代はBC1200-800であり、鉛の同位体分析から、方鉛鉱(PbS; galena)かイベリア半島山の鉱石に似た同位体比を持っていることが明らかに。銀の貿易や生産が西ヨーロッパで始まっていたことを示唆している。さらにソロモン王の銀の起源はサルデーニャの製錬所である可能性も浮上。

Forward into the Past
過去へと進む
Geophys. Res. Lett. 40, 5480 (2013).
大気へのCO2排出が止んでも、それが気候に与える影響はしばらく止むことはない。現実的なCO2大気捕獲の地球工学によって、「気候を完新世の代表的な値に安定化させるにはどれほどの時間を要するか」を気候モデルを用いて評価したところ、産業革命前の気温に戻るのは、もっとも遅くて西暦3000年になることが計算された。さらに氷床量や海水準の回復には気温よりも多くの時間を要することが示された。従って、極端な地球工学を採用し大気中のCO2濃度を元に戻したとしても、少なくとも数百年間はその影響が残ることを示している。
>話題の論文
Reversing climate warming by artificial atmospheric carbon-dioxide removal: Can a Holocene-like climate be restored?
Andrew H. MacDougall
大気中のCO2濃度が将来1,000年以内に産業革命以前の’安全な’レベルに落ち着くまでにかかる時間を気候モデル(The UVic ESCM)を用いて評価。つまりCO2の大気捕獲の地球工学が採用された場合について行っている。永久凍土の炭素プールのヒステリシス作用によって、化石燃料などから排出されたよりも多くの炭素が実際には大気から取り除かれることになる(元の115-180%)。中程度の気候感度を採用した場合、完新世の通常の値に戻るのは西暦3000年頃と思われる。
>関連した論文
Significant contribution to climate warming from the permafrost carbon feedback
Andrew H. MacDougall, Christopher A. Avis & Andrew J. Weaver
Nature Geoscience 5, 719–721 (2012)
 永久凍土には現在の大気の炭素量の約2倍もの炭素が存在する(1,700PgC)。温暖化とともにこれらの永久凍土が融解し、土壌から炭素が大気へと放出される正のフィードバックが存在する可能性が提唱されている。
 気候モデルによるシミュレーションから、永久凍土から2100年までに68 - 580 PgCの炭素が放出され、それによって起きるフィードバック過程によって、2300年までにさらに0.13 - 1.69 ℃温暖化する可能性が示唆される(ただし、人間活動による今後のCO2放出については考慮していない)。人為起源の排出があまり多く起こらないシナリオに基づいた場合でも大きな温室効果が起きることが考えられる。

News of the Week
High School Team Tackles Lunar Mystery
高校生のチームが月の謎に取り組む
Lunar Reconnaissance Orbiterが2011年に縞のある月の石の画像を撮影した際、ミズーリ州の3人の高校生がその成因の調査に取りかかった。惑星科学者Georgiana Kramerの協力のもと、調査されたその結果が著名な科学雑誌Icarusに掲載されることに。月の地殻内部で形成され、その後何らかの衝突イベントで表面に露出した可能性が示唆されている。

News & Analysis
Elusive Denisovans Sighted in Oldest Human DNA
謎に満ちたデニソワ人が最古のヒトのDNAに浮かび上がる
Ann Gibbons
アジアに住んでいたとされるデニソワ人のDNA分析から、スペインのネアンデルタール人の祖先と繋がっているという驚きの結果が得られた。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
40万年前のヒトDNA解読に成功
これまでヒト属のDNA解読は、およそ12万年前の化石にとどまっていた。
>話題の論文
A mitochondrial genome sequence of a hominin from Sima de los Huesos
Matthias Meyer, Qiaomei Fu, Ayinuer Aximu-Petri, Isabelle Glocke, Birgit Nickel, Juan-Luis Arsuaga, Ignacio Martínez, Ana Gracia, José María Bermúdez de Castro, Eudald Carbonell & Svante Pääbo
Nature (2013) doi:10.1038/nature12788

News Focus
Secrets of Snakes
ヘビの秘密
謎に満ちて危険な存在であるヘビは1,000年間の長きに渡って人間を魅了してきた。

Genes for Extremes
極端な遺伝子
Elizabeth Pennisi
獲物を押しつぶすパイソンと毒を扱うコブラという、2種のヘビの全ゲノム解読がなされ、今週PNASに報告された。

From Toxins to Treatments
毒から治療まで
Kai Kupferschmidt
研究者らは毒蛇をはじめとする動物の毒を治療する薬の開発を望んでいる。

The Freek Show
Freekのショー
Martin Enserink
ヘビの研究者Freek Vonkについて。

Island of the Snakes
ヘビの島
Erik Stokstad
外来種であるミナミオオガシラ(brown tree snake; Boiga irregularis)がグアムの生態系を破壊し尽くしたが、それらは根絶可能なのだろうか?

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Research
Perspectives
How Fisheries Affect Evolution
いかにして漁業が進化に影響するか
Andrea Belgrano and Charles W. Fowler
人間による漁業は魚の遺伝的特徴を変化させている。サイズによって選択的に漁獲されることが原因であるという。

Dangers of Being Thin and Weak
薄く弱いことの危険性
Kelin Wang and Masataka Kinoshita
2011年の東日本大震災の原因となった断層の海洋掘削のデータは、それが薄く弱い断層帯で起きたことを示している。

Reports
Structure and Composition of the Plate-Boundary Slip Zone for the 2011 Tohoku-Oki Earthquake
2011年の東北沖地震のプレート境界スリップ域の構造と組成
Frederick M. Chester, Christie Rowe, Kohtaro Ujiie, James Kirkpatrick, Christine Regalla, Francesca Remitti, J. Casey Moore, Virginia Toy, Monica Wolfson-Schwehr, Santanu Bose, Jun Kameda, James J. Mori, Emily E. Brodsky, Nobuhisa Eguchi, Sean Toczko, and Expedition 343 and 343T Scientists
IODP343と343Tで得られた岩石サンプルと掘削孔の分析から、地震の原因となった断層の滑りが5mの厚さの遠洋性の泥に富んだ層という非常に限られた範囲で生じており、泥が地震発生に重要な役割を負っていた可能性が示唆。

Low Coseismic Shear Stress on the Tohoku-Oki Megathrust Determined from Laboratory Experiments
室内実験から決定された東北沖巨大地震時の低い剪断応力
Kohtaro Ujiie, Hanae Tanaka, Tsubasa Saito, Akito Tsutsumi, James J. Mori, Jun Kameda, Emily E. Brodsky, Frederick M. Chester, Nobuhisa Eguchi, Sean Toczko, and Expedition 343 and 343T Scientists

Low Coseismic Friction on the Tohoku-Oki Fault Determined from Temperature Measurements
温度計測から決定された負うほく置き断層の低い地震摩擦
P. M. Fulton, E. E. Brodsky, Y. Kano, J. Mori, F. Chester, T. Ishikawa, R. N. Harris, W. Lin, N. Eguchi, S. Toczko, and Expedition 343, 343T, and KR13-08 Scientists
断層滑りの際の摩擦耐性が地震の力学を支配している。地震の際の温度が推定できれば、摩擦に関する情報が得られる。IODP343と343Tでは地震の16ヶ月後から9ヶ月間の孔内温度を計測した。プレート境界での0.31℃の温度偏差は地震時に1m2あたり27MJのエネルギーを発生したことを示唆している。

Giant Convection Cells Found on the Sun
太陽で発見された巨大な対流セル
David H. Hathaway, Lisa Upton, and Owen Colegrove
太陽の対流セル内部の流れが角速度を赤道側に輸送しており、太陽の早い赤道方向の回転を維持している。