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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年12月17日火曜日

新着論文(PNAS, GRL)

PNAS
10 December 2013; Vol. 110, No. 50
Articles
Anthropogenic emissions of methane in the United States
Scot M. Miller, Steven C. Wofsy, Anna M. Michalak, Eric A. Kort, Arlyn E. Andrews, Sebastien C. Biraud, Edward J. Dlugokencky, Janusz Eluszkiewicz, Marc L. Fischer, Greet Janssens-Maenhout, Ben R. Miller, John B. Miller, Stephen A. Montzka, Thomas Nehrkorn, and Colm Sweeney

Atmospheric deposition of methanol over the Atlantic Ocean
Mingxi Yang, Philip D. Nightingale, Rachael Beale, Peter S. Liss, Byron Blomquist, and Christopher Fairall

GRL
Systematic ENSO-driven nutrient variability recorded by central equatorial Pacific corals
Michèle LaVigne, Intan S. Nurhati, Kim M. Cobb, Helen V. McGregor, Daniel Sinclair, Robert M. Sherrell
Christmas・Fanning島から得られたハマサンゴP/Caを用いて過去20年間のENSO変動(栄養塩変動)を復元。97/98エルニーニョの際には40%の低下が確認された。サンゴだけでなく他の植物プランクトンも栄養塩を取り込むため、イベントの記録には多少の時間的差異が生じる。

Hysteresis between coral reef calcification and the seawater aragonite saturation state
Ashly McMahon, Isaac R. Santos, Tyler Cyronak, Bradley D. Eyre
多くの海洋酸性化のサンゴ礁への影響評価はアラゴナイト飽和度と生態系全体の石灰化量の間に線形関係を仮定している。しかし、GBRのサンゴ礁においては両者の間にヒステレシスが見られることが確認された。

The influence of recent Antarctic ice sheet retreat on simulated sea ice area trends
N. C. Swart, J. C. Fyfe 
近年融解する南極氷床が南大洋をより低塩分にしている。モデルシミュレーションから、淡水フラックスが海氷の変化にあまり影響していない可能性が示唆。

The role of CO2 variability and exposure time for biological impacts of ocean acidification
Emily C. Shaw, Philip L. Munday, Ben I. McNeil 
現在の海洋酸性化の生態系影響評価には炭酸系の自然変化(日・月変化など)の期間や規模は考慮されていない。これまでのサンゴ礁に棲息する魚を対象にした酸性化実験の結果から、室内実験で確認されているような負の影響が見えるには、現在の暴露時間(exposure time)は不十分である可能性が示唆。CO2変動の期間や規模をしっかりと考慮する必要がある。

Modeling evidence that ozone depletion has impacted extreme precipitation in the austral summer
S. M. Kang, L. M. Polvani, J. C. Fyfe, S.‒W. Son, M. Sigmond, G. J. P. Correa
>関連した記事(Ngeo#Sep2013 "Research Highlights")
Ozone-induced extremes
オゾンが招く異常
過去数十年間に南半球の嵐や降水バンドが南へとシフトしているが、それは南極のオゾン層と深く関係していることがモデルシミュレーションから明らかに。1970年代以降、南半球の亜熱帯域の大雨の頻度と強度が増加していることが示された。一方で中緯度のそうした現象は減っているらしい。

Paleogeographic controls on the onset of the Antarctic circumpolar current
Daniel J. Hill, Alan M. Haywood, Paul J. Valdes, Jane E. Francis, Daniel J. Lunt, Bridget S. Wade, Vanessa C. Bowman 
E/O境界の全球の寒冷化には南極周局流が大きな役割を負っていたという説が提唱されている。モデルシミュレーションを用いて、当時の大陸配置的に南半球を取り巻く南極周局流が存在できなかったことが示唆。オーストラリア大陸がより北上し、Tasman海路が開けて初めて南極周局流が形成され始めたと考えられる。

Reversing climate warming by artificial atmospheric carbon-dioxide removal: Can a Holocene-like climate be restored?
Andrew H. MacDougall 
>関連した記事(Science#6163 "Editors' Choice")
Forward into the Past
過去へと進む
大気へのCO2排出が止んでも、それが気候に与える影響はしばらく止むことはない。現実的なCO2大気捕獲の地球工学によって、「気候を完新世の代表的な値に安定化させるにはどれほどの時間を要するか」を気候モデルを用いて評価したところ、産業革命前の気温に戻るのは、もっとも遅くて西暦3000年になることが計算された。さらに氷床量や海水準の回復には気温よりも多くの時間を要することが示された。従って、極端な地球工学を採用し大気中のCO2濃度を元に戻したとしても、少なくとも数百年間はその影響が残ることを示している。

Assessing the potential of calcium-based artificial ocean alkalinization to mitigate rising atmospheric CO2 and ocean acidification
Tatiana Ilyina, Dieter Wolf-Gladrow, Guy Munhoven, Christoph Heinze
石灰岩などを海に撒くことで海をよりアルカリ性にし、海洋酸性化を食い止めるという地球工学が提唱されている。モデルを用いて、そうしたアルカリ化の効果が確かにあり、大気中CO2濃度や海水pHが何もしない場合のレベルへと変化しないことが分かった。大規模に行った場合、産業革命以前の海水pHまで上昇させることが可能で、海によるCO2吸収能力も向上する。一方、小規模にやった場合には場所によっては海洋酸性化を打ち消すことができる。

Energy balance in a warm world without the ocean conveyor belt and sea ice
Aixue Hu, Gerald A. Meehl, Weiqing Han, Jianhua Lu, Warren G. Strand 
最も極端な温暖化シナリオでは、全球の平均温度は10度上昇し、北極の海氷は消滅し、海のコンベアベルトも崩壊すると思われる。そうした際には子午面方向に北向き熱輸送は60%低下することがモデルシミュレーションから示された。