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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年12月19日木曜日

新着論文(Nature#7480)

Nature
Volume 504 Number 7480 pp331-476 (19 December 2013)

EDITORIALS
Sink or swim?
のるかそるか?
 土地利用変化が温暖化に与える影響を推定するには、そのモニタリング法の再考が必要である。例えばロシアの土地利用変化はソ連崩壊まではほとんどデータが公開されておらず、今も不明なものが多いが、近年の推定値は従来の推定値から大幅に異なっている。ロシアをはじめとする東ヨーロッパの土地は陸域の炭素吸収源として大きな働きを負っていると考えられているものの、データの不確実性が大きい。
 ソ連崩壊後放棄された農地は炭素の重要な吸収源として寄与している。しかし、一方で世界の食料需要は増す一方であり、農地の復活が議論されている。ただし、農地が再度耕されると炭素が二酸化炭素として大気へと放出され、温暖化に寄与すると考えられる。
[以下は抜粋]
A matter so central to predicting the rate of global warming deserves more attention. But existing remote-sensing technology offers relatively coarse observations of land cover and land-use change, which means that assessments are often little more than good guesses.

RESEARCH HIGHLIGHTS
Galactic clouds swathed in fog
霧に包まれる銀河の雲
Astrophys. J. 779, 42; 43; 44; 45; 46 (2013)
星が生まれる場である分子雲では、水素の霧が雲と相互作用をしていることが観測から明らかに。

Volcanic lightning made in the lab
実験室で作られた噴火雷
Geology http://doi.org/qfz (2013)
ドイツの研究者らは室内で火山噴火を模した噴出装置を作成し、火山噴火に伴う雷を再現することに成功した。噴火時の電荷を帯びた粒子とジェットとが雷の原因であると推測され、細かい粒子が多いほど雷がより多く発生したという。

SEVEN DAYS
※今回は省略

NEWS IN FOCUS
Seabed scars raise questions over carbon-storage plan
海底の傷が炭素貯留計画に疑問を投げかける
Richard Monastersky
北海油田の有望なCO2貯留リザーバーにて予期せぬ割れ目が発見され、リークの経路になる可能性が浮上している。

EU fishing vote foments anger
ヨーロッパの漁業に関する投票が怒りを煽る
Daniel Cressey
深海漁業を禁止できなければ、脆弱な生態系が危機にさらされるだろう、と研究者らは言う。

Quandary over Soviet croplands
ソビエトの耕作地をめぐる迷い
Quirin Schiermeier
研究者らは東ヨーロッパの放棄された土地を再度耕すか、それとも炭素吸収源として残すかを熟考している。

365 days: 2013 in review
365日間:2013年のレビュー

WAVERING ATMOSPHERE
変動する大気
水銀条約を除き、今年はほとんど環境に関する重要な条約は採択されなかった。5月には大気中のCO2濃度は400ppmに達した。温暖化の寄与率はよく分からないが、台風ハイエンは記録的な風速で破滅的な被害をもたらした。ここ15年間の地球温暖化の停滞は深海による熱吸収の可能性が指摘され、再び温暖化に転じることが予測された。
[以下は抜粋]
It was no surprise when the Intergovernmental Panel on Climate Change warned in its latest report, published in September, that climate change “unprecedented over decades to millennia” is altering natural environments in ways that could affect billions of people.

THE FINAL FRONTIER
最後のフロンティア
惑星ハンター・ケプラー宇宙望遠鏡は5月にその役割を終えるまでに3,500もの太陽系外の惑星を特定した。火星の地上探査機キュリオシティーは4.5kmを踏破した。12月には中国が月に探査機を送り込み、史上3カ国目となった。NASAのボイジャーは太陽系を脱し、星間空間へと旅立った。

OPENING UP SCIENCE
科学を開けたものに
アメリカ政府は政府によって助成を受けている研究の成果は1年以内にすべてオープンアクセス化するように取り決めた。イギリスもただちにオープンアクセス化するように決めた。

IDENTITY PUZZLES
パズルを特定する
古代のDNA分析が可能になったことにより、人類の進化史も大きく揺さぶられている。

FEATURE
365 days: Nature's 10
365日間:Natureが選んだ10人
>Natureハイライト
この1年を語る10の物語

Michel Mayor
彼の研究チームが発見した系外惑星Kepler-78bはこれまでに見つかったなかでもっとも地球に似た惑星である。

Naderev Saño
ワルシャワにおける国連の気候変動枠組み会議の場で、世界の注目を集めたフィリピンの外交官。奇しくも会議中に母国フィリピンが超巨大台風ハイエンに襲われた。
[以下は抜粋]
The pace of international progress on global warming has been glacial. Despite more than two decades of negotiations, atmospheric carbon dioxide levels have continued to rise; in May, the daily average concentration topped 400 parts per million for the first time in Hawaii, where the longest-running record is kept.

Looking back, Saño is not sure what impact his speech had, but he argues that Typhoon Haiyan helped to put the international spotlight squarely on the climate issue.

Having done graduate work on climate and disaster response himself, he knows that scientists shy away from attributing any single weather event to global warming. But there is general agreement that warming oceans will fuel more energetic storms, he says, and extreme storms resonate in a way that scientific charts cannot.

Viktor Grokhovsky
今世紀最大の隕石衝突であったチェリヤビンスクの隕石を回収したロシアの学者。

Henry Snaith
ペロブスカイトを利用した太陽電池を開発した若干35歳のオクスフォード大の天才。

Ones to watch in 2014
2014年に注目すべき人たち
Chris Field
気候変化に関する政府間パネルの次の報告書の副議長。

Koppillil Radhakrishnan
インド初となる火星探査ミッションの責任者。

COMMENT
Conservation: The Endangered Species Act at 40
保全:絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律の制定から40年
アメリカ合衆国が1973年に制定した法律が「40年」という記念の年を迎えた。4人の専門家がこれまでの歩みと今後必要な変更をレビュー。

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Earth science: Erosion by cooling
地球科学:冷却による浸食
David Lundbek Egholm
Herman et al.の解説記事。
 地質学的過去の大陸の浸食を推定することは難しく、どのようにプレートテクトニクス・気候・地形が相互作用しているのかはよく分からないことが多い。600万年前に地球は寒冷化し始め、260万年前に始まる第四紀には極に氷床が形成され始めた。第四紀には海底に溜まる堆積物量が飛躍的に増加したことが知られているものの、推定法に偏りがないかといった批判がなされている。
 岩石の閉塞温度(closure temperature)を利用することで、全球の浸食速度の推定がなされた。その結果は、地球が寒冷化するとともに浸食速度が加速していたことを示していた。特に過去200万年間の中緯度域(30〜50º)の変化が著しく、おそらく氷河作用が原因と考えられている。ただし彼らの推定法は活発なテクトニクス的隆起と早い浸食が起きる地域にのみ適用できる方法であるため、長く議論されている「浸食を支配するするのは気候であるかテクトニクスであるか」という問題については決着はつかないままである。彼らの結果は「気候が浸食を支配する」という説明を裏付けている。

Space physics: A fast lane in the magnetosphere
宇宙物理学:磁気圏の追い越し車線
Mary K. Hudson
Thorne et al.の解説記事。
衛星観測とモデリングから、磁気圏での電子の加速に関する新知見が得られた。

LETTERS
Rapid local acceleration of relativistic radiation-belt electrons by magnetospheric chorus
磁気圏コーラスによる相対論的な放射線帯電子の急速な局所的加速
R. M. Thorne et al.
>Natureハイライト
磁気嵐の局所機構

Worldwide acceleration of mountain erosion under a cooling climate
寒冷化する気候のもとでの山脈の浸食の全球的な加速
Frédéric Herman, Diane Seward, Pierre G. Valla, Andrew Carter, Barry Kohn, Sean D. Willett & Todd A. Ehlers
 新生代の浸食速度の推定は堆積速度に大きく依存しており、テクトニクス的プロセスと気候とがそれぞれどの程度浸食に影響したかは不確かなままである。
 岩石の熱履歴を利用し、大陸の浸食速度の推定。600万年前に山脈の浸食速度が増加し、その後200万年前に急速に増加したことが示された。浸食速度は全緯度で増加しており、特に山岳部で顕著に増加していた。従って、新生代の浸食速度の増大は全球の寒冷化が原因であることが示唆。
>Natureハイライト
寒冷化した気候が山を動かす