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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年12月12日木曜日

新着論文(Nature#7479)

Nature
Volume 504 Number 7479 pp187-324 (12 December 2013)

RESEARCH HIGHLIGHTS
Bees are better for strawberries
ハチはイチゴにとっても良い
Proc. R. Soc. B http://doi.org/ qcg (2013)
ハチによる受粉は実のなりを良くするだけでなく、イチゴに関しては味も良くするらしい。自身による受粉をしたイチゴと風やハチによる受粉をしたイチゴとを比較したところ、後者の方が重く、赤く、寿命が長く、より望ましい糖分/酸比をもった実がなることが分かった。ホルモンに影響することが原因と考えられている。

Melting ice spurs wild weather
氷の融解が野性的な天気を加速する
Nature Clim. Change http://doi.org/qds (2013)
中国の気象学者らは、気象記録と最近の北極海の海氷や雪の記録とを比較したところ、北極の海氷後退に伴い、大気循環パターンに変化が見られることを見つけた。例えば、ジェット気流がより北側にシフトしていることなど。こうした変化が2012年のアメリカで見られたような、北半球中緯度域の夏の異常気象の原因になっていると示唆している。
>話題の論文
Extreme summer weather in northern mid-latitudes linked to a vanishing cryosphere
消えつつある雪氷圏と関連した北半球中緯度の極端な夏の気象
Qiuhong Tang, Xuejun Zhang & Jennifer A. Francis
 過去10年間には前例のない夏の気象イベントの発生数が異常に多かった。同時に北極圏の海氷も急速に後退しているが、その因果関係については不確かなままである。
 人工衛星による北極圏の雪と海氷の被覆度の観測記録と、大気循環の逆解析記録から、それらの間に相互作用があることが確認された。特に海氷の影響が、消失の範囲は雪の2分の1であるにもかかわらず大きいことも分かった。ジェット気流がより北方に位置していることが、気象配置の固定の期間を長くし、極端な気象現象の発生確率を高めていると推定されている。
>Nature姉妹紙 ハイライト
高緯度域の雪と氷の減少が中緯度域の熱波と結び付いている

Trio of distant quasars found
遠くにある3つ子のクエーサーが見つかった
Astrophys. J. 779, 24 (2013)
ヨーロッパのVIKING望遠鏡による調査から、活発な銀河の中心部にある3つのクエーサーが確認された。太陽質量の10億倍の質量を持ったブラックホールが中心にあると推定されており、ビッグバンからの宇宙の進化を知る手助けになるかもしれないという。
※クエーサーは宇宙誕生後10億年も経たないうちにでき始め、宇宙が20億~30億歳の頃に最も形成された天体。

Satellite improves storm forecasts
人工衛星が嵐の予測を改善する
J. Geophys. Res. Atm. 118, 11558–11576 (2013)
ハリケーンの予測には通常気象衛星によるリアルタイムのデータは使用されないが、フロリダ州立大の研究グループらはSuomi NPP衛星による気温と湿度のデータを利用したところ、サンディーをはじめとする2012年の4つのハリケーンの軌跡と強度の予測精度が増したことが示された。

Ancient reptiles stuck to the air
古代の爬虫類は空中に留まっていた
Palaeogeogr. Palaeoclimatol. Palaeoecol. http://doi.org/qcf (2013)
翼竜(プテロサウルスなど)は6,500万年前に絶滅したが、かつての海や湖で堆積した化石記録から、彼らはほとんどの時間を水の上では過ごしていなかったことが示された。恐竜の骨の密度や骨格の形状などをもとに彼らが水に浮かぶことができたかどうか(floating- pterosaur hypothesis)をシミュレーションしたところ、あまりに不格好な状態でしか浮かべなかったことが分かった。従って、あまりに多くの時間を水面で過ごすと危険が増したであろうことを示唆している。

Gas production contaminates water
ガス生産が水を汚染する
Environ. Sci. Technol. 47, 11849−11857 (2013)
ペンシルベニア州西部の石油・ガス生産所では、そこで発生した汚染水は浄化施設で処理されたのちに河川に流されている。しかしMarcellusシェールガス施設の浄化後の水を分析したところ、塩化物や臭化物と言った物質は浄化前よりも濃度が増していることが確認された。さらに処理施設周辺の堆積物中のラジウム放射能はバックグラウンドの200倍の高さで、規制値を上回っていた。排水が放出されるところに放射性物質が蓄積していることを示しており、さらなる汚染を防ぐための措置が必要とされている。

SEVEN DAYS
Palm-oil pledge
パーム油の誓約
シンガポールに籍を置く世界最大の農業企業Wilmar Internationalは森林破壊を伴うパーム油の生産または買い付けを今後一切行わないことを宣言した。

Saturn’s six-sided storm
土星の六角形の嵐
土星の北極に、1辺3万kmの六角形の巨大なジェット気流のパターンが発生し、NASAによる高解像度の動画が公開された。時速320kmの強烈な風が吹く姿がカッシーニによって撮影された。
>You Tube(動画)
Saturn's Unique Hexagon in Full View
Planetary hole
惑星の穴
NASAの惑星科学部門の予算の再編によって、太陽系部門は2015年まで予算の申請をできないことになり、苦しんでいる。
>より詳細な記事(Nature NEWS)
NASA funding shuffle alarms planetary scientists
Alexandra Witze

NEWS IN FOCUS
Fungus threatens top banana
真菌類がバナナを脅かす
Declan Butler
アフリカや中東で重要作物に破壊的な病気が進行するにつれ、ラテンアメリカの産業にも危機が迫っている。

Florida forecasts sinkhole burden
フロリダが陥落孔の負担を予測する
Alexandra Witze
炭酸塩の基盤の地下水による浸食などが原因で起きる、陥落孔(sinkhole)のハザードマップ作成に予測モデルが使えるかもしれない。

Food fuelled with fungi
真菌類によって助けられる食料
Nicola Jones
微生物の力を借りて作物をより強くする試みに対して、生態学者が評価を高めつつある。

India faces uphill battle on biodiversity
インドは生物多様性に関するやっかいな問題に直面している
T V Padma
生物種が豊かな山の保護を制限するようなインド政府の決定が、環境保護運動家を怒らせている。

Life possible in the early Universe
初期宇宙でも可能だった生命
Zeeya Merali
最初の星を周回する惑星もまた生命存在は可能だったかもしれないことが理論計算から明らかに。ビッグバンからわずか1,500万年後でも液体の水は存在した可能性があるという。

FEATURES
Earth science: Under the volcano
地球科学:火山の下で
Alexandra Witze
地球物理学者らはマントルプリュームの証拠を求めて全球を探しまわっている。それはメガ噴火の原因と推定されているものである。

CORRESPONDENCE
Marine infrastructure: NSF fleet vital for ocean science
海洋インフラ:海洋科学にとって必要不可欠なアメリカ科学財団の船団
Peter B. Ortner

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Extrasolar planets: Inner edge of the habitable zone
系外惑星:生命存在可能領域の内側の端
James F. Kasting & Chester E. Harman
Leconte et al.の解説記事。
太陽に似た星で、生命存在可能領域内に岩石惑星を有しているものの割合は、以前に推定されていたよりも少ない可能性が、三次元の気候モデルから示唆されている。

Astrophysics: Tracking our neighbours' past
宇宙物理学:我々の隣人の過去を辿る
Alan McConnachie
アンドロメダ銀河や天の川銀河周辺にある矮小銀河の集団動作は、理論に疑問を投げかけてきた。はるかな過去の銀河群間の相互作用が、こうした矮小銀河に影響を残しているのかもしれない。

REVIEW
An archaeal origin of eukaryotes supports only two primary domains of life
真核生物が古細菌起源であることは生物の基本的なドメインが2つだけだとする説を裏付ける
Tom A. Williams, Peter G. Foster, Cymon J. Cox & T. Martin Embley
これまで生命の樹は古細菌・真核生物・バクテリアの3つから成ると考えられ支持されてきたが、「真核生物は古細菌由来である」という証拠が蓄積するにつれて、「古細菌とバクテリア」という2つの界からなる生命の樹の猫像が生まれつつある。

LETTERS
Baryons in the relativistic jets of the stellar-mass black-hole candidate 4U 1630-47
恒星質量のブラックホール候補天体4U 1630-47の相対論的ジェットにおけるバリオン物質
María Díaz Trigo, James C. A. Miller-Jones, Simone Migliari, Jess W. Broderick & Tasso Tzioumis
ブラックホールの候補の一つ、X線連星系4U 1630-47から高速噴出されるジェットの放射とともに現れる、イオン化した原子のドップラーシフトの観測から、ジェットが光速の3分の2の速度で起きており、ジェットの中にはバリオンが含まれていることが示唆されている。

Increased insolation threshold for runaway greenhouse processes on Earth-like planets
地球上惑星における暴走温暖化過程の増加した日射閾値
Jérémy Leconte, Francois Forget, Benjamin Charnay, Robin Wordsworth & Alizée Pottier
3次元の気候モデルから、惑星から海がなくなるには、従来考えられていたよりも高い日射状態で、完全蒸発(complete vaporization)または蒸発散逸(evaporative escape)が必要となる可能性が示唆。大気の安定化作用が原因と思われる。
>Nature ハイライト
「暴走温室効果」が起こるのはもっと先のようだ