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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年12月5日木曜日

新着論文(Nature#7478)

Nature
Volume 504 Number 7478 pp7-182 (5 December 2013)

RESEARCH HIGHLIGHTS
Clues to extinction in lava gases
溶岩のガスの中に見つかった絶滅のヒント
Geology http://doi.org/p7s (2013)
2億5300万年前のペルム紀末の絶滅イベントはシベリアにおける巨大な火山噴火を伴っていたことが知られている。しかしその因果関係についてはまだはっきりと分かっていない。シベリアの溶岩の中のガスの分析結果とモデルシミュレーションを組み合わせることで、CO2やSO2といった酸性ガスが強烈な酸性雨を降らせ、さらにクロロメタンがオゾン層を破壊したことが絶滅に寄与した可能性が示唆。

Sharks never forget home
サメは故郷を決して忘れない
Mol. Ecol. http://doi.org/p78 (2013)
1995年から2012年にかけてバハマで行われたレモンザメ(lemon sharks; Negaprion brevirostris)のDNAの分析から、1993-1998年の間に生まれたメスのサメが出産のために生まれた地へ戻っていたことが分かった。サメでそうした里帰りの例が示されたのは初だという。ある特定の出産地があるらしく、そうした地域は漁業禁止区域に設定するなど、保全に向けた努力が必要となる。

SEVEN DAYS
Death of a comet
隕石の死
アイソン彗星は11/28に太陽の近くをかすめた際に分解し、その塵の雲だけを残して消え去ったと思われる。
>より詳細な記事(Nature NEWS)
Remnants suggest comet ISON still going
Alexandra Witze

On track to Mars
火星への道の途上
インドによる火星探査機(Mangalyaan)が地球の軌道を脱した。300日間かけて火星に到達し、成功すればインド初の惑星横断探査機となる。

X-ray vision
X線の目
ヨーロッパ宇宙局の次のミッションの中心はX線宇宙望遠鏡となることが11/28に公表された。ブラックホールや星間ガスの観測に用いられる。その後、2034年までの次の巨大ミッションは重力波の宇宙観測になると予定されている。
>より詳細な記事(Nature NEWS BLOG)
X-ray observatory confirmed as ESA’s next big mission
Elizabeth Gibney

China Moon rover
中国の月探査機
中国が初の月の地上探査機の打ち上げを行った。探査機を搭載したロケット(Chang’e 3)は中国南西部のXichang衛星打ち上げセンターより12/2に打ち上がった。

NEWS IN FOCUS
Hominin DNA baffles experts
ヒトのDNAが専門家を悩ませる
Ewen Callaway
ヒトの祖先のこれまでで最も古いDNAシーケンス分析から、謎めいた集団へのリンクが示唆。

FEATURES
North America's broken heart
北アメリカの壊れた心臓
Jessica Marshall
10億年前の隆起によって、北米大陸の中央部は割られかけた。その原因の解明がまもなくなされるかもしれない。

COMMENT
Lunar conspiracies
月の陰謀
「現在の月の形成理論はあまりに宇宙で起きた偶然に頼りすぎている」とRobin Canupは言う。彼女はより良いモデルと火星の探査ミッションの必要性を主張する。

CORRESPONDENCE
Take more care over glacier facts
氷河の事実にもっと細かい注意を
Alex S. Gardner
2010年にはIPCCが氷河ゲート事件(glaciergate)を起こしたが、気候変化が氷河に与える影響の評価には大きな誤差が伴うことをよりよく理解しなければならない。

Recycle waste for nourishing soils
土壌を豊かにするためにゴミをリサイクルせよ
Johannes Lehmann

FUTURES
Planetary defences
地球防御
S. R. Algernon

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SPECIALS "COASTAL REGIONS"
特集:沿岸域

INTRODUCTION
Coastal regions
沿岸域
Juliane Mossinger, Michael White & Patrick Goymer
 沿岸部には多くの人が住んでおり、人々は沿岸部の生態系サービスからあらゆる恩恵を受けている。近年の地球温暖化とそれに伴う海水準上昇、さらにはダム建設や地下水の過剰揚水などが沿岸部の経済・生態系を脅かしている。
 この特集では沿岸研究に関する現在の科学的課題を浮き彫りにし、より良く沿岸部の脆弱性を理解する必要があることを強調する。

REVIEWS
North Atlantic warming and the retreat of Greenland's outlet glaciers
北大西洋の温暖化とグリーンランドの溢流氷河の後退
Fiammetta Straneo & Patrick Heimbach
 過去20年間の間にグリーンランド氷床の質量損失は4倍に増加し、全球の海水準上昇の4分の1に寄与していると考えられている。海水準よりも低いところの氷の融解がグリーンランドの溢流氷河の後退を招いていると考えられているものの、物理的プロセスの理解は不足している。1950年以降、「大気循環の変化」「海洋の数十年規模変動」「表層水の熱容量の長期的増加」のすべてが北大西洋の温暖化に寄与しており、氷河の融解を促進していると考えられる。

Coastal flooding by tropical cyclones and sea-level rise
熱帯低気圧と海水準上昇による沿岸部の氾濫
Jonathan D. Woodruff, Jennifer L. Irish & Suzana J. Camargo
気候変化が台風の上陸にどのような影響を与えるかはよく分かっていない。しかしそれとは関係なしに、加速する海水準上昇は熱帯低気圧による沿岸部の氾濫を増加させると思われる。沿岸部の社会は急速な変化と共存しなければならない。人類による地盤沈下の軽減などを通して、適応戦略を取る必要がある。

Tidal wetland stability in the face of human impacts and sea-level rise
人類影響と海水準上昇の下の干潟の安定性
Matthew L. Kirwan & J. Patrick Megonigal
人間は湿地の生態系サービスに影響を与え、またそれに依存して暮らしている。沿岸部の湿地は海水準上昇に脆弱であると長く考えられてきたものの、近年植物の成長や地形変化などによってある程度の耐性がある可能性も示唆されている。気候変化・栄養塩流入・堆積物供給・地盤沈下などの様々な要因が影響し、そのフィードバックには人間活動が大きく関与している。

The changing carbon cycle of the coastal ocean
沿岸部の海の変化しつつある炭素循環
James E. Bauer, Wei-Jun Cai, Peter A. Raymond, Thomas S. Bianchi, Charles S. Hopkinson & Pierre A. G. Regnier
沿岸部は全球のダイナミックに変動する炭素循環の重要な構成要素の一つである。しかし、その多様な炭素の吸収源・放出源としての振る舞いと複雑な相互作用とはあまりよく理解されていない。近年、産業革命以降の沿岸部は炭素の”吸収源”として寄与している証拠が得られつつある。将来の沿岸部の炭素循環には依然として人間活動の影響が大きいと思われる。

Offshore fresh groundwater reserves as a global phenomenon
全球的な現象としての沖の淡水地下水貯蔵庫
Vincent E.A. Post, Jacobus Groen, Henk Kooi, Mark Person, Shemin Ge & W. Mike Edmunds
大陸棚の地下には低塩分の地下水が大量にあることが知られているが、陸水の海への流入だけでは単純に説明が出来ない。大陸棚水文学の研究は堆積学・海洋地球化学を代表とする他の学術領域の発展にも寄与すると思われる。

PERSPECTIVES
Ecosystem-based coastal defence in the face of global change
全球の変化の運命の下での生態系に基づいた沿岸防護
Stijn Temmerman, Patrick Meire, Tjeerd J. Bouma, Peter M. J. Herman, Tom Ysebaert & Huib J. De Vriend
多くの沿岸域で、これまでに行われてきたような海岸堤防の建設などが持続不可能になりつつある。生態系を利用した海岸の氾濫からの保護がより持続的で、低コストで、生態的に優しい手段であることを示す。さらにそれは全球的なスケールで採用することが可能なものでもある。

Green and golden seaweed tides on the rise
緑と金の海藻の打ち上げが増加傾向に
Victor Smetacek & Adriana Zingone
世界の至る所で海草類の大量の打ち上げが増加していることが報告されている。それらの腐敗は沿岸部を窒息させ、観光・漁業にも悪影響を及ぼす。沿岸部の富栄養化が原因であることは疑いもないが、個々のイベントの原因は複雑であり、その軽減に向けた研究が必要とされている。

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RESEARCH
Planetary science: Shadows cast on Moon's origin
惑星科学:月の起源に投げかけられる影
Tim Elliott & Sarah T. Stewart
新たな観測とモデルシミュレーションの出現によって、月の形成理論に次々と課題が投げかけられている。地球化学的・初期動力学的視点から2人の専門家が現在の知識をレビューする。
>Natureハイライト
月をリメークする:現在の月形成理論は不十分であることが分かり、新しいモデルが求められている

Astrophysics: Magnetic fields in γ-ray bursts
天文学:γ線バースト中の磁場
Maxim Lyutikov
Mundell et al.の解説記事。

LETTERS
Highly polarized light from stable ordered magnetic fields in GRB 120308A
GRB 120308Aの安定で秩序立った磁場からの大きく偏光した光
C. G. Mundell, D. Kopač, D. M. Arnold, I. A. Steele, A. Gomboc, S. Kobayashi, R. M. Harrison, R. J. Smith, C. Guidorzi, F. J. Virgili, A. Melandri & J. Japelj
>Natureハイライト
γ線バースターからの最初の光

Olivine in an unexpected location on Vesta’s surface
ヴェスタの表面のある場所にある予期せぬかんらん岩
E. Ammannito, M. C. De Sanctis, E. Palomba, A. Longobardo, D. W. Mittlefehldt, H. Y. McSween, S. Marchi, M. T. Capria, F. Capaccioni, A. Frigeri, C. M. Pieters, O. Ruesch, F. Tosi, F. Zambon, F. Carraro, S. Fonte, H. Hiesinger, G. Magni, L. A. McFadden, C. A. Raymond, C. T. Russell & J. M. Sunshine
小惑星ヴェスタの南極にはマントル起源のかんらん岩が存在することが期待されていたが、NASAのDawn探査機のデータはそれとは反対に、北極の亜表層にかんらん岩が存在することを示している。
>Natureハイライト
ベスタの意外な場所で発見されたカンラン石

Late-twentieth-century emergence of the El Niño propagation asymmetry and future projections
エルニーニョの伝播の非対称性の20世紀末の出現と将来予測
Agus Santoso, Shayne McGregor, Fei-Fei Jin, Wenju Cai, Matthew H. England, Soon-Il An, Michael J. McPhaden & Eric Guilyardi
エルニーニョ・南方振動(ENSO)は全球の気候にも影響を与える数年スケールの内部振動である。その現象の東西伝播はあるときは西向き、あるときは東向きであり、その伝播の非対称性の原因はこれまでのところ解明されていない。
 赤道太平洋上の西向きの海流が弱い時に伝播の非対称性が生じやすいことが明らかに。それは温暖化した気候の際に起こると予測されているものである。モデルのアンサンブル・シミュレーションから、将来温暖化した世界では東向きの伝播が2倍になることが示唆。伝播非対称性のより頻繁な出現は、地球の気候温暖化の証拠となるかもしれない。
>Natureハイライト
太平洋赤道海流とエルニーニョ/ラニーニャの非対称性

Foundering of lower island-arc crust as an explanation for the origin of the continental Moho
大陸モホ面の起源を説明する島弧下部地殻の沈下
Oliver Jagoutz & Mark D. Behn