国際誌エディターが教えるアクセプトされる論文の書き方
上出洋介
丸善出版(2014年)¥2,000-
と
使える理系英語の教科書
森村久美子
東京大学出版会(2014年)¥2,200-
前者は論文を書き、投稿し、エディター・レビュアーとやり取りをする際に即戦力として使え、
後者は漠然とした英語での科学的コミュニケーションの一助になる、
といった印象を受けた。
今回は時間の都合上、英語で論文を書くときの注意に的を絞ったため、プレゼンやピアレビューの注意点などの項目は読み飛ばしている。
以下、個別に簡単なレビューを述べておく。
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国際誌エディターが教えるアクセプトされる論文の書き方
JGRのエディターを長い事務めていた上出氏による書籍。
普段表に出ることのない、論文の投稿・査読・受理までの裏話が知れるという点でたいへん興味深い。
研究や論文一般に対する著者の考えや、すべての研究分野に通じるであろうお作法が詳しく述べられているため一読に値する。
特に、これから論文を書き始める大学院生にとってはたいへん勉強になり、論文受理までの一連のシミュレーションになると思う。
論文受理までに四苦八苦する若手研究者(自分も含めて)にも学ぶことがたいへん多い。
付録にまとめられている日本人が間違えやすい英単語・英文法には、はっと気づかされることが多くあった。
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使える理系英語の教科書
理系大学院生に授業で教えているテクニカル・ライティングの要点を本にまとめたもの。
かなり荒削りでメモのような部分が多く、正直に言うとあまり完成されていないという感想を抱いた。
具体例として挙げられている生徒の文章やスライドの訂正も、一般性がないために読む気を無くさせる。
気になるのは個々の例文が必ずしもお堅い文章からの引用ではなく、日常会話的な英語も混在していること。
そのために、漠然とした英文のお作法を知るにはいいが、知識として吸収するのは難しいという印象をいだいた。著者の森村さんは長年留学されていたこともあり、その知識量には舌を巻くのだが。
(内容の半分を占める、プレゼンやディスカッションに関する章はまだ読んでいないので、あしからず)。