時折台風と見紛うほどの強風を伴う大雨もあるけど、基本的にはしとしとと雨が降り続けている。
そういう日は、増水のせいなのかなにやらアパートの水回りがドブ臭くなる。なんど塩素系の洗浄液を流しても改善しないので、大元の配管に問題があるような気がしている。
また、雨が降る前の日など、急に虫が増えることがある。
網戸を通り抜けてくるくらい小さいものがほとんどで、対策のしようがない。もったいないけど、窓を閉めてエアコンに頼っている。
さて、最近は連日有孔虫の殻を使った実験に勤しんでいる。
一つのサンプルから酸素同位体、Mg/Ca比、ホウ素同位体をすべて測るというのが目的で、5 mgくらいの有孔虫を必要とする。
アクリル板で挟んでチャンバーを顕微鏡下で割ったのち、水とメタノールで繰り返し超音波洗浄を繰り返して、殻内部に付着している円石藻の欠片や泥を取り除く。
その後、わずかに残っている有機物(数千年堆積物中に保存されていたので、セディメントトラップなどの試料に比べてはるかに少ない)を、過酸化水素水で除去する。
まっしろけになった有孔虫の殻の一部を、分取してIsoprimeで酸素同位体を測定するのだが、この分取の仕方でしばらく思考実験を繰り返している。
懸濁させてピペットで吸う方法を最初採用していたのだが、どうも量のコントロールがうまくいかない。
今度はそれをいったんオーブンで乾燥させて秤量してみたけど、静電気が手強い。
残った粉末はクリーンルーム内で表面をわずかに溶かし(リーチング)、塩酸に溶かす。
その溶液の一部をAgilent7700で測定してまずはCaの含有量を明らかにする。
その後、Caの量をすべて一定値に揃えたサンプル・スタンダードを作成し、微量元素( Mg・Sr・B・Baなど)を定量し、Mg/Ca比などを求める。
ICPMSについてもまだメソッドを確立できておらず、もう少し試行錯誤しながら最適な測定法を作る必要がある。例えば、どの同位体を測定するとか、セルガスを使うかどうかとか。
その後、残った溶液はNeptuneによるホウ素同位体測定に回す予定。想像以上に有孔虫殻のホウ素含有量が少ないので、いかにロスを少なくするかが重要。
しばらくは訪問者のマシンタイムで機械が使えないので、空き状況を見つつ測定に臨みたい。
いまは有孔虫が豊富に産出する層準を使ってテストを繰り返しているけど、目標としているのは1回しか測定ができない、最終退氷期の層準。ミスしようがないというところまで実験メソッドを見直して、測定に臨みたい。