1、ワークライフバランス
家族を大事にする国民性と聞いていたけれど、実際に暮らしてみてそれを実感することが多々。
家族の結婚式の後片付けのために平日に普通に休むし、子供の迎えのために早上がりすることも(15時頃)。
また休日を大事にするあまり、金曜は午後早くに帰る人も多く、月曜は出勤が遅めだったり。金曜の14時くらいには研究所から半分以上の車がなくなっていて、さすがに驚いた。
あとは夜の過ごし方。日本に海外からゲストが来たらまず初めに懇親会をやって、毎晩夕飯に連れ出して、と色々「おもてなし」について考えるが、ドイツはそういう概念がない。17時前後に「じゃあ」と言って皆足早に去っていく。私自身も一人の時間を愛する人間なので、あまり寂しいという感覚はないのだが。
最近、「日本の公務員がバスに乗るために毎日15分早く無断で帰っていて処罰された」というのがYahooニュースに上がっていた。
コメント欄には「これは間違いなく処罰対象。むしろ読書するなどして30分くらいバス待てばいいのに」と賛同の意が埋め尽くされていたが、ドイツ人に言わせれば全く理解できなさそう。「じゃあ人より15分早く仕事が終わるようにすればいいね」と。
ドイツ人も日本人同様、真面目できっちりしている、というのは確かにそうかもしれないけど、こと時間に関しては少しルーズな印象を受ける。逆に言えば私の頭が日本の文化に毒されすぎているのかもしれない。
当該分野の研究に関して言えば、ドイツの研究機関が日本以上に成果を上げているのは間違いない。
日本はやたら書類仕事が多すぎる。また分業が浸透していないから、教授職なのに雑務が多い、といった能力の無駄遣いが多い。誰でもできる仕事を博士がする必然性などない。
日本の「日々の勤務時間の長さ」や、「休暇の短さ」は国際的にも異常だ。オフィスにやたら長時間いる割に成果は上げていない。
全てを真似る必要はないが、海外式の、分業制の導入によって、短時間で効率よく研究を進めるという姿勢をもっと学ぶべきだろう。その点で、もっとテクニシャンとしてのポジションが日本でも浸透すると良いのに、と思わざるを得ない。
英語ができて、機械のオペレーションができて、あまり異動しない人。そうした人的資源をもっと活用できないものか。
2、電気・エネルギー政策
今日のミーティングでは、学生がドイツのエネルギー政策についてプレゼンをしていた。いかに温室効果ガス排出を削減するような社会を実現させるか、特にそれを社会に周知するための方策について。今回の焦点は風力発電。
ミーティングの議長もまた、機関として、個人として、どんな温暖化対策ができるのかについて皆に話題提供をしていて、積極的に意見を求めるなど、場に参加していて驚かされた。というのも、私がこれまで属した研究機関で、そのような気候変化に関する話題が出ることは基本的になかったからだ(科学雑誌で取り上げられていたよ、と紹介するといったことはラボ・ミーティングであったが)。
特に研究者は国内外への移動が多い。飛行機の使用を抑えること、鉄道を積極的に使用すること(そうすれば論文を読む時間も確保できる!)など、皆に提案していた。
環境に対する意識は日本とは比べ物にならないほど高いように感じる。
ビニールの使用も控えめだ。スーパーには紙袋しか置いていないし、基本有料なので皆袋を持参している。
あと電気代。再生可能エネルギーへの投資もあり、ドイツの電気代は高いことで有名。
前回マインツに滞在した時も、「基本電気はこまめに消してね」と念を押されたし、ホストも薄暗がりの中、間接照明だけで夜を過ごしていた。
ブレマーハーフェン の宿も着いた途端に大量のろうそくが目に入った。おそらく電球よりもろうそくの方が安上がりなんだろう。
いまは日没が22時と非常に遅く、体内時計を正常にするために私も積極的にろうそくを使用している。
必ずしも部屋を明るくする必要はないので、日本に帰ってからも照明について見直してみようと思った次第。
興味深いのは食洗機の存在。
これまで私も使ったことなかったのだけれど、あまりにシンクが小さいので初めて使ってみることに。
マインツ大学でもAWIでも、研究機関の部屋・キッチンにも食洗機が備え付けてあるのがすごい。
またてっきり油物専用かと思いきや、実はコーヒーのマグカップなども積極的に食洗機で洗っているのに気づく。電気の無駄遣いにしか思えないけど、そこには効率化と水の硬度のことがある。
食洗機には洗剤だけでなく、塩・リンス剤といった別の物質を入れる箇所がある。簡単にしか調べていないが、これらは湯垢や水垢を落とすための役割を追っているらしい。
例えばワイングラスも普通に水洗いを繰り返しているとだんだん曇っていくことに気づく。湯沸し用のポットの湯垢もひどい。
おそらく食器を綺麗に保つための一つの手段として、食洗機が広く浸透しているのだろう。
3、肥満・健康・食生活
ドイツは肥満が多い。街に行くと目につく。肥満の割合はヨーロッパで突出しているらしい。
ランニングする人も少なく、走っている人はだいたい既に細い。犬やカップル同士で散歩をする人は非常に多く見かける。
運動不足もあるが、やはり大きいのは食生活だろう。
海の少ないドイツは魚介類の消費が少ない。
また野菜の消費も少ない。例外はザワークラウトとジャガイモ。何を頼んでも大体これら二つがついてくる場合が多い。
一方で肉・チーズの入った料理が多く、味付けも濃いめ。
最近近所で買ったケバブにはフライドポテトとザワークラウト、生玉ねぎが載っていた。それだけで味付けは濃いのに、さらにサワークリームが付く。
私からすると3日に分けて食べたいと思う量を、それをコーラと一緒に一人でたいらげる大きい人々が目につく。
イギリス同様、産業が盛んだったドイツでは女性もあくせく働いていたため、歴史的に食事の準備にかける時間が少ないという話をよく聞く。
いわゆる「冷たい食事」が朝夕の基本で、手間のかかる「温かい食事」は昼にしか食べない、とも。
日本みたいに朝・昼・夜で違ったもの、毎日違うメニューを、といったことを考えるのが面倒という意見もどこかで聞いたことがある。同じものをお腹いっぱい、というのを好む人が多いのかもしれない。
またビールがとにかく安い。本当に水よりも安い。
水の場合1Lペットボトルで1ユーロを切るくらい。ビールの場合500mLで1ユーロ前後。
日本だと500 mLの国産ビールが300円前後だが、ドイツは130円かそこら。日本の酒税が高いこともさることながら、ドイツのビールの安さもなかなかのもの。ただ、私自身ビール大好き人間なので、ドイツにいるときは基本ハッピーだ。
日本にいる時は、痛風になりたくないがためにビール(もしくは発泡酒)は1日350mLで我慢しているのが不思議なくらいだ。結局のところ安いと飲んでしまう。
喫煙者も多い。マインツでは毎日ホストが部屋で喫煙していて、部屋にいても受動喫煙がひどく民泊に嫌気がさした。
路上喫煙もマインツ(やウィーン)では目立ったが、ブレマーハーフェン ではそれほど目につかない。ただ、豪快にタバコのポイ捨てをする人もいるし(女性でも)、路地はタバコの吸い殻だらけだ。
今日参加したミーティングでも、タバコのパッケージに危険を喚起するホラーな写真が使われ始めても、喫煙者の割合は増加したと言っていた。他国に比べても愛煙家が多い印象(たばこ税もかなり高いのだが)。
レジャーが少ないことも関係しているのだろうか?
以下はドイツ人の休日の過ごし方からの抜粋(数字は%)
- 庭仕事 30.3
- 買い物 26.9
- パズル・謎解き 17.1
- 外食 13.7
- コンピューター・ゲーム 12.6
- カード・ゲーム 12.4
- 家の修理 11.4
家か近所で済むものばかり…?