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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
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2013年11月29日金曜日

新着論文(Science#6162)

Science
VOL 342, ISSUE 6162, PAGES 1013-1132 (29 NOVEMBER 2013)

Editors' Choice
Relationship Trajectories
関係性の軌跡
PlOS Biol. 11, e1001685; e1001705 (2013).
 気候変化によって生物の種数だけでなく、繁殖の時期やタイミングなどにも変化が生じることが期待される。それはさらに、生態系全体の相互作用にも影響する可能性がある。
 気候変化が様々な方法で相互作用する生物同士に影響を及ぼした際の、競合・補食・変異などに及ぶ影響をモデリング。熱帯に棲むアリ (Azteca sp) と植物(Cordia alliodora)に関しては、水ストレスによる影響が大きく、水が不足するほど依存関係が強まることなどが示された。

Teasing Out the Plume
プリュームをかき分ける
Nat. Commun. 4, 2620 (2013).
2009年10月9日、月の観測衛星が月の南極にあるCabeusクレーターに突入した。その際に巻き上がった破片のプリューム、塵、水を含む揮発性物質などが後続のLunar Crater ObservationとSensing Satellite(LCROSS)によって観測された。これまでに地上からの検出は報告されていなかったが、ニューメキシコの3.5m望遠鏡の可視観測記録からプリュームを上手く検出できていたことが示された。また衝突サイトのレゴリスの氷量は質量比で6%と推定された。

News of the Week
‘Dueling Dinos’ Fail to Sell
’闘う恐竜’が売買に失敗
ニューヨークのオークションにかけられていた、闘いの末命を落とした2頭の恐竜の化石が希望価格の最小値(550万ドル)を上回らずに売れずに終わった。古生物学的観点から非常に価値があり、売れずに研究に捧げられることが期待されるが、直に売れてしまうだろうと考えられている。
>より詳細な記事(Science Insider)
Not Sold! 'Dueling Dinos' Flop at Auction

Science Museum in Tiff Over Climate Change Film
気候変化の映画をめぐって諍いに巻き込まれている科学博物館
ノースカロライナ州立博物館は海水準上昇を伝える気候変化の映画の放映を拒否し、大きな話題を呼んでいる。一つの理由には同州が気候変化の対策行動に対して否定的であることが関係していると思われるが、博物館側は非常に慎重な対応をしている。
>より詳細な記事(Science Insider)
Science Museum Declines to Show Climate Change Film

ESA Targets Magnetic Mysteries
ヨーロッパ宇宙局が磁場の謎解明を目指す
地球磁場をこれまでにない精度で観測するためのトリオ人工衛星(Swarm)がヨーロッパ宇宙局により、11/22に打ち上げられた。地球磁場は絶えず変動しており、その大半は融けた鉄の外核のダイナモが原因と考えられているが、地殻の岩石・海流・大気の粒子の流れなどによってもわずかながら発生している。Swarmは全球の磁場変動をくまなく観測する。より詳細な磁場の理解は地球の気候・宇宙気候・人工衛星ナビゲーションなどに関して重要なデータを提供すると思われる。
>関連した記事(Nature#7477 "SEVEN DAYS")
Swarm takes flight
群れが打ち上がる
ヨーロッパ宇宙局が地球の磁場観測を行うための3つの衛星を11/22に打ち上げた。これまでにない精度で磁場の時空間変動が観測される。
>より詳細な記事(Nature NEWS BLOG)
ESA’s Swarm mission launches successfully
Quirin Schiermeier
>より詳細な記事(Nature NEWS)
Mission to map Earth's magnetic field readies for take-off
Quirin Schiermeier

News & Analysis
Chinese Mission Ushers in New Era of Lunar Exploration
中国のミッションが月探査の新時代の到来を告げる
Jane Qiu and Richard Stone
1976年以来となるChang'e-3の軟着陸が成功すれば、月の地殻と月から見られる星の観測がスタートすることになる。

Clues to Supertyphoon's Ferocity Found in the Western Pacific
西太平洋で見つかったスーパー台風の獰猛さのヒント
Dennis Normile
異常に高温だった太平洋の亜表層水が、先日フィリピンを起こったスーパー台風ハイエン(Haiyan)が観測史上最大の勢力を維持したまま上陸したことの原因だったと思われる。

Policy Forum
International Cooperation on Human Lunar Heritage
人類の月遺産に関する国際間協力
Henry R. Hertzfeld and Scott N. Pace
アポロ着陸サイトの保護は賞賛に値するが、アメリカの国立公園化はいただけない。

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Research
Perspectives
Calibrating Asteroid Impact
天体衝突を較正する
Clark R. Chapman
Popova et al.の解説記事。
今年始めにロシアのチェリヤビンスクで起きた小天体の空中爆発イベントは、天体衝突に対するリスク評価のキャリブレーションポイントとなった。

Research Articles
Chelyabinsk Airburst, Damage Assessment, Meteorite Recovery, and Characterization
チェリヤビンスク空中爆発、被害評価、隕石回収、そして特徴化
Olga P. Popova et al.
1908年のツングースカ大爆発以来、人類が目撃したものとしては最大の隕石空中分解イベントが2013年2月15日にロシアのチェリヤビンスクにて起きた。国際的な学術横断研究グループによって出来事の詳細が調査された。このイベントの詳細な理解は地球近傍物質の研究や地球防護のための戦略にも影響を与えると思われる。

Reports
Regular Patterns in Frictional Resistance of Ice-Stream Beds Seen by Surface Data Inversion
表層データのインバージョンに見られる氷流の底の摩擦耐性の規則的なパターン
Olga V. Sergienko and Richard C. A. Hindmarsh
氷河は南極の内部から沿岸部の棚氷へと氷を運んでいるが、氷と基盤岩の状態によってその速度は強くコントロールされている。最近得られたデータとモデリングから、近年加速度的に質量を失っているPine Island・Thwaites氷河の基底部の圧力分布を推定。