Science
VOL 342, ISSUE 6161, PAGES 901-1012 (22 NOVEMBER 2013)
Editors' Choice
Uptake Uptick
取り込みの急激な増加
Biogeosciences 10.5194/bg-10-6759-2013 (2013).
有孔虫の殻の元素の取り込みを評価するために飼育実験を行ったところ、Caと異なり、MgやSrは受動的なイオン輸送が大きく寄与していることが示された。
>話題の論文
A new model for biomineralization and trace-element signatures of Foraminifera tests
G. Nehrke, N. Keul, G. Langer, L. J. de Nooijer, J. Bijma, and A. Meibom
有孔虫殻のMg/Caは過去の水温計として広く用いられている者の、炭酸塩の沈殿メカニズムはあまりよく分かっていない。従来考えられているメカニズムでは、カルシウムは海水から取り込まれていると考えられている。
底性有孔虫Ammonia aomoriensisを44Caラベリングした海水で飼育し、NanoSIMSを用いて殻の元素比を測定した。カルシウムイオンは膜透過輸送(trans-membrane transport)を通して大部分が供給されていることが示された。
News of the Week
Climate Negotiators Pressed About Ocean Acidification
気候の協議者が海洋酸性化について強く主張する
ワルシャワにて行われている気候変動枠組み条約の会議の場において、研究者らは高い確信度で海洋酸性化が熱帯域のサンゴ礁を劣化させるであろうことを主張した。軟体動物や他の殻を持った生物もまた影響を受けるが、その経済損失を推定するのは困難である。二酸化炭素排出量を減らすことで海洋酸性化を止めることはできないが、少なくとも抑えることは可能であると報告している。
>より詳細な記事(ScienceShot)
Scientists Warn of Significant Harm From Ocean Acidification
科学者らは海洋酸性化によるかなりの害を警告している
>関連した記事(Nature#7476 “SEVEN DAYS”)
Acidic waters
酸性的な水
’the Ocean in a High-CO2 World’によるシンポジウムの報告書によると、海洋は前例のない速度で酸性化しており、それは人間にも悲惨な結果を与えると考えられている。将来多くの生物種が海に棲みにくくなると警告している。さらに海洋はCO2吸収能を次第に失い、気候変化を緩和する能力を失っていく。さらに、沿岸部の貝類の収穫量は減少し、サンゴ礁は失われるだろうと付け加えている。
>より詳細な記事(Nature News Blog)
Ocean acidification could trigger economic devastation
海洋酸性化が経済的破壊の引き金となるかもしれない
Daniel Cressey
News & Analysis
Humans Fueled Global Warming Millennia Ago
人類が千年前の地球温暖化を助けた
Richard A. Kerr
氷期が終わり、間氷期に入る際に大気中のメタン濃度が増加したことが知られているが、その後完新世を通じて減少傾向にあった。それが5,000年前に増加に転じ、その理由はこれまでに説明できていなかった。
西南極から得られたアイスコアの分析から、メタン濃度の増加のタイミングと、人類の米作の開始時期とが一致していることが示された。William Ruddimanらは、さらに8,000年前からCO2濃度が増加する理由が、古代人が農地用に森林を焼いたことが原因と仮説を立てている。2つの温室効果ガスの温暖化効果は全球を0.8℃暖めたと推定されている。このときの温暖化速度は過去100-200年間の温暖化の速度と同程度だという。
Letters
Atlantic Rainforest's Jaguars in Decline
大西洋熱帯雨林のジャガーが減少しつつある
Mauro Galetti et al.
Capping Progress on Invasive Species?
外来種に対する進展が頭打ちに?
C. Carboneras, P. Walton, and M. Vilà
Drilling Plans Endanger Yasuní's Biodiversity
掘削計画がYasuniの生物多様性を脅かす
Juan José Alava and Nastenka Calle
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Research
Reports
Imaging of a Circumsolar Dust Ring Near the Orbit of Venus
金星の軌道に近いダストの太陽軌道輪の画像化
M. H. Jones, D. Bewsher, and D. S. Brown
惑星の周囲にはダストの輪が存在することが期待されるが、これまで地球以外で直接確認されたものはない。STEREO計画による撮像から、金星の周囲にダストの輪が存在することが明らかに。2つの際立った密度に別れており、一つは金星の外側、もう一つは内側に位置している。
Constraints on the Late Holocene Anthropogenic Contribution to the Atmospheric Methane Budget
大気中のメタン収支に対する後期完新世の人類の寄与の制約
Logan Mitchell, Ed Brook, James E. Lee, Christo Buizert, and Todd Sowers
産業革命以前の大気中メタン濃度の変動が人為起源の影響を含むものか、或いは自然変動だけであるかが長く議論されている。グリーンランドと南極から得られた高時間解像度のアイスコア記録から、濃度の差を求めた。モデルを用いて放出減を特定したところ、特に熱帯域からの放出量が大きく、次いで北半球の亜熱帯域から放出されていた。両方の寄与がなければうまく説明がつかないことが分かった。