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2016年10月4日火曜日

二枚貝の軟体部・殻への重金属の蓄積(Schöne & Krause Jr., 2016, GPC)

Retrospective environmental biomonitoring – Mussel Watch expanded
Bernd R. Schöne, Richard A. Krause Jr.
Global and Planetary Change 144, 228–251 (2016)
より。

二枚貝の軟体部・殻の微量元素・有機物分析を利用した環境汚染研究のレビュー。
これまで軟体部や殻の全岩分析が利用されてきたが、殻断面の成長方向に沿った分析が重要であることを強調。また、動物としての生理をよりよく理解することが殻の化学組成の理解に必須であることを指摘。

以下は個人的に重要だと思った項目についての各章ごとのメモ(手抜きした論文概説)。

〜〜〜

2. 成長線

・蝶番部に見られる凹凸構造は、貝殻の開閉の際に捻れることを防いでいる。

・殻は外層と内層に分かれる。外層と内層は見た目で判断できるが、結晶構造・有機物量・化学的にも異なっている。
殻が閉じると嫌気呼吸となり、酸性の代謝物が内層を溶かしている

・殻皮は貝をウイルス感染や溶解から守っている。さらに外敵へのカムフラージュの役割もある。

・殻の石灰化が起きる部位は海水からは隔離されている。石灰化の際、
Ca2+ + HCO3- = CaCO3 + H+
の反応によって石灰化部位が酸性的になるが、脱炭酸酵素(Carbonic unhydrase; CA)の働きで代謝産物のCO2がHCO3-に変換されるなどして過剰に酸性にならないように抑えられている
受動的なイオンチャネルによるイオン輸送だけでは石灰化に必要なイオンを補えないため、Ca2+ATPaseに代表される酵素が働いていると考えられる。
また様々な有機物(キチン・たんぱく質・脂質・ムコ多糖・グルコサミン)が石灰化に関与している
自然界では不安定な、アラゴナイトやバテライトといった結晶系の炭酸塩を貝は分泌している。
有機物以外にも各種微量元素が輸送され、殻に取り込まれている。以下の取り込みが考えられる。
(1)結晶表面への吸着(2)有機物に取り込まれている(3)結晶内でCa2+を置換(4)炭酸塩以外の結晶に取り込まれている

エキソサイトーシス(exocytosis)によって、小胞を通じて体内の異物を体外に除去する機能がある。毒物の蓄積・除去に重要な役割を負っていると考えられる。

・殻の形成周期は種ごとに様々ある。潮間帯の種は生息環境が浸水してる間により成長するため、小潮の潮位差が小さい時によく伸びる。逆に大潮では干出の時間が長くなり成長しにくくなる。

・年成長線にはS・Sr・Mg、有機物の濃集・欠乏が見られることがある。さらに微細結晶構造もより原始的になる。


3. 二枚貝の生理と生態

・ムール貝に比べ、カキは重金属を蓄積しやすい

・イシガイ科を例に挙げると、亜鉛はどの個体も同程度の濃度に保たれている一方で、カドミウムはサイトごとに異なる(水塊を反映する)。元素ごとに生物にとって必須/不要かがあるので、恒常性(ホメオスタシス)が強く表れる場合とそうでない場合がある。

金属またはその他汚染物質が組織から除去される速度(生物学的半減期)は種ごとに異なる。そういった特性を把握することが、殻の地球科学分析の結果の解釈にも重要(時間解像度の平均化の問題など)。

・外的要因(塩分・酸素濃度・水温)によっても元素の取り込みが変わることがある。
例えば低塩分ほどカドミウムやクロムの取り込みが多くなる一方、亜鉛にはそうした傾向が見られていない。その理由は貝の生理に関係したものや堆積物中の無機化学プロセス(元素の動態・反応性が変化する)に関係したものまで、様々ある。

・同じ二枚貝でも種によって微量金属元素の取り込み方は異なる。例えば、取り込んだ水銀の排出速度も種ごとに異なる。おそらく金属の取り込みのメカニズムに多様性があることが原因。貝殻へと除去する過程もあるかもしれない。


4. 重金属汚染

・軟体部に比べ、殻は保存が容易で環境中の微量元素を反映しやすいという利点がある一方、必ずしもすべての種の殻に環境の微量元素濃度が反映されるわけではない

・微量元素の濃度は年齢、微細構造でも異なる可能性があり、全岩分析(whole shell, bulk)によって標本間の比較を行う際などには解釈に注意が必要である。殻は常に同じ速度で形成されるわけではなく、ある時期のある時間に形成されるため、バイアスがかかっていることに注意が必要。

・遺跡から発掘された貝を利用して現在と過去の金属汚染を議論したい場合、埋没後の続生作用も考慮すべきである。

貝殻への微量元素の取り込みは殻の部位ごとに異なる。すなわち、成長速度が大きく影響していると思われる。生息密度は殻の形状に影響するので、重要な因子であると思われる。

・殻の鉛の経年変動を使った研究は、ガソリン利用の開始など人為起源の鉛汚染をうまく捉えている。コントロールサイトの設定、複数個体の分析などが必要。


5. 続生作用

・生物の死後あるいは存命中に殻の微量元素濃度が続生作用を被ることがある(ある元素の濃度が増加/減少する)。アラゴナイトのカルサイト化や間隙水からの二次カルサイトの沈殿などがある。
ラマン分光やSEM、XRDを使ってもともとの構造が保存されていることを確かめることが重要。

2013年8月19日月曜日

新着論文(GPC, QSR)

Global and Planetary Change
Intermittent sea–level acceleration
M. Olivieri , G. Spada
潮位計などの過去200年間の観測記録から、近年全球の海水準上昇が加速していることが示された(0.01 mm/yr2)。ゆっくりとした加速と、急激な変動との二つが確認された。こうしたイベントが19世紀後半から断続的に起きており、過去40年間により頻発化している。

Pleistocene and Holocene Glacier fluctuations upon the Kamchatka Peninsula
Iestyn D. Barr , Olga Solomina
ロシアのカムチャッカ半島の最終氷期以降の氷河の前進・後退の記録について。最終氷期にはより氷河が前進していたことを示すモレーンが堆積しているものの、年代は不明瞭である。LGM以降には小さな規模の氷河の前進期が見られる。完新世にはおおよそ6.8ka以前に現在の位置から8km氷河が前進していた(ただし、もっと古いものである可能性も棄却できない)。また小氷期にも氷河は前進していた。千年スケールの変動は北米氷床とアリューシャン・シベリア高気圧が、数十年スケールの変動はPDOが支配的であると思われる。

Quaternary Science Reviews
A Last Glacial Maximum through middle Holocene stalagmite record of coastal Western Australia climate
Rhawn F. Denniston , Yemane Asmerom , Matthew Lachniet , Victor J. Polyak , Pandora Hope , Ni An , Kristyn Rodzinyak , William F. Humphreys
オースオトラリア西部のRange岬で得られた鍾乳石δ18Oは過去27kaがから現在にかけての水気候を復元することが可能である。最終退氷期のHS1にもっとも低い値を示す。原因としては偏西風の位置の変化がもたらす水蒸気のソースの変化が考えられる。またインド-オーストラリア・モンスーンがもたらす水蒸気の変化もまた、ITCZの南下を通して大きな影響をもたらしたと思われる。しかし、HS2にはδ18Oのアノマリは確認されていない。またδ13Cの変動は植生・土壌・降水の変動で説明できそうである。

Durations and propagation patterns of ice sheet instability events
Johan Kleman , Patrick J. Applegate
温暖化によって西南極氷床が不安定化し、大規模に崩壊する危険性が危惧されているが、氷床不安定に関する我々の知見は不足している。北半球の氷床(ローレンタイド・フェノスカンジアン氷床)の過去の不安定イベントに対して、ファースト・オーダーでの経験的なアプローチを用いて、集水域の範囲とイベントの継続期間の関係性の評価を行った。西南極氷床のうち崩壊の危険度が大きいのは一部で、負のフィードバックによって他の地域での氷河流出は遅くなると期待される。Pine Island氷河とThwaites氷河の将来予測についても紹介。

○Quaternary International
Introduction to the Proceedings of the 25th Pacific Climate Workshop
Scott W. Starratt
東赤道太平洋と北米大陸性部の気候(ENSOなど)を議論するワークショップ( Pacific Climate Workshops; PACLIM)の紹介。2011年に25回目のミーティングを行い、政府の科学者・教育者・学生などが活発な議論を交わしている。

Quaternary glacial chronology of the Kanas River valley, Altai Mountains, China
Jingdong Zhao , Xiufeng Yin , Jonathan M. Harbor , Zhongping Lai , Shiyin Liu , Zhongqin Li
中央アジア・アルタイ山脈の過去200ka(MIS7以降)の氷河の前進・後退をOSL法を用いた氷河性堆積物の年代決定から評価。既往研究の放射性炭素・ESR・OSL年代やアイスコアのδ18Oなどと比較。

2013年6月23日日曜日

新着論文(GRL, GPC, GBC, EPSL, DSR1, JC)

GRL
A new constraint on global air-sea CO2 fluxes using bottle carbon data
Tristan P. Sasse, Ben I. McNeil, Gab Abramowitz
WOCEとCLIVARが集めた海洋の混合層のボトル海水のpCO2データ17,800点を用いて、各海域の大気海洋間のCO2フラックスを推定。南半球は北半球に比べて5倍ものCO2を吸収していることが分かった。海洋のCO2の吸収量は1.55 ± 0.32 PgC/yrと推定される。

Aragonite Saturation State Dynamics in a Coastal Upwelling Zone
Katherine E. Harris, Michael D. DeGrandpre, Burke Hales
沿岸湧昇域は湧昇する低いΩを持った海水の影響もあわさって、海洋酸性化の影響を特に受ける海域である。Oregon大陸棚に設置された自動観測器によって得られた2007〜20011年にかけてのpH、pCO2データを解析。表層水のΩargは0.66〜3.9まで変動していた。春や秋には生物活動もあわさってΩargは1.0〜4.0と変動。春には淡水流入の影響でΩargはさらに低下した。冬はわりと単純に水塊の混合だけで説明されると思われる。

Recent warming at Summit, Greenland: Global context and implications
Daniel McGrath, William Colgan, Nicolas Bayou, Atsuhiro Muto, Konrad Steffen
グリーンランド頂上部の気温は1982-2011年にかけて年間0.09 ± 0.01 ℃で上昇しており、世界平均の6倍の速度である。平衡線の高度(elevation of the equilibrium line)と乾燥雪線(dry snow line)はそれぞれ44、35 m/yrで上昇した。2025年までに50%の確率で乾燥雪線が水が染み出る地帯(percolation facies)へと変化すると予想される。

Abyssal connections of Antarctic Bottom Water in a Southern Ocean State Estimate
Erik Sebille, Paul Spence, Matthew R. Mazloff, Matthew H. England, Stephen R. Rintoul, Oleg A. Saenko
南極底層水(AABW)は南極周辺の限られた海域で生成されるが、それぞれに異なった温度塩分を持つ。AABWはその後亜熱帯域の海底へと広がってゆくが、それぞれのAABWが31ºSに達する前に合併すると考えられる。その際にAABWの70%は南極を少なくとも一周することから、南極周回流が重要な役割を持っていると思われる。従ってその十年〜百年規模の変動はAABWの輸送に大きく影響すると思われる。

Sensitivity of the oceanic carbon reservoir to tropical surface wind stress variations
N. N. Ridder, K. J. Meissner, M. H. England
熱帯域のウォーカー循環が海洋炭素循環に与える影響をモデルシミュレーションから評価。貿易風を10%、20%、30%増加/弱化させたところ、赤道偏東風が強いときには全球の海洋の炭素吸収量が減少した。逆に貿易風が弱いときには吸収量は増加した。非線形関係には生物ポンプの変化が重要な役割を負っている。

Rapid loss of firn pore space accelerates 21st century Greenland mass loss
J. H. van Angelen, J. T. M. Lenaerts, M. R. van den Broeke, X. Fettweis, E. Meijgaard
南極氷床における近年の質量損失の大半は氷河流出量の増大が担っている。一方でグリーンランド氷床のそれの55%は表面融解が担っていると思われる。しかし表面で融解した水の40%は再び凝結すると考えられている。モデルシミュレーションから、RCP4.5シナリオの下では、21世紀末にはフィルンの間隙が減少することで、再凝結の緩衝作用が減少することが示された。その結果、グリーンランド氷床の融解量が増大し、21世紀末における海水準上昇への寄与は現在の4倍になると推定される(年間1.7 ± 0.5 mm)。

GPC
Has the Northern Hemisphere been warming or cooling during the boreal winter of the last few decades?
Juan C. Jiménez-Muñoz, José A. Sobrino, Cristian Mattar
IPCCの報告書によると北半球の冬の気温は上昇していると言われるが、実際には広い範囲でここ最近の寒冷化が報告されたりもしている。いくつかのデータセットを用いて過去30年間北半球の冬の温度変化を再評価したところ、ほぼ平衡〜弱い温暖化の傾向が見られた。グリーンランドだけは例外的に広範囲で有為な温暖化が確認された。

GBC
Winners and losers: Ecological and biogeochemical changes in a warming ocean
S. Dutkiewicz, J. R. Scott, M. J. Follows
生態系モデルと地球システムモデルを組み合わせて、将来の温暖化が光合成植物プランクトンコミュニティーに与える影響を評価。直接効果(温度変化が代謝に与える影響)と間接効果(微量栄養塩の供給・光環境の変化)のバランスによって決まると思われる。全球平均的には釣り合っているものの、地域的には複雑に両者の強弱が生物生産を制御している。植物プランクトンの中でも勝者と敗者が生まれると思われる。温暖化した世界で何が起きるかの中で最も確実な予測は、植物プランクトンの組成の変化が起きるということである。

EPSL
The “MIS 11 paradox” and ocean circulation: Role of millennial scale events
Natalia Vázquez Riveiros, Claire Waelbroeck, Luke Skinner, Jean-Claude Duplessy, Jerry F. McManus, Evgenia S. Kandiano, Henning A. Bauch
氷期から間氷期へと移行するターミネーション(ⅠとⅤに着目)の際の氷床の最後の挙動を北・南大西洋の堆積物コア中のIRDから復元。ターミネーションⅤ(MIS11への移行期)には最終退氷期のHS1よりも強く・長く続くハインリッヒ・イベントがあり、さらにバイポーラー・シーソーも確認された。大きなハインリッヒ・イベントはより多くの氷床崩壊によって、より長い継続期間はAMOCがより長く停滞していたことが原因と思われる。その後のAMOCのオーバーシュートがMIS11が現在の間氷期よりも温暖であったことの説明になるかもしれない。

Riverine silicon isotope variations in glaciated basaltic terrains: Implications for the Si delivery to the ocean over glacial–interglacial intervals
S. Opfergelt, K.W. Burton, P.A.E. Pogge von Strandmann, S.R. Gislason, A.N. Halliday
海洋一次生産は主に珪藻が担っており、それは河川からのケイ素の供給量によってコントロールされている。河川水のδ30Si測定から、玄武岩の集水域を流れる河川と直接氷河から海へと流れ込む河川とでSiの量とδ30Siの値が異なることが示された。南大洋の堆積物コアのδ30Siを再評価してみたところ、もし氷期-間氷期スケールで海水のδ30Siが変化していたとすると、少なからず影響していたと思われる。δ30Siからより厳密なケイ酸の利用効率の復元を行う際には考慮すべきである。

DSR1
From circumpolar deep water to the glacial meltwater plume on the eastern Amundsen Shelf
Y. Nakayama, M. Schröder, H.H. Hellmer
Pine Island棚氷からの淡水フラックスは1990年代以降増加しており、氷床力学・海水準・周辺の水塊特性に影響している。融解の原因は下から暖かい水(CDW)が谷底を通って貫入していることと考えられている。2010年の航海データをもとに、CDWが貫入する経路・棚氷の融解量・融水のその後を調査した。2010年の融解量は30mと推定され、先行研究の報告値とも整合的である。2000年の記録と比較すると、CDWがより暖かく、より厚くなっており、より貫入が強化されていると思われる。

Journal of Climate
Twentieth-Century Oceanic Carbon Uptake and Storage in CESM1(BGC)
Matthew C. Long, Keith Lindsay, Synte Peacock, J. Keith Moore, Scott C. Doney
地球システムモデル(CESM1)を用いて海洋のCO2フラックスをシミュレーションしたところ、観測との非常に良い対応が確認された。しかし南大洋のものは大きな食い違いが見られ、特に亜南極帯と海氷帯で顕著だった。人為起源CO2の取り込みは南半球における水塊形成に大きく支配されているが、それがモデルでうまく再現できていないことでCantとCFCの大きなバイアスが特に中層水で生まれている。

2013年6月17日月曜日

新着論文(EPSL, QSR, PALAEO3, GPC, MG)

◎EPSL
Deglaciation in the tropical Indian Ocean driven by interplay between the regional monsoon and global teleconnections
Rajeev Saraswat , David W. Lea , Rajiv Nigam , Andreas Mackensen , Dinesh K. Naik
氷期においては北大西洋への気候フォーシングがモンスーンにも影響したと考えられており、特にハインリッヒ・イベント時にはモンスーンは弱化したことが中国の鍾乳石から考えられている。しかしモデル研究からはアジア・モンスーンよりもインド・モンスーンへの影響が大きかったことが示されている。アラビア海の南東部から得られた堆積物コアの浮遊性有孔虫Mg/Ca、Ba/Ca、δ18Oから過去30kaの表層環境を復元。LGMは2.7±0.5℃寒かったと考えられる。最終退氷期の温暖化は18.6kaから始まり、大気中CO2濃度の上昇よりも1,000年ほど早い。復元されたδ18Oswと中国鍾乳石δ18Oの良い相関は、降水のδ18Oが両地域で同じように変化していたことを示唆している。

High-resolution δ13Ccarb chemostratigraphy from latest Guadalupian through earliest Triassic in South China and Iran
Shu-zhong Shen , Chang-qun Cao , Hua Zhang , Samuel A. Bowring , Charles M. Henderson , Jonathan L. Payne , Vladimir I. Davydov , Bo Chen , Dong-xun Yuan , Yi-chun Zhang , Wei Wang , Quan-feng Zheng
ペルム紀の終わりには大きな炭素循環への擾乱があり、大量絶滅が起きていたことが知られている。南中国・イランの地層から過去のテチス海のδ13Cを復元したところ、大きなδ13Cの低下が2回確認された。メカニズムはまだ不明だが、彼らの年代モデルはコノドントの生層序を利用している高時間解像度のものであるため、層序を繋ぐのにタイ・ポイントとして使える可能性がある。

◎QSR
Environmental variability in the monsoon–westerlies transition zone during the last 1200 years: lake sediment analyses from central Mongolia and supra–regional synthesis
Fang Tian , Ulrike Herzschuh , Anne Dallmeyer , Qinghai Xu , Steffen Mischke , Boris K. Biskaborn
モンゴル中央部のKhuisiin湖で得られた堆積物コアを用いて過去1,200年間の植生・気候変動を復元。寒冷・湿潤なAD1380-1830は小氷期に対応していると思われる。AD1500年以降の湿度変動はローカルにもばらつき、モンスーンと偏西風が複雑に関連していると思われる。

Cold-water coral carbonate mounds as unique palaeo-archives: the Plio-Pleistocene Challenger Mound record (NE Atlantic)
M. Thierens , E. Browning , H. Pirlet , M.-F. Loutre , B. Dorschel , V.A.I. Huvenne , J. Titschack , C. Colin , A. Foubert , A.J. Wheeler
 IODP307で掘削された北東大西洋の炭酸塩マウンド(イギリスの南西に位置するChallenger Mound、主に冷水サンゴで構成される)から、更新世初期の環境変動を復元。同時に含まれる有孔虫・珪藻・石灰質ナノ化石からも環境情報が得られる。
 形成が始まったのはPliocene後期で(>2.74Ma)、更新世の中期〜後期から現在にかけて衰退しつつある。冷水サンゴの成長は主に表層の生物生産性によって支配されている(氷床の伸長など)。

Late Pleistocene glacial stratigraphy of the Kumara-Moana region, West Coast of South Island, New Zealand
Timothy T. Barrows , Peter Almond , Robert Rose , L. Keith Fifield , Stephanie C. Mills , Stephen G. Tims
ニュージーランド南島の山岳部の30ka以降のTaramakau氷河の拡大を10Be・36Cl、火山灰年代を用いて決定。

Geochemical and isotopic tracers of Arctic sea ice sources and export with special attention to the Younger Dryas interval
Claude Hillaire-Marcel , Jenny Maccali , Christelle Not , André Poirier
北極海の海洋堆積物中のSr, Nd, IRDを用いてLGM以降の古環境(特にYDに着目)を復元。YDにBeaufort Seaの海氷形成量が増加し、Fram Straitを介して北大西洋へ輸送されたと考えられる。B/Aには海氷が流動せずに固結しており、堆積が中断されていた(ハイエタス)。YDには’Mackenzie route’でローレンタイド氷床からの融水が北極海に流れ込んだことが同位体の急激な変化から示唆される。YDにおけるAMOCの減少は北極海からの淡水・海氷輸送が重要な役割を負っていたと考えられる。

Chronology and climatic implications of Late Quaternary glaciations in the Goriganga valley, central Himalaya, India
S. Nawaz Ali , R.H. Biswas , A.D. Shukla , N. Juyal
チベット平原のGoriganga valleyにおける過去80kaの氷河の伸長について。インド・モンスーンよりも偏西風や気温が氷河の伸長をコントロールしている?

Glaciation style and the geomorphological record: evidence for Younger Dryas glaciers in the eastern Lake District, northwest England
Derek McDougall
イギリス北西部(District湖東部)の氷河がYDに再度拡大した可能性を巡る議論について。

Is the 20th century warming unprecedented in the Siberian north?
Olga V. Sidorova , Matthias Saurer , Andrei Andreev , Diedrich Fritzsche , Thomas Opel , Mukhtar M. Naurzbaev , Rolf Siegwolf
タミール東部の永久凍土地域で得られた、中期完新世(4111-3806 BC)と中世温暖期(917-1150 AD)の木(Larix gmelinii Rupr.)の年輪とδ13C・δ18Oから近年のシベリア地域の温暖化が前例がないものかどうかを評価。中期完新世の気温は現在と同程度に暖かかったことが分かった。周辺の他の古環境指標(湖堆積物、アイスコア)とも整合的だという。

What do SST proxies really tell us? A high-resolution multiproxy (UK′37, TEXH86 and foraminifera δ18O) study in the Gulf of Taranto, central Mediterranean Sea
Anna-Lena Grauel , Arne Leider , Marie-Louise S. Goudeau , Inigo A. Müller , Stefano M. Bernasconi , Kai-Uwe Hinrichs , Gert J. de Lange , Karin A.F. Zonneveld , Gerard J.M. Versteegh
地中海中央部(イタリア半島の南部、Gulf of Taranto)で採取された堆積物コアの過去600年分の部分を用いて、アルケノン、TEX86、浮遊性有孔虫δ18O・δ13Cを測定。アルケノン古水温は主として冬〜春の温度を反映しているものの、他にも河川流入による栄養塩にも影響される。TEX86古水温は夏の貧栄養状態の水温を反映しているが、沿岸部の記録はよく分からない変動を示す。δ18Oも水温・塩分・栄養塩利用のすべてに影響されている。

◎PALAEO3
Bonneville basin shoreline records of large lake during Marine Isotope Stage 3 and the Last Glacial Maximum
Shizuo Nishizawa , Donald R. Currey , Andrea Brunelle , Dorothy Sack
アメリカ北西部のBonneville basinに見られる過去の湖の堆積構造を用いてLGMとMIS3の湖水位変動とそれをもたらした気候変動を復元。北半球全球の気候変動と同期して変動していたと考えられる。

Regional calibration of coral-based climate reconstructions from Palau, West Pacific Warm Pool (WPWP)
Michael C. Osborne , Robert B. Dunbar , David A. Mucciarone , Joan-Albert Sanchez-Cabeza , Ellen Druffel
パラオで得られたハマサンゴδ18Oと1950-2008年の観測記録とを比較し、キャリブレーションを試みた。温度よりもむしろ塩分が支配的な変動要因であった。複数のサンゴ記録を平均化することでより相関が良くなることが分かった。また強いエルニーニョも捉えられている。さらに過去50年間にパラオ周辺の水循環が強化されていることも分かった。

◎GPC
Provenance and supply of Fe-enriched terrigenous sediments in the western equatorial Pacific and their relation to precipitation variations during the late Quaternary
Jiawang Wu , Zhifei Liu , Chao Zhou
パプアニューギニアの東沖で採取された過去380kaの鉄に富んだ陸源堆積物記録のXRFを用いた地球化学分析結果について。歳差周期が卓越し、ITCZの南北移動に伴う降水量変動が原因と考えられる。また沿岸潜流(New Guinea Coastal Undercurrent; NGCUC)の変動の寄与も考えられる。

Geochemistry and peatland infill characterizations of Rano Aroi (Easter Island) as indicators of long-term wetland environmental evolution
Olga Margalef , Núria Cañellas-Boltà , Sergi Pla-Rabes , Santiago Giralt , Juan Jose Pueyo , Hans Joosten , Valentí Rull , Teresa Buchaca , Armand Hernández , Blas L. Valero-Garcés , Ana Moreno , Alberto Sáez
南太平洋に位置するイースター島の湿地の堆積物(Rano Aroi mire; Rapa Nui)全有機炭素・主要元素濃度・δ13C・岩相・生物遺骸などから過去70kaの古環境を復元。イースター島のものとしては最古の環境記録らしい。MIS2とMIS3には古水位が低く、堆積後にCaやFeが濃集している。MIS2には低温のために泥炭の生産量は低下していた。その後、生産量は17.5kaに増大し、完新世後期には再び低下していた。SPCZ・偏西風・亜熱帯高気圧の変動が降水量変動に影響していたと考えられる。

Potential role of giant marine diatoms in sequestration of atmospheric CO2 during the Last Glacial Maximum: δ13C evidence from laminated Ethmodiscus rex mats in tropical West Pacific
Zhifang Xiong , Tiegang Li , Xavier Crosta , Thomas Algeo , Fengming Chang , Bin Zhai
フィリピン海で得られた堆積物中の過去31.0-19.5kaの大型珪藻の有機物δ13C記録について。δ13Cから表層水のpCO2を復元したところ、LGMにおいてはフィリピン海の東部は弱いCO2のシンクとなっており、成層化と生物生産性が強化されていたと思われる。大型珪藻はLGMにおけるCO2の濃度低下に寄与していたと思われ、'silicic acid leakage hypothesis'というよりはむしろ、風成塵によるシリカの供給によって珪藻の生物生産が強化されたという、'silicon-induced alkalinity pump hypothesis'仮説を提唱。

◎Marine Geology
Ocean acidification trend in the tropical North Pacific since the mid-20th century reconstructed from a coral archive
Ryuichi Shinjo , Ryuji Asami , Kuo-Fang Huang , Chen-Feng You , Yasufumi Iryu
グアムのハマサンゴの過去50年間のδ11Bを一年スケールで分析し、近年の海洋酸性化を復元。およそ0.39‰(pHに換算して0.05-0.08)の減少が見られ、GBRの先行研究と整合的。

◎Q. International
Changes in biogenic opal productivity with Milankovitch cycles during the last 1.3 Ma at IODP Expedition 323 Sites U1341, U1343, and U1345 in the Bering Sea
Yoshiyuki Kanematsu , Kozo Takahashi , Sunghan Kim , Hirofumi Asahi , Boo-Keun Khim
ベーリング海のIODP堆積物記録3本の生物源オパールフラックスから過去1.3Maの表層環境変動を復元。堆積物それぞれの陸源物質の寄与率は沿岸部からの距離に応じて変動。それぞれの堆積物の記録を周期解析したところ、異なる周期が出てきた。非常にローカルな環境変動(水循環の変化など?)が大きく影響していると思われる。

2013年4月14日日曜日

新着論文(GPC, CG, GCA, EPSL)

Global and Planetary Change
☆Volume 104, Pages 1-74, May 2013
A 400-year tree-ring δ18O chronology for the southeastern Tibetan Plateau: Implications for inferring variations of the regional hydroclimate
Xiaohong Liu, Xiaomin Zeng, Steven W. Leavitt, Wenzhi Wang, Wenling An, Guobao Xu, Weizhen Sun, Yu Wang, Dahe Qin, Jiawen Ren
チベット平原から得られた木の年輪に沿った過去400年間のδ18O記録。温度、日照時間との相関が確認された。さらに夏の雲被覆量、相対湿度、降水量とも負の相関が確認された。地域的な水気候の指標だけでなく、夏モンスーンの指標にもなるかもしれない。ヒマラヤから得られているアイスコアのδ18Oともよく対応しているという。

Revisiting the Indian summer monsoon–ENSO links in the IPCC AR4 projections: A cautionary outlook 
Mathew Roxy, Nitin Patil, K. Aparna, Karumuri Ashok
IPCC AR4に採用された複数のモデル(20C3M)のうち、4分の1しかENSOもどきを再現できていない。さらにそのうちの2つしかENSOとENSOもどきの両方を再現できていない。現行のモデルではモンスーンやENSOの変動を捉えきれていない。将来の温室効果ガス・エアロゾルによる気候変化の予測精度を向上するためにも、モデルを改善する必要がある。

Chemical Geology 
☆Volume 343,  Pages 1-110, 8 April 2013
No discernible effect of Mg2+ ions on the equilibrium oxygen isotope fractionation in the CO2–H2O system
Joji Uchikawa, Richard E. Zeebe
BaCO3の無機沈殿実験から、水-炭酸塩におけるδ18Oの同位体分別を評価。Mg2+イオンの濃度は同位体分別にほとんど影響しないことが示された。つまり、淡水に対して決定された同位体分別係数が海水にも適用できることを示唆している。

Coupling between suboxic condition in sediments of the western Bay of Bengal and southwest monsoon intensification: A geochemical study
J.N. Pattan, Ishfaq Ahmad Mir, G. Parthiban, Supriya G. Karapurkar, V.M. Matta, P.D. Naidu, S.W.A. Naqvi
ベンガル湾から採取された堆積物コアの過去45kaにわたる地球化学的分析の結果について。9.5ka頃に貧酸素の状態が起き、モリブデンやジルコニウムが濃集。北半球の夏の日射量増大に伴う夏モンスーンの強化が原因と考えられる。一次生産は増加していないため、陸源物質の輸送量が増加した結果、低層に有機物が多くもたらされ分解されたことが貧酸素の原因?さらに、δ15NにはD/Oイベントやハインリッヒ・イベントなどとも対応が見られる。

Geochimica et Cosmochimica Acta 
☆Volume 109,  Pages 1-414, 15 May 2013
Determination of low-level mercury in coralline aragonite by calcination-isotope dilution-inductively coupled plasma-mass spectrometry and its application to Diploria specimens from Castle Harbour, Bermuda
Carl H. Lamborg, Gretchen Swarr, Konrad Hughen, Ross J. Jones, Scot Birdwhistell, Kathryn Furby, Sujata A. Murty, Nancy Prouty, Chun-Mao Tseng
新たなサンゴ骨格中のHg測定法を紹介。バミューダで採取された脳サンゴ(Diploria labyrinthiformis)に対して1949年から2008年にかけてのHgの変動を復元したところ、長期的な減少傾向が見られた。港における産業廃棄物の投棄などの影響は特に見られなかった。

Reactivity of neodymium carriers in deep sea sediments: Implications for boundary exchange and paleoceanography
David J. Wilson, Alexander M. Piotrowski, Albert Galy, Josephine A. Clegg
深層水のNd同位体が過去の風化速度や海洋循環の指標として使用されているが、固相-液相間の交換についてはよく分かっていないことが多い。堆積物のリーチング実験から同位体への影響を評価。

Calibrating the glycerol dialkyl glycerol tetraether temperature signal in speleothems 
Alison J. Blyth, Stefan Schouten
世界中から得られた鍾乳石のGDGTが気温の指標になるかどうかを評価。TEX86、MBT/CBTともに気温との相関が確認された(それぞれ、2.3℃、2.7℃の精度で気温を復元可能)。解決すべき課題は多いが、陸域の気温指標として有望かも?

Organic carbon export from the Greenland ice sheet
Maya P. Bhatia, Sarah B. Das, Li Xu, Matthew A. Charette, Jemma L. Wadham, Elizabeth B. Kujawinski
グリーンランド氷床から海へと運ばれる溶存+粒子状有機物の炭素同位体(δ13C+Δ14C)を測定。輸送されるDOCは北極圏の小さい河川に匹敵するほど、POCは北極圏の大きな河川に匹敵するほどの量であることが分かった。DOCのΔ14Cは時間変動を示したが、POCは示さなかった。異なるメカニズムによってコントロールされていると考えられる。

☆Volume 108,  Pages 1-202, 1 May 2013
Calibration and application of the ‘clumped isotope’ thermometer to foraminifera for high-resolution climate reconstructions
Anna-Lena Grauel, Thomas W. Schmid, Bin Hu, Caterina Bergami, Lucilla Capotondi, Liping Zhou, Stefano M. Bernasconi
古気候学研究において温度プロキシの開発は極めて重要であり、生体効果を受けないとされるclumped isotopeには大きな期待が寄せられている。幅広い温度(2-28℃)に生息する浮遊性・底性有孔虫に対して行われた測定結果をもとに、温度復元の不確実性および不確実性をもたらすメカニズムを考察。地中海で得られた堆積物コアのG. ruberに対する測定結果はここ700年でも大きくばらつき、正しい温度を得るには数多くの結果を平均化する必要がある。現在のところ、大きな温度変化に対しては適用可能だが、小さな変化にはまだ技術開発が必要かもしれない。

Earth and Planetary Science Letters
☆Volume 368, 15 April 2013, Pages 20-32 
Rapid changes in meridional advection of Southern Ocean intermediate waters to the tropical Pacific during the last 30 kyr    
L.D. Pena, S.L. Goldstein, S.R. Hemming, K.M. Jones, E. Calvo, C. Pelejero, I. Cacho
氷期間氷期の気候変動において南大洋のプロセスが大きく寄与していたと考えられている。特に、SAMW/AAIWを介した高緯度から低緯度へのパス(oceanic tunnelling)も高緯度のシグナルを低緯度に伝播する上で重要だったと考えられている。しかし最終退氷期のパスについては証拠が断片的でよく分かっていないことが多い。東赤道太平洋から得られた堆積物コア中のN. dutertreiの殻のεNdからEUCの水のもとになった水を調査したところ、最終退氷期の寒い時期(H0, H1, H2, LGM)によりSAMW/AAIWが強まっていたことが示唆される。南大洋で湧昇した氷期の古い深層水は、低緯度へと伝播したと考えられる。

2013年3月11日月曜日

新着論文(GPC, GCA, QSR)

Global and Planetary Change
☆Volume 102, Pages 1-66, March 2013
Assessment of potential suspended sediment yield in Japan in the 21st century with reference to the general circulation model climate change scenarios
Goro Mouri, Valentin Golosov, Sergey Chalov, Satoshi Takizawa, Kumiko Oguma, Kei Yoshimura, Michiharu Shiiba, Tomoharu Hori, Taikan Oki
気候モデルを用いて、21世紀の気候変動によって日本の河川によって運ばれる懸濁粒子の量がどのように変化するかを予測。特に9月の台風などのイベントで多くの堆積物が流出。社会と環境の両方に影響を与えると考えられる。

☆Volume 101
Milankovitch tuning of deep-sea records: Implications for maximum rates of change of sea level
Wolfgang H. Berger
堆積物コアの底性有孔虫殻δ18Oを用いて第四紀のミランコビッチ周期と海水準との関係を評価。過去の融氷は一般に100年間に1.2mの早さで起きていた。海水準上昇は基本的には高緯度氷床の融氷の正のフィードバックとして寄与していた。

Geochimica et Cosmochimica Acta 
☆Volume 107,  Pages 1-344, 15 April 2013
Micron-scale intrashell oxygen isotope variation in cultured planktic foraminifers
Lael Vetter, Reinhard Kozdon, Claudia I. Mora, Stephen M. Eggins, John W. Valley, Bärbel Hönisch, Howard J. Spero
人工的にδ18OとBaを変化させた海水と通常の海水とを12時間ごとに変え、O. universaを飼育した。LA-ICPMSでBaの変化する位置を特定し、さらにSIMSでδ18Oを測定した(±0.6‰, 2σ)。殻のδ18O変動は予測と良く一致した(±1.1‰)。

Quaternary Science Reviews
☆Volume 67
Cave ice – the imminent loss of untapped mid-latitude cryospheric palaeoenvironmental archives
Zoltán Kern, Aurel Persoiu
洞窟内の氷が世界中で融解の危機にさらされている。これらのアーカイブは中緯度域の古気候研究(同位体・微量元素・花粉など)に一部供しているが、多くが未使用のまま失われようとしている。氷がなくなる前に研究を進める必要がある。日本の富士風洞も紹介。

Identification and correlation of visible tephras in the Lake Suigetsu SG06 sedimentary archive, Japan: chronostratigraphic markers for synchronising of east Asian/west Pacific palaeoclimatic records across the last 150 ka
Victoria C. Smith, Richard A. Staff, Simon P.E. Blockley, Christopher Bronk Ramsey, Takeshi Nakagawa, Darren F. Mark, Keiji Takemura, Toru Danhara, Suigetsu 2006 Project Members
水月湖の堆積物中の日本と韓国を起源とする火山灰とその堆積年代を高精度に特定。これにより、過去150kaにわたって他の堆積物に高精度に年代を与えることが可能になる。

Warm climate isotopic simulations: what do we learn about interglacial signals in Greenland ice cores?
Louise C. Sime, Camille Risi, Julia C. Tindall, Jesper Sjolte, Eric W. Wolff, Valérie Masson-Delmotte, Emilie Capron
グリーンランド氷床アイスコアに記録された、最終間氷期の際のδ18Oの3‰もの上昇はうまく説明ができていなかった。温室効果ガスがグリーンランド周辺の海水温復元結果などを組み込んだモデルシミュレーションから、降水の変化というよりはむしろ、周辺の海氷後退や海水温の上昇などで説明が可能であることが示された。

2013年2月10日日曜日

新着論文(EPSL, QSR, GPC, Ncom)

◎EPSL
Seasonally resolved diatom δ18O records from the West Antarctica Peninsula over the last deglaciation
George E.A. Swann, Jennifer Pike, Andrea M. Snelling, Melanie J. Leng, Maria C. Williams
南極半島の近くから得られた堆積物コア中の個々の珪藻δ18Oから季節ごと(特に夏と春)の環境復元。最終退氷期に季節差が大きくなる時期があることが分かり、氷河からの融水の流出増大と関連?

◎QSR
The Last Glacial Maximum at 44 S documented by a 10Be moraine chronology at Lake Ohau, Southern Alps of New Zealand
Aaron E. Putnam, Joerg M. Schaefer, George H. Denton, David J.A. Barrell, Sean D. Birkel, Bjørn G. Andersen, Michael R. Kaplan, Robert C. Finkel, Roseanne Schwartz, Alice M. Doughty
ニュージーランドのLGMにおける氷河の位置を10Beを用いて決定。また雪線高度から気温も推定。LGMには雪線高度は920m下がっており、気温は6.25℃低かったと推定される。また18-13kaの間に雪線高度/気温が520m/3.6℃上昇したと考えられる。

Extensive recession of Cordillera Darwin glaciers in southernmost South America during Heinrich Stadial 1
Brenda L. Hall, Charles T. Porter, George H. Denton, Thomas V. Lowell, Gordon R.M. Bromley
南米パタゴニアのCordillera Darwin氷河の後退のタイミングについて。HS1には南米の南部とニュージーランドで同時に氷河の後退が起きており、南大洋の海洋物理や大気中CO2の上昇とリンクしていると考えられる。

◎GPC
When did modern rates of sea-level rise start?
W. Roland Gehrels, Philip L. Woodworth
潮位計からだけでは人為起源の海水準の上昇を特定することは難しい。北米・オーストラリア・ニュージーランドの潮位計の記録とプロキシを用いたより長い時間(〜完新世)の記録との比較から、人為起源の海水準上昇率とその開始時期を推定。おおよそ「1925年」から影響が出始めていた。地域ごとに見られるわずかな違いはどこの氷が融けたかに依存するため、グリーンランドと北極周辺の氷が特に融けていることが示唆される。

The phase relation between atmospheric carbon dioxide and global temperature
Ole Humlum, Kjell Stordahl, Jan-Erik Solheim
アイスコアの記録によると、千年〜百年スケールでは大気中CO2濃度は気温の上昇に遅れて上昇していたことが知られているが、もし現在の温暖化が人為起源のCO2であれば逆にCO2が先に上昇しているはずである。8つのデータセットを使って評価を行ったところ、「CO2の変化が気温の変化に9.5-12ヶ月遅れていること」が示された。1980年以降、大気中のCO2濃度の変動は人間活動と言うよりもむしろ南半球の温度が主に支配していると考えられる。

◎Nature Communications
Climate change patterns in Amazonia and biodiversity
Hai Cheng, Ashish Sinha, Francisco W. Cruz, Xianfeng Wang, R. Lawrence Edwards, Fernando M. d’Horta, Camila C. Ribas, Mathias Vuille, Lowell D. Stott and Augusto S. Auler
アマゾンで得られた鍾乳石δ18Oから過去250kaの降水を復元。軌道スケールではアマゾンの東西で準ダイポール状の降水の変動が見られる。最終氷期には西は降水量が比較的増加するが、一方で東は極端に減少していた。そのため、水気候が大きく変化したことで東側の生物多様性も減少していたと考えられる。

Caribbean-wide decline in carbonate production threatens coral reef growth
Chris T. Perry, Gary N. Murphy, Paul S. Kench, Scott G. Smithers, Evan N. Edinger, Robert S. Steneck and Peter J. Mumby
全球規模でサンゴ礁の健康悪化が報告されており、サンゴの石灰化量の低下は生態系の悪化だけでなく最終的には礁そのものの浸食につながると考えられる。カリブ海の19のサンゴ礁について石灰化量や浸食を調査したところ、完新世に比べて近年は大きく石灰化量が低下していることが示された。サンゴ被覆が10%を下回れば石灰化量が浸食に打ち負けると考えられる。

2013年1月15日火曜日

新着論文(最近のELSEVIER色々)

◎Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
The Suess effect in Fiji coral δ13C and its potential as a tracer of anthropogenic CO2 uptake
Emilie P. Dassié, Gavin M. Lemley, Braddock K. Linsley
大気中CO2が海水のDICに溶け込むことでδ13Cが変化するが、特に人為起源のCO2(化石燃料由来は軽いδ13Cを持つ)がDICのδ13Cをより軽くする効果(Suess効果)が知られている。フィジーで得られたハマサンゴを用いてSuess効果を復元。季節変動は日射量の変化が原因として考えられるが、100年スケールの変動は日射量では説明できない。可能性として深度の変化がδ13Cに影響している可能性が考えられ、本来の大気のδ13Cのシグナルが減衰している可能性がある。また大気のδ13CO2に比べて、サンゴ骨格のδ13C変動は10年程度遅れており、DICの大気CO2の同位体平衡の従来のモデルとも整合的である。

Calcareous plankton and geochemistry from the ODP site 1209B in the NW Pacific Ocean (Shatsky Rise): New data to interpret calcite dissolution and paleoproductivity changes of the last 450 ka
Manuela Bordiga, Luc Beaufort, Miriam Cobianchi, Claudia Lupi, Nicoletta Mancin, Valeria Luciani, Nicola Pelosi, Mario Sprovieri
北西太平洋(日本の東部)のシャツキー海台(Shatsky Rise)で得られた堆積物コア(ODP1209B)を用いて過去450kaの石灰質化石の溶解の度合いや一時生産量を推定。Marino et al. (2009)によって得られた指標(NDI)が最もよく溶解を保存していると考えられる。それによると退氷期に最も良く保存状態が良いことが示された。逆に保存状態が悪いのは氷期の入りと暖かい間氷期に起きていた。保存状態を決定しているのは海洋化学の氷期-間氷期スケールの変動であると考えられる。

◎Earth and Planetary Science Letters
Growth-rate influences on coral climate proxies tested by a multiple colony culture experiment
Erika Hayashi, Atsushi Suzuki, Takashi Nakamura, Akihiro Iwase, Toyoho Ishimura, Akira Iguchi, Kazuhiko Sakai, Takashi Okai, Mayuri Inoue, Daisuke Araoka, Shohei Murayama, Hodaka Kawahata
Porites australiensisの長期間にわたる飼育実験から、いわゆる生体効果や成長量などがδ18O、δ13C、Se/Caに与える影響を評価。成長率が2 - 10 mm/yrと変化してもδ18Oの最低値(つまり夏の高水温)の個体間変動は見られなかったが、一方で群体の健康状態(ストレスなど)に応じてδ18O変動が存在することが確認された。Sr/Caにはその影響が小さく、より確かな水温指標になることが示唆される。またδ13Cは成長率が小さいサンゴ個体ほど正にシフトしており、石灰化における速度論的同位体効果として捉えることができる。

◎Geochimica et Cosmochimica Acta
Micron-scale intrashell oxygen isotope variation in cultured planktic foraminifers
Lael Vetter, Reinhard Kozdon, Claudia I. Mora, Stephen M. Eggins, John W. Valley, Bärbel Hönisch, Howard J. Spero
温度一定で飼育した浮遊性有孔虫(Orbulina universa)の殻δ18Oを12時間の時間解像度でSIMSで現場測定。さらに同じ殻をLA-ICPMSでもδ18Oを測定したところ、測定手法間の差異はほとんど見られなかった。

Fluoride in non-symbiotic coral associated with seawater carbonate
Kentaro Tanaka, Tomonori Ono, Yoshimi Fujioka, Shigeru Ohde
日本の土佐湾の深さ185-350mから採取された扇状のサンゴ(Flabellum coral)のF/Caは水深とともに増加する。F/Caは[CO32-]の指標として使える可能性がある。

Exploring the usability of isotopically anomalous oxygen in bones and teeth as paleo-CO2-barometer
Andreas Pack, Alexander Gehler, Annette Süssenberger
陸上ほ乳類の骨格アパタイト(歯のエナメルなど)中の3つの酸素同位体が過去のpCO2のプロキシになるかを評価。EoceneからMioceneにかけて復元を行ったところ、既存の他の復元結果やモデルとも整合的。新たなプロキシの不確実性の大部分は生理学的な要素。

◎Deep Sea Research Part II
Interannual variability in sea surface temperature and fCOchanges in the Cariaco Basin
Y.M. Astor, L. Lorenzoni, R. Thunell, R. Varela, F. Muller-Karger, L. Troccoli, G.T. Taylor, M.I. Scranton, E. Tappa, D. Rueda
カリアコ海盆(ベネズエラ沖)における1996年から2008年にかけてのSST・fCO2の長期モニタリングの成果。季節変動は深層水の湧昇によってもたらされている。また長期的にはSSTが13年間で「1.13 ℃」上昇しており、一方でfCO2も「1.77 ± 0.43 μatm/yr」の割合で上昇している。fCO2の温度依存性を考慮すると、カリアコ海盆におけるfCO2の上昇の72%は温度上昇によって起きていると推定される。一方カリアコ海盆では湧昇の弱化によって植物プランクトン種が変化しつつある。

Global and Planetary Change
Ocean's Response to Changing Climate: Clues from Variations in Carbonate Mineralogy Across the Permian–Triassic Boundary of the Shareza Section, Iran
Ezat Heydari, Nasser Arzani, Mohammad Safaei, Jamshid Hassanzadeh
イランのP/T境界の地層の調査から、当時の海洋炭酸系の変化を復元。ペルム紀の終わりには炭酸塩の形成が停止し、その後三畳紀の始めに再開していた。海水の化学変化は3つの段階に分けて考えることができる。

2012年11月19日月曜日

新着論文(GCA, EPSL, DSR1, GPC)

Geochimica et Cosmochimica Acta
Volume 95, Pages 1-286, 15 October 2012
The effect of carbonic anhydrase on the kinetics and equilibrium of the oxygen isotope exchange in the CO2–H2O system: Implications for δ18O vital effects in biogenic carbonates
Joji Uchikawa, Richard E. Zeebe
生物源炭酸塩のδ18Oが無機的な炭酸塩のδ18Oと比較して’軽い’こと(いわゆる生体効果)は「pH model」と「kinetic model」の2つのモデルによって検証されている。炭酸脱水素酵素:carbonic anhydrase (CA)の役割を評価するために、CAの濃度を変化させてcalciteの沈殿実験を行い、δ18Oを測定。CAの濃度は同位体平衡下では影響しない。

Volume 98,  Pages 1-294, 1 December 2012
Boron isotopes in different grain size fractions: Exploring past and present water–rock interactions from two soil profiles (Strengbach, Vosges Mountains)
D. Lemarchand, D. Cividini, M.-P. Turpault, F. Chabaux
フランスの土壌を深度に沿って採取し、δ11Bを測定することで初期熱水変質や土壌生成の程度を評価。土壌によって異なるδ11Bの深度分布が得られ、異なる土壌生成プロセスの結果と考えられる。粒度変化・鉛直拡散・鉱物の溶解と沈殿などがホウ素の土壌中の分布を決定しているらしい。


Earth and Planetary Science Letters
Volumes 355–356,  Pages 1-352, 15 November 2012
Riverine particulate material dissolution as a significant flux of strontium to the oceans
Morgan T. Jones, Christopher R. Pearce, Catherine Jeandel, Sigurður R. Gislason, Eydis S. Eiriksdottir, Vasileios Mavromatis, Eric H. Oelkers
海水中の87Sr/86Srの比は大陸風化(放射性Srの供給源)と海底熱水による変質(非放射性Srの供給源)の割合で決定されると考えられている。最近の研究で大陸風化の効果が3倍もの大きさで影響することが知られてきた。河川によって運搬される粒子状の放射性/非放射性Srが海へとかなりの量のSrを運搬していることが分かった。Srは河川を通じてかなり早く海に供給されており、地質学的な試料中の濃度や同位体の解釈に影響すると考えられる。

A deep Eastern Equatorial Pacific thermocline during the early Pliocene warm period
Heather L. Ford, A. Christina Ravelo, Steven Hovan
Pliocene初期には東赤道太平洋の湧昇域の表層水温は現在よりも高かったことが知られている。しかしこの時の温度躍層の時空間変動はあまり良くわかっていない。50-100m深に生息するGloborotalia tumidaの殻のMg/Caから温度躍層の水温変動を復元。Pliocene初期には約4〜5℃ほど高く、温度躍層は深くなっていたらしい。4.8-4.0Ma頃に急激に温度低下するが、パナマ海峡による制限が関係していると考えられる。その後南東貿易風が強化され、現在のような温度躍層が形成されている。赤道湧昇帯の変動が全球の大気海洋循環に影響し、温暖なPlioceneから寒冷なPleistoceneへと変移したと考えられる。


Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers
Volume 67,  Pages 1-132, September 2012
Impact of strong El Niño events (1997/98 and 2009/10) on sinking particle fluxes in the 10°N thermocline ridge area of the northeastern equatorial Pacific
Hyung Jeek Kim, Kiseong Hyeong, Chan Min Yoo, Boo Keun Khim, Kyeong Hong Kim, Ju Won Son, Jong Seong Kug, Jong Yeon Park, Dongseon Kim
1997/98と2009/10の2回のエルニーニョ時に中央赤道太平洋のやや北部(10ºN)における生物生産がどのように変化するかを調査。97/98エルニーニョ時には強化された湧昇によって有機物沈降量が2〜4倍に増加するものの、09/10エルニーニョ時には浮遊性有孔虫の沈降量は大きく増加するものの、有機物沈降量や生物源シリカのフラックスには変化がほとんどなかった。同じエルニーニョでも大気海洋の循環場が異なることが原因と考えられる。


Global and Planetary Change
Volumes 94–95,  Pages 1-110, August–September 2012
Sea-level rises at Heinrich stadials of early Marine Isotope Stage 3: Evidence of terrigenousn-alkane input in the southern South China Sea
Enqing Huang, Jun Tian
南シナ海で得られた堆積物コアを用いてMIS3における気候変動及び海水準変動を復元。ハインリッヒイベント時(HS6、HS5a、HS5)に浮遊性有孔虫δ18Oが大きく増加し(重い値に)、雨のδ18Oの増加(蒸発域と水蒸気輸送の変化?)and/orモンスーン性の降水の低下が考えられる。またアルケノンSSTも低下傾向にあり、特に冬期モンスーンの強化によって北から冷たい表層水がもたらされたことが原因と考えられる。また陸源のn-アルカンの量もハインリッヒイベント時に変化を示し、イベントの前半で増加/後半で減少する。これは海水準が下降/上昇した結果と解釈される。

Changes in depth-transect redox conditions spanning the end-Permian mass extinction and their impact on the marine extinction: Evidence from biomarkers and sulfur isotopes
Kunio Kaiho, Masahiro Oba, Yoshihiko Fukuda, Kosuke Ito, Shun Ariyoshi, Paul Gorjan, Yuqing Riu, Satoshi Takahashi, Zhong-Qiang Chen, Jinnan Tong, Satoshi Yamakita
テチス海の浅海に相当する地層(10、40、100、200m深)からバイオマーカーを抽出し、P/T境界における環境変動及び大量絶滅の原因を考察。酸素濃度が大きく変動し、最初の海洋表層の無酸素ののち70万年後に再度無酸素状態になっていたことが分かった。さらにパンサラッサ海中央部の堆積物の硫黄同位体は貧酸素状態であったことを物語っている。海洋中層・深層水中のH2Sの蓄積とその後の酸化分解に伴う酸素消費が無酸素の原因として考えられ、表層水の無酸素・海洋酸性化が大量絶滅の原因になったと考えられる。

2012年10月21日日曜日

新着論文(EPSL, GPC, MG, QSR)

※論文アラートより

A deep Eastern Equatorial Pacific thermocline during the early Pliocene warm period    
Earth and Planetary Science Letters, Volumes 355–356, 15 November 2012, Pages 152-161 
Heather L. Ford, A. Christina Ravelo, Steven Hovan
Pliocene初期には東赤道太平洋の湧昇域の表層水温は現在よりも高かったことが知られている。しかしこの時の温度躍層の時空間変動はあまり良くわかっていない。50-100m深に生息するGloborotalia tumidaの殻のMg/Caから温度躍層の水温変動を復元。Pliocene初期には約4〜5℃ほど高く、温度躍層は深くなっていたらしい。4.8-4.0Ma頃に急激に温度低下するが、パナマ海峡による制限が関係していると考えられる。その後南東貿易風が強化され、現在のような温度躍層が形成されている。赤道湧昇帯の変動が全球の大気海洋循環に影響し、温暖なPlioceneから寒冷なPleistoceneへと変移したと考えられる。

Evolution of the El Nino-Southern Oscillation in the Late Holocene and Insolation Driven Change in the Tropical Annual SST Cycle
Global and Planetary Change, Available online 13 October 2012, Pages 
Paul Loubere, Winifred Creamer, Jonathan Haas
南米の湖の記録は過去3,000年間に東赤道太平洋におけるエルニーニョの発生頻度が上昇していることを示唆している。ペルー中部の遺跡から発掘された砂浜に生息する貝の化石(Mesodesma donacium)から、過去のSSTの季節変動を復元。4.5-2.5kaにかけてSSTの季節変動が現在よりも大きくなっており、ENSOが強化されていた可能性が示唆される。日射量変動が原因か?

Glacial to Holocene changes in the surface and deep waters of the northeast Indian Ocean
Marine Geology, Available online 10 October 2012, Pages 
Syed M. Ahmad, Hongbo Zheng, Waseem Raza, Bin Zhou, Mahjoor A. Lone, Tabish Raza, Gorti Suseela
インド洋北東部(ベンガル湾)で採取された堆積物コア中の浮遊性有孔虫(G. ruber)と底性有孔虫(Cibicidoides spp.)の殻のδ18Oとδ13Cから過去60kaの表層・深層水の状態を復元。浮遊性有孔虫のδ18O変動のスペクトル解析を行ったところ、北大西洋のシグナルが検出された。また氷期の底層水にはNADWの影響が低下し、代わりに南大洋起源のSODWの影響が増していたことが示唆される。深層水の(底性有孔虫殻の)δ13Cの大きな変化は有機物酸化の影響か深層水の年代の変化が原因と考えられる。

Simulating atmospheric CO2, 13C and the marine carbon cycle during the Last Glacial–Interglacial cycle: possible role for a deepening of the mean remineralization depth and an increase in the oceanic nutrient inventory
Quaternary Science Reviews, Volume 56, 21 November 2012, Pages 46-68 
L. Menviel, F. Joos, S.P. Ritz
EMICs(Bern3D)を用いて氷期-間氷期スケールの大気中CO2濃度の変動をシミュレーション。80-100ppmの変動の3分の1(30ppm)は「温度」「塩分」「AMOCの変動」「鉄肥沃」「陸域炭素リザーバーの変化」で説明ができる。海洋のリン酸の保存量が10%変化するだけで間氷期から氷期にかけて50ppmほどCO2濃度を低下させることが可能だが、逆に氷期から間氷期にかけては5ppmしか寄与しない。このメカニズムは氷期のexport productionやδ13CO2をうまく説明できる。有機物粒子が酸化分解される深度が深くなると深層水の[CO32-]が大きく増加、またexport productionが変化してしまい、間接指標とは符合しなくなる。氷期には堆積物との相互作用がpCO2の低下には重要だったと考えられる。

2012年9月14日金曜日

新着論文(EPSL, GPC, PALAEO3ほか)

EPSL, GPC, PALAEO3, Quaternary International, Journal of Experimental Marine Biology and Ecology
※論文アラートより

Marine and terrestrial environmental changes in NW Europe preceding carbon release at the Paleocene–Eocene transition
Sev Kender, Michael H. Stephenson, James B. Riding, Melanie J. Leng, Robert W.O’B Knox, Victoria L. Peck, Christopher P. Kendrick, Michael A. Ellis, Christopher H. Vane, Rachel Jamieson
Earth and Planetary Science Letters, Volumes 353–354, 1 November 2012, Pages 108-120 
北海周辺のPETMにおける環境変化はよく分かっていない。Kilda海盆はPETMのきっかけとなった炭素放出(海底火山が活発化し、それまで海底化に保存されていたメタンハイドレートを不安定化させ、大気に温室効果ガスをもたらし、δ13Cの負のエクスカージョンを起こしたとする説)が起きた地点の候補の一つであり、この地点の炭素放出を明らかにすることは重要である。PETMに1,000年ほど先立って海洋の塩分成層が強まり、陸源物質の堆積が増加するのは「マグマ貫入によるテクトニクス的な変化」か「陸域の水循環の変化」のどちらかと解釈される。またPETMの始まりには海洋の成層化(低塩分のcystの増加)が強化され、陸源物質も増加するが、海水準の増加と併せて考えると、PETMの温暖化によって北西ヨーロッパの降水量が増加し、河川流入が増加した結果と考えられる。またPETMを境に花粉や胞子の組成が激変しており、植生も大幅に変わったと考えられる。
Kender et al. (2012)を改変。
PETMにおけるd13C、塩分成層の強さ、陸域の浸食速度の変化。

Variation of the winter monsoon in South China Sea over the past 183 years: Evidence from oxygen isotopes in coral 
Shaohua Song, Zicheng Peng, Weijian Zhou, Weiguo Liu, Yi Liu, Tegu Chen
Global and Planetary Change, Available online 11 September 2012, Pages (Accepted Manuscript)
南シナ海のXisha島で得られたハマサンゴ(P. lutea)のδ18Oを用いて過去183年間の冬モンスーンの風速を経験的に復元。1961年から2000年までの40年間の風速データとサンゴδ18Oを用いて経験的な線形の関係式を作成している。風速は3つの段階に分けられるという。風速の低下はEl Ninoとの対応が良いという。
Song et al. (2012)を改変。ハマサンゴから復元された南シナ海の風速の変動。

Ocean acidification and warming decrease calcification in the crustose coralline alga Hydrolithon onkodes and increase susceptibility to grazing
Maggie D. Johnson, Robert C. Carpenter
Journal of Experimental Marine Biology and Ecology, Volumes 434–435, 1 December 2012, Pages 94-101 (Accepted Manuscript)
温暖化と海洋酸性化がサンゴ礁生態系に負の影響を与えることが予測されているが、カサブタ状の石灰藻(crustose coralline algae; CCA)に与える影響はよく分かっていない。CCAは海洋酸性化に対して脆弱な種の一つである。21日間にわたる酸性化実験で、石灰藻の重要種の一つHydrolithon onkodesが酸性化された海水下でどういった影響が出るのかや(重量変化など)、ウニ(Echinothrix diadema)の補食のされやすさがどう変化するかを調査。常温・低pCO2(高pH)に比べて、高温・高pCO2(低pH)の海水における実験の方がウニの補食が増加した。こうした海洋酸性化に対する生態的なカスケード構造の影響が評価されたのは初めてであるという。

Improving coral-base paleoclimate reconstructions by replicating 350 years of coral Sr/Ca variations 
Kristine DeLong, Terrence M. Quinn, Frederick W. Taylor, Chuan-Chou Shen, Ke Lin
Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, Available online 10 September 2012, Pages (Accepted Manuscript)
ニューカレドニアのAmédée島で得られた2本のハマサンゴ(P. lutea)のSr/Caを測定し、過去250年間の古水温を復元。年代は高精度の230Th測定も用いて更正している。最大成長軸方向に沿った2本の平行したサンプリングの再現性は非常に良く、Sr/Caで0.021mmol/molで、これは温度にして0.39℃相当である。間違ったサンプリングパスの採用は温度にして-2.45℃〜+2.30℃のバイアスを生む可能性がある。ハマサンゴ個体の縦と横のコアでは有意な差は見られなかった。

Resolving Varve and Radiocarbon Chronology Differences during the last 2,000 years in the Santa Barbara Basin Sedimentary Record, California
Ingrid L. Hendy, L. Dunn, A. Schimmelmann, D.K. Pak
Quaternary International, Available online 7 September 2012, Pages (Accepted Manuscript)
カリフォルニア・サンタバーバラ海盆(Santa Barbara Basin; SBB)から得られた年縞堆積物は古気候において重要な記録であるが、年縞のカウントと放射性炭素年代によって独立した年代モデルが作成されている。しかしながら、これらは過去2,000年間において年代モデルが食い違っている。「海洋リザーバー年代:641±119年が現在も昔も成り立つのか」、「年縞数えは正しい精度でなされているのか」に着目し、検証を行った。ローカルリザーバー(ΔR)は80-350年の間で変動しており、一定でないことを示唆している。また数え落としもAD150-AD1700にあることが分かり、いくつかの縞は必ずしも1年刻みでないことを物語っている。こうした状況は河川流入量の低下・冬期の嵐の頻度が低下したことで、シリカ鉱物に富んだ岩屑の供給量が低下したことで生じたと考えられる。
Hnedy et al. (2012)を改変。
サンタバーバラ海盆から得られた堆積物中の陸源炭素試料と浮遊性有孔虫のミックスの14C年代と、INTCAL, MARINE09曲線との対比。

2012年7月8日日曜日

新着論文(GPC)

Global and Planetary Change
Volumes 92–93, Pages 1-286 (July 2012)

Estimate of calcification responses to thermal and freshening stresses based on culture experiments with symbiotic and aposymbiotic primary polyps of a coral, Acropora digitifera
Mayuri Inoue, Kotaro Shinmen, Hodaka Kawahata, Takashi Nakamura, Yasuaki Tanaka, Aki Kato, Chuya Shinzato, Akira Iguchi, Hironobu Kan, Atsushi Suzuki, Kazuhiko Sakai
Acropora digitiferaのポリプ(褐虫藻を持つものと持たないもの)を異なる温度(27, 29, 31, 33℃)・塩分(26, 28, 30, 32, 34‰)で飼育し、石灰化に対する影響を評価。温度に対する閾値が29-31℃付近に存在し、白化が起きる。また一方で塩分増加とともに成長率は増加。温暖化はポリプの段階でサンゴと褐虫藻との関係性を悪化させることが分かった。また淡水化もまた石灰化に影響することが分かった。

Possible changes in the characteristics of Indian Summer Monsoon under warmer climate
P. Parth Sarthi, S.K. Dash, Ashu Mamgain
インドモンスーンはアラビア海とアジア大陸の熱の違いと大気循環によって駆動されているため、これらの定性的・定量的な理解が将来のモンスーン予測にとっても重要である。 IPCC AR4の際に用いられた気候モデル(MIROC含む)を用いてモンスーン性の降水を予測。降水が東部と西部で増えるものと逆に減るものが見られた。

Changes in the frequencies of northeast monsoon rainy days in the global warming
C.V. Naidu, G.Ch. Satyanarayana, K. Durgalakshmi, L. Malleswara Rao, G. Jeevana Mounika, A. Dharma Raju
インドの1951-2008年において得られた降水のデータと風の東西分布のデータをもとに、温暖化前(1951-1969年)と温暖化後(1970-2008年)に分けて解析を行ったところ、特に温暖化後に北東モンスーンの時期のインド半島の降水が強化されており、降水がない日数が減少していることが分かった。

Annual ice volume changes 1976–2008 for the New Zealand Southern Alps
T. Chinn, B.B. Fitzharris, A. Willsman, M.J. Salinger
ニュージーランドの南部の山岳地帯には1977年から現在にかけて3,000個もの山岳の雪線をモニタリングした記録が充実している。全体の傾向を見積もるための一つの手法は雪線の変化を氷河量の変化に置き換える方法で、もう一つの手法は12個の比較的大きな氷河の変化を代表値として見なす方法である。氷河の量は54.5から45.1km2へと減少したらしい。うち71%は先の12個の代表的な氷河の減少。

Increased rainfall remarkably freshens estuarine and coastal waters on the Pacific coast of Panama: Magnitude and likely effects on upwelling and nutrient supply
Ivan Valiela, Luis Camilli, Thomas Stone, Anne Giblin, John Crusius, Sophia Fox, Coralie Barth-Jensen, Rita Oliveira Monteiro, Jane Tucker, Paulina Martinetto, Carolynn Harris
東赤道太平洋のパナマ湾においては2010年に前例をみないほどの降水によって表層水の淡水化が起きた。陸からの大量の淡水流入に伴いマングローブが根こそぎひっくり返されたり、ラニーニャに匹敵する栄養塩が供給されたらしい。将来の熱帯域のアナログになるか。生態系や生物地球化学的な循環も変化する模様。

The relative age of mountain permafrost — estimation of Holocene permafrost limits in Norway
Karianne S. Lilleøren, Bernd Etzelmüller, Thomas V. Schuler, Kjersti Gisnås, Ole Humlum
スカンジナビアの永久凍土では掘削孔を用いて孔内温度のモニタリングなどが充実してきたが、例えばHoloceneを通しての永久凍土の変化についてはほとんど知られていない。高度が高い地域の永久凍土は退氷期から存在し続けているが、低い地域はHoloceneの温度極大期には一度後退していたことが分かった。最も寒く、永久凍土が拡大していたのは小氷期の時代だったと考えられる。
Lilleoren et al. (2012)を改変。完新世の温度極大期と小氷期の寒冷化が顕著に現れている。

A short-term climate oscillation during the Holsteinian interglacial (MIS 11c): An analogy to the 8.2 ka climatic event?
Andreas Koutsodendris, Jörg Pross, Ulrich C. Müller, Achim Brauer, William J. Fletcher, Norbert Kühl, Emiliya Kirilova, Florence T.M. Verhagen, Andreas Lücke, André F. Lotter
ドイツ北部(Koutsodendris)の湖の年縞堆積物の花粉分析からHolsteinian間氷期(MIS11、二つ前の間氷期)の環境を復元。“Older Holsteinian Oscillation” (OHO)と名付けられた220年間継続する気候変動が見られた。また花粉だけでなく湖に生息していた珪藻のd18Oにも変動が見られた。OHOはヨーロッパ各地で認識されており、寒冷化と乾燥化が特徴らしい。偏西風の影響の低下とシベリア高気圧の影響力増大が原因?8.2kaイベントと非常に類似している。原因は北大西洋高緯度域への淡水流入によるAMOCの弱化か。間氷期においては一般的な現象だった?また夏の日射量の増加が先行して起きており、日射量がカギになっていた可能性がある。
Koutsudendris et al. (2012)を改変。OHOの概念図。


2012年3月31日土曜日

新着論文(GPC)

Global and Planetary Change
Volumes 80–81, Pages 1-272 (January 2012)
Sea level projections to AD2500 with a new generation of climate change scenarios
S. Jevrejeva, J.C. Moore, A. Grinsted
将来の地球温暖化に伴う海水準変動をモデルシミュレーションから予測。2100年までに0.57-1.10m上昇。2100年以降温室効果ガスの寄与がなくなったとしても2500年までに1.84-5.89m上昇。海水準の変化は応答が遅いため、地球工学(geo-engineering)なしには、数世紀の間は上昇速度が20世紀のレベルに戻らないと考えられる。
Disturbances with hiatuses in high-latitude coral reef growth during the Holocene: Correlation with millennial-scale global climate change
Nozomu Hamanaka, Hironobu Kan, Yusuke Yokoyama, Takehiro Okamoto, Yosuke Nakashima, Toshio Kawana完新世における千年スケールの気候変動と、鹿児島県子宝島のサンゴ礁形成との関連を調査。気候擾乱の際に、サンゴ礁形成が停止したり、種組成の変化が見られた。完新世中期に見られた3度の不整合は、北大西洋の擾乱がアジアモンスーンに(+黒潮に)影響した結果と考えることができる。


North Atlantic Deep Water and Antarctic Bottom Water variability during the last 200 ka recorded in an abyssal sediment core off South Africa
S. Krueger, D.C. Leuschner, W. Ehrmann, G. Schmiedl, A. Mackensen 
Agulhas海盆から得られた堆積物コアの底性有孔虫(F. wuellerstorfi)の殻の酸素・炭素同位体、K/C比、粒度分析から過去20万年間の深層水の状態を復元。NADWの寄与は間氷期で強化され、氷期で弱化。一方AABWは2つのモード(Polynya mode⇄Ice shelf mode)があり複雑に変化。T1、T2、MIS3/4境界において特にAABWの形成速度が弱化し、原因は氷床融解による淡水供給が淡水キャップを形成し、密度が低下したことがメカニズムとして考えられる。

Volumes 82–83, Pages 1-128 (February 2012)
Volumes 84–85, Pages 1-84 (March 2012)
特になし

2012年3月6日火曜日

新着論文(GPC)

Global and Planetary Change
Volume 79, Issues 3–4, Pages 157-322 (December 2011)

Reconstructing North Atlantic deglacial surface hydrography and its link to the Atlantic overturning circulation
David J.R. Thornalley, Harry Elderfield, I. Nick McCave
北大西洋の堆積物コアのG. bulloides、G. inflata、N. Pacyderma殻のMg/Ca、δ18Oから最終氷期から現在にかけての熱史・水循環史を復元。H1とYDに淡水化。海氷の形成、河川流入の変化、brineの形成など様々な影響あり。


Modelling abrupt glacial North Atlantic freshening: Rates of change and their implications for Heinrich events
Grant R. Bigg, Richard C. Levine, Clare L. Green
氷期に起きたハインリッヒイベントは北大西洋への氷山(淡水)流入を指し、AMOCの弱化を招いたと考えられている。EMICsを用いてハインリッヒイベントを再現し、メカニズムを考察。H1とH2はローレンタイド氷床、H3はフェノスカンジアン氷床起源と考えられる。


Sea-level probability for the last deglaciation: A statistical analysis of far-field records 
J.D. Stanford, R. Hemingway, E.J. Rohling, P.G. Challenor, M. Medina-Elizalde, A.J. Lester
最終退氷期には代表的な融氷(海水準上昇)イベントが2回起こった。1つ目はMWP-1aで500年間に20m上昇したと考えられているが、時期がまだはっきりしていない(B/Aの前?Older Dryasの始まり?)。MWP-1bは存在したかどうかが今なお議論されている。これまでの6つのfar fieldの記録を統計処理することで確度の高い海水準変動曲線を復元。MWP-1aはB/Aと同じタイミング(〜14.6ka)、MWP-1bはYDの終わり頃(〜11.3ka)に起こったと考えられる。



Quantifying rates of change in ocean conditions with implications for timing of sea level change
S.J.A. Jung, D. Kroon
北大西洋とインド洋の底性有孔虫のδ18Oを比較することで、氷期の千年スケールの変動を議論。それぞれAABWとGAAIWが大きな変動要因で、ともに南大洋起源であることを示唆。AMOCの熱輸送システムにおいてGAAIWが重要な働きを負っていたと考えられる(bi-polar seesawの一環として両極間の熱輸送に寄与)。底性有孔虫δ18Oからもハインリッヒイベント時の海水準の上昇が見られた。


North Atlantic reservoir ages linked to high Younger Dryas atmospheric radiocarbon concentrations
William E.N. Austin, Richard J. Telford, Ulysses S. Ninnemann, Louise Brown, Lindsay J. Wilson, David P. Small, Charlotte L. Bryant
15ka以降大気Δ14Cに最も大きな変動が見られたのはYDの頃であるが、その原因はまだ不確かなままである。北大西洋の堆積物コアからΔR(見かけのリザーバー年代)を復元。YDにΔRが1000年に増加し、YDが終わると現在の400年へと戻った。AMOCの強弱とventilation ageとの間に強いリンクがあると考えられる。



Holocene temperature evolution of the subpolar North Atlantic recorded in the Mg/Ca ratios of surface and thermocline dwelling planktonic foraminifers
Elizabeth J. Farmer, Mark R. Chapman, Julian E. Andrews
北大西洋から得られた堆積物コアからG. bulloides(表層)とG. inflata(温度躍層)を拾い出し、Mg/Caとd18O分析。4ka以降表層と温度躍層の温度差が大きくなる。数十年、数百年スケールの変動はどちらにも記録されている。

Deep water flow speed and surface ocean changes in the subtropical North Atlantic during the last deglaciation 
I.R. Hall, H.K. Evans, D.J.R. Thornalley

堆積物コアの陸源シルトの粒径から最終退氷期の亜赤道大西洋深層水の流速を復元。

The 8200 yr BP cold event in stable isotope records from the North Atlantic region
Timothy J. Daley, Elizabeth R. Thomas, Jonathan A. Holmes, F. Alayne Street-Perrott, Mark R. Chapman, Julia C. Tindall, Paul J. Valdes, Neil J. Loader, James D. Marshall, Eric W. Wolff, Philip J. Hopley, Tim Atkinson, Keith E. Barber, Elizabeth H. Fisher, Iain Robertson, Paul D.M. Hughes, C. Neil Roberts
8.2kaの北大西洋の寒冷化イベントについて、北大西洋周辺の陸域の記録をまとめ、さらにモデルシミュレーションからメカニズムを考察。モデルは現実よりも短く8.2kaイベントを再現。融氷水の注入と海氷の形成が複雑に関与しているらしい。


Modeling the 8.2 ka event using a coupled atmosphere–ocean GCM    
Julia C. Tindall, Paul J. Valdes    
8.2kaイベントをモデルで再現。やはり継続期間が短くなった。継続時間は淡水ばらまき実験開始時のAMOCの初期状態に依存するらしい。




2012年2月23日木曜日

ブログ開設。新着論文紹介リスト

初投稿。
周囲の友人のmixi離れという裏事情もありつつ、アウトリーチの場としてブログを開始することを決意。
最近流行のFacebookは日記には向かず…mixiのつぶやきやtwitterは逆に短すぎて肝心の内容が薄くなってしまうので。

新着論文紹介もできる限り継続しようかと。横山研で持ち回りで担当している新着論文リスト全部を毎週やるのは無理なので、自分の研究に重要な雑誌に限って。

新着論文なんかは自分のためです。Nature, Scienceは広く面白い最新の科学を取り上げます。

新着論文紹介リストは以下の通り。適宜追加(削除?)予定。



◎Nature (Macmilian Publishers LTD.)