Global CO2 storage potential of self-sealing marine sedimentary strata
Jordan K. Eccles and Lincoln Pratson
大気中の二酸化炭素濃度を減らす地球工学の一つに’海底にCO2を注入し、圧力とハイドレート形成によってCO2を安定に固定する’技術がある。そうした候補になり得る海底の地層をマッピング。透過性の大きい砂の層が適しているという。1,260-28,500GtCを40-1,000年間保存するのに十分な量があるという。しかし候補地は排出国の経済水域の中でも不均質に分布している。特にアメリカとインドは経済水域から500km以内での排出はそれぞれ16%, 62%でしかなく、また中国とEUはそれぞれ6%しかない(国土のほとんどが内陸のため)。
Eccles et al. (2012)を改変。 世界のCO2固定に適した堆積物が存在する海底のマップ。 |
Space-based observations of megacity carbon dioxide
Eric A. Kort, Christian Frankenberg, Charles E. Miller and Tom Oda
現在世界の人口は半分が都市部に集中しており、CO2排出も都市部が70%を担っている。人工衛星GOSATの観測データから巨大都市(ロサンゼルスとムンバイ)からの乾燥状態のCO2モル比を推定。ロスで周囲よりも3.2±1.5 ppmの上昇、ムンバイで2.4±1.2 ppmの上昇が確認された。ロサンゼルスの排出はGOSATからでも0.7 ppmの変化は捉えることが可能だと推定される。
A window for carbon uptake in the southern subtropical Indian Ocean
Vinu Valsala, Shamil Maksyutov and Raghu Murtugudde
インド洋における海洋表層のCO2の収支について。15-35ºSはアルカリポンプによって吸収源、35-50ºSはアルカリポンプ+生物ポンプによって吸収源となっている。人為起源のCO2は沈み込みが深部まで起き、北部へと輸送されている結果と考えられる。
Drivers of non-Redfield nutrient utilization in the Atlantic sector of the Southern Ocean
Isabelle S. Giddy, Sebastiaan Swart and Alessandro Tagliabue
植物プランクトンのC/N/Pががレッドフィールド比に必ずしも従わないことの説明として2つの仮説がある。
1、生物はそれぞれ異なるN/P比を持っているが、実際には時空間的な変動を平均化すことでそれがキャンセルされている
2、生物は環境のN/P比に応じて成長戦略を取ってきたが、現在の環境下ではおおよそ16/1になっている
南大洋の大西洋セクターで海洋表層水の硝酸とリン酸の濃度を調査。地域的な変動が大きい。南大洋の栄養塩利用は低緯度の栄養塩濃度にも影響するため、駆動しているメカニズムの理解は地球生物化学的にも重要。
Observed and simulated changes in the Southern Hemisphere surface westerly wind-stress
N. C. Swart and J. C. Fyfe
南半球の偏西風帯の変動は全球の海洋循環と炭素循環にも影響を与えるほど重要である。過去1979-2010年の南半球の偏西風中心の位置と強度について、再解析データとCMIP3とCMIP5のデータとを比較。モデルは強度を低く見積もっている。位置の変動については夏の位置は明確に変化しているものの、年平均の位置の傾向は認められなかった。
Upper ocean manifestations of a reducing meridional overturning circulation
M. D. Thomas, A. M. de Boer, D. P. Stevens and H. L. Johnson
ほとんどの気候モデルが21世紀におけるAMOCの弱化を予測している。高空間解像度の気候モデル(HiGEM)を用いてAMOCの将来100年間の変動を予測。深層水の南向きの輸送速度は5.3Sv低下すると予想される。一方で表層の西岸境界流による北向きの輸送も低下すると考えられる(8.7Sv)。また亜熱帯渦も風応カールの低下によって3.4Sv低下すると予想される。