私の現在の所属でもある、大気海洋研究所・国際沿岸海洋研究センターのある大槌のすぐ北にある湾です。
週の半ば以降は荒天に見舞われ、2日間だけの調査でしたが、その2日間の天候・海況は素晴らしかったです。
気温は朝方は氷点下まで下がりましたが、昼間は10〜15度程度で、水温も表層から20m深まで13度と一定でした。
今回も前回の調査(2015年9月)に引き続き、スミキン採泥と水中コアリングを行いました。
スミキン採泥器 |
得られた堆積物をふるい、生物を採取します |
上の写真は9月の調査のものですが、スミスマッキンタイアー採泥器なるものを用いて表層の堆積物を採取し、その中に棲んでいる底生生物を調べます。
棘皮動物(ウニ)、二枚貝、多毛類、ユムシなどが採取され、地点間の違いや季節変動などが調べられます。
また、潜水調査では堆積物を1 m 近くコアリングしました。こちらは今回の調査の写真。透明度抜群です。
2人一組でコアを海底に打ち込みます |
栓をしないとコアが抜けません |
コアは人の手で船上に引き揚げます |
ちなみに得られたコアには生物擾乱の履歴や、2011年の東北沖地震によって生じた津波堆積物も含まれています。
今回初めてドライスーツに身を包んでの潜水でしたが、水中で激しく運動したせいもあり思ったほど水温の冷たさを感じず、たいへん快適でした。
またこの湾は外洋に面しており荒れることが多いらしいのですが、この日の透明度は15m近くあり、海底の様子も詳細に観察することができました。
ちなみに9月の調査は透明度30cmくらいの過酷なものでした(苦笑)
この海域の水温は年明けには数度まで下がり、その時期の調査はさすがにしんどいということですが、これまで20度を下回る海でほとんど潜ったことがないので、もう少し低い水温も体験してもいいかな、と思った次第でした。
ちなみに私が現在研究に使用しているビノスガイ(Mercenaria stimpsoni)という二枚貝も同海域において採取されたものです。
貝の殻がどのように成長しているのかを研究しているところですが、こうやって実際に潜ってみることで、貝の気持ちに浸ることができます。論文の議論もより深まることでしょう!
以下のタイトルでエルゼビア社のPALAEO3という雑誌に間も無く投稿します。
Annual shell growth pattern and its environmental control in the Stimpson’s hard clam Mercenaria stimpsoni as revealed by sclerochronological and oxygen stable isotope measurements
成長線解析と酸素安定同位体測定によって明らかになるビノスガイ(Mercenaria stimpsoni)の年間殻成長パターンと環境学的制御要因