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2015年6月1日月曜日

「海底ごりごり地球史発掘」(須藤斎, 2011年)

海底ごりごり地球史発掘
須藤斎
PHPサイエンス・ワールド新書

名古屋大学の須藤さんの著書。
自分自身IODPに初めて乗船することもあり、何か予習しておかなければと思っていた折、たまたま図書館の特設ページにて本書を見つけた。

中を覗いてみるとIODPの乗船体験について事細かに書かれている!ということで迷わずレンタル。

IODPにおける2ヶ月に渡るジョイデス・レゾリューションでの船内生活の様子をはじめとして、
堆積物コアとはなんぞや、
海外から見た日本人・異文化交流、
外国人とのコミュニケーションとその大切さ、
研究を支えてくれる人たちへの感謝・畏敬の念
など、多くの話題が堅苦しくない「ふつうの」研究者の視点から語られる。




IODPに対しては日本からも多額の税金が投入され、さまざまな科学的課題の下で世界各地で海底の掘削が行われている。
岩石化したものを採取することもあるし、表層に溜まった固化していない泥を採取することもある(古気候学としてはこうした泥が主要なターゲット)。

海底掘削とはなんぞや?という方に是非一読をお勧めしたい。今後IODPに乗る可能性のある科学者・大学院生はとりあえず読んでおいて損はないと思う。
こうした身近な報告をもとに乗船の可否を考えるのも一案かも?

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ここから先は個人的な感想とIODP乗船(2016年2-3月の南アフリカ航海)に向けての意思表明。
本のレビューという意図とは少し外れるのであしからず。


筆者自身、「英語でのコミュニケーションは得意でない」と述べているが、自分自身も英会話にはそれほど自信がないため、少しだけ勇気付けられた。
2ヶ月の幽閉生活の中でどれほど上達できるか…一見無駄な世間話も積極的に行い、科学的な議論以外の英語コミュニケーション能力も身に付けたい。

IODPでは複数のサイトにおいて掘削が行われ、科学者は12時間のシフト制で24時間体制で掘削されたコアの解析を行う。
移動にどれほど時間を費やすかは航海によりマチマチ。もちろん海の荒れ具合(船酔いの程度)も。
12時間シフトといいつつ、それ以外の残業などを含めると、実際にはもっと密な時間となるらしい。ふだん定時で生活している自分が果たしてその仕事リズムに直ちに適応できるのか。。不安だらけである。

船内にはジムや娯楽室も備え付けられている。先日のジョイデス・レゾリューション乗船体験の際には見ることはできなかったが。

ただでさえストレスの溜まる船内生活。運動不足と過度の食事から来る激太りだけは避けたいところ(コックは東南アジア系の出稼ぎの方が勤めているらしく、日本人にとってはご飯が美味しいらしい!)。

掘削された海底のコアはさまざまな分析項目にわたってルーチンで作業が行われる。科学者一人一人に役割が課せられ、奴隷船研究調査船として最新の設備が整っている。
専門的な分析は下船後、各研究室で行うが、船内でも数多くの分析を行うことができる。
コアの色・残留磁気・孔内観測・間隙水・地質学的記載・岩質観察・珪藻や有孔虫の同定・微生物培養etc

ちなみに私自身は「堆積学者」としてコアの記載を担当する予定。
掘削され、反割された堆積物の断面を観察し、どんな堆積物で構成され、どんな物理的変形を被り、直感的にどんな堆積環境で・何が堆積したのかをまずはじめに考える係、といったところ。
堆積学は自分の専門分野でもなく、乗船前から不安ばかりであるが、どの研究者よりも長くサンプルに触れられ、さらにもっとも最初に解釈を考えられるという利点をプラスに捉えたい。