地球の「過去」「現在」「未来」の気候変動・環境問題などを書き綴ります。人為的気候変化への適応・緩和が緊急性を帯びている昨今、人間活動の影響がない地質時代の古気候・古海洋研究もまた多くの知見を提供しています。
2022年1月1日土曜日
2021年振り返り
2021年4月2日金曜日
窪田研究室2年目
コロナと子育てに翻弄され、あれよあれよと過ごしていたらもう一年が経過してしまった。
国際学会も相次いでオンライン開催となり、海外渡航の機会は消滅。特にGoldschmidt@ハワイを楽しみにしていたので、ダメージが大きかった。
AWIで夏を過ごせればと思っていたが、それも叶わず。ドイツの研究機関は今も在宅勤務のところが多いらしい。
国内では、どれもオンライン開催だが、様々な学会で発表をする機会があった。
・地球化学会
・日本古生物学会
・微古生物学の有志の会
・クリタ水環境(研究優秀賞受賞記念講演)
Stay Homeの間に和文1報、英文2報の原稿を仕上げた。
最近英文1報の査読結果が送られてきて、Minor revisionだったので、2021年最初の論文となるのが確実で嬉しい(2020年は英文の主著論文がなかった)。
国際誌に掲載された共著論文は4報。ひとつはIODP Exp. 361次航海の成果でありNatureに掲載されたので、プレスリリースを行った。また、Academist journalにも記事を掲載していただいた。
| 六甲台から三宮方面を望む |
【研究】
2020年度は、基盤Bの初年度の研究費をフルに設備投資に充てた。ほとんど出張もなかったので、実験用の器具や消耗品が充実。
クリーン環境を整備するため、まずは部屋の掃除を徹底的に。途中から技術補佐員を雇用したので、ずいぶん楽に。いまは週1に居室や実験室の掃除をお願いしている。
居室1つ、ラボ2つに加え、学生部屋もできた。
今年度はwetラボの立ち上げがあるので、ホウ素ブランクがどれほどのものかチェックしないといけない。卓上のクリーンブースも導入予定。
年度末に予算が残っていたので、キャンペーンで安くなっていた、Direct-Q(Milli-Q)を導入。なんと50万以下。水道水から直接超純水を製造するというもの。
もともと同僚の先生のをお借りする予定だったが、キャンペーン様様。前任の先生の置き土産のMilli-Qは蒸留水から製造するものだけど、「かなり古いのでカートリッジも交換できない」と、業者の人。セールスための口上か。
| 念願のMilli-Q |
2020年度導入した機器類
・清掃用品一式(掃除機、床磨き機、空気清浄機)
・耐酸ホットプレート
・テフロンバイアル一式
・超純水製造機
・ふるい用の大型超音波洗浄機
・その他(プリンター、大型モニター、ホワイトボード、IT機器類)
【教育】
前任の先生が非常勤講師として2つの授業を受け持っていただいていたので、2020年度の授業のウェイトはそれほど大きくなかった。
ただし今年度からそれらを引き継ぐので、一気に大変になる。ここ1ヶ月授業スライドを作り続けているけど、まだ前期分しか終わっておらず。後期分の授業スライド作成は夏休みにやることになりそうだが、極力空き時間を利用して整備したいところ。
地学系の実習を同僚の地学系の先生と2人で分担しており、私は簡単な顕微鏡観察や巡検(塩屋の神戸層群観察)を行った。今年はそれらを基に、もう少し完成度を上げたいところ。
前期が学部三年生対象の少人数授業、後期が学部二年生対象の大人数授業(15-25人)。
地学なのでやはりフィールドに出たいということで、塩屋界隈の露頭探しに奔走した。やはりコンクリートで覆われているところが多く、なかなか見つけられなかった。良いとされる露頭はもう見られないところだったり、アクセスが悪かったり。ようやく見つけられたところに2回に分けて学部生を引率した(コロナ感染拡大の影響で少人数しか連れて行けなかった)。
他に、灘の宮水と地質をめぐる巡検を企画したが、こちらもコロナで流れてしまい、オンラインでICP-AES測定結果を解析するという味気ないものになってしまった。今年度は採水も含め、ちゃんとした巡検ができればと切に思う。
学部3年生が一名、窪田研究室を志望してくれた。三年生のうちは卒論研究は始まらないので、授業に出席するくらいしか活動はないけれど。
コロナ禍なのでこれといった催しもないので歯がゆい(というか、私自身の歓迎会もなかった)
12月に高大連携授業を経験。オンラインで現地に赴くことができず、高校生と触れ合う機会がなかったのが残念。
授業内容は「人為的気候変化問題」。感触は非常によく、また機会があったら受けたい。
学部1年生向けのオムニバス授業を引き受けることになったので、同じ内容(とはいえ授業時間2倍なので話を膨らませないといけない)を話す予定。自然環境論コース進学や、その先の研究室選びの参考になれば。
2021年3月10日水曜日
「地形と日本人〜私たちはどこに暮らしてきたか」
金田章裕
日経プレミアシリーズ
Amazonで色々と地学関係の教科書や書籍を漁っていた時に見かけた本書。ちょうど授業で地形(天井川や土砂災害、埋め立て)のことを扱う機会が増えてきたので、参考にと購入。
2020年10月23日金曜日
ドレーク海峡の深海サンゴが明らかにした最終氷期以降の南大洋の深層循環の姿(Li et al., 2020, Sci.Adv.)
Tao Li, Laura F. Robinson, Tianyu Chen, Xingchen T. Wang, Andrea Burke, James W. B. Rae, Albertine Pegrum-Haram, Timothy D. J. Knowles, Gaojun Li, Jun Chen, Hong Chin Ng, Maria Prokopenko, George H. Rowland, Ana Samperiz, Joseph A. Stewart, John Southon, Peter T. Spooner
Science Advances 16 Oct 2020: Vol. 6, no. 42, eabb380
南大洋ドレーク海峡で採取された深海サンゴのδ11B・Δ14C・δ15N分析から、最終退氷期の海洋炭素循環を復元。
氷期-間氷期スケールの大気中CO2濃度変動(この論文では最終退氷期に焦点)と海洋炭素循環との関係が議論の中心。
※この話題はこのブログでもよく取り上げているので科学的背景は割愛。
共著者に名を連ねる、A. Burke博士とL.F. Robinson博士が2012年のサイエンスで、同深海サンゴのU/Th分析・14C分析から最終退氷期の深層循環・炭素循環について議論しているが、この論文も同じくドレーク海峡の深海サンゴの分析の結果を報じている。
主要なプロキシは
・14C(海水の古さ)
・δ11B(海水pHプロキシ ※今回は測定しておらず、先行研究からの引用)
・δ15N(海洋表層の栄養塩利用効率のプロキシ ※今回は測定しておらず、先行研究からの引用)
14C分析のサンプル数が3倍程度になったのが特徴らしい。
δ15Nの分析結果は、Wang et al., 2017, PNASですでに報告済みだが、当時はすべての試料についてのU/Th分析がなされていなかった。結果的に一部の試料の年代は、他のU/Th年代・14C年代の両方が得られた試料を参考にして、14C年代からU/Th年代を推定していたらしい(reconnaissance time scale)。
すべての試料に対してU/Th年代によって高精度の年代軸が得られた結果、南極アイスコアとの対比もより楽になった。
SAMWやAAIWに相当する深度のサンゴから復元された海水の14C年代は、LGM時点で大気よりも1400年古かった。
一方、UCDWに相当する深度のサンゴから復元された海水の14C年代は、LGM時点で大気よりも2100年古かった(完新世は1200年古かった)。
最終退氷期を通じて、海水の古さが緩まっており、氷期に深層水に炭素が蓄えられていたことが大気中CO2濃度の低下の一要因であったという説と整合的。
同じ深海サンゴのδ11BはLGMに海水pHが低下しており、より多くの溶存炭素が深層水に存在したことと整合的。
また、δ15Nは海洋表層におけるより効率的な栄養塩利用(つまり生物一次生産)が存在し、より多くの炭素が表層から深層へ輸送(生物ポンプ)されていたことを示しており、上記の説と整合的。
最終退氷期には、深層水の14C年代の若返りとともに、海水pHがより増加(溶存炭素が失われた)していた。
湧昇の強化によって炭素・栄養塩に富んだ深層水が湧き上がったが、栄養塩利用効率は次第に低下していた(おそらく鉄肥沃の緩和→生物ポンプ低下)。
深層へと炭素を戻す働き(生物ポンプ)よりも、大気へと散逸する効果が打ち勝った結果、大気中のCO2濃度が増加した。
残念ながら、最終退氷期でもっとも大きな大気中CO2濃度上昇のあったHS1(18.0-16.3 ka)は深海サンゴの記録がほとんどカバーできておらず、変動もほとんどないように見える。
最終退氷期には、いくつかの急上昇イベントを伴いながら、大気のCO2濃度が約80 ppm増加した。
以下に、際立った4つの時代の古気候学的特徴と、南大洋の記録との関係を述べる。
・14.6 ka、11.7 kaの大気CO2急上昇イベント
北半球高緯度は温暖化し、AMOCは強まっていた(氷期に停滞していたNADWの形成再開)。
南半球の偏西風は北上し、湧昇域が増加した。
湧昇によって多くの栄養塩が表層にもたらされた結果、外部輸送(生物ポンプ)もさかんだったが、表層の生物一次生産は非効率的だった。
南大洋の中層水のpHは非常に低かった。
・16.3 ka、12.8 kaの大気CO2急上昇イベント
北半球高緯度は寒冷化し、AMOCは弱まっていた(NADWの形成停滞)
南半球の偏西風は南下
1,700m深いの海水の14C濃度は大気の14C濃度に近づき、完新世よりも若返っていた(非常に大気に近い値に)。
南大洋で混合層が深まり、より深い対流が起きていたため?
2020年9月25日金曜日
eduroamの設定(他研究機関での接続)
eduroamの接続でトラブったので、情報をシェアしておきます。
神戸大学のeduroamのアカウントの設定なので、他の教育研究機関のアカウントで同様にいくかはわかりませんが、少しでも誰かの参考になれば幸いです。
eduroamJP認証連携IDサービスのページから、神戸大学を選択し、ログイン。
サービス利用ガイドを見ると、レルムのことなど、いろいろと書いてあります。
先日高知大学に行く際に、新規ID作成からアカウントを作成してから行ったのですが、結局なんどやってもログインできず。その時はeduroamの使用を諦めました。
後日、東京大学(柏キャンパス)でeduroamにログインしようとするも、やはりログインできず。
(以前、JAMSTECから発行してもらったeduroamのアカウントは、特に苦労もなく、シンプルにいろんなところで接続できていたのですが…)
そこで、代わりに証明書(EAP-TLS)込みの新規アカウントを発行することに。
あんまり中身に詳しくないのですが、先ほどのものとは違うIDとパスワードが発行されます。
さらに、証明書をダウンロードし、パソコン(MacBook Pro)にダウンロード。
解凍には、ここに書かれているパスワードが必要。
では、eduroamにアクセスしてみましょう。
eduroam接続設定 - Mac OS X編で説明されているやり方ではログインできなかったので、以下の通りにやりました。
まず、システム環境設定>ネットワーク>他のネットワークに接続
から以下の画面を開きます。
ネットワーク名に「eduroam」
セキュリティーは「WPA/WPA2エンタープライズ」(※設定マニュアルはWPA2になっていたかと思います)
モードは「EAP-TLS」
IDは、プルダウンリストから「****@kobe-u.f.eduroam.jp」を選択(※ダウンロードし、解凍した証明書が元になっているものだと思います)
ユーザー名はレルム(@の前の****)(※設定マニュアルは@以下も入力、というものが散見されましたが、うまくいきませんでした)。
あとはOKを押すと、証明書の検証というポップアップウインドウが現れるので、「続ける」>証明書が正しいかを確認し、「承認」
続いて、パソコンの設定の変更に関するポップアップウインドウが現れるので、パスワードを入力し、「設定をアップデート」。
iPhoneやiPadもeduroamに接続できていたはずなのですが、証明書がないからか、今回記した方法ではうまく接続できていません。
普通にID・パスワードを入力してもダメ。eduroam接続設定 - iPhone/iPod touch編通りにやってもうまくいきませんでした。



