Scientific Reports
☆24 December 2013
Forest cutting and impacts on carbon in the eastern United States
Decheng Zhou, Shuguang Liu, Jennifer Oeding & Shuqing Zhao
アメリカ東部にて行われた森林伐採によって失われた炭素量を定量化。2002年から2010年にかけて年間168TgCが失われたと推定される。この量はアメリカ国内における化石燃料燃焼によるCO2量に換算すると11%に相当する。
Early urban impact on Mediterranean coastal environments
David Kaniewski, Elise Van Campo, Christophe Morhange, Joël Guiot, Dov Zviely, Idan Shaked, Thierry Otto & Michal Artzy
イスラエルの古代遺跡Akkoにおける過去6,000年間の都市化とその生態系への影響を復元。都市化の登場後すみやかに生態系が大きく変革したことが示された。
Nature Communications
☆18 December 2013
The discovery of kimberlites in Antarctica extends the vast Gondwanan Cretaceous province
Gregory M. Yaxley, Vadim S. Kamenetsky, Geoffrey T. Nichols, Roland Maas, Elena Belousova, Anja Rosenthal and Marc Norman
ダイアモンドが算出する火成岩の一種Kimberliteは南極以外のすべての大陸で報告されていた。南極にも存在することが初めて示された。
>Nature姉妹紙 ハイライト
地質学:南極の氷結大地からダイヤモンドが見つかる
Human-induced nitrogen–phosphorus imbalances alter natural and managed ecosystems across the globe
Josep Peñuelas, Benjamin Poulter, Jordi Sardans, Philippe Ciais, Marijn van der Velde, Laurent Bopp, Olivier Boucher, Yves Godderis, Philippe Hinsinger, Joan Llusia, Elise Nardin, Sara Vicca, Michael Obersteiner and Ivan A. Janssens
人間活動の結果生物が利用可能な炭素や栄養塩(窒素やリン)の濃度が増加しているが、それぞれ異なる増加率をもっているために、アンバランスとなっている。生物地球化学的モデルを用いて、陸および海のリン循環・リン/窒素比を評価。アンバランスによって今世紀中に炭素貯蔵能力が低下する可能性が示唆された。またリン肥料の生産力が増加しない限り、途上国における栄養失調は増加する可能性が示唆。
Increases in terrestrially derived carbon stimulate organic carbon processing and CO2 emissions in boreal aquatic ecosystems
Jean-François Lapierre, François Guillemette, Martin Berggren and Paul A. del Giorgio
近年北半球の陸地から海へともたらされる溶存有機炭素(DOC)は増加しており、それがさらなるCO2排出へと繋がっていると考えられているが、そのメカニズムはあまりよく分かっていない。カナダ北極圏の数百の湖や河川などにおいてDOCとCO2のフラックスとの間に因果関係が見いだされた。陸からもたらされる有機炭素の分解に変化が生じることで、沿岸部の生態系からのCO2排出もまた大きく増加する可能性がある。
☆23 December 2013
Spatial optimization of carbon-stocking projects across Africa integrating stocking potential with co-benefits and feasibility
Michelle Greve, Belinda Reyers, Anne Mette Lykke and Jens-Christian Svenning
地球の「過去」「現在」「未来」の気候変動・環境問題などを書き綴ります。人為的気候変化への適応・緩和が緊急性を帯びている昨今、人間活動の影響がない地質時代の古気候・古海洋研究もまた多くの知見を提供しています。
2013年12月30日月曜日
2013年12月29日日曜日
新着論文(NCC#Jan2014)
Nature Climate Change
Volume 4 Number 1 (January 2014)
Editorials
Too little, too late?
少なすぎる?それとも遅すぎる?
ワルシャワでの気候変動枠組み条約会議では気候変化への取り組みに対する世界の同意はほとんど得られなかった。
Blind stock-taking
ブラインドの実績調査
過去6ヶ月にわたって、Nature Climate Change誌は査読者にも誰の論文かを伝えないダブル・ブラインド方式のピアレビューを採用した。その試験的試みに対する予察的な発見を述べる。
Commentaries
Ruminants, climate change and climate policy
反芻動物、気候変化、気候政策
William J. Ripple, Pete Smith, Helmut Haberl, Stephen A. Montzka, Clive McAlpine & Douglas H. Boucher
食肉用の反芻動物の飼育はかなりの量の温室効果ガスを排出している。その家畜数の全球的な削減は気候変化緩和に対してかなりの効果があり、社会的・環境的な他の恩恵も生み出すことになる。
Social learning and sustainable development
社会学習と持続的発展
Patti Kristjanson, Blane Harvey, Marissa Van Epp & Philip K. Thornton
社会学習が気候変化の適応・緩和の科学に対して何を与えるかを理解するためにも、適切な証拠を積み上げる必要がある。
Policy Watch
Climate policy confronts competitiveness
気候政策が競争力と対峙する
ヨーロッパは経済競争力を危機にさらすことなく効果的に気候・環境・エネルギー政策に対処する必要がある。Sonja van Renssenは産業界から聞こえる心配の声を調査している。
Research Highlights
Prey detection capacity
獲物探しの能力
J. R. Soc. Interface http://dx.doi.org/10.1098/ rsif.2013.0961 (2013)
気候変化が生物季節学に影響を与えている。温度変化とコウモリのエコロケーションを利用した獲物検出能力との関係をモデリングしたところ、使用する周波数に応じて検出能力が増加したり減少したりすることが分かった。競合者や獲物との関係性に気候変化が影響する可能性がある。
Lack of coverage
扱い範囲の不足
Q. J. R. Meteorol. Soc. http://doi.org/qbj (2013)
アフリカ地域は近年急速に温暖化しているが、観測が少なく、全球の温暖化の推定の不確実性を増加させている。新たな推定方法からデータがない地域についても推定ができるようになり、データを全く使用しない方法よりも、より良い温度復元が可能になるという。それによると近年の温暖化の傾向は過小評価されている可能性があるという。
Ice reflections
氷の反射
Remote Sens. Environ. 140, 604–613 (2014)
北極の海氷がどれだけの光を反射するかを正確に知ることは、地球の熱収支と放射バランスを考える上で非常に重要である。現在は人工衛星からリモセンで観測しているが、そうした方法は雲被覆や太陽高度の関係で極めて平均化された・限られたものとなってしまうという問題がある。マイクロ波を利用した方法から、そうした問題を解決できる可能性が示された。
Pesticide taxes
殺虫剤税
Clim. Change Econ. 4, 1350008 (2013)
気候変化と農業政策に関して。殺虫剤税の導入が農業生産にかかるコストを増加させる一方で、市場による価格の適切化によって農家は逆に得をする可能性などがモデルシミュレーションから示唆。
Dengue drivers
デング熱の駆動力
PLOS Negl. Trop. Dis. 7, e2503 (2013)
デング熱の伝播には気候に関連した要因、社会経済的状態などが関与していると考えられるが、特に気候に関する要因についてはよく分かっていない。メキシコを対象にした23年間のデータの解析から、20℃を超す気温がデング熱の発生を増加させていることが分かった。また降水量も550mm以下までは増加させていることが示された。さらに将来予測の結果からは、気候変化だけで、2080年までにデング熱の発生件数が40%増加する可能性も示唆された。
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Research
News and Views
Atmospheric science: Long-range linkage
大気科学:長い範囲の関係性
James E. Overland
Tang et al.の解説記事。
北極域の海氷や雪被覆の後退が、大気循環への影響を通じて中緯度域の極端な気象現象に影響を及ぼしていることが示唆された。
>関連した記事(Nature#7479 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Melting ice spurs wild weather
氷の融解が野性的な天気を加速する
中国の気象学者らは、気象記録と最近の北極海の海氷や雪の記録とを比較したところ、北極の海氷後退に伴い、大気循環パターンに変化が見られることを見つけた。例えば、ジェット気流がより北側にシフトしていることなど。こうした変化が2012年のアメリカで見られたような、北半球中緯度域の夏の異常気象の原因になっていると示唆している。
Atmospheric science: Glaciers between two drivers
大気科学:二つの駆動力の間の氷河
Horst Machguth
Mölg et al.の解説記事。
ヒマラヤ地域の山岳氷河にはモンスーンが大きな影響を及ぼしていると考えられてきたが、新たな研究は偏西風もまた重要な役割を負っていることを示唆。
Game theory: Tipping climate cooperation
ゲーム理論:気候の協力を予想する
Timothy M. Lenton
Barrett & Dannenbergの解説記事。
将来起きる逆転不可能な気候変化に対する早期警告システムは、社会に対してそれを回避するための行動を促すことは可能だろうか?行動を起こさせるためには、第一に「いつ転換が起きるのか」に関する不確実性を減少させる必要があることを新たな研究は示唆している。
Perspectives
Global warming and changes in drought
地球温暖化と干ばつの変化
Kevin E. Trenberth, Aiguo Dai, Gerard van der Schrier, Philip D. Jones, Jonathan Barichivich, Keith R. Briffa & Justin Sheffield
近年の研究から、気候変化が干ばつに与える影響に対して相反する結果が得られている。そうした不一致の原因を特定するために、干ばつ指数と観測記録とをレビュー。どのように干ばつが変化しつつあるのかを知るには降水データの質と範囲を改善し、自然の変動をよりよく定量化する必要がある。
Impact of delay in reducing carbon dioxide emissions
二酸化炭素排出削減が遅れることの影響
Myles R. Allen & Thomas F. Stocker
最近報告された、CO2排出に対する低い気候感度はこれまで考えられてきたよりも排出削減の必要性が緊急でないことを示唆している。
排出削減が遅れた場合に、約束された温暖化のピークの程度が増加するかを評価。現在観測されている温暖化の速度よりも早く、積算のCO2排出量に沿って温暖化のピークが増加することが示唆。
Review
Pervasive transition of the Brazilian land-use system
ブラジルの土地利用システムに浸透する変化
David M. Lapola, Luiz A. Martinelli, Carlos A. Peres, Jean P. H. B. Ometto, Manuel E. Ferreira, Carlos A. Nobre, Ana Paula D. Aguiar, Mercedes M. C. Bustamante, Manoel F. Cardoso, Marcos H. Costa, Carlos A. Joly, Christiane C. Leite, Paulo Moutinho, Gilvan Sampaio, Bernardo B. N. Strassburg & Ima C. G. Vieira
ブラジルの土地利用の変化と温室効果ガス排出の関係性をレビュー。過去数十年間に農業が増強されたにもかかわらず、森林破壊は減少したため、結果として温室効果ガス排出量は減少した。しかしながら、地方から都市部への人の流入に後押しされる「土地所有の不平等」や「都市の成長」が政策決定者の頭を悩ませ続けている。
Letters
Sensitivity of collective action to uncertainty about climate tipping points
気候の転換点に関する不確実性に対する集団行動の感度
Scott Barrett & Astrid Dannenberg
気候変化に対する早期警告システムは「危険な気候変化の開始時期に関する不確実性」が減少したときにのみ実効性を持つことが示唆。
Continued global warming after CO2 emissions stoppage
CO2排出が止まってからも継続する地球温暖化
Thomas Lukas Frölicher, Michael Winton & Jorge Louis Sarmiento
人為的なCO2排出が止んだとしても、速やかに温暖化が停止するわけではない。地球システムモデルを用いた研究から、初期の温度低下ののちにも温暖化が生じる可能性が示唆。原因としては海洋の熱吸収能力の低下が考えられ、大気中のCO2が減少し、温室効果が減少したとしても海と大気の熱交換が地表面気温に影響するためである。
>Nature姉妹紙 ハイライト
地球温暖化は止まらない
Extreme summer weather in northern mid-latitudes linked to a vanishing cryosphere
消えつつある雪氷圏と関連した北半球中緯度の極端な夏の気象
Qiuhong Tang, Xuejun Zhang & Jennifer A. Francis
過去10年間には前例のない夏の気象イベントの発生数が異常に多かった。同時に北極圏の海氷も急速に後退しているが、その因果関係については不確かなままである。
人工衛星による北極圏の雪と海氷の被覆度の観測記録と、大気循環の逆解析記録から、それらの間に相互作用があることが確認された。特に海氷の影響が、消失の範囲は雪の2分の1であるにもかかわらず大きいことも分かった。ジェット気流がより北方に位置していることが、気象配置の固定の期間を長くし、極端な気象現象の発生確率を高めていると推定されている。
>Nature姉妹紙 ハイライト
高緯度域の雪と氷の減少が中緯度域の熱波と結び付いている
High Arctic wetting reduces permafrost carbon feedbacks to climate warming
北極圏高緯度の湿潤化が気候の温暖化に対する永久凍土の炭素フィードバックを低下させる
M. Lupascu, J. M. Welker, U. Seibt, K. Maseyk, X. Xu & C. I. Czimczik
グリーンランド北西部で行われた長期的な気候操作実験から、北極圏高緯度の反砂漠地域の炭素の吸収能力は、温暖化と湿潤化が組み合わさると増加することが示された。将来地球が温暖化してもこれらの地域は依然として大きな炭素の吸収源として振る舞う可能性が示唆される。
Partial offsets in ocean acidification from changing coral reef biogeochemistry
変化しつつあるサンゴ礁の生物地球化学による部分的な海洋酸性化の緩和
Andreas J. Andersson, Kiley L. Yeakel, Nicholas R. Bates & Samantha J. de Putron
サンゴ礁内と外洋の炭酸系は全く異なるものであり、海洋酸性化の下でも同じように振る舞うわけではない。サンゴ礁内では生物総一次生産(NEP)・総石灰化量(NEC)・生物群集・海水の滞留時間などが複雑に絡み合っているために、非常に不均質になっている。
バミューダ海域のサンゴ礁における観測から、サンゴ礁内の2100年に予想される海洋酸性化に伴うpHとΩの低下はそれぞれ平均して12-24%、15-31%緩和される可能性が示唆。
[以下は抜粋]
Consequently, if the relative contribution of NEC and NEP and the subsequent changes in TA and DIC were to change owing to future natural or anthropogenic perturbations, the resulting seawater Ω (and pH) will be different from that predicted by oceanic uptake of anthropogenic CO2 alone.
...both NEC and NEP may be affected by the fundamental changes in seawater CO2 chemistry arising from ocean acidification, but the exact responses remain to be characterized.
...it is reasonable to assume that net CaCO3 dissolution during winter in Bermuda will gradually increase as the oceans continue to acidify, with dissolution events persisting over longer time periods and at a greater magnitude owing to lower Ω.
It is important to recognize that even partial restoration of seawater pH and Ω as a result of changes to the NEC and NEP balance implies major alterations to the community composition, net reef accretion, and the function and role of coral reef ecosystems relative to today.
Resilience and signatures of tropicalization in protected reef fish communities
保護された礁の魚集団の熱帯化の耐性と特徴
Amanda E. Bates, Neville S. Barrett, Rick D. Stuart-Smith, Neil J. Holbrook, Peter A. Thompson & Graham J. Edgar
気候変化によって海洋の生態系が脅かされている。温暖化した環境下でも、海洋保護区は大型生物の多様性と豊富さを維持できる可能性が示唆。漁業が行われている場所と比較すると、生息範囲を変化させる種の侵入からも守ることができることが示唆。
Article
Mid-latitude westerlies as a driver of glacier variability in monsoonal High Asia
モンスーン性の高地アジアにおける氷河変動の駆動力としての中緯度の偏西風
Thomas Mölg, Fabien Maussion & Dieter Scherer
アジア高地の氷河の変動には熱帯性のモンスーンが主要な原因を担っていると考えられてきた。チベット平原南部の氷河の質量収支計算から、中緯度の偏西風とモンスーンが5〜6月にもたらす降水が原因であることが示唆され、中緯度の気候にもより注目を寄せる必要があることを示している。
Volume 4 Number 1 (January 2014)
Editorials
Too little, too late?
少なすぎる?それとも遅すぎる?
ワルシャワでの気候変動枠組み条約会議では気候変化への取り組みに対する世界の同意はほとんど得られなかった。
Blind stock-taking
ブラインドの実績調査
過去6ヶ月にわたって、Nature Climate Change誌は査読者にも誰の論文かを伝えないダブル・ブラインド方式のピアレビューを採用した。その試験的試みに対する予察的な発見を述べる。
Commentaries
Ruminants, climate change and climate policy
反芻動物、気候変化、気候政策
William J. Ripple, Pete Smith, Helmut Haberl, Stephen A. Montzka, Clive McAlpine & Douglas H. Boucher
食肉用の反芻動物の飼育はかなりの量の温室効果ガスを排出している。その家畜数の全球的な削減は気候変化緩和に対してかなりの効果があり、社会的・環境的な他の恩恵も生み出すことになる。
Social learning and sustainable development
社会学習と持続的発展
Patti Kristjanson, Blane Harvey, Marissa Van Epp & Philip K. Thornton
社会学習が気候変化の適応・緩和の科学に対して何を与えるかを理解するためにも、適切な証拠を積み上げる必要がある。
Policy Watch
Climate policy confronts competitiveness
気候政策が競争力と対峙する
ヨーロッパは経済競争力を危機にさらすことなく効果的に気候・環境・エネルギー政策に対処する必要がある。Sonja van Renssenは産業界から聞こえる心配の声を調査している。
Research Highlights
Prey detection capacity
獲物探しの能力
J. R. Soc. Interface http://dx.doi.org/10.1098/ rsif.2013.0961 (2013)
気候変化が生物季節学に影響を与えている。温度変化とコウモリのエコロケーションを利用した獲物検出能力との関係をモデリングしたところ、使用する周波数に応じて検出能力が増加したり減少したりすることが分かった。競合者や獲物との関係性に気候変化が影響する可能性がある。
Lack of coverage
扱い範囲の不足
Q. J. R. Meteorol. Soc. http://doi.org/qbj (2013)
アフリカ地域は近年急速に温暖化しているが、観測が少なく、全球の温暖化の推定の不確実性を増加させている。新たな推定方法からデータがない地域についても推定ができるようになり、データを全く使用しない方法よりも、より良い温度復元が可能になるという。それによると近年の温暖化の傾向は過小評価されている可能性があるという。
Ice reflections
氷の反射
Remote Sens. Environ. 140, 604–613 (2014)
北極の海氷がどれだけの光を反射するかを正確に知ることは、地球の熱収支と放射バランスを考える上で非常に重要である。現在は人工衛星からリモセンで観測しているが、そうした方法は雲被覆や太陽高度の関係で極めて平均化された・限られたものとなってしまうという問題がある。マイクロ波を利用した方法から、そうした問題を解決できる可能性が示された。
Pesticide taxes
殺虫剤税
Clim. Change Econ. 4, 1350008 (2013)
気候変化と農業政策に関して。殺虫剤税の導入が農業生産にかかるコストを増加させる一方で、市場による価格の適切化によって農家は逆に得をする可能性などがモデルシミュレーションから示唆。
Dengue drivers
デング熱の駆動力
PLOS Negl. Trop. Dis. 7, e2503 (2013)
デング熱の伝播には気候に関連した要因、社会経済的状態などが関与していると考えられるが、特に気候に関する要因についてはよく分かっていない。メキシコを対象にした23年間のデータの解析から、20℃を超す気温がデング熱の発生を増加させていることが分かった。また降水量も550mm以下までは増加させていることが示された。さらに将来予測の結果からは、気候変化だけで、2080年までにデング熱の発生件数が40%増加する可能性も示唆された。
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Research
News and Views
Atmospheric science: Long-range linkage
大気科学:長い範囲の関係性
James E. Overland
Tang et al.の解説記事。
北極域の海氷や雪被覆の後退が、大気循環への影響を通じて中緯度域の極端な気象現象に影響を及ぼしていることが示唆された。
>関連した記事(Nature#7479 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Melting ice spurs wild weather
氷の融解が野性的な天気を加速する
中国の気象学者らは、気象記録と最近の北極海の海氷や雪の記録とを比較したところ、北極の海氷後退に伴い、大気循環パターンに変化が見られることを見つけた。例えば、ジェット気流がより北側にシフトしていることなど。こうした変化が2012年のアメリカで見られたような、北半球中緯度域の夏の異常気象の原因になっていると示唆している。
Atmospheric science: Glaciers between two drivers
大気科学:二つの駆動力の間の氷河
Horst Machguth
Mölg et al.の解説記事。
ヒマラヤ地域の山岳氷河にはモンスーンが大きな影響を及ぼしていると考えられてきたが、新たな研究は偏西風もまた重要な役割を負っていることを示唆。
Game theory: Tipping climate cooperation
ゲーム理論:気候の協力を予想する
Timothy M. Lenton
Barrett & Dannenbergの解説記事。
将来起きる逆転不可能な気候変化に対する早期警告システムは、社会に対してそれを回避するための行動を促すことは可能だろうか?行動を起こさせるためには、第一に「いつ転換が起きるのか」に関する不確実性を減少させる必要があることを新たな研究は示唆している。
Perspectives
Global warming and changes in drought
地球温暖化と干ばつの変化
Kevin E. Trenberth, Aiguo Dai, Gerard van der Schrier, Philip D. Jones, Jonathan Barichivich, Keith R. Briffa & Justin Sheffield
近年の研究から、気候変化が干ばつに与える影響に対して相反する結果が得られている。そうした不一致の原因を特定するために、干ばつ指数と観測記録とをレビュー。どのように干ばつが変化しつつあるのかを知るには降水データの質と範囲を改善し、自然の変動をよりよく定量化する必要がある。
Impact of delay in reducing carbon dioxide emissions
二酸化炭素排出削減が遅れることの影響
Myles R. Allen & Thomas F. Stocker
最近報告された、CO2排出に対する低い気候感度はこれまで考えられてきたよりも排出削減の必要性が緊急でないことを示唆している。
排出削減が遅れた場合に、約束された温暖化のピークの程度が増加するかを評価。現在観測されている温暖化の速度よりも早く、積算のCO2排出量に沿って温暖化のピークが増加することが示唆。
Review
Pervasive transition of the Brazilian land-use system
ブラジルの土地利用システムに浸透する変化
David M. Lapola, Luiz A. Martinelli, Carlos A. Peres, Jean P. H. B. Ometto, Manuel E. Ferreira, Carlos A. Nobre, Ana Paula D. Aguiar, Mercedes M. C. Bustamante, Manoel F. Cardoso, Marcos H. Costa, Carlos A. Joly, Christiane C. Leite, Paulo Moutinho, Gilvan Sampaio, Bernardo B. N. Strassburg & Ima C. G. Vieira
ブラジルの土地利用の変化と温室効果ガス排出の関係性をレビュー。過去数十年間に農業が増強されたにもかかわらず、森林破壊は減少したため、結果として温室効果ガス排出量は減少した。しかしながら、地方から都市部への人の流入に後押しされる「土地所有の不平等」や「都市の成長」が政策決定者の頭を悩ませ続けている。
Letters
Sensitivity of collective action to uncertainty about climate tipping points
気候の転換点に関する不確実性に対する集団行動の感度
Scott Barrett & Astrid Dannenberg
気候変化に対する早期警告システムは「危険な気候変化の開始時期に関する不確実性」が減少したときにのみ実効性を持つことが示唆。
Continued global warming after CO2 emissions stoppage
CO2排出が止まってからも継続する地球温暖化
Thomas Lukas Frölicher, Michael Winton & Jorge Louis Sarmiento
人為的なCO2排出が止んだとしても、速やかに温暖化が停止するわけではない。地球システムモデルを用いた研究から、初期の温度低下ののちにも温暖化が生じる可能性が示唆。原因としては海洋の熱吸収能力の低下が考えられ、大気中のCO2が減少し、温室効果が減少したとしても海と大気の熱交換が地表面気温に影響するためである。
>Nature姉妹紙 ハイライト
地球温暖化は止まらない
Extreme summer weather in northern mid-latitudes linked to a vanishing cryosphere
消えつつある雪氷圏と関連した北半球中緯度の極端な夏の気象
Qiuhong Tang, Xuejun Zhang & Jennifer A. Francis
過去10年間には前例のない夏の気象イベントの発生数が異常に多かった。同時に北極圏の海氷も急速に後退しているが、その因果関係については不確かなままである。
人工衛星による北極圏の雪と海氷の被覆度の観測記録と、大気循環の逆解析記録から、それらの間に相互作用があることが確認された。特に海氷の影響が、消失の範囲は雪の2分の1であるにもかかわらず大きいことも分かった。ジェット気流がより北方に位置していることが、気象配置の固定の期間を長くし、極端な気象現象の発生確率を高めていると推定されている。
>Nature姉妹紙 ハイライト
高緯度域の雪と氷の減少が中緯度域の熱波と結び付いている
High Arctic wetting reduces permafrost carbon feedbacks to climate warming
北極圏高緯度の湿潤化が気候の温暖化に対する永久凍土の炭素フィードバックを低下させる
M. Lupascu, J. M. Welker, U. Seibt, K. Maseyk, X. Xu & C. I. Czimczik
グリーンランド北西部で行われた長期的な気候操作実験から、北極圏高緯度の反砂漠地域の炭素の吸収能力は、温暖化と湿潤化が組み合わさると増加することが示された。将来地球が温暖化してもこれらの地域は依然として大きな炭素の吸収源として振る舞う可能性が示唆される。
Partial offsets in ocean acidification from changing coral reef biogeochemistry
変化しつつあるサンゴ礁の生物地球化学による部分的な海洋酸性化の緩和
Andreas J. Andersson, Kiley L. Yeakel, Nicholas R. Bates & Samantha J. de Putron
サンゴ礁内と外洋の炭酸系は全く異なるものであり、海洋酸性化の下でも同じように振る舞うわけではない。サンゴ礁内では生物総一次生産(NEP)・総石灰化量(NEC)・生物群集・海水の滞留時間などが複雑に絡み合っているために、非常に不均質になっている。
バミューダ海域のサンゴ礁における観測から、サンゴ礁内の2100年に予想される海洋酸性化に伴うpHとΩの低下はそれぞれ平均して12-24%、15-31%緩和される可能性が示唆。
[以下は抜粋]
Consequently, if the relative contribution of NEC and NEP and the subsequent changes in TA and DIC were to change owing to future natural or anthropogenic perturbations, the resulting seawater Ω (and pH) will be different from that predicted by oceanic uptake of anthropogenic CO2 alone.
...both NEC and NEP may be affected by the fundamental changes in seawater CO2 chemistry arising from ocean acidification, but the exact responses remain to be characterized.
...it is reasonable to assume that net CaCO3 dissolution during winter in Bermuda will gradually increase as the oceans continue to acidify, with dissolution events persisting over longer time periods and at a greater magnitude owing to lower Ω.
It is important to recognize that even partial restoration of seawater pH and Ω as a result of changes to the NEC and NEP balance implies major alterations to the community composition, net reef accretion, and the function and role of coral reef ecosystems relative to today.
Resilience and signatures of tropicalization in protected reef fish communities
保護された礁の魚集団の熱帯化の耐性と特徴
Amanda E. Bates, Neville S. Barrett, Rick D. Stuart-Smith, Neil J. Holbrook, Peter A. Thompson & Graham J. Edgar
気候変化によって海洋の生態系が脅かされている。温暖化した環境下でも、海洋保護区は大型生物の多様性と豊富さを維持できる可能性が示唆。漁業が行われている場所と比較すると、生息範囲を変化させる種の侵入からも守ることができることが示唆。
Article
Mid-latitude westerlies as a driver of glacier variability in monsoonal High Asia
モンスーン性の高地アジアにおける氷河変動の駆動力としての中緯度の偏西風
Thomas Mölg, Fabien Maussion & Dieter Scherer
アジア高地の氷河の変動には熱帯性のモンスーンが主要な原因を担っていると考えられてきた。チベット平原南部の氷河の質量収支計算から、中緯度の偏西風とモンスーンが5〜6月にもたらす降水が原因であることが示唆され、中緯度の気候にもより注目を寄せる必要があることを示している。
2013年12月22日日曜日
新着論文(Science#6165)
Science
VOL 342, ISSUE 6165, PAGES 1405-1544 (20 DECEMBER 2013)
Breakthrough of the Year
Cosmic Particle Accelerators Identified
銀河線の加速器が特定された
NASAのγ線望遠鏡がスーパーノバからの高エネルギー粒子を検出。
Newcomer Juices Up the Race to Harness Sunlight
新入りが太陽光を動力化することのレースをさらに熱くする
4年前は太陽電池の発電効率は3.8%程度であったが、新たに開発された、簡単に作れるペロブスカイト結晶は15%もの発電効率を有することが分かった。現在利用されているシリコンの半導体を利用した太陽光パネルは作るのも手間で高価である。従来のものとのハイブリッドも開発途中で、室内実験からは最大で30%の発電効率が報告されている。
Siberian Meteor Blast Delivers a Warning Shot
シベリアの隕石爆風が警告弾を届ける
2月のチェリャビンスクの隕石衝突イベントは地球に接近する小天体の再評価の必要性を世間に知らしめる結果となった。爆発はおおよそTNT500kt相当で、長崎型原爆の23倍のエネルギーを発した。
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Editors' Choice
Sharks Love Their Country
サメは自らの故郷を愛する
Mol. Ecol. 10.1111/mec.12583 (2013).
レモンザメ(lemon shark; Negaprion brevirostris)を対象にした19年間にわたる調査から、6匹の追跡されたサメが例外なく繁殖のために生まれた地に戻っていることが分かった。
>関連した記事(Nature#7478 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Sharks never forget home
サメは故郷を決して忘れない
1995年から2012年にかけてバハマで行われたレモンザメ(lemon sharks; Negaprion brevirostris)のDNAの分析から、1993-1998年の間に生まれたメスのサメが出産のために生まれた地へ戻っていたことが分かった。サメでそうした里帰りの例が示されたのは初だという。ある特定の出産地があるらしく、そうした地域は漁業禁止区域に設定するなど、保全に向けた努力が必要となる。
Bright Young Thing
Astrophys. J. 779, 171 (2013).
中性子星を含む連星系Circinus X-1は宇宙でもっとも強いX線を発している。観測から、中性子星が超新星残骸に覆われていること、わずか4,600年以内にできたものであることが分かった。
News of the Week
Port Plans Cast Shadow On Iconic Reef
港の計画がアイコン的なサンゴ礁に影を落とす
グレートバリアリーフに世界最大の石炭の輸送港が建設されようとしている。建設が実現すれば、300万立方メートルの土砂が世界遺産でもあるサンゴ礁のどこかに捨てられることになる。
China Scores Lunar Touchdown
中国が月への着陸に成功
打ち上げから12日後、中国のChang’e-3が月への軟着陸に成功した。降り立った探査機Yutuはこれから3ヶ月間、月の表面や地殻の組成を調べる。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
中国月面着陸までの37年の空白
A Makeover for Big Screen Dinos
大スクリーンのディノサウルスのイメチェン
映画「Walking with Dinosaurs」に登場するディノサウルスの姿形は科学者の監修に基づいており、すべての最新科学が反映されているわけではないが、最近の科学もうまく取り込まれている。
News & Analysis
Mega-Eruptions Drove the Mother of Mass Extinctions
超巨大噴火が大量絶滅のきっかけを作った
Richard A. Kerr
ペルム紀・三畳紀境界(P/T境界)の地球史上最大の大量絶滅イベントの原因はシベリアの地で200万年間にわたって続いた大規模な火山活動である可能性の強い裏付けが得られた。最初の噴火は2億5228万年前と推定され、大量絶滅は2億5194万年前〜2億5188万年前の間に起きたとされている。火山から放出されたCO2によって地表面気温が8-10℃上昇したと推測されている。また「酸性雨」や「石炭が燃える際に発生した有毒物質(シベリア玄武岩は石炭層を貫いている)」もまた絶滅に一役買った可能性がある。
>関連した記事(Nature#7478 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Clues to extinction in lava gases
溶岩のガスの中に見つかった絶滅のヒント
Geology http://doi.org/p7s (2013)
2億5300万年前のペルム紀末の絶滅イベントはシベリアにおける巨大な火山噴火を伴っていたことが知られている。しかしその因果関係についてはまだはっきりと分かっていない。シベリアの溶岩の中のガスの分析結果とモデルシミュレーションを組み合わせることで、CO2やSO2といった酸性ガスが強烈な酸性雨を降らせ、さらにクロロメタンがオゾン層を破壊したことが絶滅に寄与した可能性が示唆。
Money Woes Cloud Future of Workhorse U.S. Telescopes
資金難がアメリカの望遠鏡施設の未来を翳らせる
Yudhijit Bhattacharjee
アメリカ科学財団の予算削減の関係で、5つの光学・電波望遠鏡施設が今後3年内に閉鎖される可能性がある。
Letters
Sea-Level Rise by 2100
2100年までの海水準上昇
John A. Church, Peter U. Clark, Anny Cazenave, Jonathan M. Gregory, Svetlana Jevrejeva, Anders Levermann, Mark A. Merrifield, Glenn A. Milne, R. Steven Nerem, Patrick D. Nunn, Antony J. Payne, W. Tad Pfeffer, Detlef Stammer, and Alakkat S. Unnikrishnan
R. A. KerrはIPCC AR5(気候変動に関する政府間パネル第5次報告書)の要約において、将来の海水準上昇予測に対して「2100年までに40-60cmの上昇で、最悪の場合1mと予測される。今回得られた予測値は前回のAR4よりは大きくなったが、1〜2mという数字からははるかに小さい」という風に表現しているが、AR5の海水準上昇に関する章の編集を担当したものとして、この価を評価する上でのいくつかの注意点を述べる。
まず2100年頃の海水準上昇速度は年間8-16mmと予測され、この値は20世紀の上昇速度の平均値の10倍もの大きさを持っている。
予想される値は西南極氷床の急激な崩壊によっては上乗せされる可能性がある。しかしながら現在の知識ではまだ氷床の安定性やその海水準上昇への寄与はっきりと分かっていないため、AR5では含められていない。
[以下は抜粋]
For policy and planning purposes, it may be necessary to adopt particular numbers as an upper limit, but according to our assessment, the current state of scientific knowledge cannot give a precise guide.
>話題の記事(Science#6154 "News & Analysis")
The IPCC Gains Confidence in Key Forecast
IPCCがカギとなる予測に対する確信を得る
Richard A. Kerr
Credit for Impact Theory
衝突理論に対する信頼性
H. Jay Melosh, David J. Stevenson, and Robin Canup
月の形成理論を作った人々に関して。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Research
Research Articles
Constraining Exoplanet Mass from Transmission Spectroscopy
電子透過分光によって系外惑星の質量を制約する
Julien de Wit and Sara Seager
系外惑星の質量は、大気の特性から求めることが可能かもしれない。
VOL 342, ISSUE 6165, PAGES 1405-1544 (20 DECEMBER 2013)
Breakthrough of the Year
Cosmic Particle Accelerators Identified
銀河線の加速器が特定された
NASAのγ線望遠鏡がスーパーノバからの高エネルギー粒子を検出。
Newcomer Juices Up the Race to Harness Sunlight
新入りが太陽光を動力化することのレースをさらに熱くする
4年前は太陽電池の発電効率は3.8%程度であったが、新たに開発された、簡単に作れるペロブスカイト結晶は15%もの発電効率を有することが分かった。現在利用されているシリコンの半導体を利用した太陽光パネルは作るのも手間で高価である。従来のものとのハイブリッドも開発途中で、室内実験からは最大で30%の発電効率が報告されている。
Siberian Meteor Blast Delivers a Warning Shot
シベリアの隕石爆風が警告弾を届ける
2月のチェリャビンスクの隕石衝突イベントは地球に接近する小天体の再評価の必要性を世間に知らしめる結果となった。爆発はおおよそTNT500kt相当で、長崎型原爆の23倍のエネルギーを発した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Editors' Choice
Sharks Love Their Country
サメは自らの故郷を愛する
Mol. Ecol. 10.1111/mec.12583 (2013).
レモンザメ(lemon shark; Negaprion brevirostris)を対象にした19年間にわたる調査から、6匹の追跡されたサメが例外なく繁殖のために生まれた地に戻っていることが分かった。
>関連した記事(Nature#7478 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Sharks never forget home
サメは故郷を決して忘れない
1995年から2012年にかけてバハマで行われたレモンザメ(lemon sharks; Negaprion brevirostris)のDNAの分析から、1993-1998年の間に生まれたメスのサメが出産のために生まれた地へ戻っていたことが分かった。サメでそうした里帰りの例が示されたのは初だという。ある特定の出産地があるらしく、そうした地域は漁業禁止区域に設定するなど、保全に向けた努力が必要となる。
Bright Young Thing
Astrophys. J. 779, 171 (2013).
中性子星を含む連星系Circinus X-1は宇宙でもっとも強いX線を発している。観測から、中性子星が超新星残骸に覆われていること、わずか4,600年以内にできたものであることが分かった。
News of the Week
Port Plans Cast Shadow On Iconic Reef
港の計画がアイコン的なサンゴ礁に影を落とす
グレートバリアリーフに世界最大の石炭の輸送港が建設されようとしている。建設が実現すれば、300万立方メートルの土砂が世界遺産でもあるサンゴ礁のどこかに捨てられることになる。
China Scores Lunar Touchdown
中国が月への着陸に成功
打ち上げから12日後、中国のChang’e-3が月への軟着陸に成功した。降り立った探査機Yutuはこれから3ヶ月間、月の表面や地殻の組成を調べる。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
中国月面着陸までの37年の空白
A Makeover for Big Screen Dinos
大スクリーンのディノサウルスのイメチェン
映画「Walking with Dinosaurs」に登場するディノサウルスの姿形は科学者の監修に基づいており、すべての最新科学が反映されているわけではないが、最近の科学もうまく取り込まれている。
News & Analysis
Mega-Eruptions Drove the Mother of Mass Extinctions
超巨大噴火が大量絶滅のきっかけを作った
Richard A. Kerr
ペルム紀・三畳紀境界(P/T境界)の地球史上最大の大量絶滅イベントの原因はシベリアの地で200万年間にわたって続いた大規模な火山活動である可能性の強い裏付けが得られた。最初の噴火は2億5228万年前と推定され、大量絶滅は2億5194万年前〜2億5188万年前の間に起きたとされている。火山から放出されたCO2によって地表面気温が8-10℃上昇したと推測されている。また「酸性雨」や「石炭が燃える際に発生した有毒物質(シベリア玄武岩は石炭層を貫いている)」もまた絶滅に一役買った可能性がある。
>関連した記事(Nature#7478 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Clues to extinction in lava gases
溶岩のガスの中に見つかった絶滅のヒント
Geology http://doi.org/p7s (2013)
2億5300万年前のペルム紀末の絶滅イベントはシベリアにおける巨大な火山噴火を伴っていたことが知られている。しかしその因果関係についてはまだはっきりと分かっていない。シベリアの溶岩の中のガスの分析結果とモデルシミュレーションを組み合わせることで、CO2やSO2といった酸性ガスが強烈な酸性雨を降らせ、さらにクロロメタンがオゾン層を破壊したことが絶滅に寄与した可能性が示唆。
Money Woes Cloud Future of Workhorse U.S. Telescopes
資金難がアメリカの望遠鏡施設の未来を翳らせる
Yudhijit Bhattacharjee
アメリカ科学財団の予算削減の関係で、5つの光学・電波望遠鏡施設が今後3年内に閉鎖される可能性がある。
Letters
Sea-Level Rise by 2100
2100年までの海水準上昇
John A. Church, Peter U. Clark, Anny Cazenave, Jonathan M. Gregory, Svetlana Jevrejeva, Anders Levermann, Mark A. Merrifield, Glenn A. Milne, R. Steven Nerem, Patrick D. Nunn, Antony J. Payne, W. Tad Pfeffer, Detlef Stammer, and Alakkat S. Unnikrishnan
R. A. KerrはIPCC AR5(気候変動に関する政府間パネル第5次報告書)の要約において、将来の海水準上昇予測に対して「2100年までに40-60cmの上昇で、最悪の場合1mと予測される。今回得られた予測値は前回のAR4よりは大きくなったが、1〜2mという数字からははるかに小さい」という風に表現しているが、AR5の海水準上昇に関する章の編集を担当したものとして、この価を評価する上でのいくつかの注意点を述べる。
まず2100年頃の海水準上昇速度は年間8-16mmと予測され、この値は20世紀の上昇速度の平均値の10倍もの大きさを持っている。
予想される値は西南極氷床の急激な崩壊によっては上乗せされる可能性がある。しかしながら現在の知識ではまだ氷床の安定性やその海水準上昇への寄与はっきりと分かっていないため、AR5では含められていない。
[以下は抜粋]
For policy and planning purposes, it may be necessary to adopt particular numbers as an upper limit, but according to our assessment, the current state of scientific knowledge cannot give a precise guide.
>話題の記事(Science#6154 "News & Analysis")
The IPCC Gains Confidence in Key Forecast
IPCCがカギとなる予測に対する確信を得る
Richard A. Kerr
Credit for Impact Theory
衝突理論に対する信頼性
H. Jay Melosh, David J. Stevenson, and Robin Canup
月の形成理論を作った人々に関して。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Research
Research Articles
Constraining Exoplanet Mass from Transmission Spectroscopy
電子透過分光によって系外惑星の質量を制約する
Julien de Wit and Sara Seager
系外惑星の質量は、大気の特性から求めることが可能かもしれない。
2013年12月19日木曜日
新着論文(Nature#7480)
Nature
Volume 504 Number 7480 pp331-476 (19 December 2013)
EDITORIALS
Sink or swim?
のるかそるか?
土地利用変化が温暖化に与える影響を推定するには、そのモニタリング法の再考が必要である。例えばロシアの土地利用変化はソ連崩壊まではほとんどデータが公開されておらず、今も不明なものが多いが、近年の推定値は従来の推定値から大幅に異なっている。ロシアをはじめとする東ヨーロッパの土地は陸域の炭素吸収源として大きな働きを負っていると考えられているものの、データの不確実性が大きい。
ソ連崩壊後放棄された農地は炭素の重要な吸収源として寄与している。しかし、一方で世界の食料需要は増す一方であり、農地の復活が議論されている。ただし、農地が再度耕されると炭素が二酸化炭素として大気へと放出され、温暖化に寄与すると考えられる。
[以下は抜粋]
A matter so central to predicting the rate of global warming deserves more attention. But existing remote-sensing technology offers relatively coarse observations of land cover and land-use change, which means that assessments are often little more than good guesses.
RESEARCH HIGHLIGHTS
Galactic clouds swathed in fog
霧に包まれる銀河の雲
Astrophys. J. 779, 42; 43; 44; 45; 46 (2013)
星が生まれる場である分子雲では、水素の霧が雲と相互作用をしていることが観測から明らかに。
Volcanic lightning made in the lab
実験室で作られた噴火雷
Geology http://doi.org/qfz (2013)
ドイツの研究者らは室内で火山噴火を模した噴出装置を作成し、火山噴火に伴う雷を再現することに成功した。噴火時の電荷を帯びた粒子とジェットとが雷の原因であると推測され、細かい粒子が多いほど雷がより多く発生したという。
SEVEN DAYS
※今回は省略
NEWS IN FOCUS
Seabed scars raise questions over carbon-storage plan
海底の傷が炭素貯留計画に疑問を投げかける
Richard Monastersky
北海油田の有望なCO2貯留リザーバーにて予期せぬ割れ目が発見され、リークの経路になる可能性が浮上している。
EU fishing vote foments anger
ヨーロッパの漁業に関する投票が怒りを煽る
Daniel Cressey
深海漁業を禁止できなければ、脆弱な生態系が危機にさらされるだろう、と研究者らは言う。
Quandary over Soviet croplands
ソビエトの耕作地をめぐる迷い
Quirin Schiermeier
研究者らは東ヨーロッパの放棄された土地を再度耕すか、それとも炭素吸収源として残すかを熟考している。
365 days: 2013 in review
365日間:2013年のレビュー
WAVERING ATMOSPHERE
変動する大気
水銀条約を除き、今年はほとんど環境に関する重要な条約は採択されなかった。5月には大気中のCO2濃度は400ppmに達した。温暖化の寄与率はよく分からないが、台風ハイエンは記録的な風速で破滅的な被害をもたらした。ここ15年間の地球温暖化の停滞は深海による熱吸収の可能性が指摘され、再び温暖化に転じることが予測された。
[以下は抜粋]
It was no surprise when the Intergovernmental Panel on Climate Change warned in its latest report, published in September, that climate change “unprecedented over decades to millennia” is altering natural environments in ways that could affect billions of people.
THE FINAL FRONTIER
最後のフロンティア
惑星ハンター・ケプラー宇宙望遠鏡は5月にその役割を終えるまでに3,500もの太陽系外の惑星を特定した。火星の地上探査機キュリオシティーは4.5kmを踏破した。12月には中国が月に探査機を送り込み、史上3カ国目となった。NASAのボイジャーは太陽系を脱し、星間空間へと旅立った。
OPENING UP SCIENCE
科学を開けたものに
アメリカ政府は政府によって助成を受けている研究の成果は1年以内にすべてオープンアクセス化するように取り決めた。イギリスもただちにオープンアクセス化するように決めた。
IDENTITY PUZZLES
パズルを特定する
古代のDNA分析が可能になったことにより、人類の進化史も大きく揺さぶられている。
FEATURE
365 days: Nature's 10
365日間:Natureが選んだ10人
>Natureハイライト
この1年を語る10の物語
◯Michel Mayor
彼の研究チームが発見した系外惑星Kepler-78bはこれまでに見つかったなかでもっとも地球に似た惑星である。
◯Naderev Saño
ワルシャワにおける国連の気候変動枠組み会議の場で、世界の注目を集めたフィリピンの外交官。奇しくも会議中に母国フィリピンが超巨大台風ハイエンに襲われた。
[以下は抜粋]
The pace of international progress on global warming has been glacial. Despite more than two decades of negotiations, atmospheric carbon dioxide levels have continued to rise; in May, the daily average concentration topped 400 parts per million for the first time in Hawaii, where the longest-running record is kept.
Looking back, Saño is not sure what impact his speech had, but he argues that Typhoon Haiyan helped to put the international spotlight squarely on the climate issue.
Having done graduate work on climate and disaster response himself, he knows that scientists shy away from attributing any single weather event to global warming. But there is general agreement that warming oceans will fuel more energetic storms, he says, and extreme storms resonate in a way that scientific charts cannot.
◯Viktor Grokhovsky
今世紀最大の隕石衝突であったチェリヤビンスクの隕石を回収したロシアの学者。
◯Henry Snaith
ペロブスカイトを利用した太陽電池を開発した若干35歳のオクスフォード大の天才。
Ones to watch in 2014
2014年に注目すべき人たち
◯Chris Field
気候変化に関する政府間パネルの次の報告書の副議長。
◯Koppillil Radhakrishnan
インド初となる火星探査ミッションの責任者。
COMMENT
Conservation: The Endangered Species Act at 40
保全:絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律の制定から40年
アメリカ合衆国が1973年に制定した法律が「40年」という記念の年を迎えた。4人の専門家がこれまでの歩みと今後必要な変更をレビュー。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
RESEARCH
NEWS & VIEWS
Earth science: Erosion by cooling
地球科学:冷却による浸食
David Lundbek Egholm
Herman et al.の解説記事。
地質学的過去の大陸の浸食を推定することは難しく、どのようにプレートテクトニクス・気候・地形が相互作用しているのかはよく分からないことが多い。600万年前に地球は寒冷化し始め、260万年前に始まる第四紀には極に氷床が形成され始めた。第四紀には海底に溜まる堆積物量が飛躍的に増加したことが知られているものの、推定法に偏りがないかといった批判がなされている。
岩石の閉塞温度(closure temperature)を利用することで、全球の浸食速度の推定がなされた。その結果は、地球が寒冷化するとともに浸食速度が加速していたことを示していた。特に過去200万年間の中緯度域(30〜50º)の変化が著しく、おそらく氷河作用が原因と考えられている。ただし彼らの推定法は活発なテクトニクス的隆起と早い浸食が起きる地域にのみ適用できる方法であるため、長く議論されている「浸食を支配するするのは気候であるかテクトニクスであるか」という問題については決着はつかないままである。彼らの結果は「気候が浸食を支配する」という説明を裏付けている。
Space physics: A fast lane in the magnetosphere
宇宙物理学:磁気圏の追い越し車線
Mary K. Hudson
Thorne et al.の解説記事。
衛星観測とモデリングから、磁気圏での電子の加速に関する新知見が得られた。
LETTERS
Rapid local acceleration of relativistic radiation-belt electrons by magnetospheric chorus
磁気圏コーラスによる相対論的な放射線帯電子の急速な局所的加速
R. M. Thorne et al.
>Natureハイライト
磁気嵐の局所機構
Worldwide acceleration of mountain erosion under a cooling climate
寒冷化する気候のもとでの山脈の浸食の全球的な加速
Frédéric Herman, Diane Seward, Pierre G. Valla, Andrew Carter, Barry Kohn, Sean D. Willett & Todd A. Ehlers
新生代の浸食速度の推定は堆積速度に大きく依存しており、テクトニクス的プロセスと気候とがそれぞれどの程度浸食に影響したかは不確かなままである。
岩石の熱履歴を利用し、大陸の浸食速度の推定。600万年前に山脈の浸食速度が増加し、その後200万年前に急速に増加したことが示された。浸食速度は全緯度で増加しており、特に山岳部で顕著に増加していた。従って、新生代の浸食速度の増大は全球の寒冷化が原因であることが示唆。
>Natureハイライト
寒冷化した気候が山を動かす
Volume 504 Number 7480 pp331-476 (19 December 2013)
EDITORIALS
Sink or swim?
のるかそるか?
土地利用変化が温暖化に与える影響を推定するには、そのモニタリング法の再考が必要である。例えばロシアの土地利用変化はソ連崩壊まではほとんどデータが公開されておらず、今も不明なものが多いが、近年の推定値は従来の推定値から大幅に異なっている。ロシアをはじめとする東ヨーロッパの土地は陸域の炭素吸収源として大きな働きを負っていると考えられているものの、データの不確実性が大きい。
ソ連崩壊後放棄された農地は炭素の重要な吸収源として寄与している。しかし、一方で世界の食料需要は増す一方であり、農地の復活が議論されている。ただし、農地が再度耕されると炭素が二酸化炭素として大気へと放出され、温暖化に寄与すると考えられる。
[以下は抜粋]
A matter so central to predicting the rate of global warming deserves more attention. But existing remote-sensing technology offers relatively coarse observations of land cover and land-use change, which means that assessments are often little more than good guesses.
RESEARCH HIGHLIGHTS
Galactic clouds swathed in fog
霧に包まれる銀河の雲
Astrophys. J. 779, 42; 43; 44; 45; 46 (2013)
星が生まれる場である分子雲では、水素の霧が雲と相互作用をしていることが観測から明らかに。
Volcanic lightning made in the lab
実験室で作られた噴火雷
Geology http://doi.org/qfz (2013)
ドイツの研究者らは室内で火山噴火を模した噴出装置を作成し、火山噴火に伴う雷を再現することに成功した。噴火時の電荷を帯びた粒子とジェットとが雷の原因であると推測され、細かい粒子が多いほど雷がより多く発生したという。
SEVEN DAYS
※今回は省略
NEWS IN FOCUS
Seabed scars raise questions over carbon-storage plan
海底の傷が炭素貯留計画に疑問を投げかける
Richard Monastersky
北海油田の有望なCO2貯留リザーバーにて予期せぬ割れ目が発見され、リークの経路になる可能性が浮上している。
EU fishing vote foments anger
ヨーロッパの漁業に関する投票が怒りを煽る
Daniel Cressey
深海漁業を禁止できなければ、脆弱な生態系が危機にさらされるだろう、と研究者らは言う。
Quandary over Soviet croplands
ソビエトの耕作地をめぐる迷い
Quirin Schiermeier
研究者らは東ヨーロッパの放棄された土地を再度耕すか、それとも炭素吸収源として残すかを熟考している。
365 days: 2013 in review
365日間:2013年のレビュー
WAVERING ATMOSPHERE
変動する大気
水銀条約を除き、今年はほとんど環境に関する重要な条約は採択されなかった。5月には大気中のCO2濃度は400ppmに達した。温暖化の寄与率はよく分からないが、台風ハイエンは記録的な風速で破滅的な被害をもたらした。ここ15年間の地球温暖化の停滞は深海による熱吸収の可能性が指摘され、再び温暖化に転じることが予測された。
[以下は抜粋]
It was no surprise when the Intergovernmental Panel on Climate Change warned in its latest report, published in September, that climate change “unprecedented over decades to millennia” is altering natural environments in ways that could affect billions of people.
THE FINAL FRONTIER
最後のフロンティア
惑星ハンター・ケプラー宇宙望遠鏡は5月にその役割を終えるまでに3,500もの太陽系外の惑星を特定した。火星の地上探査機キュリオシティーは4.5kmを踏破した。12月には中国が月に探査機を送り込み、史上3カ国目となった。NASAのボイジャーは太陽系を脱し、星間空間へと旅立った。
OPENING UP SCIENCE
科学を開けたものに
アメリカ政府は政府によって助成を受けている研究の成果は1年以内にすべてオープンアクセス化するように取り決めた。イギリスもただちにオープンアクセス化するように決めた。
IDENTITY PUZZLES
パズルを特定する
古代のDNA分析が可能になったことにより、人類の進化史も大きく揺さぶられている。
FEATURE
365 days: Nature's 10
365日間:Natureが選んだ10人
>Natureハイライト
この1年を語る10の物語
◯Michel Mayor
彼の研究チームが発見した系外惑星Kepler-78bはこれまでに見つかったなかでもっとも地球に似た惑星である。
◯Naderev Saño
ワルシャワにおける国連の気候変動枠組み会議の場で、世界の注目を集めたフィリピンの外交官。奇しくも会議中に母国フィリピンが超巨大台風ハイエンに襲われた。
[以下は抜粋]
The pace of international progress on global warming has been glacial. Despite more than two decades of negotiations, atmospheric carbon dioxide levels have continued to rise; in May, the daily average concentration topped 400 parts per million for the first time in Hawaii, where the longest-running record is kept.
Looking back, Saño is not sure what impact his speech had, but he argues that Typhoon Haiyan helped to put the international spotlight squarely on the climate issue.
Having done graduate work on climate and disaster response himself, he knows that scientists shy away from attributing any single weather event to global warming. But there is general agreement that warming oceans will fuel more energetic storms, he says, and extreme storms resonate in a way that scientific charts cannot.
◯Viktor Grokhovsky
今世紀最大の隕石衝突であったチェリヤビンスクの隕石を回収したロシアの学者。
◯Henry Snaith
ペロブスカイトを利用した太陽電池を開発した若干35歳のオクスフォード大の天才。
Ones to watch in 2014
2014年に注目すべき人たち
◯Chris Field
気候変化に関する政府間パネルの次の報告書の副議長。
◯Koppillil Radhakrishnan
インド初となる火星探査ミッションの責任者。
COMMENT
Conservation: The Endangered Species Act at 40
保全:絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律の制定から40年
アメリカ合衆国が1973年に制定した法律が「40年」という記念の年を迎えた。4人の専門家がこれまでの歩みと今後必要な変更をレビュー。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
RESEARCH
NEWS & VIEWS
Earth science: Erosion by cooling
地球科学:冷却による浸食
David Lundbek Egholm
Herman et al.の解説記事。
地質学的過去の大陸の浸食を推定することは難しく、どのようにプレートテクトニクス・気候・地形が相互作用しているのかはよく分からないことが多い。600万年前に地球は寒冷化し始め、260万年前に始まる第四紀には極に氷床が形成され始めた。第四紀には海底に溜まる堆積物量が飛躍的に増加したことが知られているものの、推定法に偏りがないかといった批判がなされている。
岩石の閉塞温度(closure temperature)を利用することで、全球の浸食速度の推定がなされた。その結果は、地球が寒冷化するとともに浸食速度が加速していたことを示していた。特に過去200万年間の中緯度域(30〜50º)の変化が著しく、おそらく氷河作用が原因と考えられている。ただし彼らの推定法は活発なテクトニクス的隆起と早い浸食が起きる地域にのみ適用できる方法であるため、長く議論されている「浸食を支配するするのは気候であるかテクトニクスであるか」という問題については決着はつかないままである。彼らの結果は「気候が浸食を支配する」という説明を裏付けている。
Space physics: A fast lane in the magnetosphere
宇宙物理学:磁気圏の追い越し車線
Mary K. Hudson
Thorne et al.の解説記事。
衛星観測とモデリングから、磁気圏での電子の加速に関する新知見が得られた。
LETTERS
Rapid local acceleration of relativistic radiation-belt electrons by magnetospheric chorus
磁気圏コーラスによる相対論的な放射線帯電子の急速な局所的加速
R. M. Thorne et al.
>Natureハイライト
磁気嵐の局所機構
Worldwide acceleration of mountain erosion under a cooling climate
寒冷化する気候のもとでの山脈の浸食の全球的な加速
Frédéric Herman, Diane Seward, Pierre G. Valla, Andrew Carter, Barry Kohn, Sean D. Willett & Todd A. Ehlers
新生代の浸食速度の推定は堆積速度に大きく依存しており、テクトニクス的プロセスと気候とがそれぞれどの程度浸食に影響したかは不確かなままである。
岩石の熱履歴を利用し、大陸の浸食速度の推定。600万年前に山脈の浸食速度が増加し、その後200万年前に急速に増加したことが示された。浸食速度は全緯度で増加しており、特に山岳部で顕著に増加していた。従って、新生代の浸食速度の増大は全球の寒冷化が原因であることが示唆。
>Natureハイライト
寒冷化した気候が山を動かす
2013年12月18日水曜日
新着論文(PNAS, SR)
PNAS
17 December 2013; Vol. 110, No. 51
Commentaries
Diatom traits regulate Southern Ocean silica leakage
Philip W. Boyd
[以下は抜粋]
Ocean circulation is a remarkable interconnecting conduit, such that biological pro- cesses occurring in the remote Southern Ocean can influence the regulation of pro- ductivity in Northern Hemisphere waters. Marine phytoplankton, despite their small size, play a disproportionately important role in setting the stoichiometric relationship be- tween elements such as nitrogen, phosphorus, carbon and silicon in the global ocean.
the Southern Ocean plays a fundamental role in setting the productivity of distant waters, such as the Equatorial Pacific, by controlling the leakage of waters with high Silicic acid:Nitrate ratios—the so-called silicic acid leakage hypothesis (SALH).
In the Southern Ocean, abundant silicic acid may have resulted in the evolutionary development of “silica body armor” to deter grazers. Such armor requires a large amount of silica per diatom and hence when ecological stoichiometry gets altered at a cellular level, it is of regional (and later global) significance due to ubiquitous nature of these diatom groups that often bloom.
the trends from EIFEX also reflect the interplay of additional strategies in terms of diatom physiology, which set the timing of bloom dominance by different diatom species (growth rate), their fate (rapid growth leads to aggregation then export), and the interplay of factors controlling diatom succession (slow growth rate, ability to store iron, body armor) evident in both subarctic and polar waters.
Articles
Eating up the world’s food web and the human trophic level
Sylvain Bonhommeau, Laurent Dubroca, Olivier Le Pape, Julien Barde, David M. Kaplan, Emmanuel Chassot, and Anne-Elise Nieblas
人間の食物連鎖における順位(human trophic level; HTL)が設定されたことはない。アンチョビと同じ2.21という値が得られたが、肉をより消費する世界の動きを反映して、近年増加しつつある。
Sensitivity to ocean acidification parallels natural pCO2 gradients experienced by Arctic copepods under winter sea ice <OPEN>
Ceri N. Lewis, Kristina A. Brown, Laura A. Edwards, Glenn Cooper, and Helen S. Findlay
北極海の動物プランクトンはカイアシ類(ミジンコなど)が占めるが、それらの海氷の下での生態や海洋酸性化などに対する応答はよく分かっていない。冬期の調査と酸性化の再現実験から、鉛直方向の移動をする生態や、生息域の異なるpCO2の幅に応じて種ごとに応答が変化することが分かった。例えば、鉛直移動をするCalanus spp.にはほとんど影響は見られないが(>140μatmのpCO2変化幅)、表層に棲息するOithona similisは大きく影響を受けた(<75μatmのpCO2変化幅)。「すでに経験している自然のpCO2の変化幅が生物の将来の海洋酸性化の応答を決定する」という仮説を支持する結果となった。
Thick-shelled, grazer-protected diatoms decouple ocean carbon and silicon cycles in the iron-limited Antarctic Circumpolar Current <OPEN>
Philipp Assmy, Victor Smetacek, Marina Montresor, Christine Klaas, Joachim Henjes, Volker H. Strass, Jesús M. Arrieta, Ulrich Bathmann, Gry M. Berg, Eike Breitbarth, Boris Cisewski, Lars Friedrichs, Nike Fuchs, Gerhard J. Herndl, Sandra Jansen, Sören Krägefsky, Mikel Latasa, Ilka Peeken, Rüdiger Röttgers, Renate Scharek, Susanne E. Schüller, Sebastian Steigenberger, Adrian Webb, and Dieter Wolf-Gladrow
北大西洋では鉄が豊富なため、生物によって生産された有機物が活発に深層に輸送されているものの、深層循環を通じて全球の栄養塩サイクルを支配している南大洋においては鉄が欠乏しており、有機物があまり中・深層へと輸送されていない。南大洋において5週間に渡って行われた鉄肥沃実験(European Iron Fertilization Experiment; EIFEX)の結果を報告。より厚いシリカの殻をもった珪藻類が上位捕食者の攻撃にも耐え、シリカを通常通り深層へと輸送していることが分かった(silica sinkers)。一方、鉄肥沃実験の最初に増殖する殻の薄い種は短命ながら活発に有機物を輸送していることも分かった(carbon sinkers)。従って、ケイ酸塩濃度がもともと高い南大洋においては、供給される鉄の量はケイ素の輸送量には影響しないが、炭素の輸送量には影響することが示唆される(生物の炭素/ケイ素比に影響する)。
Scientific Reports
☆17 December 2013
A geological perspective on potential future sea-level rise <OPEN>
Eelco J. Rohling, Ivan D. Haigh, Gavin L. Foster, Andrew P. Roberts & Katharine M. Grant
氷期-間氷期スケールの海水準変動においては気候フォーシングに対する氷床の応答が決定的だったが、今では急速に上昇する大気中の温室効果ガスが支配的である。地質学記録を参考に、将来の海水準上昇の程度を予測。68%(95%)の信頼度で、2100年までに0.9 (1.8)m、2200年までに2.7 (5.0)mと予測される。現在の海水準の上昇速度は前例がないが、間氷期の海水準上昇の程度としては前例の範囲内に収まっている。極端な海水準上昇が起きる(破滅的な氷床崩壊や東南極氷床の不安定化など)閾値はおそらく大気中のCO2濃度が1,000ppmを維持するときであると思われる。
>関連した論文
Relationship between sea level and climate forcing by CO2 on geological timescales
Gavin L. Foster and Eelco J. Rohling
17 December 2013; Vol. 110, No. 51
Commentaries
Diatom traits regulate Southern Ocean silica leakage
Philip W. Boyd
[以下は抜粋]
Ocean circulation is a remarkable interconnecting conduit, such that biological pro- cesses occurring in the remote Southern Ocean can influence the regulation of pro- ductivity in Northern Hemisphere waters. Marine phytoplankton, despite their small size, play a disproportionately important role in setting the stoichiometric relationship be- tween elements such as nitrogen, phosphorus, carbon and silicon in the global ocean.
the Southern Ocean plays a fundamental role in setting the productivity of distant waters, such as the Equatorial Pacific, by controlling the leakage of waters with high Silicic acid:Nitrate ratios—the so-called silicic acid leakage hypothesis (SALH).
In the Southern Ocean, abundant silicic acid may have resulted in the evolutionary development of “silica body armor” to deter grazers. Such armor requires a large amount of silica per diatom and hence when ecological stoichiometry gets altered at a cellular level, it is of regional (and later global) significance due to ubiquitous nature of these diatom groups that often bloom.
the trends from EIFEX also reflect the interplay of additional strategies in terms of diatom physiology, which set the timing of bloom dominance by different diatom species (growth rate), their fate (rapid growth leads to aggregation then export), and the interplay of factors controlling diatom succession (slow growth rate, ability to store iron, body armor) evident in both subarctic and polar waters.
Articles
Eating up the world’s food web and the human trophic level
Sylvain Bonhommeau, Laurent Dubroca, Olivier Le Pape, Julien Barde, David M. Kaplan, Emmanuel Chassot, and Anne-Elise Nieblas
人間の食物連鎖における順位(human trophic level; HTL)が設定されたことはない。アンチョビと同じ2.21という値が得られたが、肉をより消費する世界の動きを反映して、近年増加しつつある。
Sensitivity to ocean acidification parallels natural pCO2 gradients experienced by Arctic copepods under winter sea ice <OPEN>
Ceri N. Lewis, Kristina A. Brown, Laura A. Edwards, Glenn Cooper, and Helen S. Findlay
北極海の動物プランクトンはカイアシ類(ミジンコなど)が占めるが、それらの海氷の下での生態や海洋酸性化などに対する応答はよく分かっていない。冬期の調査と酸性化の再現実験から、鉛直方向の移動をする生態や、生息域の異なるpCO2の幅に応じて種ごとに応答が変化することが分かった。例えば、鉛直移動をするCalanus spp.にはほとんど影響は見られないが(>140μatmのpCO2変化幅)、表層に棲息するOithona similisは大きく影響を受けた(<75μatmのpCO2変化幅)。「すでに経験している自然のpCO2の変化幅が生物の将来の海洋酸性化の応答を決定する」という仮説を支持する結果となった。
Thick-shelled, grazer-protected diatoms decouple ocean carbon and silicon cycles in the iron-limited Antarctic Circumpolar Current <OPEN>
Philipp Assmy, Victor Smetacek, Marina Montresor, Christine Klaas, Joachim Henjes, Volker H. Strass, Jesús M. Arrieta, Ulrich Bathmann, Gry M. Berg, Eike Breitbarth, Boris Cisewski, Lars Friedrichs, Nike Fuchs, Gerhard J. Herndl, Sandra Jansen, Sören Krägefsky, Mikel Latasa, Ilka Peeken, Rüdiger Röttgers, Renate Scharek, Susanne E. Schüller, Sebastian Steigenberger, Adrian Webb, and Dieter Wolf-Gladrow
北大西洋では鉄が豊富なため、生物によって生産された有機物が活発に深層に輸送されているものの、深層循環を通じて全球の栄養塩サイクルを支配している南大洋においては鉄が欠乏しており、有機物があまり中・深層へと輸送されていない。南大洋において5週間に渡って行われた鉄肥沃実験(European Iron Fertilization Experiment; EIFEX)の結果を報告。より厚いシリカの殻をもった珪藻類が上位捕食者の攻撃にも耐え、シリカを通常通り深層へと輸送していることが分かった(silica sinkers)。一方、鉄肥沃実験の最初に増殖する殻の薄い種は短命ながら活発に有機物を輸送していることも分かった(carbon sinkers)。従って、ケイ酸塩濃度がもともと高い南大洋においては、供給される鉄の量はケイ素の輸送量には影響しないが、炭素の輸送量には影響することが示唆される(生物の炭素/ケイ素比に影響する)。
Scientific Reports
☆17 December 2013
A geological perspective on potential future sea-level rise <OPEN>
Eelco J. Rohling, Ivan D. Haigh, Gavin L. Foster, Andrew P. Roberts & Katharine M. Grant
氷期-間氷期スケールの海水準変動においては気候フォーシングに対する氷床の応答が決定的だったが、今では急速に上昇する大気中の温室効果ガスが支配的である。地質学記録を参考に、将来の海水準上昇の程度を予測。68%(95%)の信頼度で、2100年までに0.9 (1.8)m、2200年までに2.7 (5.0)mと予測される。現在の海水準の上昇速度は前例がないが、間氷期の海水準上昇の程度としては前例の範囲内に収まっている。極端な海水準上昇が起きる(破滅的な氷床崩壊や東南極氷床の不安定化など)閾値はおそらく大気中のCO2濃度が1,000ppmを維持するときであると思われる。
>関連した論文
Relationship between sea level and climate forcing by CO2 on geological timescales
Gavin L. Foster and Eelco J. Rohling
PNAS, 2013,
doi/10.1073/pnas.1216073110
Ka-Maスケールの海水準上昇変動は主として大陸の氷床量によって決定されている。過去40Maの重要な時期における海水準変動と大気中CO2の変動との間には明確な関係があり(S字状)、地質学時代においてもCO2が地球の気候を決定しており、海洋循環や地形はその次の変動要因であったことを物語っている。CO2と海水準上昇との間の関係から、将来CO2濃度が400 - 450 ppmになった場合、海水準は9 m上昇することが予想される。従って、CO2濃度を産業革命以前の値に戻すことが海水準の急上昇を防ぐためには必要である。
Shifts in coral-assemblage composition do not ensure persistence of reef functionality <OPEN>
Lorenzo Alvarez-Filip, Juan P. Carricart-Ganivet, Guillermo Horta-Puga & Roberto Iglesias-Prieto
世界中でサンゴ礁の被覆が減少し、種組成が変化しつつある。造礁サンゴの多くは減退すると思われるが、中にはより良く成長する種もあると思われる。そうした種の再構成がサンゴ礁としての生態系機能を維持できるかどうかをカリブ海のサンゴ礁を対象にして評価。サンゴの種組成の変化が全体としての石灰化量と凹凸度の減少に繋がる可能性が示された。地域的・全球的ストレス源を減らすことだけでなく、キーストーン種を保護することがサンゴ礁の未来のカギを握ると思われる。
世界中でサンゴ礁の被覆が減少し、種組成が変化しつつある。造礁サンゴの多くは減退すると思われるが、中にはより良く成長する種もあると思われる。そうした種の再構成がサンゴ礁としての生態系機能を維持できるかどうかをカリブ海のサンゴ礁を対象にして評価。サンゴの種組成の変化が全体としての石灰化量と凹凸度の減少に繋がる可能性が示された。地域的・全球的ストレス源を減らすことだけでなく、キーストーン種を保護することがサンゴ礁の未来のカギを握ると思われる。
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