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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog
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2014年3月31日月曜日

新着論文(Elsevier, Radiocarbon)

Earth and Planetary Science Letters
Holocene glacial discharge fluctuations and recent instability in East Antarctica
Julien Crespin , Ruth Yam , Xavier Crosta , Guillaume Massé , Sabine Schmidt , Philippine Campagne , Aldo Shemesh
東南極氷床のAdélie LandとGeorge V Landの沖から得られた堆積物コア中の珪藻の酸素同位体(δ18Odiatom)をもとに過去11kaの氷河の変動を復元。数百年の周期で変動していることが確認された。最近では1.7kaとAD1980に大きな後退が起きていた。

Assessing influences on speleothem dead carbon variability over the Holocene: Implications for speleothem-based radiocarbon calibration
Alexandra L. Noronha , Kathleen R. Johnson , Chaoyong Hu , Jiaoyang Ruan , John R. Southon , Julie E. Ferguson
中国Heshang洞窟にて採取された鍾乳石の14C・U/Th年代測定から過去10kaのdead carbonの寄与(DCP)の変動を復元し、δ18Oから得られている過去の降水量の記録と比較。完新世中期(5.5–7.1 ka)には気候が湿潤な状態になったことで炭酸塩の溶解がより閉鎖系となっており、DCPは増加していた。逆に8.2kaの乾燥化イベントの際にはDCPは減少していた。

Geochimica et Cosmochimica Acta
A first transect of 236U in the North Atlantic Ocean
N. Casacuberta , M. Christl , J. Lachner , M. Rutgers van der Loeff , P. Masqué , H.-A. Synal
NADWの形成ルートに沿って深層水中の236Uを測定。核実験由来のものが大多数を占めていることから、循環の下流に行くにつれて値が減少。236U/238Uは北大西洋を起源とする水塊のマーカーになるかもしれない(NADWとAAIW/AABWとの区別など)。
※3Lの海水を使用し、AMSで測定する。メソッドの詳細は以下の論文に。
Christl M., Lachner J., Vockenhuber C., Lechtenfeld O., Stimac I., van der Loeff M. R. and Synal H.-A. (2012) A depth profile of uranium-236 in the Atlantic Ocean. Geochim. Cosmochim. Ac. 77, 98–107.

Quaternary Science Reviews
Retreat of the West Antarctic Ice Sheet from the western Amundsen Sea shelf at a pre- or early LGM stage
J.P. Klages , G. Kuhn , C.-D. Hillenbrand , A.G.C. Graham , J.A. Smith , R.D. Larter , K. Gohl , L. Wacker
西南極氷床のHobbs Coast沖の海洋地震波探査からLGMにおける氷床縁辺の安定性や時間変動を議論。もっとも拡大していたのは20.88ka以前であったと考えられ、LGM(23-19 ka)においてもすでに後退が始まっていたことを示唆している。また近傍のサイトでも整合的な結果が得られている。これらの知見は、「西南極氷床の後退(deglaciation)が19kaに同時に始まった」とする仮説に反するものである。

Quaternary Research
A late Holocene paleoenvironmental reconstruction from Agua Caliente, southern Belize, linked to regional climate variability and cultural change at the Maya polity of Uxbenká
Megan K. Walsh , Keith M. Prufer , Brendan J. Culleton , Douglas J. Kennett
カリブ海Belizeのラグーンから得られた堆積物コアから過去3kaの環境変動とマヤ文明との関係性を議論。

Quaternary International
Potential of pollen and non-pollen palynomorph records from Tso Moriri (Trans-Himalaya, NW India) for reconstructing Holocene limnology and human–environmental interactions
Christian Leipe , Dieter Demske , Pavel E. Tarasov , Bernd Wünnemann , Frank Riedel
インド北西部のTso Moriri湖から得られた堆積物コアの花粉分析から過去12kaの環境変動(自然変動+人間の生活の影響)を復元。11.5-4.5kaには淡水の流入量が増加しており、Sutlej川を通じて下流のインダス文明にも大量の水を供給していたと思われる。4.5-1.8kaには淡水の流入量が最低の値を示し(乾燥化)、流れ出しは著しく減少したか、或いは停止していたかもしれない。こうした水循環の変化がインダス文明の盛衰と関連していた可能性がある。

Radiocarbon
Use of 10Be to Predict Atmospheric 14C Variations during the Laschamp Excursion: High Sensitivity to Cosmogenic Isotope Production Calculations
Alexandre Cauquoin, Grant Raisbeck, Jean Jouzel, Didier Paillard
NGRIP-GRIPから得られている10Be記録からLaschamp excursion時(45-38 ka)のΔ14Cを推定。10Beから宇宙線量を推定し、宇宙線量からΔ14Cを推定する。ただし、計算の仕方によって復元されるΔ14Cに大きな食い違いが見られている。

Decadal Variations in Oceanic Properties of the Arabian Sea Water Column since GEOSECS
Ravi Bhushan, Koushik Dutta, Rajesh Agnihotri, R Rengarajan, Satinder Pal Singh
AD1977-1978年にGEOSECSが測定したアラビア海〜インド洋の観測地を1994-1998年に再度訪れ、その間の地球化学的特性(溶存酸素、栄養塩濃度、DIC、Δ14Cなど)の変化を報告。表層400mのSSSに大きな変化が見られ、蒸発-降水のバランスが変化したものと思われる。DICは1,200m深全体で平均して8 μmol/Kg増加していた。表層のΔ14Cは徐々に減少する一方で、亜表層のΔ14Cは徐々に増加していた(核実験由来の14Cの拡散)。

2013年7月15日月曜日

新着論文(BG, PALAEO3, QR)

Biogeosciences
Photosynthate translocation increases in response to low seawater pH in a coral–dinoflagellate symbiosis
P. Tremblay, M. Fine, J. F. Maguer, R. Grover, and C. Ferrier-Pagès
海洋酸性化が温帯サンゴ(Stylophora pistillata)の光合成に与える影響を6ヶ月の酸性化実験から評価。pH=7.2では共生藻密度が低下し、光合成・炭素取り込み量が低下した。しかし、ホストと共生藻1つあたりの炭素の輸送量は増加しており、pHが低下した状態でもサンゴが共生藻から受け取る炭素量自体には変化がないことが示された。ただし必要な炭素量は不足しているため、こうした状態が長期間持続すると悪影響が生じると思われる。観測期間が短く長期的なトレンドははっきりとは見えないが、生物地球化学モデルは10年間に-0.05 PgC/yrの割合でCO2取り込みが増加していることを示唆している(大気pCO2が増加しているため)。

Seasonality of CO2 in coastal oceans altered by increasing anthropogenic nutrient delivery from large rivers: evidence from the Changjiang–East China Sea system
W.-C. Chou, G.-C. Gong, W.-J. Cai, and C.-M. Tseng
 モデル研究から沿岸部のCO2の取り込み量は栄養流入量が増えたことによって増加している可能性が指摘されている。長江-東シナ海流域における表層・底層水のpCO2を2008年から2011年にかけて測定した。
 pCO2の季節変動は長江の河口付近で最大で、沖に行くにつれて小さくなった。夏には長江からもたらされる栄養に富んだ軽い水のプルームが成層化を促し、また生物生産も盛んになるため表層水のDICは低下し、逆に大陸棚の底層水のDICは増加している。冬には混合が盛んになるため、低層の濃いDICが表層にもたらされている。1990年代の記録と比較すると、pCO2の鉛直構造が変化しており、表層のpCO2は減少傾向、底層のpCO2は増加傾向にある。原因としては富栄養化が考えられ、生物ポンプによるDICの下方輸送が増加していることが考えられる。従って、富栄養化によって沿岸部のCO2の取り込みは必ずしも増加しているわけではなく、「季節ごとのpCO2の差」や「沿岸から沖への輸送」まで含めて総合的に評価する必要があることを物語っている。

Sea–air CO2 fluxes in the Southern Ocean for the period 1990–2009
A. Lenton, B. Tilbrook, R. M. Law, D. Bakker, S. C. Doney, N. Gruber, M. Ishii, M. Hoppema, N. S. Lovenduski, R. J. Matear, B. I. McNeil, N. Metzl, S. E. Mikaloff Fletcher, P. M. S. Monteiro, C. Rödenbeck, C. Sweeney, and T. Takahashi
南大洋における限られたpCO2観測記録、生物地球化学モデル、大気海洋逆解析モデルを用いて1990-2009年における大気-海洋間のフラックスの大きさや変動を推定。44-75ºSではシンクとなっており、pCO2観測からは−0.27 ± 0.13 PgC/yr、モデルからは−0.42 ± 0.07 PgC/yrと推定される。一方、南極周辺の58ºSでは正味のフラックスはゼロに近く、44-58ºSがもっとも大きなシンクであった。58ºS以南ではどのモデルも観測されたpCO2変動(特に南半球の冬)を再現できていなかった。

A novel method for diagnosing seasonal to inter-annual surface ocean carbon dynamics from bottle data using neural networks
T. P. Sasse, B. I. McNeil, and G. Abramowitz
全球の混合層の水温・塩分・溶存酸素・栄養塩から経験的に炭酸系(DOCとTA)を制約できるかどうかを評価。self-organizing multiple linear output (SOMLO)と名付けられたこの手法では、非線形的な炭酸塩の挙動のうち、DICに対して19%の予測精度が実現しているそう(10.9 μmol/Kg以下)。

Air–sea exchange of CO2 at a Northern California coastal site along the California Current upwelling system
H. Ikawa, I. Faloona, J. Kochendorfer, K. T. Paw U, and W. C. Oechel
沿岸湧昇帯ではDICに富んだ深層水がCO2を大気に放出する一方で活発な生物ポンプがCO2を大気から取り込んでおり、正味でCO2のソースになっているか/シンクになっているかがはっきりと分かっていない。2011-2011年においてカリフォルニアのBodega湾で行われたpCO2の測定から、夏の湧昇期にはCO2の大きなソースになっており、秋には弱いソースとなっていたことが示された。水温と塩分変動と関連が大きいことが分かった。

PALAEO3
Mid-late Holocene monsoonal variations from mainland Gujarat, India: A multi-proxy study for evaluating climate culture relationship
Vandana Prasad , Anjum Farooqui , Anupam Sharma , Binita Phartiyal , Supriyo Chakraborty , Subhash Bhandari , Rachna Raj , Abha Singh
インド北西部のWadhwana湖で得られた堆積物コアのプラント・オパール(phytolith)、粘土鉱物、δ13C、残留磁気を測定し、過去8kaの気候変動とインダス文明との関係性を考察。4.2kaにおける環境悪化(乾燥化)とハラッパー文明の後退には関連性があったかも?

Quantification of climate change for the last 20,000 years from Wonderkrater, South Africa: implications for the long-term dynamics of the Intertropical Convergence Zone
Loïc Truc , Manuel Chevalier , Charly Favier , Rachid Cheddadi , Michael E. Meadows , Louis Scott , Andrew S. Carr , Gideon F. Smith , Brian M. Chase
アフリカ南東部のspring moundから得られた花粉を用いて21ka以降の気温・降水量を復元。LGMは降水量が50%低下しており、気温は6℃ほど低かったと考えられる。最終退氷期の気候変動はITCZよりもむしろ水温変動によって支配されていた。

Quaternary Research
100,000-year-long terrestrial record of millennial-scale linkage between eastern North American mid-latitude paleovegetation shifts and Greenland ice-core oxygen isotope trends
Ronald J. Litwin, Joseph P. Smoot , Milan J. Pavich, Helaine W. Markewich, George Brook, Nancy J. Durika
アメリカ北東部のHybla Valleyで得られた堆積物コア記録から過去100kaの陸域の記録を復元。花粉記録から復元される植生の変動は氷期において北半球全体で確認されている千年スケールの気候変動(D/Oサイクル)との同期を示している。